一瞬で読める源氏物語No.32 梅枝 | 西陣に住んでます

一瞬で読める源氏物語No.32 梅枝

源氏物語


No.32 梅枝(うめがえ) 光源氏39歳春の物語


11歳になった明石の姫は、一月に成人式を行った後に皇太子に嫁ぐことになっています。光源氏は式の引き出物や嫁入り道具の準備をします。成人式の前日、紅梅が咲く中、光源氏と六条院の女性たちは、それぞれ明石の姫のために調合したお香の出来ばえを競いました。蛍宮に審査を頼みましたが、結局どれも素晴らしい香りで勝負がつきませんでした。翌日、成人式が盛大に行われ、メインの儀式では秋好中宮が明石の姫に礼服を着せてくれました。ただ、身分の低い明石の君は式に出ることができませんでした。また、光源氏は、皇太子への嫁入りを遠慮している他家の姫たちに先を譲り、明石の姫の嫁入りを四月に延期しました。そのころ内大臣は、進展を見せない夕霧雲居雁の関係に悩んでいました。また、夕霧に縁談との噂にショックを受けた涙の雲居雁は、夕霧がくれたラブラブメールにネガティブな返事を書きました。何も知らない夕霧はキョトンとするのでした。



補足:平安貴族たちには、薫物(たきもの)という香を楽しむ文化がありました。基本的に数種類の香木をブレンドして独自の香りをつくります。江戸時代には源氏香という匂いあてゲームにもなりました。この香木のブレンドには、古くから各家に伝わる秘法があるようで、コカコーラの原液の製造法のようにトップシークレットだったようです。例えば、光源氏と紫の上は、夫婦であっても別々の部屋にこもって陰険にブレンドしていました(笑)。なお、今回の薫物コンテストの審判は、玉鬘とデート中に光源氏に蛍を放たれてイタズラされたあの蛍宮です。たまたま六条院に挨拶にやってきたところを予告もなしにかなり煙たい状況を味わさせられるハメとなり、しまいには、優劣をつけられなかったことに対して、光源氏から「八方美人の審判」呼ばわりまでされます。かなりトホホ状態だったようです(笑)。さて、次回はいよいよ第一部の最終話です。


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