胚移植の位置と妊娠率

テーマ:
移植の際に胚を子宮の中央に戻す事が好ましいと考えられています。
移植後に超音波を見ていると、胚のいる位置を示す気泡が動くケースがあります。
胚移植の位置が妊娠率にどの様に関係するかに関して面白い論文がHum Reprod に有りましたので紹介します。

この論文では移植した後に胚の位置を表している気泡がどの様に動いたかで妊娠率を検討しています。

移植60分以内に76.4% (198/259) の胚は子宮底に、12.4% (32/259) は子宮頚部の方向へ、11.2% (29/259) はその場に留まりました。

子宮底から15mm以内の胚と子宮底から15mm以上の胚を比べると、妊娠率、着床率は以下の様になり有意差が認められました。
 (46.5 and 32.8% versus 25.8 and 18.2%, respectively; P< 0.05). 

子宮頚部へ移動した場合の妊娠率、着床率
25.0 and 15.0%
その場にとどまった場合の妊娠率、着床率
55.2 and 37.7%
子宮底へ移動した場合の妊娠率、着床率
45.5 and 32.8%

子宮頚部へ移動した群はその場にとどまった群と比較する妊娠率、着床率共に有意に低くなりました。P < 0.05 and P < 0.01


この結果から言える事として
胚移植の位置と妊娠率は高い相関関係を示している事がわかります。

Hum Reprod (2016) 31 (3): 591-596.

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胚移植の際のホルモン補充においてエストロゲン製剤には内服薬と経皮投与薬の2種類があります。経口投与の場合消化管、肝臓で代謝されますが、経皮投与の場合には影響を受けません。

また使用方法も定量投与、漸増投与があります。

これらの違いが妊娠率にどのように影響しているか調べている論文がHum Rprod.にありましたので紹介します。

 

方法

2010年から2015年まで8362個の胚移植を対象としています。

8254名の患者に以下のprotocolで投与しました。 

 

漸増protocol:5593名 (66.9%)

経口投与:1日目から7日目まで 2 mg/日、8日目から12日目まで 4 mg/日、 13日目から胚移植まで6 mg/日 。

経皮投与: 1日目から6日目まで75 µg/3日、7日目から胚移植まで150 µg/3日 。

 

定量protocol:2769 (33.1%) 

経口投与:1日目から胚移植まで6 mg/日

経皮投与: 1日目から胚移植まで 150 µg/3日

 

結果

エストロゲン定量投与、漸増投与の投与方法により出産率は有意差が認められませんでした。

経口投与(33.0 versus 32.5%, P = 0.81) 

経皮投与 (35.3 versus 33.5%, P = 0.33) 

 

生化学的妊娠率はエストロゲン経口投与した場合、定量投与群の方が漸増投与群よりも有意に高い結果でした。(53.7 versus 47.5%, P < 0.001) 

 

結論

提供卵子を用いた新鮮胚移植において、エストロゲン定量投与群とエストロゲン漸増投与群において、経口投与と経皮投与のいずれの群においても出産率に差が認められませんでした。

 

Endometrial preparation: effect of estrogen dose and administration route on reproductive outcomes in oocyte donation cycles with fresh embryo transfer

Hum Reprod (2016) 31 (8): 1755-1764.

 

移植の方法

テーマ:
移植の方法は施設により異なります。
経腹エコー、経膣エコーでも施設により分かれます。
中にはエコーを見ないで移植する施設も少なからずあるかと思います。
エコーを用いるかに関しては学会で一切規制はしていません。
子宮の長さ、角度、形、ねじれなどは個人個人微妙に違うため、ピンポイントでの移植の為にはエコー下の移植が必要であると思います。

その他移植の際にエンブリオグリューを用いる事も施設により分かれます。

移植後の安静時間も施設により分かれます。

移植に用いるカテーテルも数種類あり施設により異なります。

学会では移植する胚の個数に関してはガイドラインを出しています。
基本的には多胎防止の為単一胚移植をする事が書かれています。

宜しければ過去の記事も参考にして下さい。


エコーガイド下での移植

テーマ:

胚移植はエコーを見ながら行われます。

エコーの方法は経腹エコーと経膣エコーがあります。

どちらで行うかは施設により分かれています。

恐らく割合としては前屈の場合、経腹エコーで行われている施設が多いかと思います。

後屈の場合、角度や尿溜めにもよりますが、経膣エコーの方が見えやすくなるため経膣エコーで行うことが多いかと思います。

大切なことはピンポイントで子宮の中央に移植することが大切であり、それができればどちらで行っても良いと思いわれます。

 

10月号のHum Reprodに2次元のエコーと3次元のエコーでどちらが成績が良いかという面白い論文が掲載されていたので紹介します。

 

一見すると3次元エコーの方が子宮の中央に正確に移植が出来るので、良さそうに思えますが、結果としは以下のように両者に変わりなしとのことでした。

 

継続妊娠率は3次元エコー、2次元エコーで統計的有意差は認められずそれぞれ 35.4% vs. 37.1%, P = 0.70でした。

 

A prospective randomized controlled trial of 3D versus 2D ultrasound-guided embryo transfer in women undergoing ART treatment

Hum Reprod (2016) 31 (10): 2255-2260.