前回記事の続きです。


日本標準飼料成分表(2009年版)によると、


イタリアンライグラス(1番草、出穂期)を、サイレージにした場合、乾物(Dry Matter)は32.9%。そのDM中に、

カルシウム 0.52%

全リン 0.33%

マグネシウム 0.20%

カリウム 3.42%

ナトリウム 0.07%

塩素 1.26%

硫黄 0.28%

鉄 427mg/kg

銅 10mg/kg

コバルト 0.42mg/kg

亜鉛 57mg/kg

マンガン 81mg/kg

という含量である。



また、同2008年版には、

DM中の硫黄の含量は0.08~0.15%であり、摂取許容限界は、0.40%とある。

そして、上記許容限界0.40%を越えると、

▼落ち着きが無くなる

▼下痢

▼食欲低下

▼筋肉痙攣

を引き起こし、長期の場合、に至る

とある。


「桜島火山降灰が農耕地土壌の理化学性に及ぼす影響」という文献の中で、

赤灰中の硫黄含量 0.25~0.31%

白灰中の硫黄含量 0.02%

黒灰中の硫黄含量 0.04%

というデータがあり、この数値と今回の新燃岳の降灰の成分を比較して、これ以上であれば、要警戒である。


で、昨日、西諸県農業改良普及センターの担当者の方から、メールが2通届いた。

1通目は、

長崎の雲仙普賢岳に関する文献もある

当センターで簡易検査したところ、今回の火山灰のpHは4.5前後である

という内容。


2通目は、本文から抜粋すると、

お尋ねのありました火山灰中の硫黄濃度についてですが、今回西諸地域9地点で降灰した火山灰中の硫黄濃度が出ましたので、お知らせします。

水溶性SO4の量で 274~519mg/100g(平均で369mg/100g)でした。
その中のS(硫黄)濃度を求めると0.0913~0.173%(平均で0.123%)となり、先日お送りした鹿児島県の硫黄濃度0.2%より低いようです。
日本標準飼料によるとイタリアンやトウモロコシのサイレージに含まれるS(硫黄)濃度が乾物中で0.28%、0.34%となっているので、今回の火山灰はこれよりも低いようです。

火山灰は嗜好性を低下させたりするので、できるだけ取り除いて収穫調整し、給与していただきたいと思います。
という内容でした。



そこで、もし、イタリアンライグラスのサイレージ1個に10kgの火山灰が混入したとします。

通常、イタリアンライグラスのロール1個をおよそ200kgとすると、その乾物の質量は、含量32.9%であることから、

200×32.9/100=65.8kg

この中に、もともと含まれている硫黄は、含量0.28%であることから、

65.8×0.28/100=0.18kg

今回の火山灰10kgの中に含まれる硫黄は、含量0.123%であることから、

0.123/100×10=0.0123kg

よって、10kgの火山灰が混入した場合の全硫黄の質量は、

0.18+0.0123=0.1923kg

これを、乾物総質量65.8+10=75.8kgで除すと、

0.1923/75.8×100=0.25%

となり、許容限界0.4%を下回る。


従って、現時点での結論は、

▼今回の降灰により、心配される牛への影響は少ないと言える。

▼イタリアンライグラスのサイレージを作成する際は、ジャイロヘイメーカーで、なるべく多くの回数、撹拌し灰を振り落とす方がよいことは明らかである。

▼多量の降灰(pH4.5)により、土壌が酸性化するようであれば、消石灰などで中和する必要がある。



今日はここまで。

1通目の長崎の文献は、読み込むのに時間が掛かりますので、次回に。

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