松山市はなみずき通り近くの漢方専門薬局・針灸院 春日漢方

体質に合った漢方薬・針灸治療 更年期障害・生理痛・頭痛・めまい・冷え性・のぼせ・不眠症・イライラ・気うつ、肩こり・腰痛・五十肩に穏やかな効き目

春日漢方 薬局・針灸院


松山の南、はなみずき通り近くの

漢方専門薬局・針灸院です。

syunsukeのブログ-正面     syunsukeのブログ-入口
syunsukeのブログ-調剤室     syunsukeのブログ-治療室


漢方専門の薬局・針灸院を開業して、

もう20年になります。その間に積んだ

知識と経験から、東洋医学ならではの

健康情報をおつたえしましょう。


松山市古川北3-13-22  TEL 089-957-0686


   メール takaisyunsuke@yahoo.co.jp



  夏休みのお知らせ


 8月12(金)~15(月) 

 ご迷惑をおかけしますが


 よろしくお願い致します。






 
NEW !
テーマ:
   心臓が痛い

 患者さんから「心臓が痛い」と相談されたら、ほとんどの場合は「心臓」は関係ありません。胸の奥には心臓が入っているのはよく知っているので、胸がいつもとと違って気がかりなほど痛むと、「心臓が痛い」となるでしょう。
 
 昔の人も「胸が痛い」という症状の中に、重大な結果を招くケースが含まれているのは分かっていました。
 たとえば『霊枢』という2千年前の針灸関係の書物の「厥病編 第24」にこういう記事があります。そこには頭痛と心痛の種類と治療法がまとめてありますが、頭痛も心痛も、タイプが分類ができて治療法のある<厥頭痛・厥心痛>と、強烈な痛みでその日のうちに死に至る<真頭痛・真心痛>がある、となっています。
 真頭痛は今なら脳梗塞や脳出血が、真心痛は心筋梗塞が当てはまるでしょう。
 漢方や針灸で何とかなるのは、<厥頭痛・厥心痛>の範囲になります。




 また『金匵要略』という病名別の漢方薬の書物には、「胸痺心痛短気病」の項目があります。胸痺は胸のなかが詰まって痛む病気。短気は気が短いことではなくて、息切れのことです。
 ここには胸の奥、心臓? が冷えて血の流れが滞って生じる胸の痛みが扱われています。その症状は、胸が痛くて横になってられない、心痛が背に徹する、背痛が心に徹する、というけっこう強烈なものです。
 治療には、心臓?を温める薤白(がいはく)=ラッキョウと、胸の奥の血を巡らせる栝呂実(かろじつ)=キカラスウリの実が、よく使われています。これ以外にも、内臓の冷えを除くことが治療の要点になっています。
 (ここまで2か所の心臓に?、をつけましたが、解剖学的な心臓ではなくて、漢方医学の理論上の心臓という意味です。)


 今回は「胸が痛い」という症状の経験例を2つ、比較して考えてみます。


     1、60歳 女性

 更年期障害で、さまざまな症状を順繰りに訴えられました。いつもあるのは頭痛、頭重、口の渇き、苦さ、食味の悪さ、便秘、動悸、気鬱、不眠など。これらが季節の変わり目と家庭のトラブルによって、程度を変えて交代で現れていました。

 ある時期、胸の奥が詰まるように痛いということがありました。痛むのは夜中の2時ころ、それで目が覚める。同時にイヤーな気分にもなる。お茶を飲んだりして1時間ほどするとまた眠れる。
 心配性だからすぐに内科で診てもらったが、心電図など異常はなかった。

 この方には以前から「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」に何か足してなんとか体調に会わせてきました。さて今度は何を足すべきか?

 思い出したのは、『金匵要略』の胸痺病のこと。胸の奥というのは人体の<陰・陽>でいうと陰の最たる場所です。そこが詰まって痛むのは、やはり陰の時間の真夜中。狭心症や喘息の発作が出るのも、真夜中の2時、3時なのだと。そういう時間の発作に、胸痺病の処方は効くといいます。




 薤白と栝呂実の効き目を調べると、薤白=ラッキョウは心臓を温めますが、この方には関係なさそうです。いつも口が渇いて、苦いのは肝臓から胃に熱が多すぎるせいですから、ラッキョウで温める必要はありません。
 栝呂実はキカラスウリの実。少し粘り気のある果肉に油っぽい種と皮が入っていて、饐えたイヤな臭いがします。こういうイヤな臭いのモノは、身体の深部で血やエネルギーを巡らせる働きがあります。
 胸痺病でも、胸の奥が冷えて動きにくくなった血を巡らせて胸の痛みを除きます。

 栝呂実を2.5グラム加えると、夜中の胸の詰まる痛みはだいたい取れてよく眠れるようになりました。
 この方のような多種多彩な訴えを、お医者さんは「不定愁訴」といいます。その名を付けた時点でちゃんと相手しよようという気は無くなっています。でも、漢方的に見てみるとその症状を起こすベースの体調があって、それに合わせた薬の選びようはあるんです。

 ちなみに、キカラスウリではなくてただのカラスウリは、秋になると真っ赤な美しい実をつけます。こちらは生薬では「王瓜」といいますがあまり使われません。下は高島野十郎のカラスウリの絵。美しい実なので日本画の画題になります。その下はカラスウリの花。7月頃咲きます。
 いっぽうキカラスウリのほうは、漢方の古典『素問』に、患者の肌が黄色くても、ミカンのように明るければ大丈夫。キカラスウリのような淀んだ色だと、これは危うい、と生気のない黄色の代表に選ばれています。







     2、 30歳 女性

 以前から、生理の前後におこる頭痛や腹痛、腰痛などに、漢方薬や針灸の治療にこられていた方です。
 血の気が少ないので、生理で血が無くなると体調を崩す、典型的なタイプ。痩せて色白、冷え性。神経はこまやかで、ストレスには強くありません。

 今回は梅雨が明けてから、この数日、心臓が痛む。ずーっと痛いのではなくて、職場にいて夕方から痛くなって、家に帰ったら治って、夜遅めにまた痛くなった。いまもときどきズーンッと痛くなってまた遠ざかる。
 この人の考えた胸が痛くなった理由は、職場のクーラーが梅雨明けてからきつくなったのと、家でもあまりに暑いので冷房をつけないとおられなくなったことかな、と。もともとクーラーは苦手なほうでした。

 念のために生理のことを尋ねると、今回は関係のない時期でした。
 ほかに気になる点を尋ねると、 食欲にはあまり変わりはない。大便はやや緩い目。小便はまあ出ている。ここは問題になる所ですが、この数日は暑いので冷たい麦茶をよく飲んだそうです。

 この方の「心臓が痛い」を聞いてすぐ思いついたのは、さきの「胸痺心痛短気病」のなかに「人参湯」という処方があります。これは本来は胃が冷えて弱って、腹痛や下痢、胃の痞え、食欲不振のための処方です。胃の冷えに乾姜、弱りに朝鮮人参をいれた処方です。胃が冷えると、心臓にはなにも問題がなくても、胸の痛みを起こすことがあります。そういう場合によく効く処方です。
 父方の祖母は、胸の痛いときに熱い白湯を一杯、ゆっくり飲めば治るということを言っていました。狭心症のような激しい痛みにもお白湯が効くとは思いませんが、胸の痛みの一部が胃を温めて取れるのは事実です。

 この方の症状に戻ると、もし人参湯の状態なら、胃は冷えて弱ってるので食欲はなく、冷たい水も飲みたくないはずです。ここがちょっと違っているのが気になります。
 そこで次に脈を診せてもらうと、夏なのに沈んで細く弱くしか打っていません。夏は暑くて、本来は身体の表面に気・血が集まって汗をかいているのが普通です。脈もそれに合わせて表面に浮いて強めに打っているのが健康な状態です。
 それなのに沈んで弱くか細い脈は、クーラーで身体を外から冷やし、冷たい麦茶で中から冷やしたため、胃が冷えて弱って気・血を作れなくなったようです。しかしまだ日が浅いので、食欲や咽喉の渇きはそのまま続いています。もう数日すれば食欲も無くなったでしょう。




 試しに足を触ると夏なのにひんやりしています。
 つぎにお腹を押さえると、上腹部の真ん中からみぞおちにかけて堅めの抵抗があって、押さえて痛みます。これが胃の冷えのために気が痞えている証拠です。
 また胸のちょうど真ん中のツボは軽く押さえてもひどく痛がります。これは胸の陽気と血の不足のための痛みに対応しています。

 この方は針灸治療を希望されていたので、まずお腹の堅く抵抗のある場所に温灸をして温めて陽気を補います。胸の真ん中のツボにも温灸をしましたが、1個では圧痛が取れないので、もう1個するとこんどは圧痛が無くなりました。
 それから手足の大事なツボで、胃腸の陽気と血を増やすように針をしました。それで脈を診ると、底に沈んでいた脈がやや上がってきて、打ち方もしっかりしてきました。
 帰りには少し身体がしゃんとした感じかな、といわれました。

 お土産に、サンプルとして人参湯=理中丸、20粒=2グラムを1日3回、3日分おあげしました。
 生活の注意としては、冷たい飲み物、食べ物はここしばらく控えること。冷房も長くかかるのは宜しくないと言いました。かき氷に冷麺、冷たいビールなど、普通の人には何でもないものが、胃腸の冷える体質の人には、病気の原因となってしまいます。本人がそこが分かってくると冷たいものには注意しますが、子供などは自分で分からずお腹を冷やして熱を出したりします。
 この方も本来は冷え性で、胃腸も弱い方なのでクーラーも苦手なほうだったのに、急に暑くなって身体の調子が取れなかったのでしょう。

      まとめ 

 広島の漢方の名医、故小川新せんせいは、胸や心臓が痛い病気について、胸の冷えによる「胸痺病」が有名だが、実際には胸に熱が詰まって痛む症例のほうがずっと多いのだと言われていました。
 最初の例の方のように、更年期で肝臓や胃の熱気が胸に突き上げてきて、心痛となる場合も多いでしょう。この方には栝呂実を使いましたが、そこに胸の熱気を冷ます「黄連」や「黄柏」などを加えていくことになります。

 胸が冷えて痛む場合に、人参湯はわりと軽症の方に使えます。身体を冷やしたり冷たいものを飲んで、胸が痛む場合には効果があります。
  もう少し重症になって、夜中に胸が強く痛んだり、喘息になったりすれば、薤白+栝呂実の処方になります。
 さらに胸の冷えが強い場合には、強力に内臓を温める「附子」「烏頭」「巴豆」などを含む処方が、「胸痺心痛短気病」編には書いてありますが、じっさいに使うことはほとんどありませんん。


 夏はユリの季節なので、いちばん上から店の前で咲くスカシユリ。去年マイントピア別子で撮ったカノコユリ。カラスウリの実と花の次がアミガサユリ。これは3月に家の隅で咲きます。
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:
   新しいZーライト




 たぶん開業以来、27年も使ってきたテーブルスタンド。自由な位置・角度で照らせるように、2か所の関節が動くので、Z-ライトという商品名もあります。子供のときから目がすぐ疲れるので、スタンドにはうるさく、このタイプのモノを使っていました。

 このスタンドは日立製。これまでに4回、4~5年ごとに蛍光管を買い替えています。しかしこの1年くらい、スイッチを押してからパット点くまでにえらく時間がかかるようになり、アレ、スイッチ押したかなと思うようになっていました。
 それが今週になって、こちらが忘れたころにポチッと点いて、その日の夕方には確かに点かなくなりました。

 それで20数年のお勤めに感謝して、次のスタンドを買うことに。去年、家用に買ったLEDのスタンドが、明るさと色合い(赤っぽいのから青白いのまで)が7段階で変えられるのが良かったので、ネットで注文しました。 






 ツインバードという安物品を主に作っているメーカー。オーブントースターや扇風機などを買ったことがあります。ネット上ではかつての1流メーカーで商品を展開しているのはナショナルだけで、このデザインが武骨で気に入らない。あとはヤザワ、モクリオ、ジェントス、山田照明など知らないメーカーばかり。
 大事なポイントは、机の上に置くタイプじゃなくて、クランプ、机の端にネジで締め付けてとめるるタイプを探しました。そうなると該当するものはわずかになります。
 この商品は、デザイン的にはすっきりしています。ただ色目の調節機能を求めると、さらに選択肢が無くなるので、そこは諦めました。

 写真の上が、いちばん暗い状態。下が明るい状態。写真で見たら分かりませんね。他にLED板の手前と奥とを別に点灯する機能がありますが、意味があるとは思えません。




 しかし、クランプで机の端に固定しようとすると、机の黒い鉄枠に当たって固定できません。まえの日立製は固定する部分が小ぶりだったので邪魔にならなかったんでしょう。
 仕方がないので、すぐ横に置いてあるパソコン用の机に固定しました。とにかく使えてよかった。




 スイッチの部分。真ん中の丸に、「入/切」。右上に+、右下に-。+、-のボタンで4段階に明るさが変えられます。左の「配光」で手前と奥の点灯が変わります。スイッチの感触や文字はチャチな感じ。
 しかしぜんたいの構造は、2本のアルミ棒で支えられて、軽いのに丈夫にできています。無駄のない合理的な構造は、見た目にもすっきりと美しいと思います。
 
 小学校のときに初めて買ったZ-ライトはナショナル製でしたが、関節をバネで支えていましたが、ライトの重みに耐えられずに下に降りてしまうので、2回くらい修理に出した覚えがあります。


 


 残念なのは、電源アダプターが内蔵されずに、別になっていること。パソコンもたいがい別になっていますが、コンセントの周りが混雑するので、いやですね。




 次の粗大ゴミの日を待つ、日立製品。
 Z-ライトを注文して届くまで3日かかりましたが、その間に旧製品のコンセントが、入っているようでいて実は抜けていたのに気が付きました。ぎりぎりに緩んでいたので、何かの振動で電源が入ったら、ぽっちり点いたのでしょう。ちゃんと差してみると、スイッチを入れて5,6秒くらいで点きました。
 でもまあ、ハイスペックの新人が来るのだから、やはりロートルには引退していただきましょう。
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:
生姜のいろいろ 使い方


最近、新聞の新刊本の広告を見ていて、身体を温めたら健康に、とか身体を温める食品に関するものを、ぽつぽつ見かけます。うちの患者さんにも、冷え性なので生姜を料理や飲み物に利用しているというお話をうかがいました。そこで今回は、生姜について漢方屋の立場から、種類ごとに効果を考えてみました。

 漢方薬の元になる生薬は、当店で在庫しているものは200種くらいでしょうか。その中で生姜はベスト5くらいに入る重要な生薬です。漢方薬の場合は、生姜を「ショウガ」、と読まないで「ショウキョウ」と読みます。
 重要とはいっても、生姜は処方の中で「主役」を張る薬ではなくて、あくまで脇役、補助係なんですが、これがほとんど8割がたの処方に入っている。むしろ生姜の入ってない処方は、入っていない理由を考えることが、その処方を理解するヒントになるくらい。




 スーパーに並んでいる生姜のうち、漢方では写真のような表面の茶色いヒネ生姜(あるいは土生姜、囲い生姜)を使います。このヒネというのは、新に対して古い、という意味です。
 表面がつるつると白くて、芽の部分が赤い新生姜は、水っぽくて辛味が薄いので使いません。辛味の濃さがポイントです。

 生姜は、ほとんどの処方に甘草(かんぞう)とセットになって3グラムが入っています。そういう生姜に大きな働きを期待していない処方の場合には、患者さんにスーパーの生姜を買ってもらって、それを3グラム刻んで煎じ薬に入れて頂くのは、あまりに面倒。というわけで、ほとんどの処方には、次の写真の乾燥した生姜、1グラムをこちらで入れて、代用しています。

 しかし、中には生の生姜を刻んで使わないといけない処方があるんです。そういう処方は、指示されている生姜のグラム数が、4グラム、6グラム、もっとも多くて8グラムとなっています。そういう処方のいくつかを紹介しましょう。



 1、<当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)>
 
 申し訳ないほど長たらしい名前ですが、漢字を区切ると、当帰・四逆・加・呉茱萸・生姜・湯、です。
 冷え性、生理痛、生理不順の名処方で、当帰を主薬にした、当帰四逆湯は、四逆=手と足の冷えが内に迫るときの処方。そこにお腹を温めて頭痛や吐き気、冷え性を治す呉茱萸(ごしゅゆ)と生姜8グラムを加えたもの。
 呉茱萸は身悶えするくらいビリビリ辛くて、吐き気がするほど不味い生薬ですが、大量の生姜で不味さが中和されます。
 痩せて青白くて、生理痛や生理不順、冷え性、頭痛、吐き気、生理になったら下痢、腰痛などを苦しむ女性に、最適な処方です。

 他に呉茱萸を主薬にした「呉茱萸湯」にも大量の生姜を加えます。耐えられない激しい頭痛、吐き気にたいへん効果がある処方です。


 2、<茯苓甘草湯(ぶくりょうかんぞうとう)>

  こちらは生姜3グラムしか入れませんが、ほかには茯苓・桂皮各2グラム、甘草1グラムというシンプルな処方。これは胃が冷えて動きが悪くなったために、余計な水が停滞して、吐いたり下痢、腹痛、食欲不振になったときの処方です。
 茯苓は小便を出し、桂皮は胃から肺を温めますが、この処方の主役は生姜でしょう。生姜は胃を温めて、胃に溜まった余計な水を小便からさばきます。
 子供の風邪や嘔吐下痢で、あらかたの症状は収まったが、まだ微熱があり元気がなく、食欲も乏しいときに、小便の出が少ないことを確かめれば、この処方でピタリと治ります。


 3、<小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)>

 半夏(はんげ)生姜 各8グラムだけの小半夏湯に、茯苓3グラムを加えた処方。小半夏湯も嘔吐のための処方ですが、そこに茯苓を加えて、目まいや動悸を伴う場合に応用を広げています。
 しかしこの処方は、妊婦さんの悪阻(つわり)のときに、まず試してみる処方となっています。ツムラからも粉の製品が出ていますが、こんなシンプルな処方は煎じ薬のほうが絶対に効果を発揮します。もちろん生の生姜を刻んで煎じます。
 日本の漢方家は江戸時代から、この処方にさらに「黄土(おうど)」を加えて使っています。黄土は伏竜肝(ぶくりゅうかん)ともいって、かまどのよく火に焼けた部分を砕いた土です。中国から輸入されていますが、メーカーによってかなり感じの異なった品が来ます。よく使った焙烙や七輪でも良いそうです。
 黄土じたいに胃を温め元気にして、吐き気や血止めの効果があり、悪阻にも使います。




 これが乾燥させた生姜です。実物はもう少し黄色っぽい。なまの生姜を刻んでも、そのままでは乾かないので、石灰などで急速に水分をぬいて作るようです。熱をかけずに水分を抜くのが大事な点です。 本来の漢方処方集に、生姜3グラム、とあれば、この干し生姜1グラムを使います。もし生姜4グラム、5グラムなど多目の量が書いてあれば、1.3グラム、1.5グラムなど、少し増量します。
 なまの生姜から水分だけを抜いたものなので、辛味がギュッと濃縮されていて、煎じ薬に入れると強い辛味がします。だからだいたいは使うのは1.5グラムまでで、2グラムは入れません。

 ちょいと面倒なことになっているのが、この干した生姜を「干姜(かんきょう)」という言い方をすることがあります。そうすると次に取り上げる「乾姜」とおなじ言い方になって、文字ヅラの干と乾だけの違いになってしまいます。中にはそこもあやふやな人もあるようです。その人たちは、世間で使っている「乾姜」を使わず、すべて「干した生姜」で済ましているのかもしれません。



 生姜は、まず胃を温めますが、さらに温めたエネルギーを体表面まで発散させる働きがあります。おろした生姜をたっぷり食べるとと、まず辛さで口のなかがカーッとなって、つぎに胃のなかまで熱くなりますが、その次、額からサーッと汗が出る感じがしませんか?
 サイダーなどの炭酸飲料におろした生姜を入れてジンジャーエールにすると、口のピリピリの後で、頭からスーッと熱が抜けていく感じが更によくわかります。
 生姜は一時的には胃は温めますが、さらに熱エネルギーを表面まで持っていって、表面から発散させます。結果的には表面から熱気は抜けるので、胃のなかには熱気は残りません。

 こういう経験をされた方はありませんか? 冬に激辛カレーを食べると、額から汗が噴きだします。身体は汗をかくほど温もったのに、翌日、下痢になった。
 この理由を考えてみると、カレーの辛味は熱気を補って、表面から汗をかかせたが、そのため胃腸の中の正常な熱気まで奪われて、結果的に胃腸は冷えて下痢になった。
 生姜にも似たところがあって、体表をめぐる熱気は補うけれど、胃腸の中をずっと温める働きはなさそうです。




 これは乾姜。なまの生姜を収穫後、蒸し焼きにしてから刻んで乾燥させます。干し生姜と比べて、かなり茶色っぽくなっています。
 熱を加えて水分を抜くとともに、ピリピリ発散させる成分も抜いて、体内を温める成分に重点を移した感じになります。

 これでもまだピリピリ辛くて、乾姜の粉を鼻から吸い込むと、くしゃみが出ます。そこでうちでは、焙烙の上でさらに念入りに加熱して、ピリピリ辛い成分を飛ばすようにします。不思議なのは、すでに加熱してあるせいか、他の生薬ならとうに焦げてしまうような高温で長い時間焼いても焦げたりしません。
 こうやって、ピリピリと体表から陽気を発散させる働きを無くして、内部の胃腸を温める作用だけを残すようにして使います。

 しかしもっと体内の深い場所、胃腸や腎臓の陽気だけを、そーっと温めたいような場合には、「炮姜(ほうきょう)」が欲しくなります。炮姜は市場品はないので、自分で作らないといけません。
 ちょうど今ころでしょうか、ヒネ生姜が出回る時期に、野菜屋さんなどで3キロ~4キロ分を注文して取寄せます。つながった塊りは切り分けて、濡らした新聞紙で2重になるくらいに包みます。
 包んだ生姜を大きめの鍋にすき間ができないように詰めていって、蓋をして中火で1時間ほど加熱します。生姜の中までよーく火が通ったら、火を止めて、新聞紙を破って生姜を取り出します。そのときうまく焼けていれば、生姜の皮は手でくるりと剥けます。剥けない皮は包丁で切り取ります。生姜はこの時、ふかしたサツマイモに近い感じになっています。
 湿気の多い季節なのもあって、このままでは乾燥する前にカビてしまうので、包丁で1センチ角に刻んで、影干しにします。雨のときは除湿機のまえにザルを置いて乾燥させた記憶もあります。
 数日のうちに色は薄茶色からこげ茶の飴のように変わって、質感も机に落とすとカチンと音がするような堅さに変わっています。これで炮姜のできあがりです。
 残念なことに、3キロのヒネ生姜を炮姜にすると、300グラムになっています。つまりなまの生姜の辛味成分を10倍に濃縮したかたちになるでしょうか。




 せっかく作った炮姜ですから、これはという患者さんに大事に使います。どんな処方に使われるかというと、

 1、<四逆湯(しぎゃくとう)>

 なまの生姜のときに出た「当帰四逆湯」でも四逆は、手足が冷え込むことでした。こちらは全身の陽気が無くなって、手足も身体ぜんたいも冷え切って、ぐったりとして動けないほど弱った状態です。
 この処方はシンプルに炮姜・附子・甘草の3味でできています。薬の種類の少ない処方ほど効果は鋭く強くなります。主薬はやはり強烈に腎臓から肺までの陽気を補う附子ですが、炮姜も胃を深い部分からじっくり温めて、生姜のように外に陽気を逃がすことはしません。
 
 この処方の適応として有りそうなのは、ノロウィルスなどの嘔吐下痢で、水下しの下痢を何度もする場合です。3年前に自分でも経験しましたが、水下しを何度かしたらすぐに四逆湯、と考えるべきなのに別の処方を選んだために、回復が3日遅れました。
 朝からほとんど水だけのような下痢を何度も繰り返したのに、いっさい飲み物も食べ物も口にする気がせず、夜になってやっとお茶を1杯だけ飲みました。1日、ぐったり倒れてうとうとと寝たり醒めたりしていました。
 これは身体の深部の腎臓や胃腸、心臓の陽気までもが乏しくなった状態です。身体の内部まで冷え切っているので、口もいっさい乾かないのでしょう。四逆湯はそういう状態のときの処方です。

 2、<大建中湯(だいけんちゅうとう)>

 こちらは、炮姜に山椒、朝鮮人参に漢方用の飴という、これもシンプルな処方。
 四逆湯の附子が山椒に置き換わって、お腹や胸の深い部分が冷え込んで、強烈に痛む場合に使われます。
 これは私は何度か自分で使いました。20年位前から、数年に1度、腎臓結石を起こしました。最初の2回はあまりに痛くて、自分ではどうしようもなかったのですが、そのうち身体が慣れてきたのか、大建中湯を飲むと痛みが和らいで、そのうち石が下りるようになりました。
 お腹が冷えて痛むとき、また老人のお腹が弱った時の便秘、またお腹を開けた手術の後は、身体も弱って冷えているので、術後の痛みや内臓の癒着や食欲不振、体力の回復によく効きます。



 花の写真は7月7日の朝、突然咲いたホテイアオイ。日当たりのいい場所に出しておくと、朝気がついたら咲いています。つぼみが伸びているところなど、気が付きません。梅雨の晴れ間に爽やかな花を見せてくれますが、翌朝には最後の写真のように萎れています。
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。