両角 和人のブログ

生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の不妊治療の話題や情報を、文献を元に提供します。
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患者さんから

「妊娠率を上げるために2個移植してほしい」

という希望を聞く事があります。


これは正しい事でしょうか?

2個移植すると1個移植に比べて

妊娠率が2倍位高くなるのでしょうか?



それでは妊娠率はどのくらい違うのか見てみます。

日本産婦人科学会が2008年のデータ を調べています。

1個移植した場合と2個移植した場合とで

どの程度妊娠率が変わるのかを調べています。


例えば34歳の場合の妊娠率ですが

1個新鮮初期胚移植 24.3%

2個新鮮初期胚移植 29.1%


1個新鮮胚盤胞移植 35.2%

2個新鮮胚盤胞移植 36.2%



1個凍結初期胚移植 22.0%

2個凍結初期胚移植 26.7%


1個凍結胚盤胞移植 40.7%

2個凍結胚盤胞移植 40.6%



これを見てわかるように

移植数が1個でも2個でも

初期胚、胚盤胞、新鮮、凍結にかかわらず

妊娠率にそれ程変化がありません。



一方多胎率ですが

例えば34歳の場合の多胎率ですが

1個新鮮初期胚移植 0.21%

2個新鮮初期胚移植 13.55%

1個新鮮胚盤胞移植 0.96%

2個新鮮胚盤胞移植 32.41%


1個凍結初期胚移植 1.32%

2個凍結初期胚移植 19.54%


1個凍結胚盤胞移植 1.45%

2個凍結胚盤胞移植 27.2%


初期胚、胚盤胞、新鮮、凍結にかかわらず

2個移植した場合は多胎率が

有意に上昇しています。


もちろんこれは34歳だけではなく

他の年齢でも同様な結果が出ています。


つまり2個移植により妊娠率は余り上がらないけど

多胎のリスクは明らかに上がる事がわかります。



以下は日本生殖医学会が出している

移植胚数制限のガイドラインです


2007年にこのガイドラインが出てからは

移植数は1個がとても多くなりました。




多胎妊娠防止のための移植胚数ガイドライン

2007.3.16

日本生殖医学会倫理委員会


日本生殖医学会は、近年の生殖補助医療の進歩とわが国における多胎妊娠数の著しい増加に鑑み、倫理委員会において多胎妊娠防止のための移植胚数に関するガイドラインを検討してきました。わが国および諸外国における治療成績などを検討した結果、このたび以下の様な結論に達しましたので、報告いたします。

  1. 体外受精などの胚移植においては、日本産科婦人科学会の見解どおり、移植胚数を3個以内とすることを厳守する。
  2. 多胎妊娠のリスクが高い35歳未満の初回治療周期では、移植胚数を原則として1個に制限する。なお、良好胚盤胞を移植する場合は、必ず1胚移植とする。
  3. 前項に含まれない40歳未満の治療周期では、移植胚数を原則として2個以下とする。なお良好胚盤胞を移植する場合は、必ず2個以下とする。
  4. 移植胚数の制限に伴い、治療を受けるカップルに対しては、移植しない胚を凍結する選択肢について、各クリニックにおいて必ず提示することを求める。
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