一瞬で読める源氏物語No.54 夢浮橋 | 西陣に住んでます

一瞬で読める源氏物語No.54 夢浮橋

源氏物語


No.54 夢浮橋(ゆめのうきはし) 薫28歳の物語


浮舟の弟の小君(こぎみ)を連れて比叡山の横川の僧都を訪ねたは、僧都が宇治で救った女性の話を聞きます。女性が浮舟であることを確信して涙ぐむ薫を見ながら、早まって浮舟を出家させてしまったことを後悔する僧都ですが、信仰上、出家した女性と薫との恋をとりもつことはできません。そのため、薫達を小野へ案内することについては断り、代わりに事情を伝えるメールを浮舟に書いて小君に渡しました。翌朝小君はこの僧都のメールと薫のメールを持って小野の邸を訪れました。小君が事情を話すと、妹尼が浮舟の部屋まで連れて行ってくれましたが、浮舟は顔を出そうとしません。仕方なく妹尼が僧都のメールを読み上げると、出家をやめて早く家に帰り薫と夫婦生活を始めるよう勧める内容でした。それに対して浮舟は泣きながら人違いと主張します。ヘコんで帰った小君から話を聞いた薫は、もしかして浮舟は他の男に囲われているのではないかと疑いました。



補足:出家した人が仏の道を捨てて再び俗世に帰ることを還俗といいますが、平安時代には還俗しない限り男女交際はできませんでした。ところが、鎌倉時代になると親鸞が結婚し、浄土真宗ではお坊さんの結婚が許されました。さらに、明治時代になると明治天皇が全ての宗派のお坊さんの結婚を許しました。神道の天皇が仏教のお坊さんの結婚を許すというのはすごい話ですが、事実それ以来、日本では多くのお坊さんが結婚するようになりました。ちなみにお坊さんが結婚できる国は日本だけです(笑)。良い悪いは別にして、今でも他の国ではお坊さんは結婚しないのが常識です。日本に世襲制のお寺があることを聞いてビックリするようです。さて、浮舟は薫を完全に断ち切りました。そして、薫の考えはもうぶっ飛んでます(笑)。あまりにもあっけない源氏物語の結末ですが、ちょっとだけ「風と共に去りぬ」と似てますね。薫にはぜひ最後の場面で「明日は明日のパーティーがある」とか言ってほしかったです(笑)。



お知らせ:これで、源氏物語五十四帖すべての話の紹介が終わりました。最初始めた時にはどうなることかと思いましたが(笑)、最後まで書けてよかったです。後は、第三部の総集編と「一瞬で読める一瞬で読める源氏物語」(笑)を残すのみです。何よりも何のバックグラウンドも持ってないド素人のたわいもない話にお付き合いいただけた皆様に感謝する次第です。ありがとうございました。なお、[源氏物語プチ紀行] や源氏物語のさまざまなトピックスはまだまだ続きます(笑)ので、今後ともよろしくお願いしま~す。


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