移植周期には性交渉を

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移植周期に性交渉をすることで妊娠しやすくなることの原因として、精液に含まれている精漿が大きな役割を果たしています。

 

精漿は精子を運ぶ担体としてだけではなく、女性の生殖生理に大切な影響を与えています。免疫反応にも影響し、受精、妊娠へ影響を与えています。

精漿は性交渉後に経管において免疫的に重要な役割を果たし、そのため移植周期にも性交渉をすることで妊娠の確率が高くなるという報告があります。

 

Seminal fluid and fertility in women

Fertil Steril. 2016 Sep 1;106(3):511-9. 

 

The role of seminal plasma for improved outcomes during in vitro fertilization treatment: review of the literature and meta-analysis.  

 

2015 Mar-Apr;21(2):275-84

 

以下の記事も参考にしてください。

自然周期で凍結胚移植を行なうメリット

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移植に際して内膜が薄くレトロゾールを内服しています。ただ担当の医師から今回は卵胞が見えにくいため今回はレトロゾールを内服しないで自然周期で移植を行いましょうと言われました。これはどういうことでしょうか?

 

このようなご質問がありましたのでお答えします。

これはかなり専門的な知識が必要なことであり、少し難しい質問です。

 

レトロゾール(フェマーラ)は排卵誘発剤として卵胞の発育を促すため、移植周期に用いることは全く問題ありません。特に内膜を厚くする作用があるため内膜が薄い場合にはとても有効な方法です。

なお同じ誘発剤でもクロミッドは真逆で、内膜に悪い影響(薄くする)を与えるため移植周期には用いることは不向きです。

 

ただレトロゾール(フェマーラ)を内服するとE2(エストラジオール)の値がかなり低く出ます。実際の25%程度になります。具体的に言うと卵胞系が20ミリで排卵直前でもE2は80程度になりかなり低く出ます。

肥満、大きな子宮筋腫があったり、チョコレート嚢腫があったりで卵胞の育ちが見えにくい方の場合、E2が上がらないということは本当に卵胞が育っているかどうかを判断することが少し難しくなります。

そのため排卵のタイミングを正確に決めることが難しくなることがあります。

そのため卵胞が見えにくい方の場合にはレトロゾールを用いないで移植をすることが好ましいケースもあります。

ただ他のホルモン値や子宮内膜の状態を見ながら排卵期を見極めることは十分ん可能です。

 

似たようなケースとして生理中のエコーでシストがある場合にもレトロゾールは用いない方が好ましいです。排卵期にE2が上がらないため、卵胞が育ったとしても、卵胞と元々のシストが判別しにくくなる可能性があるからです。

 

何れにしてもレトロゾールは生殖医療にとってとても有用な薬のため、適切に使うことでとても良い効果をもたらす薬であることは間違いありません。

移植の結果に影響する因子は

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胚移植が難しい場合には色々と工夫して良い場所に移植するようにします。

前屈がきつい場合でソフトなカテーテルが入らない場合には少し固めのカテーテルに変えて、それでも入らない場合にはスタイレットを用います。

またマルチン鉗子を用いて子宮の頸部をひっぱり角度を緩やかにして移植する事もあります。

移植困難な場合には出血が増えたり、内膜に傷がついたりして妊娠率が低下する事が分かっています。

(過去の記事の移植困難例も参考にしてください)

 

今回、移植困難例に対して、妊娠の結果に影響を与える因子に関して調べている報告が3月号のFertil & Sterilにありましたので紹介します。

 

7,714周期の移植を分析しました。

移植が容易であったものの妊娠率は38.2%

移植が困難であったものの妊娠率は27.1%

 

外筒が必要とした場合のオッズ比0.89

Wallace スタイレット使用の場合のオッズ比0.71

マルチン鉗子を使用した場合のオッズ比0.54

いずれの場合も妊娠率が低下しました。

また超音波ではっきりと確認できなかった場合にも妊娠率は低下しました。

 

結論

胚移植の際に通常と異なる追加の操作を加えることにより妊娠率が低下することがわかりました。

 

この結果から言えることとして

移植は妊娠率に直結する最も大切な過程です。

なるべくスムーズに行えた方が良い事は間違いなく、出来るだけ子宮内膜と胚へ負担をかけない手技で行う事が必要だといえます。

 

What is a difficult transfer? Analysis of 7,714 embryo transfers: the impact of maneuvers during embryo transfers on pregnancy rate and a proposal of objective assessment 

 2017 Mar;107(3):657-663

新鮮胚移植が妊娠に至らない場合、凍結胚を移植することになりますが、その場合どのくらい間を開けたほうが良いかに関して、ある程度開けたほうが良い、開けなくても関係ない等色々な考えがあります。これに関しての報告がありましたので紹介します。 

 

今回の論文では採卵日から次の凍結胚移植開始日までを22日以内と、22日を超える2群に分けて調べています。

(わかりにくいですが、例えば採卵日が4月1日として、22日後の4月22日以降の生理開始で移植をする群を遅延群、4月22日以前の生理から移植に入る群を迅速群としています)

1,087名の方を対象に1,183回の凍結融解胚移植を行っています。

遅延群の妊娠率は31.7%

迅速群の妊娠率は32.5%

この2群間に統計的な有意差は認めていません。(P=0.838)

 

この論文の結論

新鮮胚移植後の凍結融解胚移植を行う場合、特に間を開けなくても妊娠率に有意差を認めませんでした。

そのため凍結胚移植を遅らせる必要性はないと思われます。

 

To delay or not to delay a frozen embryo transfer after a failed fresh embryo transfer attempt?

 2016 May;105(5):1202-1207.