一瞬で読める源氏物語No.29 行幸 | 西陣に住んでます

一瞬で読める源氏物語No.29 行幸

源氏物語


No.29 行幸(みゆき) 光源氏36歳冬-37歳春の物語


12月、鷹狩りに大原野を訪れる冷泉帝の行列を見物していた玉鬘は、冷泉帝のイケメンぶりに胸ドキュンです。実の父の内大臣も初めて目にします。早速、冷泉帝の近くで働きたいと思い、光源氏から日頃勧められている冷泉帝の秘書室長をつとめることにしました。ただし、その前に成人式を済ませておかなければなりません。光源氏は、式で成人に礼服を着せる一番重要な役を内大臣にたのみますが、母の大宮の病気を理由になかなか会ってくれません。大宮のはからいでなんとか内大臣と会えた光源氏は、ついに玉鬘の秘密をカミングアウトします。その結果、二人は昔の友情を取り戻し、内大臣は涙を流して役を引き受けました。式が滞りなく済むと、コトの真相が世間にバレます。ここでアンニュイなのは、実は姉弟ではなかった夕霧と実は兄妹だった柏木です。また、同じ境遇の自分も秘書室長になりたいと無謀な高望みをする近江の君はブーイングを浴びるのでした。



補足:この帖の原文には、「行幸」「尚侍」「裳着」「腰結」といった聞きなれない言葉がたくさん出てきます。まず、行幸(ぎょうこう or みゆき)とは、帝が皇居から外出することです。一般に大イベントとなります。尚侍(ないしのかみ)とは、帝の秘書室長のことで女官の最高の地位でした。帝から愛されることもあり、朱雀帝の時代にはあの朧月夜がこの職についてました。尚侍は勉強ができて礼儀作法を心得ていなければならないので、お笑い系の近江の君には全然合わなかったことは確かです(笑)。ちなみに秘書室の次長は典侍(ないしのすけ)です。あの好色老女(笑)の源典侍を思い出してください。裳着(もぎ)の儀とは、女性の成人式のことで、裳という礼服を腰結(こしゆい)と呼ばれる役に着せてもらう儀式です。さてさて、あの絵の品評会以来仲が悪かった光源氏と内大臣が、やっと昔の仲に戻ったようです。ただよく考えてみれば、昔から末摘花や源典侍のことで低レベルな争いをしてましたよね(笑)。


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