株安・円高のWパンチ!赤字に転落する企業が続出、「日本経済大不況」突入か

トヨタは減益、東芝は破綻?

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47607

20160203日(水) 週刊現代

豊田章男社長も警戒〔PHOTOgettyimages

まさかあの会社まで……

「日本企業の稼ぐ力が急速に失われてきています。'163月期決算の上場企業1000社以上の増益率は、4~6月期には平均24%ほどだったのが、4~9月期通算だと11%ほどに半減。さらに、下期以降は事業の赤字化に苦しむ企業が増えてきました。

実際、JXホールディングスは原油安ショックで'163月期に赤字転落する公算大。住友商事はマダガスカルのニッケル事業に絡んで770億円の減損を発表したが、ほかにも減損事業が発生する可能性があるとして業績予想を据え置く緊急事態に陥っている」(ちばぎん証券顧問の安藤富士男氏)

いまや地球が丸ごと火薬庫。原油安、中国経済の失速、円高・株安などが複合的に企業経営に襲いかかる時代に突入したことで、これまででは考えられなかった大手までが赤字転落しかねない状況になってきた。「介護業界の勝ち組とされていたニチイ学館が、'163月期に15年ぶりの赤字に転落する予定です。高齢化時代の成長企業の筆頭格だったので業界内外に衝撃が走ったが、実は織り込んでいた中国ビジネスの稼働遅れなどが響いたのが一因です。絶好調と言われているホテル業界にあっても、実はロイヤルホテルは最終赤字になる見込み。今後は円高と中国経済失速でインバウンドが減少する見込みなので、さらなる業績悪化もあり得る」(マーケットバンク代表の岡山憲史氏)

赤字に落ちるか、踏みとどまれるか—。多くの企業経営者がギリギリの瀬戸際に追い詰められている。「新興国経済の不振で積み荷の需要が激減する中で、海運業界では日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社が揃って下方修正に追い込まれています。商船三井は上期が最終赤字になっており、今後は経営統合などの業界再編が起きる可能性も出てきた。

勝ち組だったスマホ用部品メーカーも、今後はチャイナショックで中国人によるスマホ購入が抑えられる見込みで、村田製作所、TDKなどには一転して厳しい環境となりそうです。工作機械大手のDMG森精機は欧州経済と中国経済の失速がダブルで直撃することが懸念され、株が売られる展開に入っている」(岡三証券日本株式戦略グループ長の石黒英之氏)

トヨタの心配事

日本経済を牽引する「稼ぎ頭」の自動車業界にしても、もちろん安泰とは言えない。「あまり指摘されませんが、対ユーロでの円高が経営を圧迫する可能性が出てきた。中でも欧州で好調なマツダには、対ユーロでの円高が減益要因になりかねません。トヨタは想定為替レートを1ドル=115円に設定しているので、それ以上の円高になると減益要因としてのしかかってくる。トヨタの場合は主戦場であるアメリカ市場で、ガソリン価格の低下によってエコカー離れが始まっているのが痛手。トヨタが勝負を賭けている新型プリウスの販売状況に、大きな懸念材料となってくる」(前出・安藤氏)

北米で強い富士重工業、中国で稼ぐ日産自動車にしても、事情はそう変わらない。自動車大手が共倒れとなれば、それはそのまま日本経済が総崩れすることを意味する。

「日本が円高時代に突入していけば、逆に息を吹き返す企業というのも出てきます。100円ショップに客が押し寄せ、格安牛丼チェーンが大復活する。デフレ時代に活躍した企業が軒並み息を吹き返す可能性があります」(前出・石黒氏)

大企業が赤字を垂れ流して死屍累々と横たわる中、デフレ企業が隆盛を誇る。信じたくはないが、それが日本の近未来の風景かもしれない。

何があってもおかしくない新聞社は厳戒取材体制

弱り目にたたり目!引き金を引くのは東芝

新入社員もリストラ対象!

東芝現役社員が言う。「うちはもう末期的ですよ。今春に入社予定の学生に対して、『本当にうちに来たい? 考え直してもいいよ』などと、人事担当者が持ちかけているんです。すでに社員の人員削減は始まっていますが、それでは不十分。内定者までリストラしようとするのは、1円でも多くコストカットしなければ会社がもたないという危機感の表れです。

ソニーに事業売却された画像センサー部門の社員は、ソニーに転籍できるのでうらやましいという声も出ています。ほんの数年前までは、『勝ち組の東芝、負け組のソニー』だったのに、景色がガラリと変わってしまった」

1年前には500円近くあった株価が、いまや半値以下で、200円割れ目前—。電機業界の雄として名をはせた往時の面影は消え失せ、「消滅」のカウントダウンが数えられ始めた。「東芝はすでに解体プロセスに入ったと見ていいでしょう。主力事業で唯一営業黒字を叩き出していたメディカル事業を資金繰りのために売却する方針だし、頼みの半導体事業も分社化される可能性が十分にある。東芝は不正会計事件を起こしたことで自主的には資金調達ができないので、銀行借り入れに依存するしかない状況。そのため、経営陣は銀行向けにバランスシートの見かけをよくしなければならず、さらなる事業売却やリストラに走らざるを得ないのが実情です」(経済ジャーナリストの磯山友幸氏)

行く末はシャープ、という声も上がり始めた。「事業の切り売りなど縮小路線で生き残っていく東芝にV字回復は望めません。株価が200円割れすれば買収しやすくはなるが、利益が望める事業が残っていない東芝を買収しようとする企業も出てこないでしょう。ただし、東芝は原子力事業を抱えているので『国策』とみなされ、最終的には官民ファンドの産業革新機構が支援する可能性がある。それはまさに、シャープの現状に重なる」(証券アナリストの植木靖男氏)

逆に言えば、官民ファンドにカネを出してもらえなければ万事休す。東芝には「破綻」が眼前に迫ってくる。「東芝は原子力事業がいまだ減損リスクを抱えていて、これが東芝を事実上の債務超過に陥れる可能性がある。不正会計事件を受けて監査法人を変更することになったが、新しく東芝を見る監査法人の目は当然厳しくならざるを得ない。もう破綻回避に必死の状態なのです」(前出・磯山氏)

腐ったとは言え、東芝は兆円規模の売上高があり、数万社の取引先を抱える大企業。この「巨象」が倒れれば、日本経済を大不況へ突き落とすトリガーとなりかねない。

大手新聞各社が東芝破綻に向けて、厳戒取材体制を組んだとの情報も駆け巡る。タイムリミットが近づいてきた。

「週刊現代」201626日号より

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