道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思うころ、雨足が杉の密林を白く
染めながら、すさましい早さで麓から私を追ってきた―。
かの有名な小説『伊豆の踊子』の書き出しにある、そんな「つづら折り」の道路はゴルファー
にとっては日常茶飯事である。とかく、伊勢原カントリーへのつづら折りはもはや富士山
レベルという人もいる。
今回の舞台はその伊勢原市のちょっと南、神奈川県秦野市の東京カントリー倶楽部で
ある。ネットではまず予約がとれない、会員制のゴルフ場。先日のレイクウッドに続いて、
たまたま同伴者のツテでラウンドがかなった。
東名高速の秦野中井ICを下りると、街がほんのりと白く染まっている。前夜の雪が少し
残っているようだ。しかし、クローズになるレベルではない。ゴルフ場が近づいてきても、
雪は増えない。よし!と意気込んで、ゴルフ場への最後の細道へ右折すると・・・
車が停まっている。ずらっと並んで停まっている。この先には、人があつまる場所は
東京CCくらいしかないはずだ。ということはまさか、クローズか? 駐車し、外に出て
情報を集めようとすると、こんなフレーズが聴こえてきた。
「のぼれない」
そう、山の頂上付近にある東京CCのクラブハウスには、ここからつづら折りの山道を
あがっていかなくてはならないのだ。
なぜ、のぼれないのか。事故か? でもよく考えてみると、謎は解ける。路面が凍っている
から、ノーマルタイヤではつづら折りを進めないのだ。ふもとで何台もの車が立ち往生し、
1台、2台、3台・・・次々とあきらめてUターンで帰って行った。
さぁ、どうするか。立ち往生の列に、同伴する上司の車があった。どうしようかと迷った末、
上司は「・・・行ってみよっか。」と言った。上司の車と車間をだいぶ空けて、ついていく。
私の後ろにも、次々とついてくる。万が一山道でスリップした場合、これだとやばいのでは?
しかし、後ろの車を止めることはできない。
ストレートの山道は時速20kmちょっとで無難に進んだ。しかしつづら折りに入ってくると、
さすがに怖い。時速15kmくらいでおそるおそる進みながら、2度目のヘアピンカーブで
タイヤが空転した。その後も1回、2回と空転。
アクセルは強く踏み込めない。ブレーキなんぞ、かけられない。
「うわっ!」「うぉっ!」と独り言も多くなる。
年末の伊豆ドライブの前に、沼津のオートバックスでタイヤ交換しようとしたが、5時間
待ちで諦め、この冬はそのままノーマルタイヤでいたことが悔やまれる。なんとか頂上まで
たどりついてくれ!
最後のヘアピンをやっとの思いで越え、東京カントリーに到着した。
ちょっとした白銀ワールドである。先頭組もまだスタートできていないようで、多くの人が
ロビーやレストランでくつろいでいる。皆が皆、ここまでの道程の話題でもちきり。
富士山もきれいだった。なんか、これだけでもう満足だった。
一応、このあとゴルフもしたので、また次回以降。
(つづく)