昨日、西諸県農業改良普及センター(県の出先機関)より、降灰による牛への影響に関する文献が送られてきた。

お手数かけました。心より、感謝いたします。


内容物は、大きく分けて、2部。

一つ目は、鹿児島県畜産試験場研究報告第12号(1980年)からの抜粋

二つ目は、日本標準飼料成分表よりの抜粋

であった。

検索してみると、やっぱりと思ったが、鹿児島県畜試の研究報告は、電子化され、PDFファイルになっていた。

ということで、今回は、一つ目を紹介します。



その1.降灰放牧地における肉用繁殖牛実態調査  


要約すると、

[材料・期間など]

昭和50年から53年まで、降灰区と無降灰区で黒毛和種の成牛雌牛10頭ずつの血液性状と繁殖成績に関して、調査した。


[結果]

血液性状において、殆ど違いは認められなかった。

ただし、A/G比(アルブミンの量をグロブリンの量で除した値)は、降灰区(0.41~0.61)・無降灰区(0.36~0.58)ともに、一般に報告されている値(0.8~1.0)よりもかなり低い値となっている。原因は、不明。

繁殖成績に関しては、違いは見られない。


[小生の感想]

まぁ、降灰による影響は、4年間調査して、問題ないのであれば、それほど心配する必要はなさそうである。

A/G比の値が低いのは、両区の結果であるので、降灰との関連性はなさそうである。

シロウト考えであるが、A/G比の低下は、放牧地の牧草(出穂前など)の硝酸態窒素の濃度が、高いときには、硝酸中毒になり、肝臓障害が起こる可能性があるためではないか。



その2.桜島火山の降灰対策に関する研究  


要約すると、

[材料・試験方法]

搾乳牛に降灰が付着したサイレージを給与し、採食量と乳量・乳成分、体重、血液と尿、消化率を調査した。

搾乳牛に降灰が付着した青刈りイタリアンを給与し、同上の調査を行った。

搾乳牛に降灰が付着したサイレージを長期給与し、同上の調査を行った。

[結果]

降灰付着粗飼料を給与すると、

採食量は、給与期間が長くなると低下する。

乳量は著しく低下し、乳成分も無脂固形分率、乳蛋白率の減少する。

体重も減少する。

血液性状では、アルブミン、ヘモグロビンが減少し、リン、マグネシウム、総蛋白、コレステロールが減少する。

尿中の成分に異常は認められなかった。

臨床的に被毛の粗剛が認められ、活力に乏しく栄養障害が疑われた。

消化率には、特に影響は認められなかった。

[小生の感想]

少しくらいなら問題ないが、火山灰を含む粗飼料を多く、長く与えると、牛にダメージがあるくらいは、想像できる。



その3.桜島火山降灰が飼料作物に及ぼす影響(1)  


要約すると、

[調査研究方法]

昭和50年10月から昭和52年3月まで、イタリアンライグラス、青刈エンバク、飼料かぶ、青刈とうもろこし、青刈ソルガム、ローズグラスなどの生育状況を、鹿児島市吉野町、垂水市、曽於郡輝北町の8戸で調査した。


[結果]

調査した期間は、比較的降灰が少なく、作物に対する被害は、殆どみられなかった。

通称アカ灰、シロ灰の方が、被害が大きい。

牧草繁茂時の降灰の重量による倒伏が被害を大きくする。

青刈トウモロコシや青刈ソルガムの方が被害が出やすい。


[小生の感想など]

やっぱりって感じですかね。

背の高い作物は、降灰の量によっては、倒伏し、収量の減少に繋がる。

送付された別文献に、

▼黒灰や白灰は、成分的にはほぼ同様と考えられる。

▼赤灰は、黒灰・白灰に比べ、pHが低く、交換性塩基のうち石灰岩量、りん酸吸収係数、全硫黄含量、水溶性塩素含量および中和石灰量が、それぞれ多い傾向を示した。

▼桜島火山灰は、一般にpHが低く、硫酸イオンや塩素イオンなどの酸根を多量に含んでおり、酸根の加水分解や硫黄の酸化分解による酸性化が降灰堆積土層において長期にわたり進行するものと考えられる。

とありました。



その4.桜島火山降灰が飼料作物に及ぼす影響(2)(3)(4)  


要約すると、

[材料・試験方法]

場内において、飼料作物の生育状況、被害状況、収量、土壌の調査を実施

現地(桜島)において、同様な調査を実施

降灰の付着した飼料作物のサイレージ調整試験を実施


[結果]

場内ポット試験から、降灰の水溶性物質が、発芽率、根長、乾物重の低下を引き起こす。

場内圃場試験から、降灰量が増加すると乾物収量は低下する傾向がある。

現地試験から、降灰や火山性ガスの為、発芽初期の飼料作物には、大きな被害が発生した。多量降灰地帯で有望と思われるのは、春夏ではローズグラスやシコクビエ、秋冬では、青刈エンバクである。石灰を200kg/10a施用すると殆どの草種に増収の傾向が見られた。

サイレージ調整試験から、

ソルガムサイレージに関して、灰添加により、pHは若干上昇、乳酸含量は減少、酢酸は増加⇒品質低下

とうもろこし・イタリアンライグラスサイレージに関して、灰添加による品質低下は認められなかった。

採食性に関しては、灰添加量に伴い、減少した。

低水分のサイレージの方が火山灰の付着を押さえられる。


[小生の感想]

やはりそうかって感じです。

自然界において、火山灰は、土壌と殆ど変わりなく、日本全土に分布しているはず。だから、それほどの悪影響は無い。

ただ、高水分のサイレージよりも、低水分のサイレージの方が、火山灰をジャイロヘイメーカーなどで振り落とすことができるので、降灰が多いときには、後者の方がよりよいサイレージを作ることができる。




今回は、ここまでです。

次回へ続く>>>>

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