福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

福岡若手弁護士のブログ「ろぼっと軽ジK」は私です。交通事故・企業法務・借金問題などに取り組んでいます。実名のフェイスブックもあるのでコメントはそちらにお寄せ下さい。


テーマ:
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130523/k10014784071000.html
 2013/5/23大阪地裁+2014/5/9大阪高裁の判決は所得税法違反という刑法事案に対するモノであるが、並行している課税取消事案(行政事件)についても2014/10/2大阪地裁では国税を負かせている。
http://www.sankei.com/west/news/141002/wst1410020053-n1.html
  後述するが、国税不服審判所では納税者は連戦連敗であり、実は初勝利といっていい判決だからだ。

 国税庁が競馬の払戻金を一時所得と考える理由は、そうだと明言する通達があるから。それが国税のスタンスといってよい↓
 
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1490.htm
 一時所得に該当する場合、特別控除額50万円のほか、当該収入を得るために支出した金額(=当たりの払い戻しを受けた、当たり馬券の購入費だけ)しか経費控除できない。
 ただねえ、今どき競馬の配当金をわざわざ確定申告する人ってせいぜい馬主くらいじゃないのだろうか。

 他方、雑所得は、給与所得・利子所得・配当所得・事業所得・不動産所得・給与所得・退職所得・譲渡所得・山林所得・一時所得以外の所得を指す↓
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1500.htm
 
つまり、一時所得でなく、それ以外の種類の所得に該当しないときは必然的に雑所得に分類されるわけだ。
 
そして、雑所得については№1522(先物取引に係る雑所得等の課税の特例)など、利益が出た取引だけでなく損失が出た取引の際に要した経費と通算できるとする扱いがなされている。

 ところで、一時所得については、所得税法34条に【一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得】という定義がある。
 先ほどの一時所得の通達に当てはめると、競馬の配当金であろうとも、馬券を買う行動自体が営利を目的とする継続的行為に該当する場合であれば、一時所得から外れるのがごく自然な解釈であろう。

 だから、ニュースタイトルに「外れ馬券も必要経費に」みたく、全て一時所得から外れるかのような表記もあるが、拡大解釈といわねばならんでしょう。
 それと、雑所得の場合には年間取引の損益を通算できるように当然のように解説されているが、それは所得税法37条1項から導かれるのかいな。そこまで突っ込んで解説してくれている記事が無かったので。

 さて、所得税法違反の被告人には5年分の無申告課税による執行猶予判決が下された。それは申告しなかったという行動自体を所得税法で罰したものであるが、正直、申告することの期待可能性が薄かった事案だったといえる。
 執行猶予になった理由や求刑を大幅に下回る量刑になったこともその点を加味しているのではないか。

 http://www.k-nakamura-law.jp/publications20121129.html

Q2:どうして確定申告をしなかったのですか?

A2:当初、競馬の収支が黒字になったことから、確定申告をすることを考えました。
 しかし、インターネットで情報を集めて調べたところ、国税当局は、上述のようにはずれ馬券を経費として認めないことを知りました。
 そうすると、Aさんは、もし申告すると、自分の手元に残ったお金の何倍もの多額の税金を払わなければならなくなると思いました。

 Aさんは、普通の会社員として当時年収約800万円(額面)があったにすぎず、実際に手元に入った馬券の払戻金を大幅に上回る納税をすることは不可能でした。
 そのため、もし確定申告をして国税当局の言うとおりの納税を求められると生活が破綻してしまうと思い、確定申告をすることができなかったのです。


 通達にどうどうと「競馬の配当金は一時所得」と書かれていて、例外の要件が書かれてなくて、担税力を大幅に上回る課税がなされるおそれがあったら、そりゃ普通は怖くて申告できないだろう。税金だから破産しようと免れることもないのだから。

 申告するなら今でしょ!じゃなくなるよね。



 ところで、報道ではほとんど触れられていないが、国税不服審判所2012/6/27はおよそ競馬の配当金は《営利を目的とする継続的行為から生じた所得》に該当せず、あくまで一時所得だと説示している↓
http://www.lotus21.co.jp/ta/1301hdhf/481_09.pdf


その際に、馬券を購入する行為が継続的であろうと長期的であろうと的中率を向上させるシステムを組んでいようと、その有無で一時所得という性質が変わることは無いと判断しているようである。


 つまり、大阪地裁の今回の判断は国税側の初敗北といってよいし、無申告行為とは別に、脱税として検察が起訴したのも、担税力を無視した無茶筋だったように見えるが、国税不服審判所のこれまでの判断に照らすとき、検察庁は等閑するわけにはいかなかったことがわかる。新聞記者も速報ばかり夢中にならず、このくらい突っ込んで解説せんといかんぜよ、私なんかお金ももらわずこの記事書いてんだから。


 私の思うところだが、国税の硬直した解釈が仮に定着してしまうと、担税力を大幅に超える結果がまま導かれることになり(しかも破産で逃れることもできない)、利殖行為として競馬をやっている人に確定申告を促すことからますます遠ざかってしまう。

 具体的に妥当な結論を導けるよう、最高裁によって《営利を目的とする継続的行為から生じた所得》とはどのような場合か、競馬の配当金について一時所得でなく雑所得にあたる場合があるならどのような要件を充足した場合かを早期にハッキリさせることが望ましい。

 もしくは、判決確定だとどうしても時間がかかるだろうから、立法や通達のかたちで、競馬の配当金が例外的に一時所得から雑所得に組み替えられる要件を堂々と定立するように、JRAが政治家を動かすのも手かも。

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