2016-02-28 05:07:05

中国、「過剰生産」AIIB使った輸出増加でも解決不能

テーマ:ブログ


エコノミック・ショート・ショート



中国人は利に賢いと言われるが、果たしてそうだろうか。現在、鉄鋼・セメント・石炭などの素材生産で、膨大な過剰生産能力を抱えて四苦八苦している。どうみても「お利口さん」とは思えない所業である。こんな分かりきったことも分からなかった。それは、31の地方政府ごとに「社会主義市場経済」とやらを行った結果である。


仮に、「社会主義市場経済」を全土一本で行っていたならば、ここまで過剰生産能力を抱えることもなかったであろう。それが、31にも仕切った独立経済圏で勝手に増産体制を取ったので、全土で合計してみたらとてつもない過剰生産体制を築いてしまった。おかしいやら、お気の毒やら、形容すべき言葉も知らないのだ。


中国は、この過剰生産能力の処理について、未だに楽観視している節が窺える。それは、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の融資によって、「一帯一路」プロジェクトの建設工事受注で消化可能と読んでいるからだ。この期待は実現するだろうか。次の記事は、これに水を掛けているから厄介なことになってきた。




『レコードチャイナ』(2月24日付)は、こう伝えた。



①「2月22日、欧州連合(EU)商工会議所の駐北京商会は、『工業の生産能力過剰問題は中国自身に損害を与えるだけでなく、世界経済にも打撃を与える』とするレポートを発表した。『RFI』中国語版サイトが伝えた。同レポートは、『中国鉄鋼業界では半数の企業が赤字経営だ』と指摘。『その生産量は、世界の4大生産国(日本、インド、米国、ロシア)の合計をも超え、中国の2年間の鉄鋼製品生産量は、米国が20世紀に生産した量に匹敵する』と説明した。その上で、『中央政府は重工業を縮小、サービス産業を強化したい考えだが、これには労働者の失業や税収の減少を懸念する地方当局の強い抵抗がある』とした」。



中国工業の生産能力過剰問題が、中国自身に損害をもたらすだけでなく、世界経済にも打撃を与える、という指摘はその通りである。この客観的な分析が、中国当局に不可能なことがこの問題を深刻化させている。本来ならば、非常識とも言える生産過剰能力を抱えて、その処理に早く動き出すべきであった。今頃になって、「嫌々」という姿勢で手をつけ始めた程度である。本心では、AIIBを設立し何とか時間稼ぎをしていれば、そのうちに「解決の糸口が見つかるかも知れない」。そういう模様眺めの姿勢だ。日米は、中国のAIIBへの「カラクリ」を見抜いている。だから、AIIBへの出資を断ったのだ。中国政府に対して、早期の生産能力過剰の尻ぬぐいをさせる構えである。



②「中国で過剰に生産された鉄鋼製品、セメントをめぐり、駐北京商会の責任者は『中国は中央アジアへの輸出を試みているが、同市場は規模が小さい。中国の生産過剰問題の解消には大きな役割を果たさない』と語っている」。



ここでは、重要な視点が提供されている。「中国は中央アジアへの輸出を試みているが、同市場は規模が小さい。中国の生産過剰問題の解消には大きな役割を果たさない」。「一帯一路」は、アジアと欧州を束ねた一大開発プロジェクトでも、最初の第一歩は中央アジアからスタートだ。この中央アジア市場が、とうてい中国の過剰生産能力を満たすほどの規模ではない。大きな中国の胃袋を満たすほどの受注にはなり得ない。



一般に工場は、操業度が落ちればメンテナンス費用もかかる、機械性能も陳腐化する。カバのように大口を開けて受注を待っていても、お腹を満たすに十分なエサ(受注)は来ない。カバは餓死する運命だ。中国は、まさにこの「カバ」と同じ立場に追い込まれている。先々の大きな夢を追わず、堅実な生産規模に戻るべき時期である。



AIIB設立に当たっては、中国の膨大な外貨準備高が大いに寄与したことは疑いない。その外貨準備高が減り続けているのだ。1月末の残高は3兆2300億ドルへ減った。「いつまでもあると思うな親と金」の喩え通り、外貨準備高は減少の一途を辿っている。ついに、この外貨準備高はいつ警戒ラインを割り込むか。この一点に関心が集まる事態になっている。



『ロイター』(2月24日付)は、次のように報じた。



③「中国の外貨準備はなお世界最大規模を誇るが、資本流出に伴い急スピードで減少しており、中国政府は遠くない将来に人民元の切り下げ、あるいは資本統制への逆戻りを強いられるとの見方が一部で浮上している。中国の外貨準備は1月に995億ドル減って3兆2300億ドルとなった。2014年半ばに比べると7620億ドル減と、スイスの国内総生産(GDP)を上回る規模で減っている



中国政府が、遠くない将来に人民元切り下げか、資本規制への逆戻りか、のいずれかを選択する日が来る。そういう見方が浮上していると指摘している。私は、このブログで早くからこの見方を頻繁に取り上げてきた。中国経済の実態が、「泥舟」同然の脆弱な構造である以上、その「Xデー」は必ず来るであろう、という確信を強めているのだ。



④「大半のエコノミストは、中国の外貨準備にはまだ大きな余裕があるとの見方に同意しているが、一部には数年後と言わず数カ月後にはブレーキを踏む必要が出てくるとの見方もある。



外貨準備の減少ペースが加速したのは、人民銀行が海外の投機売りや国内の資本逃避に対処し、人民元買い介入を行ったためだ。外貨準備はなお巨額だが、中国ほどの規模の経済だと、輸入や対外債務の返済に多額の準備が必要になる。その上、外貨準備の内訳が流動性の低い資産であれば、その要請にすぐには答えられない



中国の外貨準備高が急減している裏には、外貨建て債務の繰り上げ返済があるという指摘がある。確かに、年内に1兆ドルの返済がある。そうなると、現在の3兆2300億ドルの外貨準備高は簡単に3兆ドルを割り込む計算だ。「一部に数年後と言わず数カ月後にはブレーキを踏む必要が出てくる」との見方が現実味を帯びてくる。



中国経済について、これまで随分と楽観論が流されてきた。中国政府が、そういうプロガガンダを工作してきた影響もあるが、冷静に中国経済の置かれている状態を読めば、楽観論など出てくるはずもなかったのだ。外貨準備高についても同様である。中国経済が、「張り子の虎」であった実像がはっきりしてきた以上、外貨準備高の3兆ドル割れが数ヶ月以内に実現する可能性は強いと見るほかない。



⑤「ソシエテ・ジェネラルは、国際通貨基金(IMF)の指針では中国にとって安全といえる外貨準備の最少額は2兆8000億ドルで、現在のペースで減少を続ければ間もなく到達するとみる。同社は、『向こう数カ月中に到達すれば、投機的な売りが押し寄せ、人民銀行は降参して人民元レートを市場に委ねるしかなくなるとしている。これに比べ、G20(20カ国・地域)のある中央銀行副総裁はもっと楽天的で、『(安心できる最少額が)どのくらいか分からないが、2兆8000億ドルよりずっと少ないことは確かだと述べた



かつて『人民網』は、IMFから中国の最低限の外貨準備高は1兆5000億ドルあれば十分、という記事を流していた。ソシエテ・ジェネラルは、IMFが2兆8000億ドルを必要最低額とする記述になっている。多分、『人民網』の1兆5000億ドル説は勝手に数字をつくって流したのだろう。2兆8000億ドル説は、外貨債務の返済を含めた数字と見られる。ともかく、中国の外貨準備高は「見せ金」で膨らませてきた「マジック」である。そのマジックが、いま剥がされつつあるのだ。こう見ると、「Xデー」は近い。



⑥「人民元売りを公言しているヘッジファンド、オムニのポートフォリオマネジャー、クリス・モリソン氏は、『このゲームは期待と信頼感がすべてだ。市場が底をのぞいたが最後、信頼感は総崩れになる。3兆ドルを下回った時がその分岐点だと私は考えていると話した



為替投機は心理戦である。売り方が相場を崩せると見通せば、一挙にその他大勢の「提灯」がついて、売り方は百万力になって行く。中国の外貨準備高の底が見えた瞬間、そこで勝負は決まるのだ。その場合、中国政府の立場はどうなるか。メンツと「大言壮語」(ほら吹き)で世界を煙に巻いてきた中国政府である。一大「為替決戦」に入る前に、自主的な方向転換が、恥をさらさずに収拾できると思えるのだ。



(2016年2月28日)



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1 ■中国

中国は政治的には江戸時代日本の幕藩体制。ただし各藩それぞれが出島を持って世界貿易を行っている国ですね。G20で中国中央政府は元安金融操作をせず財政出動で景気回復させると大見得を切ったが、外貨準備高を3兆ドル以上保持するかどうか世界中が固唾を呑んで中央政府を見守っている。
日本もマイナス金利は効果がないなどと非難されているが、金融当局は強い意志を示さないと世界中から舐められる。ここは銀行が何と言おうとも、場合によっては金利マイナス0.5%くらいにする覚悟が必要だ。そうなると銀行は日本国債を止めて米国債を買うようになるかも知れないが。

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