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 リビア革命は、トリポリ中心街に立てこもるカダフィの親衛隊プラス外国人傭兵を反体制派が包囲する段階に入った。カダフィとその一族は、欧米諸国から資産凍結されているので、もう海外亡命はできない。絶体絶命のピンチに陥ったので、反体制勢力との凄惨な戦闘が行われるだろう(写真上=トリポリ西郊のザウィヤを解放した反体制勢力)。

リビアも食い物にしていたスターリン主義中国
 歴史上の最大の革命であるロシア革命、そしてその70年後の東欧革命も基本的には無血革命だった。チュニジアとエジプトでは、夥しい血が流されたが、それでも犠牲者は3桁だった。しかしリビア革命は、これまででもすでに死者が1000人を越えており、ひょっとすると万のオーダーに達するかもしれない。中東史上でも最も凄惨な革命の1つとなりそうだ。
 いまだ決着のつかないリビア革命だが、この騒乱の中で明確に浮き彫りになったのが、スターリン主義中国の関与である。独裁国らしく、リビアにも深く関与していた。隣国エジプトやチュニジアからの出稼ぎを除けば、突出した派遣労働者約3万人を送っていた。
 独裁国スーダンと同様に、石油目当てにリビアに入り込んだ中国企業は75社にものぼり、投資プロジェクトは実に50にも達していたという。彼らの流儀は、現地独裁政権にカネを貸してプロジェクトを立ち上げると、技術者のみならず労働者も中国から送り込む。したがって中国と親密なアフリカのどこでも、中国人コミュニティーが出来上がる。現地に一元もカネを落とさず、資源ともども一切合切をアフリカ独裁国から収奪する植民地主義的「経済援助」である。はからずもリビアでも同じ流儀を通していたことが明らかになったわけだ。
 事態の緊迫化に慌てて、スターリン主義者の頭目の胡錦涛と温家宝は、重要指示を出して中国人労働者の待避を始めている。

安保理理事国でも革命後は胡錦濤らも訴追だ
 さてその中国は、珍しくも26日の国連安保理事会の制裁決議に賛成した。カダフィら政権幹部らへの金融制裁や渡航禁止を柱とした制裁決議は、全会一致での採択である(写真中央)。
 決議には、カダフィらによる一連の弾圧について、国際刑事裁判所(ICC)に調査を委ねることも盛り込んだ。ICCは過去にスーダンの大統領バシルに集団殺害などの罪で逮捕状を出している。よくぞスターリン主義中国は、賛成したものだ。
 中国は安保理の常任理事国であり、あらゆる決議に拒否権を持つ。この拒否権のゆえに、安心してチベットと東トルキスタンでの血の虐殺を行えるのだ。しかしもし中国でリビア型の叛乱が起これば、胡錦濤らは海外に逃亡するしかない。新中国政府が安保理で胡錦濤らをICCに訴追すれば、彼らは人道に対する犯罪の罪で裁かれるのだ。
 それだけスターリン主義中国も追い込まれているということだろう。

深まるカダフィの国際的孤立感
 さてリビアであるが、カダフィの側近だったアブドルジャリル前法相が、ベンガジで近く暫定政府を樹立する。ポスト・カダフィの受け皿を狙ってのことだが、カダフィの側近だった人物がリビア人民から受け入れられるどうか分からない。
 しかし前記の安保理決議には、それまでカダフィに忠誠を示していたリビアの国連大使シャルガム氏も反論しなかった(写真下は、安保理でカダフィ非難の演説後に、早くから反カダフィを鮮明にしていたダバシ国連次席大使と抱き合うシャルガム国連大使)。またジュネーブの国連人権理事会は25日、リビア情勢に関する特別会合で、反体制派市民に対する武力行使など同国の重大な人権侵害を厳しく非難し、リビアの人権理メンバーとしての資格停止を検討するよう国連総会に勧告する決議案を全会一致で採択したが、リビア代表団はこの決議に反対しなかった。
 カダフィはまさに四面楚歌であり、最終段階が近づいている。夥しい流血が、傷ましい。

昨年の今日の日記:「台湾与党、国民党の相次ぐ敗北、台湾の将来はどうあるべきか(上):民進党、李登輝、馬英九」