一瞬で読める源氏物語No.33 藤裏葉 | 西陣に住んでます

一瞬で読める源氏物語No.33 藤裏葉

源氏物語


No.33 藤裏葉(ふじのうらば) 光源氏39歳春-冬の物語


三月、大宮の三回忌の法要で夕霧と打ち解けた内大臣は、四月初旬、自宅で行った藤の花観賞会に夕霧を招き、雲居雁との仲を認めました。その夜のうちに契りを交わした二人は、しばらくして想い出の大宮邸で新婚生活を始めることになります。四月下旬、明石の姫皇太子に嫁ぎました。宮廷で姫と行動をともにする後見人の役をつとめる養母の紫の上は、すぐにその役を実母の明石の君に譲ることにしました。後見人交代の時、紫の上と明石の君は初めて対面し、互いにリスペクトしながら親交を誓います。そして明石の君は、大堰での別れ以来8年ぶりに明石の姫と再会することができました。秋になると、光源氏は准太上天皇という皇位をもらい、皇族と肩を並べます。さらに冷泉帝が前帝の朱雀院とともに秋の紅葉シーズンに六条院を訪れます。太政大臣になった内大臣は、君こそスターだと光源氏を讃えます。こうして光源氏は、栄華の絶頂を迎えるのでした。



補足:「太上天皇」というのは、天皇が皇位を後進に譲った後になる「上皇」のことで、「院」とも呼ばれます。一方、「准太上天皇」というのは、一般に天皇の息子をもつ、天皇経験がない皇族に贈られる皇位です。ただし後の時代に例外があって、中国から日本国王と認められた空前の権力者で、後小松天皇の父と陰で噂された足利義満が、天皇の息子をもつ皇族ではないにも関わらず、准太上天皇という皇位を贈られました。世間的には冷泉帝の父ではなく皇族でもない光源氏が上皇になったのは、足利義満と同じパターンといえます。つまり、当時、日本史上かつてない名誉を受けたことになります。しかもわざわざ現帝と前帝が呼びもしないのに自宅までひょこひょこやってきてくれたんです。内大臣が都の中心で「君こそスターだ」とさけびたくなる気持ちもわかります(笑)。さて、これで源氏物語の第一部は終了です。光源氏と愉快な仲間たちは、一応みんなハッピーになりました。


[一瞬で読める源氏物語 総合案内]


お知らせ:この後、話は第二部に進んでいきますが、その前に、せっかくですので、京都を中心に存在する(特にうちの近所にある)源氏物語のゆかりのスポットを少し紹介てから第二部を始めたいと思います。その名も「源氏物語プチ紀行」。お楽しみに(笑)