衣の下から鎧が出た――というところか。
 日本共産党政策委員長の藤野保史(写真)が、26日朝のNHK「日曜討論」で、防衛費について「人を殺すための予算」と妄言した。国民生活をめぐる議論の中で、「今年度予算で『軍事費(!)』は戦後初めて5兆円を超えた。人を殺すための予算でなく、人を育てる予算を優先する改革が必要だ」と発言したものだ。


藤野保史


他党の議員にたしなめられても持論を曲げず
 それは、他の議員にも聞き捨てならなかったようだ。「それは言いすぎですよ」、とたしなめられたのはまだいい方(誰かはわからないが、ずいぶん理解のある党だ)。「防衛費は国民の命を守るための予算では? その発言は大問題ですよ。あなたのためにも撤回した方がいい」。これは自民党あたりか。ずいぶん生ぬるい反論だ。
 ところが藤野は、いっこうにひるまず、「いや! 軍事費だから!」「(人を殺す予算と言ったのは)軍事費だから!」と、自分の妄言を連呼し、持論を曲げなかった。
 さすが筋金入りの共産党員である。


これが共産党の本音
 共産党、最近はソフト路線が板につき、それで有権者を騙しており、自衛隊を当面は認めるなど、と言っていても、時にこうした本音が漏れる。しかも他党からたしなめられても、撤回しない(番組終了後、「不適切」として取り消すコメントを出したけれど、謝罪はない)。
 直近の熊本地震でも、東日本大地震でも、自衛隊員は危険な被災地に赴き、不眠不休の救援活動を行った。またスターリニスト中国の侵略が現実の危険に迫っている南西諸島にも、「防人」として赴任している。
 その自衛隊を維持する予算を「人を殺す予算」とは――。つまり共産党員の間で、自衛隊違憲論=自衛隊を敵視する意識が一般的であり、党外の人のいない密室で、常にそんなことを語り合っているだろうことが、この「本音」で分かる。


超軍拡のスターリニスト中国と比べてみよ!
 南シナ海で全島を支配下に置こうとしているスターリニスト中国は、公表軍事費を毎年、10%前後も増やし、今では世界第2位の9543億5400万元(邦貨換算で約16兆7000億円)にまで急増させている。彼らは、力で世界秩序を壊し、中華帝国を拡大しようとしている。
 それに対して日本の防衛費は、なんと細やかか。長年、ゼロ成長で、時にはマイナス成長で、常に5兆円を下回りし続け、やっと今年度微増で5兆円を突破して5兆0541億円となった。前年比伸び率もようやく1.5%増である。しかもこの額には在日アメリカ軍関連費用も含まれているのだ。
 スターリニスト中国の公表軍事費と比べてみよ!


どれだけ人を殺したのか、スターリニスト中国の「人民解放」軍
 スターリニスト中国こそ、チベット騒乱や6.4市民革命(「天安門事件」)で実際に「人民解放」軍は、人を殺した。しかも何千人も。
 国内だけではない。韓国戦争(いわゆる「朝鮮戦争」)、そして後の対インド国境戦争、中ソ国境戦争、中越戦争という対外戦争で、どれだけの人を殺したことか。
 対して自衛隊が、海外を含めて人を殺したことがあるのか?


共産党の狙いは自党の軍=人民軍
 ちなみに日本共産党は、もともとは決して反軍・平和政党ではない。戦後に再建されてからしばらくは、人民軍の創設と維持を主張していた。自衛隊は解散させるけれども、党の軍である人民軍は創設し、それで対アメリカに備える、というのが、今も本音としてあるはずだ(決して公言はしないけれど)。
 こんな共産党と選挙協力している民進党は、どうなのか。ちなみにNHK番組で出演していた民進党政調会長の山尾志桜里は、藤野の妄言にダンマリを決め込み、批判しなかった。共感するところがあるのだろう。
 共産党の言うがままなら、いずれ彼らに取り込まれる。そしてひ弱な人民軍など、スターリニスト中国の人民解放軍の敵ではないから、いずれは植民地化されるしかない。
 共産党と参院選で共闘する民進党にも注意が必要だ。


 明日は休載します。

昨年の今日の日記:「中国株、急騰の果てに急落、当局主導の金融相場バブルの終わりか」