松山市はなみずき通り近くの漢方専門薬局・針灸院 春日漢方

体質に合った漢方薬・針灸治療 更年期障害・生理痛・頭痛・めまい・冷え性・のぼせ・不眠症・イライラ・気うつ、肩こり・腰痛・五十肩に穏やかな効き目

春日漢方 薬局・針灸院


松山の南、はなみずき通り近くの

漢方専門薬局・針灸院です。

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漢方専門の薬局・針灸院を開業して、

もう20年になります。その間に積んだ

知識と経験から、東洋医学ならではの

健康情報をおつたえしましょう。


松山市古川北3-13-22  TEL 089-957-0686


   メール takaisyunsuke@yahoo.co.jp



   臨時休診のお知らせ


    10月   8(

        

    14() 15(


   ご迷惑をおかけしますが、  

   よろしくお願い致します。


 

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  症状のウソ / ホント「汗] その1



 患者さんの見た目の症状を、額面どおりに受け取らないほうがよい場合があります。これは別に、患者さんは症状を大げさに表現しがちだとか、自分に都合の悪いことは言わないから注意せよ、という意味ではありません。




 漢方的な診断の基本の中の基本は、患者さんの訴える症状が「冷え」によって起こっているのか、「熱」によるものなのかを仕分けることにあります。「冷え」によるものなら薬や針灸で温めて治す。「熱」によるのなら冷やして治す。これが基本です。

 「冷え」と「熱」なら、誰でも分かりそうですが、人間の身体は複雑なうえに、病気はかならず心が関係してくるから、なお面倒。
 「冷え」と「熱」が、<上と下>、<表と裏>、<表面と内部>、<五臓と六腑>などさまざまなレベルで絡まっているのを、仕分けしないといけません。

 今回は、「汗」にかんする症例を検討してみます。「汗」をかくのは「暑い」から。これはあたりまえのことですが、なかに「冷や汗」というのがありますね。ふつうに「冷や汗をかいた」といえば、精神的に追い詰められたとか、危ない目にあったとかいうときの「比喩的」な表現です。たしかにそういう時には、実際に脇の下にじっとり汗をかいています。

 しかし、精神的に追い詰められなくとも、病気の症状として「冷や汗」をかいている場合があります。「暑く」ないのに「汗」を書いているのは、やはり異常なことが起こっているわけですから、かなり注意してかからないといけません。こういう患者さんに出くわすと、診ているこちらの方が、「冷や汗」をかきかき考えないといけません。


      女性 60歳  パニック障害  更年期障害

 閉経の前から、更年期のいろんな症状に悩まされて、ながく漢方薬を服用されていました。そのころは「柴胡剤」を中心にして、いろんな症状に対処してきました。
 数年前から、パニック障害の発作がたまに起こるようになりました。なんとも言えない不安・不快な気分になると、手足が冷たくなって全身で動悸がして、何度も下痢や嘔吐をします。それで発作のピークは過ぎますが、ひどい頭重・気ウツ・倦怠感・食欲不振・口の苦み・頻尿などの症状が1週間ほど続きます。

 この発作が起こりそうになると、「牛黄(ごおう)」のカプセルがいちばん効くそうですが、それでも抑えきれない場合もあります。この方の場合、お医者さんの精神安定剤などは、この発作には効かないそうです。



 更年期のころから、春先と秋口に体調が不安定になって、お薬を合わせるのに苦労しました。今回も立秋を過ぎてから体調が悪く、涼しくなりかかると発作が来ました。
 何度か下痢をして不安感のピークは過ぎましたが、身の置き所がないようにしんどい。ふしぶしが痛むし、あちこちで動悸がします。小便が近くて量も出ています。口はカラカラに渇きますが、水を飲む気はしません。水も飲まないのだから、何も食べていません。
 じっとり汗が出ています。本人は気持ちの悪い「毛穴に張り付いたような」汗だと言います。
 暑いか寒いかを尋ねると、「汗をかいとるんじゃけん、暑いんよ」という返事。

 漢方の診断の「基本のキ」にしたがって、この人のいまの状態が「熱」なのか「冷え」なのか考えます。
 まず本人は「暑い」といっています。汗もかいています。でもそのかき方がちょっと変。べったり、じっとり肌に張り付くような汗です。
 
 つぎに考えるのは、水に関することです。何度も下痢をしたのに、小便もよく出ている。そのうえ汗もかいていて、口は渇いているのに、水を飲む気がしない。これはかなり変な状態です。下痢をして体内の水分を失ったのに、小便も汗もまだ出ている。
 これは身体の内部がかなり冷えて弱って、体内に水分を保っておく力が無くなった状態。あるいは、体内に余計な水分を抱えておくより、それを出してしまって血液の濃度を上げて、危機を乗り切ろうとしているとも言えます。

 世間に流通している「医学常識」は、こういう場合は「水分補給」というでしょう。しかしこの方の状態なら、水を飲んでも胃腸で吸収されず、下痢するだけで、「体内」に留まりません。静脈に点滴をすれば別ですが。

 漢方の古い医学書には、こういう状態になったら危ないよ、という症状が出てきます。汗に関しては、「汗が油の如し」「汗が珠を連ねたよう」「汗で髪が潤う」などとあります。
 健康的な汗は、体表面に「陽気」が十分に巡って、陽気の発散とともにスッキリと出ていくものです。それと違って、「油のような汗」は陽気不足で皮膚から発散できずに、張り付いています。




 もう一つ、これは危ないという状態をあげると「煩躁(はんそう)」があります。煩は苦しい。躁は手足をバタバタ動かすこと。煩躁は苦しがって手足をバタバタすることです。この方の症状の、身の置き所が無いほどしんどい、というのも煩躁に当たります。
 煩躁は、身体の内部に熱気が充満すると起こりますが、逆に体内が冷え切っても同じ症状が起こります。漢方では腎臓の深い所に、自動車でいえばエンジンのプラグ、ボイラーなら種火のような、人体の熱気の根元があると考えます。これを「元陽」といいます。全身が冷えきってしまうと、寒さに「元陽」が追い出されて、煩躁が起こります。
 「元陽」が尽きてしまえば,生命も危ないということです。

 この時には、見た目にも頬がポッと赤くなったり、身体が熱く感じたりします。しかし病気の本態はあくまで「冷え」です。元陽が出ていくときに、「冷や汗」のような気持ちの悪い汗ををかきます。

 漢方の古い医学書『傷寒論』には、身体が冷え切って煩躁するときの処方が設けられています。「茯苓四逆湯(ぶくりょうしぎゃくとう)」。激しい水下しや嘔吐から始まって、手足が冷え切って、身悶えするように苦しがるときの処方です。

 それがときに、表面的には顔が赤く、汗をかいて熱がったり、口が渇いて、熱症状のように見えることがあります。しかし昔の名医は、たとえ熱がっても布団から出てこない、口は渇いても冷水を嫌がるのを見逃すなと書いています。
 こういう表面は熱症状、本態は冷えているのを『傷寒論』では「真寒仮熱」といっています。

 茯苓四逆湯は、乾姜と附子で腎臓の元陽と胃の陽気を強く補います。そこに甘草と朝鮮人参で胃腸に体液の元を作り、多目の茯苓で体液を血液中に送り込みます。
 附子は身体を温める作用が強力なので、用心して0.3グラムに小分けして、初日は0.3グラム。逆上せたり汗をかいたりしなければ、次の日は倍にするようにして、3日分をお渡ししました。

 この処方を飲んで、身悶えするようなしんどさが無くなって、少し食欲が出てきました。あちこちの動悸や痛みも減りました。下痢は1日、1回に。小便の回数も減りました。
 朝の気ウツや頭の痛みや重さは、以前のまま続いています。

 ただ、附子を0.6グラム入れると、顔が熱くて頭から汗が多いというので、この方は附子はあまり合わない体質かと思い、続いての1週間分は、附子を除いてお渡ししました。
 こうしてパニック障害の発作も、今回は比較的楽にやりすごせました。

 見た目と、内実が食い違っている症例を、とくに汗に注意して考えてみました。


   イラストは、Beth van Hoesen のカレンダーから。
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  スチューダー讃 その後




 上の写真は、スチューダー D730 というスイス製のCDプレーヤー。定価は90万くらいしたという高級機ですが、4月に10万円で譲っていただいたが、なにしろ20年も前の機械で、1か月ほどで故障。 重要な部品が市場にないので、別のCDプレーヤーの中古を買ったり、なんだかんだでさらに10数万円をかけて、8月なかばに修理から帰ってきました。

 しかし帰ってきてみると、故障前とは音が違う。なんだか小じんまりした感じ。故障前には、それが鳴っているだけで、部屋の中に幸せな空気が充満している感じがしていたのに。
 部品を大小、20個ほど入れ替えたので、元とおんなじとはならないのですが、これなら普通のCDプレーヤーになってしまいました。しばらく新しい部品に通電していけば、そのうち元に近づくかと期待はしていましたが。




 それが昨日、ある方が引っ越しでオーディオ・ラックがいらなくなったので、ご入用ならどうぞ、と。本格的なオーディオ用なので、大きいし、なにさま重たいとのこと。
 大・小の2個あって、写真の手前が高さ50センチ、奥が40センチ。横幅・奥行きはともに56センチずつあります。



 この写真でわかるでしょうか? 天板・底板・側板、どれも厚みが5センチあります。
 安めの家具なら、1センチの厚みの板でも、裏表に化粧板を貼って、内部は空洞です。1センチの厚みの板が中まで詰まっていたら、それは高級品だし、動かそうとするとけっこう重たくなります。
 それがこの5センチの板は、無垢の板ではありませんが、集成材ー木材チップを糊で押し固めた板で、中までぎっちり詰まっています。オーディオ的には、外からの振動を嫌いますから、内部の空洞や、無垢の板はだめで、集成材なんでしょう。スピーカーの外箱も集成材と聞いたことがあります。




 8月は、ずーっと35℃の日が続いていましたが、この土曜日から涼しくなって、日曜日のお昼にオーディオ・ラックを取りにいきました。
 涼しかったからいいようなものの、厚さ5センチのせいで、大きい方が40数キロ、小さい方でも30数キロありました。車の後ろから、まず玄関に広げたぼろいバスタオルの上に置くと、フローリングの床の上を、バスタオルを引っ張って、部屋に移動。
 アンプやスピーカー、テレビやDVDの配線を一応はずして、新しいラックに乗せて配線をつなぎ直すまで、3時間ちかくかかりました。

 つなぎ直して、スチューダーから音を出してみると、アーラ不思議、故障前の音の感じにけっこう近づいています。喜んでいろいろ試しに聞いてみると、CDによって、かなり良くなっているものもあれば、そうでもないものもあり。故障前がなんでもうまく聞かせてくれたのに、ここはそうはいかないようです。
 それにしても、合計70数キロのオーディオラックは、それなりの働きをしてくれました。

 しかし考えますに、いくら音が良いからといっても、今となってはこんな重量級のオーディオラックは、だれも買わないでしょう。こんな重厚長大の商品が作られて、売られていたのは、いつの時代のことやら。オーディオファンにとっては黄金時代というべきでしょう。
 いまは軽薄短小の時代ですから、炭素繊維だとかチタン合金なんかで、もっと軽快なものが作られているんじゃないでしょうか。
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   大黄の使い方 3例


 「大黄(だいおう)」という生薬があります。生薬のなかでもかなりポピュラーなものでしょう。何しろ「タケダの漢方便秘薬」は、この大黄と甘草とでできていて、瓶のラベルには大黄の根や葉の絵が書いてあります。
 だから、大黄は便秘薬なんですねといわれると、普通の薬屋さんはその通りと答えるでしょうが、われら漢方屋はちょっと複雑な表情で、まあ、そうなんですけどとなります。
 大黄をじっさいに使った例をあげて、使い方を考えてみます。





     1、50歳、女性 痔核

 1週間前から、肛門の横に大豆大のふくらみができて気にしていたら、3日前から痛くなってきて、激痛ではないが、排便時に辛い。長く座っているのもつらい。 出血はない。

 痔核ができた経緯を尋ねると、2週間前から冷房のせいか、咽喉が痛み、微熱や咳が続いていた。病院で薬をもらって飲んだら、風邪は治らないけど便秘気味になってきた。そのせいではなかろうかと。

 便秘のほかに、下腹が張って苦しい。お腹が張るので、あまり美味しくはないが食べてはいる。それ以外には小便や睡眠などは正常。夏だから咽喉は乾いてよく飲んでいる。

 咽喉の痛みや微熱に、病院では抗生物質が出たでしょう。そのせいで腸内の細菌はダメージを受けて、胃腸の調子が取れなくなりました。腸内のバランスが崩れて便秘になるし、肛門や直腸の筋肉が緊張して下腹が張るし、肛門付近の血流が悪くなれば、肛門の外にしこりが出来ます。
 
 しかし痔核は出来たばかりで、出血もないし、泣くほどの激痛もない。この病気としては軽い状態です。
 痔核の前から風邪の症状がありますがそれは無視して、後から起こった急性症を先に治して、その後、風邪の相手をします。

 『傷寒論』の真ん中あたりに「太陰病編」というのがあります。風邪を引いて始めは身体の表面にあった病気が、内部の胃腸に入ったのが「太陰病」です。
 
 その太陰病編には、
 「お腹が張って、時に痛むのが太陰病だ。桂枝加芍薬湯がよい。さらに大実痛のものは桂枝加大黄湯がよい。」とあります。
 この文章では、ときどき痛むのは桂枝加芍薬湯。それなら「大実痛」とは、ずーっと痛む、激しく痛む、すごくお腹が張って痛む、と解釈します。そういう場合に、桂枝加芍薬湯に大黄を加えた桂枝加大黄湯を使います。

 この方の痔核も、桂枝加芍薬湯でも良かったかもしれませんが、痛みが増してきた、便秘気味、口が渇くという条件から、胃腸=この場合は直腸あたりの熱気が強いと考えて、大黄を1グラム加えました。

 煎じ薬の袋とは別に、大黄1グラムを小分けして、最初の日は、その半量、0.5グラムを加えて煎じます。それでひどく下痢したりしなければ、次の日から1グラムを加えるようにお願いしました。
 このように小分けしてお渡しす生薬は、ほかには劇薬指定の「附子=トリカブト」くらいです。

 3日後にお電話があって、1日目で痔の痛みは無くなって、痔核も軟らかくなった。便通も良くなった、と。
 その後、お上げした1週間分を服用して、痔核も無くなって便通が良くなった。風邪っぽいのも終わったようだ、ということでした。





      2、60歳 男性   便秘

 思春期のころは、過敏性大腸で気分的なことで下痢に悩みました。当時は自分で漢方を研究して、「小建中湯」が自分に合うことを見つけて乗り切れたそうです。
 ちなみに「小建中湯」は、さきほど出てきた桂枝加芍薬湯に甘草と漢方用の飴を加えたもの。風邪がお腹にはいって疲れも合わさってきた場合の処方です。

 社会人になってからは、逆に便秘に苦しむことになります。医学の知識があるので、各種の便秘薬を試してきました。
 その中で、一般の方もよく知っている「センナ」と「大黄」には同じような成分が含まれていて、便秘によく使われます。よく使われた方は経験されたでしょうが、初めは少量でお通じがついていたのに、しだいに量を増やさないと効かなくなってきます。量を増やせば腹痛や下痢、食欲不振などの副作用が出てきます。

 この方にお勧めしたのは「麻子仁丸(ましにんがん)」という処方です。この方も「センナ」や「大黄」で同じ経験をしているので、麻子仁丸にも大黄が入っていると聞くと警戒されました。
 麻子仁丸は『金匵要略』に出てきます。胃熱が旺盛=つまり食欲旺盛で、小便が出過ぎて、大便が堅いときに使う、と書いてあります。
 漢方屋的には、元気なお年寄りで、食欲があって、トイレの近い人の便秘薬としてよく効いてくれます。
 メーカー品の小粒の丸薬があって、服用量を患者さんに加減してもらえば、ちょうど良いお通じが得られます。

 この患者さんには、大黄が入っているが、それ以外の麻子仁と杏仁は、油分で腸内を潤して滑りを良くして、大黄の副作用のブレーキ役になります。
 また芍薬・枳実・厚朴は、大腸の動きを活発にさせて大黄の補助役です。
 こういう組み合わせで、大黄の単独よりも無理なくお通じをつけられます。お年寄りの便秘薬の定番ですから、安心して長期に使えます、といって納得してもらいました。

 この方は元気に仕事をして、よく運動もして、よく食べて飲んでという生活です。麻子仁丸を100グラムお渡しして、まず1日、3回。1回20粒=2グラム、という量で飲んでもらいました。メーカーの効能書きには、1回30粒、1日3回まで使えるようには書いてあります。

 この方は神経質に便通にこだわる所があって、服用量ははじめの20粒X3回から、しだいに30粒X3回でも物足りないような感じになってきました。

 メーカーの既定の最大量まで使わないといけないというのは、麻子仁丸だけではどこか力不足なのでしょう。もう少し下剤作用の強めのものを合わせることにしました。

 同じメーカーに「桃核承気丸(とうかくじょうきがん)」という丸薬があります。こちらは大黄のほかに、「芒硝」=硫酸ナトリウムが下剤として入っています。
 硫酸ナトリウムやマグネシウムは、「塩類下剤」として普通に使われる便秘薬です。大黄+芒硝で、下剤的な働きはより強くなります。

 この方には麻子仁丸20粒+桃核承気丸10粒を、1日3回服用してもらって、以前よりすっきりしたお通じがついて満足してもらいました。
 この組み合わせが本当に体調に会えば、服用量も減っていくのですが、まだそこまではいってません。





      3、75歳  男性   便秘と夜間尿

 3年前に軽いくも膜下出血でしばらく入院してから、何かと体調がとれません。
 いつも身体が火照ってしんどい。立ち眩みがする。手に力が入らない。すぐに咳がでる。咽喉が乾いて水を大量に飲んでいる。食べ物の味が分かりにくい。眠りが浅く、何度も覚める、など。

 なかでも一番困っているのは、便秘と夜間の頻尿です。しかし、お話をうかがって、これが便秘といえるのか考え込みました。
 たしかに硬い便が、数日おきに出ています。便秘とはそれが出にくいので苦労する状態です。
 しかし、この方の場合は、大便が出そうな感じが分かりにくい。硬い便が出たあと、残りの便が肛門に残っていたりしても自分で分からない。
 肛門がバカになっちゃったのかね? という言い方をされます。

 それと夜間の頻尿です。1時間おきにトイレにおきて、その度に昼間と同じ量が出ているようです。
 この方の大便の状態と、小便の状態は同じ理屈で起こっているような気がしました。

 健康な人は、夜になれば小便を濃縮して、朝まで出ないようになっています。昼と夜の尿量をコントロールしているのが、漢方では腎臓だとされています。
 腎臓には、下半身、足腰を引き締めてしっかりさせる力、身体を引き締めて体液を体内に保っておく力が備わっています。
 お年寄りになるとこの腎臓の力が弱って、夜も昼と同じように小便が出てしまいます。
 
 肛門や直腸は消化管の末端ですから、漢方的にも胃腸がコントロールしている器官です。しかしこの人の場合は、腎臓の力が落ちたために、肛門や直腸の締まりがなくなったために起こった症状のように思いました。

 またもう一つの見方があります。漢方では肛門のことを魄門(はくもん)といいます。「この世に魂魄とどまりてー」という時の、魂は肝臓、魄は肺臓にこもっている精気です。だから肺の調子が肛門に影響します。

 以上の考えから、まず腎臓をしっかりさせるために六味地黄丸を選びました。そこに肺を潤す麦門冬、肺の熱気を引き締める五味子を加えた味麦六味丸としました。
 そこに大便を軟らかくして出やすくするために、大黄を0.5グラム、足しました。この処方でまずお通じが軟らかくなって、2日に1度ずつスムーズに排便できるようになりました。
 10日ほどすると、夜の排尿が4,5回から2,3回に減ってきたので、よく眠れるようになって喜ばれました。肺を潤して熱を冷ます五味子・麦門冬を加えたので、夜間の空咳も減りました。

 お年をいってからの大病なので、本調子に戻るのは何年もかかりますが、この処方で大便・小便・睡眠・咳など基本的な生活の質が保てれば、健康的な老後といえるでしょう。




 タケダの漢方便秘薬などから、大黄=便秘薬という世間の常識があります。しかし大黄が効くのは、胃の熱が多すぎておこる便秘です。逆に胃が冷えても、また胃腸に潤いが無くなっても、あるいは血が不足しても便秘になります。そういうわけで、我ら漢方屋は便秘に大黄剤を使うのに慎重になります。
 今回は大黄を使って良かった例を上げました。

 文中の写真は、犬塚勉という人の画集から撮ったものです。犬塚は東京都の美術教師でした。絵のほかに登山を何より愛していました。あるとき、湿原に入ると、そこにある全ての草・樹木・石が目に飛び込んできて、見たままの全てを画面に描きこまないといけなくなりました。この写真では分かりませんが、小石や草の一つづつが全部描いてあります。
 1988年、38歳で好きな谷川岳で、遭難死。
 これは、2009年に家族やかつての仲間が作った画集です。
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