天下り処罰も加計認可反対派の一掃が目的

 加計学園問題で、また新たな情報が出てきた。昨年秋ごろ、当時文科省事務次官だった前川喜平氏が官邸の首相補佐官に呼ばれ、加計学園の獣医学部開学に向けて“手続きを急げ”と圧力をかけられていたというのだ。

 その首相補佐官とは、和泉洋人氏。文科省は2003年に「獣医学部の新設は認めない」という公示を出しており、和泉首相補佐官は前川事務次官を呼び出すと、〈告示改正の手続きに向けて「(大学を所管する)高等教育局に早くしてもらいたい」と要求〉したのだという。このとき、前川次官は〈「(文科)大臣が判断されること」と明言を避けた〉が、この一件は複数の文科省幹部に伝えられたと今日の毎日新聞朝刊が伝えている。

 昨年の秋といえば、特区を担当する内閣府が「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること」などと文科省に加計学園の早期開学を迫っていたことが内部文書によってあきらかになっているが、今回の報道は、同時期に官邸が直接、文科省に圧力をかけていたことを示す。

 しかも、前川氏を呼びつけた和泉首相補佐官は、「菅房長官の懐刀」とも呼ばれる人物である。

 和泉氏は旧建設省出身で、現在は政府が名護市辺野古で進めている埋め立て工事で省庁を統括している人物であり、新国立競技場の“やり直しコンペ”を仕切ったのも和泉首相補佐官だといわれる。もともとは民主党・野田政権時代に内閣官房参与として官邸入り、そのまま安倍首相が留任させるという異例の人事が行われたが、その背景には和泉氏と付き合いが長かった菅義偉官房長官の後押しがあったとされるなど、菅官房長官の「片腕」という立場だ。ようするに、菅官房長官という「官邸の最高レベル」の片腕が直接、事務次官を呼びつけて早期認可を指示していたのである。