自費出版のリブパブリのブログ

現代史、進化、人類学・考古学、動物生態学など、様々な分野の呟き(しかし長文の)を展開します。
 海外旅行が好きなので、その訪問記なども随時、紹介していきます。


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 これも予定の筋書きだったのだろうか。
 覆面ロシア軍が全土を完全に軍事掌握したウクライナ領クリミア自治共和国で、同国最高会議(議会)は6日、ロシアへの編入を求める決議を採択し、さらにロシアへの帰属替えを問う住民投票を16日に実施することを決めた。


独立から、いきなり「併合」へ
 これまでロシアは、グルジア領のアブハジアと南オセチアをグルジアから分離「独立」させ、事実上、自国の属国化したように、クリミアでもその手を使うだろうと予想していたが、ロシアのプーチンはさらに一足飛びに「クリミア併合」へと舵を切った。
 住民投票も、当初は5月25日が予定されていたが、いったん3月30日に繰り上げられ、そして今回は一気に16日へ、だ。
 しかも住民投票で問うのも、当初の「ウクライナの中で国家の独立性を持つことに賛成か」としていた文言を、突如として「ロシアの一部になることに賛成か」へと変更された。
 もっともこの住民投票ですら、もはやただの儀式に過ぎない。すでに自治共和国最高会議は、ロシアへの帰属を決議してしまっているからだ。
 この動きを受けて、ロシア下院は、同日、クリミア併合のための法案の検討を始めた。


クリミアはロシア系住民のものだけではない
 かさにかかったようなこの急変の陰に、プーチンがいるのは間違いない。独裁者プーチン以外、誰もこのような急進的なロシア領化を命じられないからだ。
 そもそも最高会議決議も、自由意思に基づく正当な決議と言えない。
 最高会議の施設は、武装した覆面ロシア軍が占拠しているからだ。先月27日、覆面ロシア軍の威圧下でクリミア自治共和国の首相にアクショーノフが選ばれている。ウクライナ政府は、当然ながらアクショーノフを同共和国首相として認めず、逮捕状を出している。
 さらにクリミア自治共和国は、ロシア系住民だけのものではない。ここには約25%のウクライナ系住民も約12%の先住民=クリミア・タタール人も住んでいるのだ。この少数民族が、一蓮托生でロシアに隷属化されることになる(3月6日付日記:「ロシアに占領されたクリミア自治共和国はなぜ易々とロシア軍を引き入れたのか;クリミア現代史から謎解く」を参照)。


外国の圧力である地域の多数派の「独立宣言」など許されるのか
 考えてみよう、例えば在日韓国人が多数派として住む大阪のある地域で、反日韓国の謀略の基に彼らが日本からの分離・韓国帰属を決めたしたら――。ロシアによるクリミア併合がどんなに不当なものかは、その仮想シナリオを想定してみても分かるだろう。
 だからこそウクライナ憲法では、ある地域の分離独立には全国での投票が必要と規定しているのだ。クリミア自治共和国の議決も住民投票も、ウクライナ憲法違反である。
 ロシアの論理がまかり通れば、世界の秩序は崩壊してしまう。あっちでもこっちでも、ある地域の多数派が、外国の武力を盾に「独立宣言」、「他国への併合宣言」をしては、国家の平和は成り立たない。
 他国の領土を、力で自国領に変更しようという途方もない暴挙が、21世紀の今日、行われようとしていることに、したがってリブパブリは強い憤りを覚える。


次の標的か、ウクライナ南部・東部が危ない
 懸念されるのは、ロシアの次の標的である。クリミア併合の後は、やはり親ロ派住民が多数を占めるウクライナ南部・東部がプーチンの視線の中に入っているだろう。
 クリミア同様に多数派の親ロ派住民に騒動を起こさせ、「ロシア系市民保護」の名目で軍を侵攻させる懸念が現実のものとなっている。少なくともアメリカが、オバマの敬愛してやまないケネディ大統領がフルシチョフにキューバのミサイル基地撤去を要求したような毅然とした態度を取らなければ。
 そのアメリカでは、議会や一部メディアの間で、弱腰オバマの失態がロシアの思うままの無法を招いたという批判の火の手があがっている。
 オバマがロシアに対し、軍事介入は「代償を伴う」と警告してからたった10数時間後に公然と無視されて軍事介入が行われたことは、アメリカ全体にとって耐え難い屈辱、正義の蹂躙に他ならない。


一時の熱狂が資質を欠いた「口先男」を大統領にした過ち
 ようやく今になって、アメリカ海軍は、イージス艦「トラクストン」を黒海に向かわせている。それも、ロシアへの威嚇が目的ではなく、以前から計画していた訓練演習のため、との弁明付きだ。
 「ただの地域活動家」(ヒラリー・クリントン評)にすぎなかったオバマを大統領にしたのは、「初の黒人大統領を」というアメリカ国民の一時の熱狂の過ちだった。ちょうど日本が、「政権交代」の熱狂の基にバラマキスト民主党を政権に就けて大きな劣化を招いたように、資質を欠いた者を世界最高権力者に選んだアメリカの誤選択は、後世の歴史家から厳しい批判にさらされることだろう。


クリミア親ロ派住民

贅沢三昧

 写真は、がロシアへの帰属を求めるクリミアのロシア系市民。は、失脚してロシアに逃亡したウクライナ前大統領ヤヌコーヴィッチの豪華な私邸(キエフ郊外)。朝日新聞2月26日朝刊紙面より。


昨年の今日の日記:「メキシコ周遊:テオティワカン文明の偉容(下);雨の女神『チャルティウトゥリクエ』像など」

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