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2005-06-05 23:09:51

ブランドという名のチカラ

テーマ:
【サニーサイドアップの仕事術】 

●著者 :峰 如之介
●出版社:日経BP社(2005.01 発行)
●価格 :¥1,575


中田英寿、北島康介、杉山愛、
乙武洋匡、大黒摩季…
彼らは、ある共通項でつながっている。
それは、いずれもサニーサイドアップが
マネジメントしているということだ。

僕がサニーサイドアップという変わった名を
はじめて目にしたのは、もう5、6年前、
まだ開設して間もない中田英寿の
サイトの中だった。
ヒデはその中で再三、サニーサイドアップ社長
である次原悦子さんの名をあげ、
その密接な関係を感じさせていた。

しかしサニーサイドアップはもともと
マネジメントを本業でやっていたわけではなく
PR業務を主として設立された会社だ。
PRとは広告と似ているようで、かなり違う。
広告がCMやポスターなどで、ターゲットに
ダイレクトにアピールしていくものだとすると、
PRは、例えばある新商品が出ると、
それをマスコミに伝え、ニュースや記事で
紹介してもらうことがねらいの、
どちらかといえば、間接的なアピール方法だ。
しかし広告に比べ、それほど企業色が出ない面が、
客観性となって信頼度を増し、
うまくはまれば絶大な効果を生むのだ。

サニーサイドアップはそのようなPR業務で培った
ノウハウを、人に対して適用する。
すなわち、人、タレント(才能)の
ブランド化である。
その戦略はキーマンである中田英寿に
対して象徴的に行われる。
nakata.netの開設、斬新なコンセプトを伴った
CM・出版・テレビ番組への取り組み、W杯期間中の
中田カフェの設置、そして世間をアッと言わせた
東ハトの執行役員就任。

本書にはサニーサイドアップが、
ブランドというものをいかにとらえ、
人に、企業に活かしてきたかが、
余すことなく、ドラマチックに描かれている。
「楽しい騒ぎをおこしたい」。
サニーサイドアップが掲げるスローガンだ。
読んでいて、そのスローガンそのままに、
躍動する社内の息づかいが
聞こえてくるような気がした。
ワクワクしながら一気に読了。


■個人的ハマリ度  ★★★★(★5つが最高)
著者: 峰 如之介, 山崎 祥之
タイトル: サニーサイドアップの仕事術
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2005-06-04 06:50:00

しあわせのカタチ

テーマ:
【幸福な食卓】  

●著者 :瀬尾まいこ
●出版社:講談社(2004.11発行)
●価格 :¥1,470


最近、本屋へ行くと、この人の本が平積みに
なって目立つところに置かれているのを目にする。
店員さんにもファンが多いらしい。

主人公、佐和子の家は父と兄の三人ぐらし。
母親は家を出ていない。
それぞれに問題を抱えた家族が、
つかず離れず、微妙な距離を置いて暮らす中に、
さまざまな出来事が降りかかる。

作者が現役の中学校教師ということもあってか、
中学生の佐和子を見つめる目は、温かくも鋭い。
クラスの中にあって感じる孤立感の描写など、
ヒリヒリとした実感を伴って伝わってくる。

設定を考えると、かなりシビアな状況のはずなの
だが、やわらかなタッチの文章がそれを中和させ、
ゆったりとした気持ちで読むことができる。
登場人物が見せる、やさしさ、思いやり。
作者は決して押しつけがましくは描かない。
だからこそ、読む者はそれに気づいた時に、
胸が熱くなるのだ。

光が見えかけた佐和子に、試練が襲いかかる。
それは読者にとっての試練でもある。
読んでいて思わず「そんな…」とつぶやいた。
佐和子がそれにどう立ち向かい、乗り越えるのか。
この部分は、ほんとに彼女と
同じ時間を過ごしたような気がする。

幸福な食卓は、そこにあるものじゃない。
それは「つくる」ものだ。
タイトルにはそんなメッセージが込められている
のではないだろうか。


■個人的ハマリ度  ★★★★★(★5つが最高)
著者: 瀬尾 まいこ
タイトル: 幸福な食卓
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2005-06-01 01:15:35

縦横無尽、文学の重力を突き破る。

テーマ:
【重力ピエロ】  

●著者 :伊坂幸太郎
●出版社:新潮社(2003.04発行)
●価格 :¥1,575


今やすっかり売れっ子の伊坂幸太郎。
ようやく一冊目を読んでみたが、
なるほど、評判に違わぬ新しさ、おもしろさだ。

主な登場人物は、血のつながらない兄弟とその父。
物語は、連続放火事件と、そこに残された落書き、
そして、弟の「春」が背負わざるを得なかった運命
がからみ合って進んでいく。
バラバラに見えたピースが、少しずつ交差し、
ひとつの結論へと導かれていくさまは、
読んでいて背筋がひやっとする快感を覚える。

物語の構成も見事だが、それと同じぐらい
魅力的なのが、この人の文章だ。
短いセンテンスでテンポよく連ねられた文体は
シャープで、流れるように読み進められる。
もって回った、少々キザッたらしいセリフも、
この文体にあっては違和感なく溶け込んでいる。
ひと昔前、若い世代が書く新感覚の文学が、
「J文学」と呼んでもてはやされた
時代があったが、これは、そういったくくりにも
収まらない、文学の重力とは無縁の域にある
作品のように思える。

しかし、一見軽く明るい文章の中に潜んでいる
テーマは、実はかなり深くてヘビーだ。
読み終わってタイトルを眺めると、
そこに込められた作者の思いが、
静かな余韻とともに胸に迫ってくる。
物語の終盤、余命わずかな父が春に語った
一言が忘れられない。
ハッとして、そのまましばらく文字を
見つめていた。
僕にとっては、この一言を読めただけでも
本書を読んだ価値が十分にあった。



■個人的ハマリ度  ★★★★★(★5つが最高)
著者: 伊坂 幸太郎
タイトル: 重力ピエロ
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2005-05-29 01:00:53

想定内と想定外

テーマ:
【センセイの鞄】  

●著者 :川上 弘美
●出版社:文藝春秋(2004.9.03発行)
●価格 :¥560


ご存知、恋愛小説の名手によるベストセラー。
文庫になっていたので手に取ってみたが、
売れてからもうかなり経っていたし、
小泉今日子と柄本明でドラマ化も
されていたりで(未見)、読む前から
すでに大まかなイメージはあった。

37歳の独身女性、ツキコさんと、
高校時代の国語教師である70代の
センセイとの、年の離れたはなかい恋。
あーいかにも女性が好きそうな話だなあと
思いながらページをめくっていくと、
やはり予想通りの展開と空気。
行きつけの居酒屋を舞台に、
つかず離れずの微妙な関係を続けるふたり。
センセイに引かれつつも素直になれない
ツキコさん。そんな彼女の気持ちを知ってか
知らずか、憎まれ口をたたくセンセイ。
少しずつ、少しずつ縮まるふたりの距離。

途中から、ドラマを見ていないにも関わらず、
ツキコさんに小泉今日子を重ねていた。
このキャスティングは絶妙だと思う。
柄本明は、設定からすると
いささか若すぎるように思うが。

ふたりの間に流れる、ほんわかとした空気を
楽しみながらも、やっぱりこういう話だった
んだなあと読み終わろうとしたところに、
その想定外の事は起こった。
目頭がアツくなったかと思うと、あやうく
涙がこぼれ落ちそうに……え? 何だ?
最後の数ページを何度も読み返してみる。
いかん、やはり込み上げるものを抑えられない。

そう、軽く、フフンと読みながらも、
いつのまにか僕はしっかりと、ツキコさんと
センセイの魅力にやられ感情移入していたのだ。
それ故、最後の最後、ふたりに流れる空気
の突然の転調に動揺し、心かき乱されたのだ。

ありきたりだけど、
人を好きになるって、やっぱりいいなと思う。
そして、少し哀しいとも思う。
今度、ドラマを見てみよう。
もう一度、ふたりに会うために。


■個人的ハマリ度  ★★★★(★5つが最高)


著者: 川上 弘美

タイトル: センセイの鞄

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2005-05-26 10:44:10

頭の中をハマショーがグルグル

テーマ:
【渋谷ではたらく社長の告白】  

●著者 :藤田 晋
●出版社:アメーバブックス(2005.3.31発行)
●価格 :¥1,680


記念すべき一冊目は、このアメーバブログの
開設元でもある、サイバーエージェント、
藤田晋社長の最新作。

藤田社長が、会社設立に至る経緯~現在までの
激動の道のりをつづった告白本である。
話題になっていたので読んでみたが、
いやーこれがアツい!アツすぎる!
仕事への尽きることのない情熱、ネットバブル
の崩壊、業績低下への激しい非難、仲間との
身を切られるような決別、そして、
生涯の伴侶との運命的な出会い…。

まだ30代前半の社長だが、人の何倍にも
値する凝縮された人生を歩んでいるのに
驚かされる。
そしてそのエネルギーを生み出しているのが、
「21世紀を代表する会社を作る」という夢。
一見青くさく感じる言葉だが、その壮大な
思いがあればこそ、多々の苦しみにも耐え、
また喜びにも我を忘れず、前進できたのだろう。

そして、この本を読んでいた僕の頭の中に
鳴っていたのが、
浜田省吾の「悲しみは雪のように」。
90年代前半のドラマ「愛という名のもとに」の
主題歌として大ヒットした名曲で、30代以上
の人ならご存知の方も多いのではないだろうか。
いまや巨匠の野島伸二が脚本を担当したドラマは、
大学のボート部の仲間たちが社会に出て
夢と現実のギャップにもがき苦しみながらも、
愛と友情を取り戻していくという内容で、
当時僕は熱中して毎週ビデオに録って
何度も見ていた。特にチョロというキャラが
自殺してしまうシーンはショックを受け、
今でもその時感じた寂しさは
胸に残っているほどだ。
唐沢寿明や鈴木保奈美、江口洋介など、
思えばキャストもすごく贅沢だった。

本書を読んでいて、このアツくて、ちょっと
切ない空気が何かに似ていると思って、
すぐに浮かんだのがこのドラマ、
そしてバックに流れるハマショーの曲だった。
そう、この本は僕にとっては、
ビジネス書なんかではなく、
光と影に彩られた青春群像ドラマなのだ!

社長が奥菜恵と結婚すると知って、
彼女のファンだった社員が「会社を辞める!」
と言ったというエピソードは笑えるが、名作
「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」
の彼女に心奪われた僕にとっては、
その気持ちがわからなくもない。(笑)

何かの岐路に立っている人、
人生の選択を迫られている人はもちろん、
夢に向かって歩んでいる全ての人に
おすすめである。


■個人的ハマリ度  ★★★★★(★5つが最高)


著者: 藤田 晋

タイトル: 渋谷ではたらく社長の告白

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