いつの間にか、『花に染む』が完結していた(最終巻8巻が去年の11月に出ていた)。
すっかり、見失っていた。
『駅から5分』から、のべ10年だと……。
最初は『駅から5分』のスピンオフみたいな感じで、やたら暗い漫画だと思っていたけれど、そして弓道あまり知らないし、さらに言えばくらもちふさこは『天然コケッコー』で初めてはまった年季の浅いファンなので、こんなにこの漫画にはまるとは思いもしなかった(のわりには、最後のほうは単行本の発売に追いついていなかったけど)。
最終巻読んで、もう一回読んで、7巻読み直してからもう一度読んで、改めて1巻から通して読み直し、ついでに『駅から5分』も読み直し、心あらたに1巻からまた読みましたよ。どんだけ好きなんだ。
主人公は、花乃、でいいんだろうか。背が高くて、力が強くて、めったに笑わない(感情を表に出さない)。およそ少女漫画のヒロイン像とはほど遠いキャラ設定。陽大への想いも、恋、に近いとは認識しているけれど、どこかで脇役に徹しようとしている。
7巻の、陽大とローラ姫の仲が決定的? と思われたあとの
陽大の側にいたらまずいかな?陽大の側にいるだけでいいんだけど
水野には迷惑だろうけど邪魔をするわけじゃないふたりごと守る
という花乃の台詞には泣いた。
それにしても暗い漫画だった。その暗さは、陽大と雛の関係のねじれ具合に一番影を落としているんだけど、最終巻では少しだけそこに光が当たったのは救い。
それにしてもクライマックスが見事だった。花乃が初めて、感情を剥き出しにして走っていく姿に、そしてそれを見送る雛とローラ、感動的な恋愛成就の瞬間、なはずなのに、花乃は陽大の腕のなかで言うのだ。
うっ う うれしい
うれしい… けどっ
くやしい…っ
私が ずっと追い求めていた 陽大になってた…っ
彼女が…
負けたって思った……
なんでしょうね。ここまで純粋だともう脱帽するしかないですね。
はー。いいもん見させてもらった、という気分です。
一方、『駅から5分』は、え? という感じで無理やり終わらせられましたが、さすがに風呂敷を広げ過ぎたんでしょうか。花染の住人たちのドラマを、まだまだ見てみたい気がするけど、それはもうないのかな。
久しぶりにはまった漫画が完結したので(最近、続けて買っている単行本も減ったなあ)、ちょっと自分の備忘録的に書いておきました。読んでないひとにはどんな漫画か想像もつかないでしょうが、けっこうしんどい漫画です。そんなにおすすめはしません(笑)。