「現代の名工」に150人 フランス料理シェフ・坂井宏行さん
テーマ:教育のニュース2009年11月10日(火)08:05
■「和食」ヒントに新スタイル
厚生労働省は9日、工業技術や伝統工芸などの各分野で優れた技術、業績を持つ今年度の「現代の名工」150人(うち女性8人)を発表した。10日に東京都内で表彰式が行われる。
選ばれたのは研磨盤工として、航空機の精密な部品作りに貢献した水野和美さん(59)=愛知県=や、少量の料理を少しずつ味わう和食の特性を生かしたフランス料理を生み出したシェフの坂井宏行さん(67)=東京都。金属のような光沢を持つあめ細工作りで知られ、後進の指導にも熱心に取り組む稲村省三さん(57)=東京都=らも栄誉に輝いた。
最年少はブロック積工の小林徹さん(38)=埼玉県、最高齢は婦人・子供服仕立職の鳥沢俊子さん(80)=神奈川県=だった。現代の名工は昭和42年、各界の技能水準向上のため創設された。毎年秋に150人が選ばれ、褒賞金10万円などが贈られる。
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「とてもうれしい。若い人にも包丁を握ることの楽しさを伝えていきたい」。フレンチレストラン「ラ・ロシェル」(東京都渋谷区)のオーナーシェフ、坂井宏行さんは笑顔を弾けさせる。懐石料理の特性をフレンチにいち早く取り入れ、たくさんの料理を少しずつ楽しめる新しいスタイルを提案した第一人者だ。胃袋が小さく淡泊な味付けを好む日本人にも楽しめると評判を呼び、「ムッシュ坂井」の名が広がった。
豊かな自然に囲まれた鹿児島県の農村に生まれた。「豪華客船の料理長になりたい」と17歳でフレンチの世界に飛び込んだが、就職したホテルでは親方の靴磨きばかりをさせられた。
「組織の歯車にはなりたくない」と日本を飛び出して豪州のホテルに渡ると、手先の器用さを買われてすぐに包丁を持たされた。「徒弟制度の厳しかった日本では考えられないこと。料理の楽しさを教わった」
帰国後、「吉兆」などの老舗料亭で懐石料理を勉強し、独自のフレンチを完成させた。「本場で修行をしていない」などバッシングを受けたこともあった。「それでも自分の信じた道を貫けたのは、お客さまの支えがあったから」
約150人のスタッフを抱え、後継者の育成にも力を注ぐ。教育のモットーは技術をほめちぎること。そして「仕事以外の趣味も大切に」と教える。「人生が楽しくなければ、おいしい料理は作れませんからね」。きれいにゴルフ焼けした笑顔から白い歯がのぞく。
(産経新聞)
川渕コーポレーション
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