松山市はなみずき通り近くの漢方専門薬局・針灸院 春日漢方

体質に合った漢方薬・針灸治療 更年期障害・生理痛・頭痛・めまい・冷え性・のぼせ・不眠症・イライラ・気うつ、肩こり・腰痛・五十肩に穏やかな効き目

春日漢方 薬局・針灸院


松山の南、はなみずき通り近くの

漢方専門薬局・針灸院です。

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漢方専門の薬局・針灸院を開業して、

もう20年になります。その間に積んだ

知識と経験から、東洋医学ならではの

健康情報をおつたえしましょう。


松山市古川北3-13-22  TEL 089-957-0686


   メール takaisyunsuke@yahoo.co.jp




   

   


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しゃくり 柿のヘタ

 

 「しゃっくり」の患者さんが、年に2、3人くらい来られます。みんな3日~5日分を持って帰られて、2度と来ることはありません。
 2回目が来られないので、じっさいに治ったかどうかは分からないのですが、たぶん治っているはずです。
 ただ、おひとり、95歳の方で、食事もほとんど入らず、意識も虚ろになっているという方は、治らなかったかなと思います。

 

 しゃっくりには「柿のへた」がよく効きます。


 

 30年以上まえのお話しですが、漢方の勉強会にお年のいったお医者さんが来られていました。その方が漢方を勉強しようと思いたったきっかけが、「柿のヘタ」だったそうです。

 

 ある日、県会議員をしている患者が、あと数日で県議会の代表質問に立たないといけないのに、この何日もしゃっくりが止まらない。何とかしてほしいと。
 各種の医学書をめくって、しゃっくりに効きそうな薬をつぎつぎと飲ませたり、注射をしたり。どれもさっぱり効きません。
 せっぱ詰まって怪しげな「民間薬」の本を開けてみると、「柿のヘタ」が効くと書いてあります。
 ドクターは初めて「薬草屋」に行って「柿のへた」を買ってきました。何十年も前のことだから、100円するかしないかだったでしょう。

 これを「薬草屋」で言われたように煎じて飲ませたら、1服で1週間も続いたしゃっくりがピタリと止まった。


 議員さんからは大いに感謝されましたが、ドクターは、何故、「柿のヘタ」なんかがそんなに効くのか。そして、こんな簡単で素晴らしい効果を上げる方法があるのを、これまで何にも知らないで来たことに、自分で驚いたそうです。
 それから、漢方の勉強をする機会をもとめて、ここに来るようになったのだ、と。

      

 しゃっくりには、「柿のヘタ」を何グラムかを煎じて飲めば、それで効くのかもしれませんが、そこは漢方薬屋としては、なにかもっともらしい理屈を付けて、薬は売りたいもの。

 

 

 2月はじめの寒い日が続いているころに来られた方があります。
 しゃっくりが40時間いじょう、続いている。しゃっくりのたびに、お腹に力が入るので、だんだん腹筋が突っ張ってしんどくなってきた。
  
 しゃっくりが始まったきっかけは、日曜日にゴルフに行って、山の中で予想いじょうに寒かった。その夜からしゃっくりが始まった。

 

 寒かったから。 なるほど。

 では、次に何を聞くか。 食欲はありますか?
 しゃっくりのせいなのか、あまり食べる気がしない。熱いお粥さんとかしか食べてない。
 水けのものを取っていますか? 熱いお茶なら飲んでいる。

 

 食欲はあるか? という問いは、要するに胃が動いているか、ということです。胃が動かないのは、この方の場合は、胃が冷えているからです。
 もちろん、胃が動かない理由は、冷えとは逆の「熱」とか、「水分」、「気ウツ」などの停滞もありますが、冬に身体を冷やして始まったのなら、胃の冷えとみるべきでしょう。
 熱いお粥や、お茶などを欲しがるのも、胃の冷えのせいです。

 

 漢方薬を50音順に網羅した「処方集」を見てみます。
 「柿のヘタ」は生薬の名前では、「柿蔕(シテイ)」。そのページを 開くと、「柿蔕湯」という処方がありました。

 

  <柿蔕 20グラム 丁子 1.5グラム 生姜 5グラム>

 

 

 柿蔕じたいは、苦味や渋みがあって、どちらかといえば、身体を冷やす方の作用があるようです。

 

 それに対して、丁子(チョウジ)=スパイスのクローブは辛味が強く、純陽。陽気の塊りのような生薬です。
 強力に胃と肺、腎を温め、胃の冷えの腹痛や嘔吐、噦逆(しゃっくり)を治す、とあります。
 丁子を知らない方には、「こんじすい」という歯痛の薬の主成分が「チョウジ油」だから、あの臭いを思いだしてください。


 4人前のカレーを作るのに、丁子を1本入れると、鍋全体に強い香りが移ります。2本入れると、薬っぽくなってもう食べられない。それくらい、強烈な香りがします。

 

 丁子はめったに使う生薬ではないし、一度に使う量も1~2グラムほど。それだから、ずっと以前に買ったものが、ほとんど減っていません。精油成分をたっぷり含んでいるのか、ビニール袋がベタベタして劣化しています。

 

 更に生の生姜を多めの5グラム。生姜と丁子で胃を温め、柿蔕のしゃっくりを止める作用をサポートします。というか、しゃっくりを起こしている元の体調は「胃の冷え」だから、そこにポイントを当てないと治らない。
 「胃の冷え」を無視すると、「柿蔕」もあまり効かないでしょう。

 

 江戸時代の漢方の名医、浅田宗伯は、「柿蔕湯」の説明に、「この処方を、近来は噦逆の主方とする。しかし「橘皮竹茹湯」とは<寒・熱>の別あり。症状にしたがい選用すべし。」と。

 つまり「柿蔕湯」は、どんなしゃっくりにも効くわけではない。冷えのしゃっくりに効く、といっています。


 この方には、3日分をお渡しして、もし2日分を飲んで効かなければ、他にも良いお薬がありますからと言いましたが、その後、何も言ってこないところをみると、治ったんでしょう。

 

 

 珍しく、続いて別のしゃっくりの患者さんが来られました。
 その方のしゃっくりも、2日目に入っています。

 

 しゃっくりのきっかけが、ぎっくり腰になって数日、痛みが治らないので、ペインクリニックにいって、神経ブロックの注射をしてもらった。
 それで腰痛は治ったが、しゃっくりが始まった、ということです。

 

 母親が股関節の手術で、腰椎の麻酔をしたら、いっとき咳が続いていました。その「副作用」については、事前に聞かされていたそうですが、麻酔薬にはそういう、しゃっくりや咳という、気が逆上する副作用があるのでしょうか?

 相手が麻酔薬では、冷えか熱かは分かりません。

 

 また尋ねます。ご飯は食べられてますか。 ええ、普通に食べてます。
 お口は乾きますか? まあ、ふつうに飲んでます。
 舌を診せてもらうと、表面は粘って、灰色の厚い苔がついています。

 

 胃は冷えてなくて、正常に働いているようです。舌の厚い灰色の苔は、胃腸に余計な水分と少し熱気が停滞していることを示しています。

 

 そこで、上に引用した浅田宗伯の説の、「橘皮竹茹湯(きっぴちくじょとう)」を使うことにしました。「柿蔕湯」とは違って、少し胃に熱気があるときの処方です。

 

 うえのオレンジ色のものが「橘皮」です。見た通りミカンの皮です。ただ、ミカンの種類は、温州ミカンなのか、夏柑なのか、区別しにくいようです。
 「橘皮」はお腹をすこし温め、胃を働かせて余計な水分をさばいたり、気分をすっきりさせます。

 

 

 「竹茹」は、ほんとうはマダケやハチクの青い表面を薄く削りとったものですが、在庫がないので「竹葉」、タケの葉を代用しています。
 胃や肺に停滞した水や熱気を発散させて、すこし冷やして、調和させます。

 

 それ以外には、人参・甘草・大棗。これらは胃の血を増やして、胃腸を元気に働かせます。甘い味で胃の気が逆上するのを調和させます。
 そして、生姜。これは胃を温め、胃の熱気の逆上を収めます。

 

 ほんらいの「橘皮竹茹湯」には、「柿蔕」は入っていませんが、習慣的に5グラムほどをつけ加えます。

 この方にも、さっきと同じように、2日分を飲んで治らなければ、またお越しくださいといって、お渡ししました。

 

 浅田宗伯の「橘皮竹茹湯」の説明によると、「風邪で下痢をして冷えたときの噦逆には効かない。ただ普通の噦逆なら、1月いじょう続いているものでも、必ず効あり。」
 「もし胃腸に停滞した水分が逆上した噦逆は、熱証ならば「半夏瀉心湯」。冷え性ならば「呉茱萸湯」なり。」とあります。

 

 これらの記事をみていると、浅田宗伯せんせいは、しゃっくりの時には、だいたいは「柿蔕湯」・「橘皮竹茹湯」・「半夏瀉心湯」・「呉茱萸湯」の4つの処方で治療していたのではないでしょうか。

 

 その中で、「柿蔕」を含んでいるのは「柿蔕湯」だけですが、実際には、私のようにちょいとつけ加えていたんじゃないかと思います。

 

 

 

 

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足腰が脆い

 

 

 足腰が急に脆くなったという病気の患者さんが幾人かありましたので、その漢方治療を検討してみます。


       症例1   68歳 女性

 

 年末に急に手の平がチクチクと痛み始めました。それで整形外科に行ってみましたが、レントゲンやCTの検査をしても、とくにどこが悪いというところは見当たりません。
 それから数日したら、全身がだるくなって、とくに足腰に力が入らない。膝がぐらついて立っておられない感じになりました。
 この症状も、整形ではなんだか分かりませんでした。この時点で、もう手の平のチクチクはなくなっています。

 

 

 うちに来られたのは、1月の半ばでした。この時には、家の中でごそごそ歩ける程度にはなっていました。

 足腰に力の入らないことの他に、全身がシンシンと冷たい。冷たいのにしっとり汗をかいている。また寝汗もかいている。

 

 もっと困ったことは、夜中に1時間おきにトイレに起きるので、ほとんど寝た気がしません。さいさい行くのに、小便の量はふつうに出ています。

 

 病気のきっかけを尋ねると、治療のヒントになることがあるのですが、なぜ、手の平のチクチクが起こったのか、正月の準備やなんかで忙しくしていたからだろうか? ということくらいしか分かりませんでした。

 他の体調を尋ねると、しんどいので食欲はあまりない。食べてはいる。
 お通じは毎日ある。
 足は浮腫んでいる。
 口は乾いて、よく水を飲んでいる。
 たしかに舌も乾いて、暗い赤みの強い色をしています。

 

 「足腰の脱力」「夜間の頻尿」「口の乾き」と、3つそろえば、漢方屋ならだいたい話は決まってきます。

 前回の「冷え性の針灸治療」で取りあげた、冷え性の老人と同じ状態です。


 「腎の精」=体液の元が不足して、小便のコントロールが効かなくなります。冷え性の老人は小便の出が悪くなっていましたが、逆に夜間に出過ぎるのも同じ状態です。
 「腎精」が不足すると体液を内に保つ力が無くなって、どんどん小便に出てしまいます。

 不足する体液を補おうと、口が乾いてよく水を飲みます。

 

 

 また「腎の精」は、とくに下半身をしっかりさせる力です。血の元でもあるので、血が無くなると筋肉や関節、骨格が脆くなり、しっかり立つ力も無くなります。

 

 身体の内部で血の元が不足すると、内部が乾いて「虚熱」をもちます。そのせいで口が渇いて、舌も乾燥します。舌の暗い赤は血の熱を示しています。
 寝汗は、血が不足して体内に虚熱がこもった時の症状です。元気な時には寝汗はかきません。

 

 さらに「腎精」の不足から、「腎の陽気」もなくなっています。 「腎陽」は体表面をめぐって、身体を温めるとともに、汗の出具合をコントロールします。
 その力が無くなると、寒気がして、寒いのに汗が漏れて、冷や汗をかいています。
 寒いのに汗をかくのは、矛盾した状態なので、体調としては、要注意レベルになっています。 

 

 漢方処方では、「八味地黄丸」の適応です。主薬の「地黄」が「腎精」を補って血の元を作りだします。

 また「腎陽」を補う「桂皮」「附子」が、身体を強力に温め、小便や汗の出具合をコントロールします。

 足腰が弱っているので、筋骨を丈夫にする「牛膝」と「杜仲」も加えました。

 

 この煎じ薬の1週間分を服用して、前回は車で送ってもらっていたのが、今度は自分で自転車に乗って来られました。自転車に乗れるくらい回復したようです。
 また、1時間おきに行っていた夜間尿も1回に減りました。

 

 1週間の服薬でここまで回復したのは、やはりまだ60歳代だからでしょう。
 身体をしっかりさせるために、もうしばらくこの処方を続けて飲んでもらおうと思います。

 

 

 さて、手のひらのチクチクから始まったこの病気は、いったい何だったのでしょうか? 脳梗塞なんかでも、手の感覚異常から始まることがあるでしょう。病院でもそこはチェックしたでしょうが、とくに異常は見つからなかった。
 原因のよく分からない症状は、現代医学としては、対処が難しくなります。

 

 この方の場合は、おそらく過労がもとで、一時的に老化が早く起こったような状態になったのでしょう。
 過労がもとで、体力が衰えて起こる病気を、漢方の言葉では、「虚労病」といいます。「虚」は血や精気の不足を指します。
 「八味地黄丸」も「虚労病」の代表的な処方です。


 何が起こっているのかよく分からない病気でも、表面に現れている情報をつないでいって、なんとか相手ができるのが、漢方医学の長所の一つだと思います。
 


        症例 2    70歳 男性

 

 この方も年末から、足腰が脆くなって、それまで仕事でやっていた重たいものを持つことも出来なくなりました。

 こうなったきっかけは、秋口にそれまでにないひどい風邪を引いて、1週間も寝込みました。それからどうにも元気が戻りません。
 
 60歳ころ、ひどい耳鳴りがして、血圧が上がっていました。それは降圧剤を飲んで正常になっていました。


 しかし最近、仕事で疲れると、夜中に動悸と息切れがして、血圧が上がっています。
 年末の忙しいときに、夜中の発作のあとで、起きようとすると、身体がワナワナして足腰が立たないような感じになりました。
 それから日常生活はなんとかやっていますが、足腰の脆さは治りません。

 

 ほかの体調は、足は浮腫んでいます。また足は火照って、全身も熱ばんだ感じが続いています。
 食事は摂れていますが、胃もたれ感があります。
 大便は1~2日に1回。
 夜間尿は1回だけ。あとは正常。
 夜は、動悸や息切れがしたり、寝汗をかいたりして、ぐっすり眠れていない。
 口が渇いてよく冷水を飲んでいる。
 舌はぼってりと大きく、表面は粘って黄色い苔が覆っています。

 

 つぎにお腹を押さえてみると、いろんな情報を与えてくれました。

 

 まず、上のほうから。
 右の肋骨の下あたりは、押すと痛みに顔をしかめます。これは「肝・胆」に熱気がこもっていることを示しています。
 半年前のひどい風邪の熱を、新薬で無理に抑え込んだから、それが「肝・胆」にこもったのでしょう。
 高熱を出したあとに、咳や食欲不振、不眠などの症状が残ることがあります。どれも「肝・胆」に熱が残ったためです。
 この人の口の渇きや黄色い舌苔、身体の熱感、寝汗もそのせいでしょう。

 

 次に、お臍の上からみぞおちにかけて、軽く触れても動悸が打っているのがよく分かります。
 これは「腎の陽気」の不足から、陰気・陽気が順調に巡らなくなって、下腹からみぞおちに「腎気」が逆上しているのを示しています。

 

 最後は、お臍から下のほう。左右の腹直筋は張っていますが、その真ん中あたりは力が抜けて凹んで感じられます。
 これは、先の症例の方と同じく、「腎」の精気の不足です。
 屋外で肉体労働を続けたら、「腎」の精気を浪費して「虚労病」になります。また「老化」そのものでもあります。
 この方が60歳ころから高血圧になったのも、「腎」の働きが弱り始めていたのでしょう。
 足腰の脆さや、足の火照りは「腎精」の不足です。

 

 このお腹は、下腹の脱力➡ お臍の動悸➡ 右脇腹の痛み、と3段階に病気が進んで、重なってきた経過を教えてくれています。

 

 

 このお腹に対する漢方の処方を考えてみると、まず「肝・胆」にこもった熱気を冷ますのは「柴胡」になります。


 また「腎の陽気」を補ってお腹の動悸を鎮めるのは、「龍骨・牡蠣」の組み合わせがあります。


 その「柴胡」と「龍骨・牡蠣」を組み合わせた「柴胡加竜骨牡蠣湯」という処方があるので、これがぴったりです。
 高血圧や更年期の不眠や、イライラ、気ウツなどによく使われる処方です。

 

 下腹の脱力や足腰の脆さには、「地黄」が主薬になります。
 先の症例の方は、足が冷えて弱っていたので、「腎の陽気」も補う「桂皮・附子」を加えた「八味地黄丸」を選びました。
 この方は足が火照って、身体も熱いので「桂皮・附子」をぬいた「六味丸」にします。

 

 「六味丸」+「柴胡加竜骨牡蠣湯」。ややこしい病気の治療薬は、やはりややこしい処方になります。
 漢方の本をいろいろとめくっていると、昭和の漢方医の大家、矢数道明せんせいが、この組み合わせをよく使ったようです。

 この処方を1週間分、持ってかえってもらいました。

 

 1週間後に言われたのは、1日分を飲んだだけで、次の朝、身体が軽く感じた。1週間のんでみたら腰がすこし丈夫になった気がすると。

 

 

 これでこの処方を続けていけば、それで元気になるのかと思いましたが、やはり仕事で無理をした夜には、動悸と胸苦しさで目が覚めます。
 そのとき血圧を計ると、血圧は上がっていますが、問題は脈拍です。

 その時には脈拍が遅くなって、不整脈にもなっているらしい。 

 

 過労で疲れたら、足りなくなった血を速く回そうと、ふつうは脈は速くなるものです。


 それなのに何故、この人の脈は遅くなるのか? こういう理屈に合わない症状は、何かややこしい病態が潜んでいるので注意が必要です。

 

 考えられることは2つあります。

 一つは、体力が落ちてものすごく「血」や「精気」が不足した場合。

 少し「血」が足りないときは、心臓は急いで血を回そうとします。 しかし、心臓にも十分に回らないほど血が不足すると、心臓は自分の負担を減らそうと、ゆっくり動く場合があります。これは手術後など、重い症状のときに起こります。
 この方の、不整脈もある、という条件には合うように思います。

 

 もう一つは「瘀血」。

 身体の深部で血が粘って詰まり気味になると、脈は遅くなります。人の血は1日中、満遍なく身体を回っているわけではなくて、夜中には身体の深い部分を循環します。
 夜中に起こる症状は、身体の深部に血の集まる時間だから、「瘀血」と関係するすることが多いと言われます。

 

 この方が普通の生活をして、外で働いていることを考えると、ものすごく「血」が足りなくなっている状態とは考えにくいので、取りあえずは「瘀血」の線からやってみようと思っています。

 

 写真は、去年の春に、近所の散歩をしながら撮った花。ツバキやハクモクレン、ジンチョウゲ、ウメなどは分かりますが、黄色い小花が集まったのと、ピンクの下向きの花は名前が分かりません。

 


 

 

 

 

 

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甘草を焼く

 

 甘草(かんぞう)は漢方処方でもっとも頻繁に使われる生薬でしょう。8割くらいの処方に、生姜とともに1、2グラムずつ入っています。

 マメ科の植物の根っこで、名前のとおりすごく甘い。生薬として輸入される何倍もの量が、味噌や醤油などの甘味料として入っています。

 

 この甘さが何に応用されているかというと、昔の本草書には「諸薬を和す」なんて書いてあります。つまり他の生薬のバラバラな働きをうまくまとめて、一つの処方として働かせる、というようなことでしょうか?

 

 甘草が主薬の場合には、甘いものを口にすると、気分や身体の緊張が、ホッと緩みますよね。だからこれを昔の人は、「急迫症状を緩める」といって、咽喉やお腹、胸の痛み、下痢、筋肉のけいれん、パニック障害など急性の症状に使ってきました。

 

 

 こういう見た目の生薬です。この写真の商品は、根っこを輪切りにしたものです。業界では「丸切り」と称します。

 「丸切り」の他には「砕き」というランク下の商品もあります。「丸切り」を作る過程でできた割れカスやごく細い根っこを刻んだもの。

 

 わたしは以前から、「丸切り」を使ってきましたが、太いりっぱな甘草が採れなくなってきて、ここ数年は、細い小さな丸と「砕き」にちかいモノのミックスのような商品になっていました。

 

 

 ところが、去年の途中から、上のような大きなもので、直径3センチほどのモノを含む商品が手に入り始めました。

 こういう太い甘草は、生育環境が良いのだから、薬として使っても、ちゃんとした効力を持っているだろうと、昔気質の漢方屋は考えるわけです。

 しかしそこには、別の問題が起こってきます。

 

 

 ライターの右側が大き目のモノを集めて、左は小さなモノ。この両方が同じ500グラム包装の袋に入ってきます。

 そら、大きいものばかりを集めた商品も作れますが、そうなるとやはりそれなりのお値段となります。大小つき混ぜて、これまで通りの値段ということで、ちょっと喜んで買わせていただいております。

 

 問題は、甘草を焙烙の上で焼かなければいけないからです。

 

 

 3センチの丸のものと、1センチのものを一緒に焼こうとするとどうなるか。大きな丸は、小さな丸の上に乗っかったままで、いくらかき混ぜても鍋肌に当たらないので、いっこうに焼けません。小さな丸のモノばかりが先に焦げてしまいます。

 

 では、なぜ甘草は焼かなければいけないか。

 昔の漢方の本には、漢方処方の説明に、生薬とその分量の他に、生薬に対する「下ごしらえ」も指示されています。

 去年のブログで、「牡蠣(ぼれい)」の下ごしらえで、4時間も焼くことを説明しました。

 

 

 甘草の下ごしらえは、「炙」=あぶる、という指示があります。焙烙の上で焦がさないように炒って、キツネ色に仕上げます。

 甘草を焼いていると、甘いものを焼くから、香ばしい香りがあたりに漂います。外からきた患者さんは、いい香りですねと言いますが、焼いている私は臭いに蒸せて、すこし気持ち悪くなっています。

 甘草を焼くときは、セーターなどは脱いで部屋の外に出します。換気扇を2台回していても、数日、その部屋はむつこい臭いが籠っています。

 

 他の生薬も、炒ると香ばしいだけではなくて、どこかイヤな臭いが出てきます。どうも、こうやって生薬のなかの「アク」みたいな悪いものを、追い出しているのじゃないかと思います。

 

 現代医学的には、甘草には「偽アルドステロン症」という<副作用>があると堅く信じられています。小便の出が悪くなって、浮腫んだり吐き気がしたり、血圧が上がったりするらしい。

 だから、甘草を含むほとんどの漢方処方の効能書きにも、「偽アルデステロン症」に注意せよ、とあります。

 

 しかし、私は30年以上、この商売をしていますが、その「偽ナントカ」を経験したことがありません。

 生薬の下ごしらえの中で、甘草を焼くことだけは、絶対にしなければいけないことだと、先生からは習ってきました。

 

 焼かない甘草が、「偽ナントカ」を起こすのではないかと、疑っております。

 

 

 話は元に戻って、大小さまざまの大きさの甘草を、どうやって均等に焼いていくか、ということです。

 大きなものを選って鍋肌に貼りつけながら焼いたりしましたが、指は火傷するし、手間ばかりかかります。

 結局、焼く前に大きなものは指で割って、ある程度、均等な大きさに揃えて焼くことになりました。それでも小さな欠けらは先に焦げますが、焼き方は簡単になりました。

 

 上の写真で、500グラムの袋、一つ分です。これを焼くのに、30分くらいかかります。

 

 もう一つ、甘草を先に割っておいて良かったことがあります。それは処方を作るときに、甘草を1日分あたり1グラム、2グラム、とか分けるのに、大きな丸と小さな丸が混在していると、同じ量に分けるのがとても面倒。小さな欠けらばかりだと、手の感じでざっと摘まんで分けていけます。

 

 この大きな丸切りの商品がいつまで来るのかは分かりませんが、その間はひと手間、掛かりります。

 

  

 

 

 

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