2016-01-16 04:31:09

中国、「原発輸出」技術に自信なく日本へ「支援要請」する

テーマ:ブログ


        エコノミック・ショート・ショート



中国が突如、原発輸出国として名乗りを上げてきた。昨年10月下旬、習近平国家主席が訪英した際、原発輸出契約をとりまとめて一躍、脚光を浴びた。先進国の英国へ原発輸出するとは想像をできなかった。これだけを見ると、中国の原発技術はかなり高度のものと考えがちだが、実はそうでなかった。



この派手な英国との原発商談を成功させたものの、技術的な自信がなくて昨年11月、日本側へ「SOS」を打ってきた。これを聞いて「二度ビックリ」である。さすがは、「大言壮語」(ほら吹き)の大国である。技術的な自信がないにも関わらず、胸を叩いて「中国へお任せください」と言う度胸は世界一である。要するに、ハッタリを掛ける点では「ウルトラC」である。



『ブルームバーグ』(2015年10月23日付)は、英国への原発輸出について次のように伝えていた。



①「英中首脳会談に合わせ発表された中国による英原子力発電所プロジェクトへの60億ポンド(約1兆1100億円)規模の投資は、中国の原子力技術を世界にアピールするものとなる。中国原発大手、中国広核集団(CGN)は、英国で最も高額な原発建設計画を主導するフランス電力(EDF)のヒンクリーポイント・プロジェクトに出資する。また合意の一部で、南部のブランドウェルに計画されている発電量100万キロワットの原子力プラント建設では、中国製の原発が建設される可能性が高まった(注:その後正式決定)」。



中国原発大手、中国広核集団(CGN)は、英国で最も高額な原発建設計画を主導するフランス電力(EDF)のヒンクリーポイント・プロジェクトに出資する。同時に、英国南部で計画の原発では、中国製の原発が建設されるのだ。英国が中国自主開発の第三世代原発・華龍1号(HPR1000)の建設に合意したことは世界を驚かせた。第三世代原発技術とは、大規模な放射性物質放出事故発生確率において、第二世代原発技術よりも10分の1以下になるものを指す。それを、中国が独力で成し遂げたと言うのだから世界が驚くのも無理はない。



②「UOBケイ・ヒアンのアナリスト、シ・ヤン氏(上海在勤)は、『英国のプロジェクトにより、中国の原発建設会社はワールドクラスのブランドと認識され、世界市場に彼らの原発技術を売り込みやすくなる』と分析する。李克強首相は6月、外国への原発の輸出で成功するには、原発設備が実際にうまく稼働することの証明が必要だとの認識を示している。中国英字紙『チャイナ・デーリー』は同月、中国政府は2020年までに国産の第3世代原子炉を最大で8基輸出する計画だと報じていた」。



当の英国では、この中国製原発をすんなりと受け入れるか疑問である。やかましく議論されている。



『毎日新聞』(12月30日付)は、次のように伝えている。



③「中国製原発を受け入れる英国でも、『中国に原発建設を許可したのは愚の骨頂だ(英ガーディアン紙)と異論が広がっている。中国製原子炉を採用するのはあくまで原子力規制当局の審査をクリアした場合に限られる(英王立防衛安全保障研究所のスクワーク研究員)といった冷ややかな見方も多く、審査次第で中国政府の意向通りにならない可能性も十分にある



英国ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンエネルギー研究所上席研究員、ポール・ドーフマン氏 は、次のように中国製原発の問題点を指摘している。



中国の原発の安全性、透明性に対する国際的評価は低い。英国の規制当局は2016年から中国製原子炉の審査手続きに入る予定だが、最低でも4年かかる上に、クリアできるかどうかは不透明だ。さらに中国については、英国に対するサイバー攻撃の疑いが長年指摘されており、安全保障の観点からも多くの懸念が持たれている」(『毎日新聞』12月30日付)。



ここでの指摘は、想像以上に厳しい内容だ。中国という国家自体への信用が低くて、安全保障の観点からサイバー攻撃に晒されると危惧している。もう一つ、2016年から最低でも4年かかる技術審査を必要としている。実は昨年11中国原発メーカーが日本企業へ技術協力の要請していたのだ。中国側の苦しい技術的隘路の現実垣間見せてい。前記の毎日新聞は、次のように報じた。



「15年11、中国大手原発メーカー2社のトップ、中国核工業集団の銭智民社長と国家電力投資集団の王炳華会長が揃って訪日。『海外での原発建設に力を貸してほしい。2人は日本の大手電機メーカーに原発輸出での協力を打診していた。核工業集団の銭社長は電機大手の日立製作所を訪問、原発輸出時に不可欠な地盤調査から建設資材の調達、建設工程や保守点検まで広範にわたる分野で協力を求めた。複数の関係者によると銭社長は中国政府が原発輸出を加速させる中、輸出先での安全審査への対応が遅れることを以前から懸念していたという。電力投資集団の王会長は電力大手Jパワー(電源開発)と日立のほか、東芝も訪問。銭社長と同様に原発輸出への技術面での協力を打診した」。



日立と東芝は世界的な原発メーカーである。いずれも米国の原発メーカーを傘下におさめている。この実績を背景にした日本企業へ参加の打診をしてきたものだ。本来ならば、そうした下準備をすべて終えてから、海外への商談をするのがビジネス慣行である。話しはあべこべで、受注してから大慌てで技術的な弱点をカバーする。中国商法の「危うさ」はいかんともし難い。「デタラメ」というか、形容詞も浮かばないのだ。



この動きを察知した日本政府の対応も早かった。まんまと中国へ技術流出しかねない瀬戸際である。粉飾会計で問題を起こした東芝については、次のような対応策を検討している。



官民ファンドの産業革新機構と経済産業省は経営再建を進める東芝の事業再編を支援する。 革新機構は東芝などと具体的な支援策の協議に入った。16年3月までに中身を詰める。原発事業の再編も視野に入れている。東芝は子会社の米ウエスチングハウス(WH)社を通じ、加圧水型軽水炉(PWR)、本体で沸騰水型軽水炉(BWR)を手掛けている。世界的に主流を占めるPWRに経営資源を集中し、事故を起こした東京電力福島第1原発と同型のBWRは他社との提携を模索している。革新機構を所管する経産省は原子炉技術の国外流出を防ぐため、国内の同業他社との連携が望ましいと考えている」(『日本経済新聞』12月31日付)。



中国は、日本からすでに新幹線技術を掠め取っている。次は、原発技術を狙っているのだ。二度の失敗は許されない。断固、技術の漏洩は阻止しなければならない。あたかも、自国だけで生み出した技術のごとく言いふらす。そのマナーの悪さにも辟易するのだ。中国は、「謙虚さ」という言葉と無縁な存在である。



④「原発輸出で存在感を高める中国だが、実際に原子炉をしっかり制御できるかは不透明だ。特に原発運転に関しては人材不足の指摘が少なくない。中国では原子力関連の学科を持つ大学が65大学あり、学生数は1万人を超える。中国国内で建設中の27基がすべて稼働すれば間違いなく経験のある人材の不足は深刻化するとみられる。中国の政権トップ主導で進む売り込み攻勢には、輸出の担い手、原発メーカー首脳ですら不安を募らせている



大量原発の同時操業とは、極めて危険な話しである。経験の蓄積がないままに、多数の原発が同時に稼働することのリスクは計り知れない。習近平氏は、そうしたことにはお構いなく、「見栄」で原発大国を狙っているに違いない。唐突に見える中国原発メーカーから日本メーカーへの協力打診には中国が直面する技術基盤の脆弱性を表している。



お願い:拙著『韓国経済 阿鼻叫喚 2016年の衝撃
』(アイバス出版 定価・税込み1512円)が発売されました。Amazonで購入可能です。前著『中国経済まっさかさま』に引き続き、ご支援よろしくお願い申し上げます。


(2016年1月16日)



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コメント

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4 ■無題

>日立と東芝は世界的な原発メーカーである。いずれも米国の原発メーカーを傘下におさめている。

東芝はウェスティングハウス社を子会社にしていますが、日立が米国の原発メーカーを傘下におさめているというのは聞いたことがありません。

>本来ならば、そうした下準備をすべて終えてから、海外への商談をするのがビジネス慣行である。話しはあべこべで、受注してから大慌てで技術的な弱点をカバーする。

こんなこと日本でも原子力業界ではよくある話です。仕事を受注さえすればあとはどうにでもなると。

3 ■なるほど( ̄□ ̄;)!!

そんな背景があったのですね、チョンに技術を盗まれた東芝が又どじを踏まなければ良いが

2 ■技術流失防止法の整備を

技術協力はすぐに技術流失になるでしょう。日立、東芝は自分たちが協力すれば自分たちの売り込み先が全て中国になり販路を失いすぐに原子力部門は赤字に陥ります。「安い」を売り込みの目玉にされるとお金のない国は飛びつくからです。
でも人の良い日本企業は部分的でも指導するのは目に見えます。競争相手に技術を教えたらどうなるか火を見るより明らかです。国家として先端技術はスパイ防止、技術流失を防止する法律を作るべきです。
「技術流失防止法」を作り企業を縛らないと国が傾きます。

1 ■東芝の原子力技術心配してました

はじめまして。毎日欠かさず拝読させていただいてます。
東芝については、韓国が触手をのばしていると心配の声があがってたので、その後どうなったのか心配してましたが、中国もまた下手に出ながら、原子力技術を狙っていたんですね!政府が素早く対応に動いたんですか、よかったです!!!もう絶対日本は、同じ轍を踏んではいけない、油断してはいけないと思います。

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