シート法

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シート法については以前の記事 でもご説明しましたが、御質問が多いので再度記事にしたいと思います。


適応についてですが、

シート法は全員に行うべき方法ではなく、適応としては、「良好胚盤胞を移植してもなかなか妊娠しないケース」に有効であると思います。


基本的に普通に良好な胚盤胞を移植する事で妊娠してきますが、なぜか良好胚盤胞を戻しても妊娠しない方がいます。


この場合は着床障害 を疑い一通り検査を行います。

しかし特に着床障害となる原因が無く、着床しない理由が分からない時に、シート法は試してみる価値がある方法です。


この様な方にシート法を試してみると、初回の移植で妊娠してくるケースがかなりあります。


どうしてそうなるかについては良く判らないのですが、培養液が良い方向に働いているのではないかと思います。


似たような方法として2段階胚移植がありますが、シート法は2段階移植と異なり双子の心配もないため、そういった意味でも優れた方法です。


そのため良好胚盤胞を何度も移植しても妊娠しない場合にはシート法をお勧めします。

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シート法について

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シート法という方法をご存知でしょうか?

これにより妊娠率がかなり上がる

可能性があるとのことです。


どういう方法かというと

胚盤胞移植の3日前に

培養液を子宮内に入れ

あとは予定通り胚盤胞移植を

行うという方法です。


単純な方法ですが

妊娠率が2倍も違うという先生もいます。


それではどうしてこんな方法で

妊娠するのでしょうか??


シート法の正式名称は

子宮内膜刺激胚移植法といいます。

SEET:

Stimulation of Endometrium Embryo Transfer


以下シート法について(少し難しいですが)

その理論を説明します。


シート法にはクロストークという概念が

ポイントとなっています。


クロストークとは


「着床期の胚と子宮内膜はシグナル交換(クロストーク)をしており、胚は着床に向けて子宮内膜の局所環境を修飾している」という基礎研究の概念のことです。


もう少し詳しく説明すると以下のようになります。

「胚培養液上清には子宮内膜胚受容能促進に関する胚由来因子が存在する事が確認されている。そこで胚培養液上清を子宮腔内に注入する事により子宮内膜が刺激を受け、胚受容に適した環境に修飾される可能性があると考え、胚盤胞移植に先立ち、胚培養液上清を子宮腔内に注入する方法を考案しこれをSEET法と命名している。

最初に胚培養液上清を子宮に注入する事により、培養液中の胚由来因子により子宮内膜の分化誘導の促進が期待でき、かつ胚盤胞1個の移植に制限する事が出来るため、二段階移植と比べ多胎のリスクを軽減できるメリットがある。」



具体的な方法です

①採卵周期に胚盤胞を凍結保存する。

②同周期にその培養液(胚盤胞まで培養したもの)を凍結保存する。液量は20~30μℓ。

③ホルモンコントロール周期の17日目に凍結していた培養液を融解し、20μℓをカテーテルで子宮底から1㎝離れたところに注入する。

④引き続き20日目に胚盤胞を移植する。


成績の比較です

妊娠率はシート法で87%、

コントロール群で48%と

シート法において有意に高い事がわかりました。


シート法が優れている理由ですが(少し難しいですが)
「胚盤胞移植とシート法を比較した場合その相違点としてクロストークの差があげられる。つまり胚盤胞移植では胚盤胞が移植後に初めてクロストークが開始するため、子宮内膜の着床準備の遅れにより着床不全が生じている、または着床遅延が起きている可能性がある。

シート法では培養液注入時よりクロストークが開始するため適時着床が成立し、胚盤胞移植と比較し着床時期が早くなっている可能性がある。」

シート法は二段階移植の欠点である「双胎のリスク」をなくして、胚から出る因子により内膜の状態を良くしています。特に過去に3回以上治療を受けても妊娠出来なかった方でもシート法により妊娠率が上がるとのことです。



Goto, S., et al., Stimulation of endometrium embryo transfer (SEET): injection of embryo culture supernatant into the uterine cavity before blastocyst transfer can improve implantation and pregnancy rates. Fertil Steril, 2007. 88(5): p. 1339-43.