松山市はなみずき通り近くの漢方専門薬局・針灸院 春日漢方

体質に合った漢方薬・針灸治療 更年期障害・生理痛・頭痛・めまい・冷え性・のぼせ・不眠症・イライラ・気うつ、肩こり・腰痛・五十肩に穏やかな効き目

春日漢方 薬局・針灸院


松山の南、はなみずき通り近くの

漢方専門薬局・針灸院です。

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漢方専門の薬局・針灸院を開業して、

もう20年になります。その間に積んだ

知識と経験から、東洋医学ならではの

健康情報をおつたえしましょう。


松山市古川北3-13-22  TEL 089-957-0686


   メール takaisyunsuke@yahoo.co.jp



  夏休みのお知らせ


 8月12(金)~15(月) 

 ご迷惑をおかけしますが


 よろしくお願い致します。






 

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   大黄の使い方 3例


 「大黄(だいおう)」という生薬があります。生薬のなかでもかなりポピュラーなものでしょう。何しろ「タケダの漢方便秘薬」は、この大黄と甘草とでできていて、瓶のラベルには大黄の根や葉の絵が書いてあります。
 だから、大黄は便秘薬なんですねといわれると、普通の薬屋さんはその通りと答えるでしょうが、われら漢方屋はちょっと複雑な表情で、まあ、そうなんですけどとなります。
 大黄をじっさいに使った例をあげて、使い方を考えてみます。





     1、50歳、女性 痔核

 1週間前から、肛門の横に大豆大のふくらみができて気にしていたら、3日前から痛くなってきて、激痛ではないが、排便時に辛い。長く座っているのもつらい。 出血はない。

 痔核ができた経緯を尋ねると、2週間前から冷房のせいか、咽喉が痛み、微熱や咳が続いていた。病院で薬をもらって飲んだら、風邪は治らないけど便秘気味になってきた。そのせいではなかろうかと。

 便秘のほかに、下腹が張って苦しい。お腹が張るので、あまり美味しくはないが食べてはいる。それ以外には小便や睡眠などは正常。夏だから咽喉は乾いてよく飲んでいる。

 咽喉の痛みや微熱に、病院では抗生物質が出たでしょう。そのせいで腸内の細菌はダメージを受けて、胃腸の調子が取れなくなりました。腸内のバランスが崩れて便秘になるし、肛門や直腸の筋肉が緊張して下腹が張るし、肛門付近の血流が悪くなれば、肛門の外にしこりが出来ます。
 
 しかし痔核は出来たばかりで、出血もないし、泣くほどの激痛もない。この病気としては軽い状態です。
 痔核の前から風邪の症状がありますがそれは無視して、後から起こった急性症を先に治して、その後、風邪の相手をします。

 『傷寒論』の真ん中あたりに「太陰病編」というのがあります。風邪を引いて始めは身体の表面にあった病気が、内部の胃腸に入ったのが「太陰病」です。
 
 その太陰病編には、
 「お腹が張って、時に痛むのが太陰病だ。桂枝加芍薬湯がよい。さらに大実痛のものは桂枝加大黄湯がよい。」とあります。
 この文章では、ときどき痛むのは桂枝加芍薬湯。それなら「大実痛」とは、ずーっと痛む、激しく痛む、すごくお腹が張って痛む、と解釈します。そういう場合に、桂枝加芍薬湯に大黄を加えた桂枝加大黄湯を使います。

 この方の痔核も、桂枝加芍薬湯でも良かったかもしれませんが、痛みが増してきた、便秘気味、口が渇くという条件から、胃腸=この場合は直腸あたりの熱気が強いと考えて、大黄を1グラム加えました。

 煎じ薬の袋とは別に、大黄1グラムを小分けして、最初の日は、その半量、0.5グラムを加えて煎じます。それでひどく下痢したりしなければ、次の日から1グラムを加えるようにお願いしました。
 このように小分けしてお渡しす生薬は、ほかには劇薬指定の「附子=トリカブト」くらいです。

 3日後にお電話があって、1日目で痔の痛みは無くなって、痔核も軟らかくなった。便通も良くなった、と。
 その後、お上げした1週間分を服用して、痔核も無くなって便通が良くなった。風邪っぽいのも終わったようだ、ということでした。





      2、60歳 男性   便秘

 思春期のころは、過敏性大腸で気分的なことで下痢に悩みました。当時は自分で漢方を研究して、「小建中湯」が自分に合うことを見つけて乗り切れたそうです。
 ちなみに「小建中湯」は、さきほど出てきた桂枝加芍薬湯に甘草と漢方用の飴を加えたもの。風邪がお腹にはいって疲れも合わさってきた場合の処方です。

 社会人になってからは、逆に便秘に苦しむことになります。医学の知識があるので、各種の便秘薬を試してきました。
 その中で、一般の方もよく知っている「センナ」と「大黄」には同じような成分が含まれていて、便秘によく使われます。よく使われた方は経験されたでしょうが、初めは少量でお通じがついていたのに、しだいに量を増やさないと効かなくなってきます。量を増やせば腹痛や下痢、食欲不振などの副作用が出てきます。

 この方にお勧めしたのは「麻子仁丸(ましにんがん)」という処方です。この方も「センナ」や「大黄」で同じ経験をしているので、麻子仁丸にも大黄が入っていると聞くと警戒されました。
 麻子仁丸は『金匵要略』に出てきます。胃熱が旺盛=つまり食欲旺盛で、小便が出過ぎて、大便が堅いときに使う、と書いてあります。
 漢方屋的には、元気なお年寄りで、食欲があって、トイレの近い人の便秘薬としてよく効いてくれます。
 メーカー品の小粒の丸薬があって、服用量を患者さんに加減してもらえば、ちょうど良いお通じが得られます。

 この患者さんには、大黄が入っているが、それ以外の麻子仁と杏仁は、油分で腸内を潤して滑りを良くして、大黄の副作用のブレーキ役になります。
 また芍薬・枳実・厚朴は、大腸の動きを活発にさせて大黄の補助役です。
 こういう組み合わせで、大黄の単独よりも無理なくお通じをつけられます。お年寄りの便秘薬の定番ですから、安心して長期に使えます、といって納得してもらいました。

 この方は元気に仕事をして、よく運動もして、よく食べて飲んでという生活です。麻子仁丸を100グラムお渡しして、まず1日、3回。1回20粒=2グラム、という量で飲んでもらいました。メーカーの効能書きには、1回30粒、1日3回まで使えるようには書いてあります。

 この方は神経質に便通にこだわる所があって、服用量ははじめの20粒X3回から、しだいに30粒X3回でも物足りないような感じになってきました。

 メーカーの既定の最大量まで使わないといけないというのは、麻子仁丸だけではどこか力不足なのでしょう。もう少し下剤作用の強めのものを合わせることにしました。

 同じメーカーに「桃核承気丸(とうかくじょうきがん)」という丸薬があります。こちらは大黄のほかに、「芒硝」=硫酸ナトリウムが下剤として入っています。
 硫酸ナトリウムやマグネシウムは、「塩類下剤」として普通に使われる便秘薬です。大黄+芒硝で、下剤的な働きはより強くなります。

 この方には麻子仁丸20粒+桃核承気丸10粒を、1日3回服用してもらって、以前よりすっきりしたお通じがついて満足してもらいました。
 この組み合わせが本当に体調に会えば、服用量も減っていくのですが、まだそこまではいってません。





      3、75歳  男性   便秘と夜間尿

 3年前に軽いくも膜下出血でしばらく入院してから、何かと体調がとれません。
 いつも身体が火照ってしんどい。立ち眩みがする。手に力が入らない。すぐに咳がでる。咽喉が乾いて水を大量に飲んでいる。食べ物の味が分かりにくい。眠りが浅く、何度も覚める、など。

 なかでも一番困っているのは、便秘と夜間の頻尿です。しかし、お話をうかがって、これが便秘といえるのか考え込みました。
 たしかに硬い便が、数日おきに出ています。便秘とはそれが出にくいので苦労する状態です。
 しかし、この方の場合は、大便が出そうな感じが分かりにくい。硬い便が出たあと、残りの便が肛門に残っていたりしても自分で分からない。
 肛門がバカになっちゃったのかね? という言い方をされます。

 それと夜間の頻尿です。1時間おきにトイレにおきて、その度に昼間と同じ量が出ているようです。
 この方の大便の状態と、小便の状態は同じ理屈で起こっているような気がしました。

 健康な人は、夜になれば小便を濃縮して、朝まで出ないようになっています。昼と夜の尿量をコントロールしているのが、漢方では腎臓だとされています。
 腎臓には、下半身、足腰を引き締めてしっかりさせる力、身体を引き締めて体液を体内に保っておく力が備わっています。
 お年寄りになるとこの腎臓の力が弱って、夜も昼と同じように小便が出てしまいます。
 
 肛門や直腸は消化管の末端ですから、漢方的にも胃腸がコントロールしている器官です。しかしこの人の場合は、腎臓の力が落ちたために、肛門や直腸の締まりがなくなったために起こった症状のように思いました。

 またもう一つの見方があります。漢方では肛門のことを魄門(はくもん)といいます。「この世に魂魄とどまりてー」という時の、魂は肝臓、魄は肺臓にこもっている精気です。だから肺の調子が肛門に影響します。

 以上の考えから、まず腎臓をしっかりさせるために六味地黄丸を選びました。そこに肺を潤す麦門冬、肺の熱気を引き締める五味子を加えた味麦六味丸としました。
 そこに大便を軟らかくして出やすくするために、大黄を0.5グラム、足しました。この処方でまずお通じが軟らかくなって、2日に1度ずつスムーズに排便できるようになりました。
 10日ほどすると、夜の排尿が4,5回から2,3回に減ってきたので、よく眠れるようになって喜ばれました。肺を潤して熱を冷ます五味子・麦門冬を加えたので、夜間の空咳も減りました。

 お年をいってからの大病なので、本調子に戻るのは何年もかかりますが、この処方で大便・小便・睡眠・咳など基本的な生活の質が保てれば、健康的な老後といえるでしょう。




 タケダの漢方便秘薬などから、大黄=便秘薬という世間の常識があります。しかし大黄が効くのは、胃の熱が多すぎておこる便秘です。逆に胃が冷えても、また胃腸に潤いが無くなっても、あるいは血が不足しても便秘になります。そういうわけで、我ら漢方屋は便秘に大黄剤を使うのに慎重になります。
 今回は大黄を使って良かった例を上げました。

 文中の写真は、犬塚勉という人の画集から撮ったものです。犬塚は東京都の美術教師でした。絵のほかに登山を何より愛していました。あるとき、湿原に入ると、そこにある全ての草・樹木・石が目に飛び込んできて、見たままの全てを画面に描きこまないといけなくなりました。この写真では分かりませんが、小石や草の一つづつが全部描いてあります。
 1988年、38歳で好きな谷川岳で、遭難死。
 これは、2009年に家族やかつての仲間が作った画集です。
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   日照りの滑川渓谷


 先月のブログで、梅雨の白猪の滝、連日の雨で見たこともない水量の白猪の滝の写真をお見せしました。

 しかしその後の松山周辺は、7月20日に梅雨明けしてからの雨量が、わずか0.3ミリ。連日、最高気温は35℃。熊本や大阪みたいに、37℃、とか言われないだけましと、自らを慰めております。
 こういう時は涼しい渓谷探訪がいいでしょう。市内から簡単にいける渓谷といえば、東温市の滑川渓谷があります。font>



 国道11号線を高松方面に45分。白猪の滝の分岐点を過ぎて、桜三里の峠道から県道3百何号線に分かれて、さらに20分。この県道は片側1車線の山道で、つねの前からくる対向車に備えて、離合できる場所を意識しながら進みます。
 この日はお昼の3時を回っていたので、川遊び帰りの車と何度も出くわしました。

 滑川という名前の渓谷は、県内にも他にもあるし、全国にはたくさんあるでしょう。渓流の浸食作用で上の写真のようにツルツルに削られた川床が特徴です。




 渓谷の中には、写真のような巨岩がいくつも転がっています。観光協会の立てた看板には、「犬くぐり」との見立てが。大雨の時にはこんな岩が押し流されるのでしょうか。




 これはわたしの見立てで「五本杉」。 渓流の中に杉がまっすぐ5本立っています。中洲の浅い地面に懸命に根っこを張って立っていますが、いつからここにあるのか? 森の中だったのに浸食されて川の中州になったのか? 渓谷の底で光は真上からしか来ないので、まっすぐ立っています。






 渓谷の奥に着きました。 見立ての看板では「龍の腹」渓流に浸食されて多くはV字に切れ込んでいくのですが、この渓谷はU字の船底のような形になっています。
 広角レンズなんかじゃないと、このスケール感は伝わりにくいのですが、船底の横幅は30メートル。高さは木の生えている周りの地面までは20メートル以上あるでしょうか。
 こんな不思議な地形は、松山周辺で、ほかにないと思います。




「奥の滝」。 何千年か、何万年かかけて、大地を浸食してこの渓谷を作ってきた、大元がこの滝です。しかし、写真で見ても水量はしょぼしょぼ。うちの水道だって、いっぱいにひねればもっと水が出そうなくらい。
 もともと大きな川がここに来ていたわけではないので、梅雨明けいこうの干ばつのせいで、これくらいしか水がありません。
 水のたっぷりあるときには、流れ落ちる滝の裏側に回ったりしたのですが、これでは裏も表もありません。
 途中にみた渕も、水が入れ替わらないので、濁って青臭い臭いを感じました。




 これは「龍の腹」の横腹になります。上半分が拳大から大小さまざまの石ころが集まってできた礫岩層。下半分は対照的に、均一の細かい灰色の砂が固まった砂岩層になっています。ここの地形全体が、礫岩層と砂岩層が交互に幾重にも積み重なってできています。
 こういう地層が川によって浸食を受けると、目の粗い礫岩層のほうが脆くて早く浸食されます。砂岩層は緻密で丈夫なので浸食は進みにくい。上下の礫岩層が深くえぐれて、砂岩層は出っ張った状態になるけれど、それも自分の重みでいつかは崩落します。
 船底の場所には、上から崩れ落ちてきた砂岩層の巨岩がたくさん転がっていますが、礫岩層の岩は少ないようにみえます。
 こうやって浸食と崩落を繰り返すことで、独特のU字型の渓谷が出来上がったのでしょう。


 
 さすがに山のなかは、平地の猛暑を忘れさせます。松山では、毎日、雲一つない晴天が続いていますが、このあたりに来ると曇りがちになって、車のフロントに雨滴がついたりします。

 天気予報の終わりに、「山沿いではにわか雨や雷雨にご注意ください」と必ず付け加えますが、2年前、夏の終わりにこここに来たとき、駐車場を降りて、オヤッとは思いましたが、暑いなかで少々の雨など気にせず、渓谷の奥まで進みました。そこで急に稲光がして、すぐに雷が鳴りだしました。山の雷は怖いと聞いているので、いそいで駐車場まで走って戻ります。
 ずぶ濡れのまま15分、車で国道まで戻ると、松山市内と同じく晴れ渡っていました。font>
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  夏休み 2ー 男木島

 13日は、瀬戸内芸術祭の開かれている会場の一つ、<男木島(おぎじま)>に出かけます。35℃、36℃の猛暑の中、朝8時から高松港発のフェリーに乗り込みます。会期中の無料駐車場が船着場からちょいと離れているので、切符を買ってすでに満員の船に乗り込むと、椅子はおろか立ってる場所もないくらい。
 30分ほどで、先に高松港に近い女木島(女木島)に寄ります。ここも瀬戸芸の会場で、先月、長男夫婦が訪ねました。島内に展示場が散らばっているので、電動自転車を借りて回ったそうですが、労多くして効少なし。これは、という作品は少なかったようです。

 女木島で、家族連れの海水浴客も含めて船客の半分は降りました。さらに20分ほどで男木島港に到着。
 女木島・男木島の景色など、写真があって然るべきところ、熱い中、立ちっぱなしなのでカメラを出す気が失せています。

 というわけで、いきなり作品。



 イヌ・ミヌク 『Light House Keeper』

 港の近くの古い民家の2階の広間一面に、瀬戸内海に点在する灯台を表した作品。灯台のあいだの穏やかな海面は、細かくヒビの入った車のフロントグラスの素材が使われています。
 真っ暗な状態から灯台の明かりが回ってくると、島々のあいだの水路とそれをガイドするたくさんの灯台とが浮かび上がってきます。
 瀬戸内海は、それこそ弥生時代から近畿地方と北部九州ーその向こうの韓半島とをつなぐルートでした。今日でも来島海峡、塩飽水道など灯台や水先案内の必要な開運の要所です。
 作者、イヌ・ミヌクは韓国の方でしょうか? 瀬戸内海がどういう海だったかを思い出させる、瀬戸芸にふさわしい作品でした。
 古民家の1階には、ガラス棚のなかに古い記念写真、茶碗や火鉢、ゴム製の足ひれ何かが入れてありましたが、なかにぶ厚い40センチ大の円筒形のガラス器具がいくつかありました。あれは灯台の明かりを投射するためのレンズだったんでしょう。








  川島 猛 『カレードスコープ ブラック&ホワイト』

 川島猛は香川県の出身らしい。コンピューターで打ち出したパターンを壁・床・天井に張りめぐらせて鏡を使って、万華鏡の中に入ったような気分にさせます。
 けっこう面白くて、長く見て新しい視覚体験を楽しめる作品のはずなんですが、部屋の中が何しろ暑い。私たちと入れ替わりに出てきた人も、「あつーて、おられん」と正直な感想を漏らしてました。ヒンヤリとした美術館向きの作品でしょう。

 この他にいくつかの作品を見ましたが、カメラを向ける気がしないというのが、まあ、ほとんどです。現代アートは、そういうものです。多くは思いつきの範囲で終わって、作品の域に達しているのは、本当に優れた作家によるものです。

 これは良かったと思うのに、写真を撮る気にならなかったのが、松本 秋則 『アキノリウム』

 民家の1階には壁の白い膜に影絵が映っています。ツタや草木のシルエットにかざぐるま、鳥などが交代で浮かび上がります。背景に心地よい音が鳴っています。
 2階は定員が5,6人で、人が降りたら順番に上がります。
 インドネシアに「アンクルン」という竹製の楽器があります。竹筒を切ってオクターブに調律したものを叩いて演奏します。カラコロンっと涼しい音がします。モーター仕掛けで各種のアンクルンが自動で音を奏でます。「音楽」ほどは厚かましくなく、しかし単なる音ではない。その加減が絶妙というべきか。
 影絵も、インドネシアにはガムランをバックに壮大なストーリーを浄瑠璃のように語る、影絵芝居があります。
 『アキノリウム』は美術品でも音楽でもない不思議なものです。だから美術館でも、コンサートホールでもなく、こういう古い民家の一角で展示されるのが一番、望ましい形のように思いました。






  昭和40年会 『昭和40年会 男木学校PSS40』

 港の近くの集会場が会場になっていて、以前は昭和40年生まれの作家グループの企画だったのでしょうが、今年は作家の会田 誠が2階で作品を制作しています。
 会田誠は、一般的には今年の瀬戸内芸術祭でもいちばんの有名作家でしょう。3年前には六本木の森美術館で大規模な個展を見ましたし、去年も東京都の現代美術館で個展があって『檄 文部省に物申す』という作品で美術館側ともめていました。

 この会場は11時からということで12時前に行ってみると、作家じしんが下に下りて行くのとすれ違った。お昼を食べに出ていったんだと思ったら、長男が「下でラーメンを作ってる、日清のラ王やで」と。それから作ったラーメンを会場に持ってきて、中で食べていました。さすがにお食事風景を見るのは失礼かと、離れておりました。
 でも、この時点で、作家が自分自身を展示作品として提供しているつもりだったんですね。
 
 ラ王を食べ終わると、すぐに制作にかかります。作っているのは、コンビニの弁当箱にニョロニョロと粘土状のもの、端的に申せば「うんこ状」のものを出して、それに色を塗っています。 
 はじめは小さな独り言をポツッと漏らしていましたが、こちらが一生懸命見ていると、立ち上がってタバコを一服つけながら、会場内は禁煙なんだけど、タバコの一服もつけずに、やってられませんよねと言いながら、この作品の制作モチーフなどを話してくれました。

 コンビニの弁当箱のベージュを見たら、これを並べて水彩画のようなアプローチが出来ないかと考えた。しかし我ら素人目には、水彩画と目の前の「うんこ状」のものとはかけ離れているような気がします。確かに、塗っているのはパステルカラーではあります。 
 あと10日ほどこの場所で制作をつづけるが、弁当箱は140個あるので、当然完成はしない。140個並べて、全体を見ながら色目を調節するので、大きな壁面に張り付けて最後はやることになる。いまのところ、どこで発表することになるか決まってない、など。


 


 どうせうんちに色を塗るんだから、もっと大きな筆で、ベタベタ塗ったら早いのに思うけど、すごく細い筆で慎重に細かく塗っています。色の調節がどうとか言っていましたが、頭にLEDのヘッドランプを点けて色の調子を揃えるのでしょう。

 こちらは芸術の制作にお邪魔になってはと思って静かに見守っているんですが、センセーのほうは、塗り絵にも退屈して話したがってるんだなと思って、粘土状のニョロニョロはどうやって作るのか尋ねました。
 これは発泡ウレタンというもので、Å液とB液をビニール袋に入れると細かく泡立ってきて、ケーキに生クリームを出すように絞りだせばこうなるのだそうです。建物のヒビの補修、梱包などに使うようです。

 お昼の1時の船で帰るので、ぎりぎりまでその場にいて、センセーのお話をうかがいました。

 3年前の森美術館の会場では、単にヒゲを生やしたところが似ているというだけで作った、『都内に潜伏するビン・ラディンを名乗る男』というビデオ作品が大うけでした。4畳半にちゃぶ台があって、ビールの空き缶、焼酎や日本酒の瓶、カップ麺に割りばしの刺したのなどがそこら中に散らばっている中で、「日本にきて3か月、酒にタバコ、パチンコに女。ぬるま湯に首までどっぷり浸かってるよ。」「うーん? 日本人? クソッですよ。日本人は。」

 もちろんセンセーは東京芸大、油絵科を卒業されているので、ちゃんとした絵も書こうと思えばとても上手なんです。
 最期の写真は、そこの壁に貼ってあった、ミズマアートギャラリーの個展のポスター。

 2016年の瀬戸内芸術祭は会田誠センセーにお会いできて、とっても得した気分で終えることが出来ました。


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