胚移植に際して子宮内膜が薄い場合、厚くすることは難しく、度々苦戦します。

サプリメントや鍼灸が効果的な事もありますが、中々反応しない事もあります。

特に掻爬手術後のアッシャーマン症候群の場合なお苦戦します。

アッシャーマン症候群に関しては過去の記事を参考にしてください。

 

昨年のHum Reprodにこれに関してとても興味深い論文がありましたので紹介します。

 

月経の血液の自己への移植により子宮内膜を再生させて内膜を厚くするという画期的な方法です。

 

方法

重度のアッシャーマン症候群(Ⅲ〜Ⅳ度)と診断された20〜40歳の患者さんを対象にしています。

月経血は子宮鏡で採取しています。自己の月経血の間質細胞を分離し2週間培養して、その後子宮内へ移植し、その後ホルモン補充周期で凍結胚移植をしています。

 

結果

7名に研究を行いました。月経血の間質細胞の培養を施行し、その後子宮へ自家移植を施行しました。

内膜の厚さは5名の患者において7mmまで厚くなり移植が可能になりました。

そのうち4名の患者にHRT周期で移植を行ったところ、そのうちの2名が妊娠しました。

1名は2回目の月経血間質細胞移植後に自然妊娠しました。

 

結論

重症のアッシャーマン症候群の女性でも、自己月経血間質細胞移植により子宮内膜が厚くなり妊娠することができました。

 

この結果から言えることとして

とても期待できる研究成果であると思います。

自己の細胞を用いているため倫理的な問題や副作用への心配も少ないかと思います。

今後更なる症例を増やして実際に臨床への応用を期待したいところです。

 

Autologous menstrual blood-derived stromal cells transplantation for severe Asherman's syndrome

Hum Reprod. 2016 Dec; 31 (12):2723-2729

 

 

 

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採卵後に子宮内へhCGを注入することにより妊娠率が向上することが11月号のHum reprod報告されていますので紹介します。

 

方法

41歳以下の方で、アンタゴニストprotocolで刺激して、ICSIを行い、3日目に新鮮胚移植を施行した158名。

採卵後直ちに0.5mlの生理食塩水に融解した500単位のhCGを注入した群80名と、0.5mlの生理食塩水のみを注入した群78名を比較しています。

 

結果

hCG注入群 vs. 生理食塩水群

生化学的妊娠率 (59.2 vs. 31.3%; P = 0.001; OR = 1.88)

着床率 (37 vs.17%; P = 0.012; OR = 2.29)

臨床的妊娠率  (50.7 vs. 16.4%; P < 0.001; OR = 3.08)

継続妊娠率 (40.1 vs. 13.4%; P = 0.001; OR = 3.04)

流産率、子宮外妊娠率は両群間で有意差は認められていません。

 

結論

採卵後子宮内へhCGを注入することにより着床率、生化学的妊娠率が有意に向上することがわかります。

 

この結果から言えること

更なる追加の研究が必要かと思いますが、今研究から言えることとしては、子宮内へhCGを注入することは着床へ大きな貢献をしていることが示唆されます。

 

Intrauterine administration of hCG immediately after oocyte retrieval and the outcome of ICSI: a randomized controlled trial.

Hum Reprod (2016) 31 (11): 2520-2526.

良好胚を移植しても妊娠に至らない場合、過去の学会報告や論文にて子宮内膜への損傷が着床率の向上へつながるという報告が出ています。

その一方傷をつけても実際には効果が乏しいという報告も出ています。

 

それをランダムに調べたメタアナリシスの結果が2015年のESHREにて発表されていたため報告します。

 

この報告によると7個の論文を集め集積して合計で810名の患者に研究を行っています。

406名のコントロール群と、404名の子宮内膜への損傷群に分けています。

 

その結果子宮内膜損傷群における妊娠率は34.6%(140/404)、コントロール群(損傷を加えていない)は22.7%(92/406)となり、その相対リスクは1.48(0.96, 2.27)となったものの、統計的な有意差は得られていないと報告されています。

 

つまり現時点では子宮内膜に事前に意図的に損傷を与えることで妊娠率があがるものの、統計的にはそこまでの差が出ていないということとなります。

 

2015 ESHRE O-029 

Endometorial injury:reflections about bias in meta-analysis

AMHセミナー

ANHセミナー


本日AMHセミナーを開催しました。

大勢の方にご参加いただき誠に有難うございました。

たくさんご質問もして頂きありがとうございました。


AMHセミナーでは、不妊ドック、不妊予防、AMHに関して説明しました。


次回のAMHセミナーは7月27日になります。

手術すべきか迷う子宮内膜ポリープ


不妊症で子宮内膜ポリープがある場合、手術すべきか迷うケースがあります。


多発性のポリープや大きいポリープの場合、明らかにオペで摘出すべきなのでオペは迷わないのですが、


子宮の出口に近い場合には着床にはそれほど関係がなさそうにも思えます。


小さくて1-2個の場合も着床には関係がなさそうにも思えます。


こういう場合、オペをするかどうか迷う場合もあります。


ただポリープがあって良い事はなく、あることでマイナスの要因になることは間違いないため、オペが容易で、副作用が少なく、かつオペは保険が効き、リスクが少ないという点を考えると、判断に迷う場合にはオペで摘出すべきであると思います。


迷って残しておいて、それにより妊娠しない期間が長くなることや、妊娠しても流産になることもあり、それから慌ててとる事は時間的なロスが大きくなります。


以前にも同様な内容で記事 にしましたので参考にしてください。


ポリープと着床障害との関連の記事 も参考にしてください。