他郷阿部家
テーマ:旅「他郷阿部家」という宿泊施設です。
武家屋敷の阿部家を修復して、登美さんはそこに住んでいます。
「他郷」というのもやはり中国のいいまわしで、他の人の家(故郷)を自分の家のように感じることだそうです。
会員制になっているそうで、私たちはコンサートのあと、泊めていただきました。
ここほどホッとして、ぐっすり眠れたことはありません。
これはただ事ではないぞ、この感覚は一体何なんだ、と思いました。
この気持ちを確認するために、大崎さんにお願いして日本滞在中にもう一度泊めていただきました。

阿部家の外観。裏からみたところ。

裏木戸のような入り口をくぐって、わびた前庭に入る。
のれんをくぐると土間になっていて、座敷に導く上がり口と奥の台所に続く。
のれんの右横の障子の向こうが座敷。こちらの入り口から昔、家の主人は入った。

入り口を入った突き当りの戸を開けると、広いスペースの台所へ。
かまどがなつかしい。ここで炊くごはんがおいしい。
私はこの風景にドーンと心を打たれる。

かまどの横にある食事どころ。
巨大な木のテーブルは廃校になった小学校の階段の手摺だったそうです。
椅子も戸棚も小学校から来ています。
右手奥の格子戸は裏庭に続いています。
張り出したひさしの下を行くとお風呂場とトイレに行きつきます。

裏にあるお蔵を改造した書斎。
左に見える階段を上がると・・・

この家唯一つのベッドのある部屋。ヘレナはここに泊まる。
特別仕立ての畳が美しい。

母屋の二階にある茶室と呼ばれる部屋。
大崎さんはここに泊まる。

私が泊まったお武家様の座敷。8畳だけど、昔の畳の大きさなのでとても大きく感じられた。
和紙と熊笹で織ったシーツ。12月に行った時には湯たんぽがはいっていました。
この座敷に続く8畳間にこたつを入れてくださって、私はここで夜中の12時ごろまで「群言堂」の関する本を読んでいました。

裏庭と裏口に続く。
多くの廃材や古い木材を使ってあるのに、寂れた感じがしない。
手入れが行き届いているためか、空間が生きている。
それでいて、磨きすぎというところがなくて、ホッとする。不思議なところだ。

右手、お風呂場。左ののれんの中がトイレ。
このトイレがなんとも素敵なのですが、狭いので、写真をとっても雰囲気は伝わりませんでした。
例えばトイレの床。細かく砕いた(砕けた?)瓦を埋め込んである。手を洗うところは瓶を真っ二つに切った流し、手拭は古い手ぬぐいを小さく裂いたもので、全部模様が違う。それを入れた籠はお蔵に放り込まれてあったものを利用している。

そしてお風呂場。これは更衣室。
ここも廃材や古いものが見事に使われている。
かと思うと、この窓。オブジェのようなステンドグラスになっている。

圧巻はお風呂場。電気が入っていない。薪ストーブのほんのりとした光。ろうそくの光。
別世界に来たような気持ちになりました。
夏は右の扉を開け放って、露天風呂になるそうです。

次の日の朝ごはん。昨日の晩御飯もおいしかったけれど、これも最高。
敷地内で取れた野菜のサラダ。自家製のジャム。パンにトースト。
登美さんは今日も忙しいのに、隣に座ってしばらく私たちの相手をしてくださる。
今日はどこかの団体が20人ぐらい見学に来るのだそうで、朝食のあと見ると、私が泊まった座敷は3部屋とも唐紙を開け放って、スライドが見られるようになっていました。
阿部家の活気溢れた一日が始まっていました。
懐古趣味で無理に美しく見せているところが全くない。
このように住みたいと思って、住んでいるところに泊めていただいている、と言う感じ。
それでいながら、手厚いおもてなしをしていただきました。
松場夫妻は大森で6-7軒の家を改造/修復しているそうです。
そんなことが出来るのはよほどの資産家なのだろうな、と思ったのですが、「群言堂」に関する本を読むと、全くのゼロから始めた人たちだと分かりました。
このストーリーはまた後ほど。







1 ■いいですね
私自身はこういう古い家で暮らしたことがないですが、母の実家の農家に行くと、竈があり、そこで年末には蕎麦をゆでたり、餅をつく米を炊いたりしているのを見ていました。
写真を拝見していて、その施設を管理されている方たちの心意気が感じられました。素晴らしいですね。