2006-01-31 12:22:12

姉と妹、女と女。

テーマ:映画
【何がジェーンに起ったか?(映画)】

<1962年、アメリカ>
●監督/ロバート・アルドリッチ
●出演/ベティ・デイビス、ジョーン・クロフォード 他


名作として名高い作品。
今回はじめて見て、女優ふたりの怪演に圧倒された。

子役スターのジェーンは、自分がモデルの人形も
売り出されるほどの人気者。
一方、その姉のブランチはスポットライトを浴びる
妹をくやしげに見ていた。
しかしそれから数十年が経ち、立場は逆転。
ブランチは名女優の地位を確固たるものとし、
ジェーンは大根役者としてバカにされていた。
そんなある夜、ブランチは、ジェーンの運転ミスで
下半身不随のケガを負い、車イスでの生活を
よぎなくされる…

2時間以上ある映画のほとんどが、姉妹が暮らす
家の中のシーンなんだけど、これが全然退屈しない。
カラダの自由にならないブランチに、
ねちっこくいやがらせを続けるジェーン。
子供の頃の栄光が忘れられず、再び舞台に上がる
日を妄想する姿は、見ていてゾッとするほどの
狂気を感じさせる。
一方、姉のブランチは、ジェーンの仕打ちに怒り、
耐えながらも、壊れていく妹をどこかで案じている。
その姿は姉妹の争いであると同時に、
女同士の情念の衝突でもある。

エスカレートしていくジェーンの行動が
ある悲劇を生む。
ふたりの行きつく先にあるものとは…

ラストに衝撃の真実が明かされ、
印象的なシーンで映画は幕を閉じるのだが、
なんとも言えない、せつない印象を受けた。
姉と妹、兄と弟は、いちばん近いものである
だけに、時に憎悪の対象ともなる。
だがそうであっても、
その絆を完全に断つことはできない。
この映画が描こうとしているのは、
絶望の中にあって、かすかに見える希望
ではないだろうか。


■個人的ハマリ度 ★★★★(★5つが最高)
ワーナー・ホーム・ビデオ
何がジェーンに起ったか?

 
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2006-01-26 09:57:09

神話は崩壊するのか、蘇るのか。

テーマ:
【ソニーが危ない!(本)】 

●著者 :荻正道
●出版社:彩図社(2005.11発行)
●価格 :¥798


去年9月に、経営陣が総退陣し、
初の外国人CEOであるストリンガー氏のもと、
新体制をスタートさせたソニー。
その直後には、実に11年ぶりとなる
連結の赤字決算見通しを発表している。

本書が書かれたのはその2年程前、
ソニーが予想外の大幅な減収減益となり、
株価が暴落した、2003年4月の「ソニーショック」
から約半年後のことだ。
当時は新商品「PSX」も発売され、
再び上昇に転じたように見えていたソニーだが、
本書は、そんなソニーが抱える
本質的な問題点を指摘し、現在の低迷を
予言するかのような内容になっている。

最近のソニーは、たしかにいいニュースが少ない。
iPodの圧倒的人気の前に、
苦戦が続く「ウォークマン」。
ポータブルゲーム機において、
ニンテンドウDSにシェアで水をあけられて
いる「PSP」。
テレビの新ブランド「BRAVIA」も売り上げは
好調とはいえない。

90年代、プレイステーション、VAIO、そして
ロボット犬アイボと、話題商品を連発し、
業績も右肩上がりだったソニーが、
なぜこうなってしまったのか。
筆者はその理由のひとつとして、
現場と経営陣との意識の解離をあげる。

創業者、井深大と盛田昭夫時代以来、
ソニーは何をおいても、ものづくりを
第一とする技術者集団だった。
それが規模の拡大にともない、華やかな
フレーズのもと、コンセプトやイメージを
優先したビジネスを展開してきた
つけが回ってきたのではと指摘している。
文系出身で「技術屋の心をわかっていない」
と批判された前社長の出井氏には、
とりわけその傾向が強かったという。

これはソニーに限らず、日本社会全体に
あてはまることかもしれない。
ものづくりという、手で触れることの
できるものを信じて突き進んできた日本が、
株に代表される、実態の見えないものに
心酔していった結果、先のライブドア事件
などを生み出したのではないか。
ソニーが今後、どう変わっていくかは、
案外日本のこれからと、どこかでリンク
しているのかもしれない。
神様と呼ばれた井深大の、技術に対する
感動的なエピソードなども多々紹介されて
いて、読み物としても味わい深い。


■個人的ハマリ度  ★★★★(★5つが最高)
荻 正道
ソニーが危ない!―SONY10年の天国と地獄

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2006-01-23 08:48:15

カラダは、口ほどに物を言う。

テーマ:映画
【マシニスト(映画)】

<2004年、スペイン・アメリカ>
●監督/ブラッド・アンダーソン
●出演/クリスチャン・ベール、ジェニファー・ジェイソン・リー 他


DVDジャケットの、やせ細った男のインパクトに
何の予備知識もなしに見たが、思わぬ拾い物だった。

機械工のトレバーは、不眠症に悩まされ、
もう1年も眠っていない。体はガリガリにやせ、
集中力も散漫になっていた。
そんなある日、職場でアイバンという名の
見知らぬ男が声をかけてくる。
アイバンの不審な行動に気をとられたトレバーは、
同僚に大怪我をさせてしまう。
しかし職場の誰もが、アイバンなどという男は
ここにはいないと口にする…

冒頭から登場する主人公、トレバーの劇ヤセぶりに
まず驚く。ほんとに骨と皮だけという表現が
ぴったりなほど。そしてこれを演じているのが、
クリスチャン・ベールだと知って再びびっくり。
クリスチャン・ベールといえば、
バットマン・ビギンズで主役のバットマンを
演じるなど、いま注目の俳優。
もともと筋肉質のひきしまった体型だったとはいえ、
言われなければ、同一人物とは思えない変身ぶりだ。
役者が役づくりで太ったり、やせたりというのは
よくあるが、ここまでの例は聞いたことがない。

ストーリーは中盤ぐらいで、オチが予想でき、
後から考えると、やや?と思える部分もあったが、
睡眠不足のトレバーが見た世界を
イメージしたような、ちょっとブルーがかった
映像がなかなかいいムードを出していて、
最期まで楽しめた。

なにわともあれ、細かいことは、あのカラダを
見れば、まあいいか、と思えてしまう。
肉体の持つ説得力が、全編を覆っているのだ。


■個人的ハマリ度 ★★★★(★5つが最高)
アミューズソフトエンタテインメント
マシニスト


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2006-01-20 10:47:18

ニンゲン・ヒトラー

テーマ:映画
【ヒトラー 最期の12日間(映画)】

<2004年、ドイツ>
●監督/オリヴァー・ヒルシュビーゲル
●出演/ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ 他


アドルフ・ヒトラーの自決までの日々を追った、
ドキュメントタッチの作品。
けっこう長いのだけど、緊迫感に満ちた映像に
目が離せなかった。
映画は、ヒトラーの秘書を務め、戦争を生き延びた
女性が、その時を回想する語りから始まる。

1942年、トラウドゥル・ユンゲは、
ヒトラーの個人秘書に採用される。
戦局は次第に悪化の一途をたどり、
1945年4月、ソ連軍はベルリンの中心まで侵攻、
追いつめられたヒトラーは地下にこもりながら
指揮をとる。
ベルリン陥落が目前に迫っても、ヒトラーは
決して負けを認めようとしない…

ヒトラーを演じたブルーノ・ガンツの熱演が光る。
容貌もほんとにそっくりで、
(というか、もともと似てたから役に
決まったのか?)まさにヒトラーがそこにいる、
という錯覚を覚えるほど。
戦局の厳しさに狂気を帯びた目で激高する一方、
秘書や子供たちには、やさしい眼差しを向ける
ヒトラーの両面を、丁寧に、誠実に演じている。

ヒトラーというとユダヤ人の虐殺というイメージが
強いが、映画がヒトラーの晩年を描いているため、
それに対しての直接の描写はほとんどない。
この企画自体、よく実現できたものだと思うが、
ユダヤ関係をメインにするのは、
やはり難しい面があるのかもしれない。
あくまで、ヒトラーの最期に至る過程を、
過剰にドラマチックに演出するのでもなく、
事実にもとづき、客観的に描写しようとしている
印象だ。

勘違いしていたのは、ヒトラーは最期はひとりで
自決したものだと思っていたのだけど、
妻である女性と一緒に亡くなっていた点。
しかも結婚式をあげたのは、その数日前。
敵機の爆撃音が響く中だ。
この孤独な支配者に、最期を一緒に迎える者が
いたというのは、彼にとっての唯一の救いで
あったかもしれない。

強さ、もろさ、ありのままの人間、ヒトラーを
知るには格好の一本だろう。


■個人的ハマリ度 ★★★★(★5つが最高)
日活
ヒトラー ~最期の12日間~ スペシャル・エディション


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2006-01-16 00:17:49

沈没前夜は続いている?

テーマ:映画
【日本沈没(映画)】

<1973年、日本>
●監督/森谷司郎
●出演/藤岡弘、丹波哲郎 他


今年、スマップの草なぎ主演で
リメイク作が公開される。
その前に本編をチェックしておこうと鑑賞。
もう30年以上前の作品だけど、なかなかどうして
今でも十分に見応えがある。

深海潜水艇で日本海溝の調査に赴いた田所博士
(小林桂樹)と操縦士の小野寺(藤岡弘)は、
海底に異変が起きていることを発見する。
やがて大地震が東京を襲い、壊滅的な被害が
出るが、それは、来るべき日本沈没の日への
序章に過ぎなかった…

まず、俳優陣が濃い~!!
藤岡弘は今と変わらぬあのしゃべりだし、
総理大臣には丹波哲郎!
博士役の小林桂樹も、くせ者の匂いを
プンプンさせている。
しかし、そのやや過剰とも思える演技が、
この映画のスケール感には逆にマッチしているのだ。

東京の街の破壊や富士山の爆発、大津波など、
特撮シーンも満載。もちろんCGなどない時代だから
ほとんどがミニチュアを使ったもので、
現在と比べると見劣りするのは当然だが、
当時としては、ものすごい力が入っている。

映像的なものに加え、感心したのは、
実際にこういう状況になった場合の被害はどうか?
日本列島の消失という未曾有の危機に面し、
政府はどう動き、解決策を見い出すのか?
といったことに対しての回答が、かなりの
リアリティとともに描かれていることだ。
これは徹底したリサーチのもとに執筆された
小松左京の原作の力が大きいのかもしれない。

この映画が公開された当時は、高度経済成長の
まっただ中にありながら、その一方で
「ノストラダムスの大予言」など、
世紀末の思想が蔓延していた時期だ。
そんな未来に対する漠然とした不安が、
「日本沈没」というショッキングなモチーフと
重なって、大ヒットしたのではないだろうか。
だとすると、明日に夢や希望を抱きがたい
今という時代も、何か当時と似たものが
あるように思う。

消え行く日本を見据えながら、田所博士が
つぶやく「日本を信じたい」という台詞が
ズンと胸に迫ってくる。
リメイクが、平成の世の日本、そして日本人
への思いをどう描くのか楽しみだ。


■個人的ハマリ度 ★★★★(★5つが最高)
アミューズソフトエンタテインメント
日本沈没 M-1.0


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2006-01-12 10:07:07

「戦争」という名の日常。

テーマ:
【となり町戦争(本)】 

●著者 :三崎亜紀
●出版社:集英社(2004.12 発行)
●価格 :¥1,470


昨年の話題作。ようやく読了。
なんとも不思議な味を持った作品だ。

会社員である主人公の僕は、ある日、
町の広報誌で、自分の住んでいる町と、
となり町とが戦争を始めることを知る。
実際に戦争が始まっても、それらしき音も光も
気配も感じられず、街は平静を保っているように
見えた。そんな僕のところに町役場から
「敵地偵察」の任務が届く。
戦争の実感を持てないまま、僕はとなり町へと
踏み込んで行く…

まず何といっても設定の妙!
日本人にとって、いつしか戦争は
「テレビの画面で見るもの」
という認識になって久しい。
そんな戦争に対する、2次元的でリアリティの
欠如した感覚を、「となり町との戦争」という、
ありえない状況に置き換えることで、
逆に奇妙なリアリティを生み出すことに成功している。
そしてディテールを積み重ねていくことによって、
この狂気を帯びた静寂な世界を構築する、
新人離れした文章力もすごい。

最初、「となり町との戦争」という状況の
背景にあるもの、これは、いつの時代のどこの話?
町同士が戦争をしなければいけない理由は?
など、説明不足の部分が気になっていた。
それは読者それぞれが考えてほしい、といった
スタンスは、ただの逃げなんじゃないかと
いうように思ったのだが、読む進むにつれて、
気にならなくなっていた。
作者のねらいは、そういった戦争の背景や状況を
訴えるのでなく、何もわからぬまま戦争に巻き込まれて
いくひとりの人間が何を感じ、考えるのか、
その思いと行動を通して、戦争のもつ本質を描こうと
しているのではないかと考え直したからだ。
それは言いかえれば、現代の日本、あるいは日本人と
戦争の関係の投影ともいえる。

小説の中では、爆弾が爆発することもなければ、
人が死ぬシーンの描写もない。
それでも、首にナイフを押し当てられているような、
ひんやりとした恐怖が行間から漂い、
静かに迫りくる緊迫感に、息苦しさを覚える。
予想外の結末も、ひねりが効いていて切れ味がいい。

話題作にはすぐに、映画やドラマ化が舞い込む
昨今だが、これは映像にするのは、
おそらく無理だろう。
それは、これが本の中で描かれていることに
プラス、読者の頭の中の想像によって
完成される物語だからだ。
そういう意味でも、まさに小説を読む醍醐味を
満喫できる一冊と言える。


■個人的ハマリ度  ★★★★(★5つが最高
三崎 亜記
となり町戦争


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2006-01-08 13:44:06

謎の裏に、愛あり。

テーマ:
【容疑者Xの献身(本)】 

●著者 :東野圭吾
●出版社:文藝春秋(2005.8 発行)
●価格 :¥1,680


昨年の「このミステリーがすごい!」などで、
軒並みランキングの1位を独占した話題作。
まもなく発表される直木賞にもノミネート
されている。(すでに6回目の候補。
いいかげん取らせたれよ)
今年はもうすぐ「白夜行」のドラマも
始まるし、東野の当たり年になりそう。

離婚して娘と暮らす靖子を、
ある日、別れた夫が訪ねてくる。
変わらず横暴をはたらく夫を、
靖子は思わず殺してしまう。
途方にくれた靖子だが、
隣室に住む高校の数学教師、
石神が救いの手を差しのべる。
実は石神は、
以前より靖子に恋焦がれていたのだ。
靖子を罪から逃がすために石神が仕掛けた
驚愕のトリックとは?
また石神と旧知の仲であり、刑事からアドバイス
を請われる身でもある大学教授、湯川が推理する
犯人像とは?

設定の妙、トリックの斬新さ、そして石神を
はじめとした登場人物の造型。
たしかに評判に違わず、よくできてる。
知らなかったけど、この湯川という大学教授を
主人公にしたシリーズもあるらしい。

理系出身で、元エンジニアという肩書きのある
東野らしい、数式をちりばめたアカデミックな
タッチと、石神の靖子への純愛とも言える
想いがかもし出すせつなさがミックスし、
独特の空気が生まれている。
文章の読みやすさもあり、すらすらと一気に
読んでしまった。

十分満足できるのだが、ちょっと引っかかったのは、
石神がなぜそこまで、
靖子のために尽くせるのかという点。
ラスト近くに、石神が靖子に引かれたきっかけが
描写されるのだが、正直「え、それだけ?」
と思ってしまった。
まあ、人を好きになるのに理由なんていらないと
いえばそうだが、それはあくまで現実でのこと。
小説(特にこういうミステリー系)では、そこに
説得力がないと、登場人物に感情移入できない。
個人的にはその一点のみで、
真の傑作になりそこねたという印象になって
しまったのが残念。


■個人的ハマリ度  ★★★★(★5つが最高)
東野 圭吾
容疑者Xの献身


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