ブリムストーン(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ブリムストーン(ネタバレ)

ブリムストーン



原題:Brimstone
2016/オランダ、フランス、ドイツ、ベルギー、スウェーデン、イギリス、アメリカ 上映時間148分
監督・脚本:マルティン・コールホーベン
製作:ウーベ・ショット、エルス・ファンデボルスト
撮影:ロジェ・ストファーズ
衣装:エレン・レンス
編集:ヨープ・テル・ブルフ
音楽:ジャンキー・XL
出演:ダコタ・ファニング、ガイ・ピアース、エミリア・ジョーンズ、カリス・ファン・ハウテン、キット・ハリントン
パンフレット:★★(700円/ビジュアル重視のパンフだとしても、内容が薄すぎでは)
(あらすじ)
小さな村で助産師として働く女性リズ。年の離れた夫や2人の子どもたちと幸せに暮らしていたが、ある事情から言葉を発することができずにいた。そんなある日、鋼のような肉体と信仰心を持つ牧師の男が村にやって来る。牧師から「汝の罪を罰しなければならない」と告げられたリズは、脳裏に壮絶な過去をよみがえらせ、家族に危険が迫っていることを伝えるが……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




60点


タイトルを耳にした時、連想したのは「ヤバダバドゥー!ヘ(゚∀゚*)ノ」というフレーズだった…というのはどうでも良いとして。「2018年1月公開で観たい映画の覚え書き」で△をつけたように、それほど興味はなかったんですが、愛聴しているラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」のリスナーカプセルに入りまして。昨年までは課題作品だけ鑑賞していたんですが、今年からはリスナーカプセルに選ばれた映画も観ることにしていたので、足を運ぼうかと思いきや! 都内では「新宿武蔵野館での2週間限定上映」のみだったので、すっかり見逃しちゃいましてね…。公式サイトのスケジュールをチェックすると、もう神戸とかでしか上映してなくて、さすがに無理だと諦めていたら、なんと新宿ピカデリーにて、2月24日(土)~3月2日(金)の1週間だけ公開されるということで、最終日に観てきました。「面白かったけどさぁ… (・ω・;) ウーン」と思ったり。


「ダークタワー」を観に行った際、ロビーでこのポスターに気付きまして。


公式サイトを見たら、上映劇場が増えていてラッキー!


最終日の4番スクリーン、ほぼ満席だった記憶。



「面白かったかどうか」を聞かれたら「面白かった!ヽ(`Д´)ノ」と答えるし、「観て良かったかどうか」を聞かれたら「観て良かった!m9`Д´) ビシッ」と即答しますけど、正直、「なにこの映画」感が否めなかったというか。本作は全4章で構成されているということで、箇条書きであらすじと感想を垂れ流してみますね↓


<第1章 啓示 APOCALYPSE>

映画が始まると、川に銃を撃ち込む男たちを少女が眺めている場面が流れてからタイトルが出て、第1章がスタート。舞台はアメリカの「生きるのが大変そうな開拓時代」でして。旦那と暮らす発話障害者のリズ(ダコタ・ファニング)は、後妻ということで長男とは折り合いが悪いものの、次女とは仲良しであり、助産婦として慎ましく暮らしていたんですが…。村に“牧師”(ガイ・ピアース)がやってきてからは、彼に怯えるようになりまして。しかも、産気づいた女性を助けるために器具を使って頭が大きすぎる胎児を殺したところ、その旦那が「オレの息子を殺した!ヽ(`Д´)ノ キィィィ!」と激怒して、銃撃してきたりするのです。

村にやってきた牧師を見て…。


怯えるリズ。その理由は何なのか?


僕は何の事前情報も入れてなかったので、この時点で「宗教&集団心理のせいで追い詰められる助産婦の話か ( ̄ー ̄) ハハーン」と。後半は魔女狩り的な悲劇に突入するのかな…なんて、昨年観た「ウィッチ」を思い浮かべていたら(ずっと曇り空で陰鬱な雰囲気が似てる)、どうやら2人は面識があっただけでなく、なんと牧師が襲撃してきて旦那を殺害するという急展開。リズは長男&次女と馬車に乗って逃げるから、「えっ、どうなるの!? Σ(゚д゚;)」と結構驚かされたというね。

牧師に旦那を殺され、家も燃やされて、馬車で逃げ出すリズたち。この先、どうなるのかーー?




<第2章 脱出 EXODUS>

続いて始まった第2章は、飲まず食わずで荒野を彷徨う少女ジョアナ(エミリア・ジョーンズ)が登場。倒れたところを馬車に乗った中国人一家に助けられるものの、娼館に売られてしまう…というあんまりな展開をいきなり見せられまして。とは言え、娼婦としてたくましく育ってダコタ・ファニングにトランスフォームし、“客からのキスを拒んで唇を噛んだら制裁として舌を切られた娼婦”リズと仲良く体を売るエブリデイだったんですけれども。そこに第1章にも出てきた牧師がやってきて、砂金で娼館を貸し切り&ジョアナを指名するのです。そこで、2人は過去に因縁があることがハッキリと発覚しつつ、彼女をかばってリズが死んだり、ジョアナが牧師のノドを切り裂いたりしましてね。ちょうどリズは他の町に住む“妻を亡くした男”のところに嫁ぐことになっていたので、リズの顔が焼けるように火を放つ→町医者を訪ねて舌を切断し、リズに成りすまして旅立った次第。

ジョアナが娼館「インフェルノ」で健気に働いていたら…。


そこに牧師がやってきたのでした。過去に何が!? (´Д`;) キニナルー


そして、舌を切られた娼婦リズに成りすまして旅立ってましたよ。


要は第1章のリズの過去を描いたパートであり、この章を観ることで「なぜリズは牧師を見て狼狽えたのか」がよりわかるんですが(リズは殺したと思ってた)、娼館での女性たちの扱いがとにかく無惨であり(優しい娼婦がプレイで絞め殺されそうになって客を射殺→縛り首にされたりする)、男たちも皆殺しにしたいほどのゲス揃いなので、なかなかキツいのです… (`Δ´;) ヌゥ とは言え、僕もバカじゃありませんよ(苦笑)、「第3章ではさらに過去に遡るんだな!」と気付きましてね、リズ(a.k.a.ジョアナ)がなぜ牧師から逃げ続けているのか、興味しんしん丸なのでした〜 (・∀・) フルイ!

娼館のオーナーは決闘すらズルをしたりと、とにかくクズでしたな。




<第3章 起源 GENESIS>

予想通り、ジョアナのさらなる過去が描かれるパートでして。オランダからやってきた牧師&妻アン(カリス・ファン・ハウテン)&娘ジョアナの3人で暮らしていたものの、牧師ったら妻が夜の営みを拒否→娘がちょうど初潮を迎えたことで、「これは神が私に娘とセックスしろと言っているのだ!Σ(°д° ) クワッ」なんて電波なことを言い出すから、全世界の人々が「おまえは何を言っているんだ (`Δ´;)」ミルコ顔ですよ。そんな中、娘は砂金を巡って殺し合いを繰り広げた“傷だらけのアウトロー”サミュエル(キット・ハリントン)を匿ったり、母親は夫に娘とのセックスを諦めさせようとしたら屈辱的な装具を付けられて自殺したりと、すったもんだがありました (´・ω・`し ションボリ で、最終的にはサミュエルが牧師に立ち向かってくれるも敗北し、ジョアナは父親にレイプされるという地獄。その翌朝、着の身着のままで荒野へ旅立ち、第2章オープニングに繋がるワケです。

父親は初潮を迎えたジョアナを狙うようになりまして。


抗議した母親はこんな辱めを受けて、教会で首吊り自殺。


目の前で自殺されても、牧師は「たわけ」のひと言で終了…って、虎眼先生が混ざっちゃった(わざとらしい文章)。


心優しいアウトローが助けようとするも、牧師に敗北→砂金を提供するだけという有り様。


結局、引きずられて実の親にレイプされるというね…。


もうね、ゲスすぎて口がアングリ状態でした。フィクションの世界では“父娘の近親相姦”は日常茶飯事ですが、現実問題として考えると「ねぇよ ( ゚д゚)、ペッ」というのが99.999パーセントの父親の意見ではないでしょうか。これ、自分の母や姉たちへの目線とも共通することなんですが、最初から「性的に見る選択肢がない」というか、むしろ生理的嫌悪感しか湧かないワケで。それ故、自分に娘が生まれてからは、実の娘に手を出すようなクズには不快感がバイバインであって、本作の“神の名の下に娘を犯そうとする牧師”なんて、マジで死んでほしくて仕方なかったんですが、しかし。あそこまで堂々と娘とのセックスを熱望されると、ちょっとバカ負けするところもあって。これって、イスラム圏での女性の酷い扱いを観た時に感じる「こいつらに道理を説いてもムダなんだろうな… (`Δ´;)」という感情に近いというか。いわゆる「宗教」って「人々の救いになっている」以上に「迷惑をかけることの方が多いんじゃないか」なんてことを思ったり。



<第4章 報復 RETRIBUTION>

牧師とジョアナの因縁があらかた語られたところで、時間軸的には第1章の続きが始まって。ジョアナたちは馬車で逃げるも、長男が射殺されるわ、旦那の実家にもやってきて義父を殺すわと、牧師ったらやりたい放題ですよ。で、「ジョアナを拘束した目の前で、まだ幼い次女を犯そうとする」から、僕も怒りで脳が沸騰して九九も言えないレベルに陥ったんですが、しかし。ジョアナったら肩が柔軟だったおかげで拘束から解放→牧師に火を点けてから射殺!川`Д´)ノ ファーック! 旦那の実家で製材所を始めて、めでたしめでたし…とはならず。本物のリズはジョアナを助ける前に娼館の主人を殺していた→リズに成りすましていたジョアナが代わりに逮捕されてしまうから、なんじゃそりゃあああああああ!Σ(°д°;) ヒデェ! 連行される途中、ジョアナは縛られたまま川に飛び込んで、保安官たちが川に向かって銃を撃つ…というオープニングと繋がる場面になりましてね。すっかり成長した次女による「あの人は頑張ったわ… (ノω・、し オカアサン」的なナレーションが流れて、終わってたんじゃないかしらん(ウロ覚え)。

牧師を火で焼いた挙げ句、射殺して、やっと幸せになれるかと思ったのに…。


最後は入水自殺して終わってましたよ ('A`) ゲンナリ


ハッキリ言って、第4章の牧師ったらホラー映画の殺人鬼並の神出鬼没振りで、ここから映画のテンションが少し変わった印象。もしかすると、やはり第2章の時点で死んでいて、“当時の女性たちを追い詰めていた社会の想念”みたいな怪物になっていたのかもしれませんが、牧師に有利な展開がつるべ打ちでまったく納得できなかったというか。成長した次女が“すべて知っている風”な美談ムードで終わるのもイラッとしたし…(誰が“ジョアナの人生”の真実を彼女に教えたの?)。ごめんなさい、僕的には本作が何を言いたいのか、サッパリでしたよ。



さて、あらためて全体を通した感想を書くと、タイトルの「Brimstone」はもともと「硫黄」という意味だそうですが、「地獄の業火」や「激しい情熱」、「口やかましい女」なんて女性蔑視的な意味もあるそうで、なるほどなぁと。本作は「フェミニズム映画」なんて言われているそうですけど、残念ながら僕にはよくわからなくて (´∀`;) エヘヘ 監督の狙いなんでしょうけど、主人公を苦しめるための出来事があまりにご都合的に感じたし、あえて「当時の女性たちの苦難」を見せたかったのなら“取って付けたような娘のモノローグ”はいらない気がするし、微妙に消化不良だったんですよね。


ガイ・ピアースのインタビュー動画を貼っておきますね↓ 言いたいことはわかるんですが…。




とは言え、先が読めなくてハラハラしたし、ダコタ・ファニングを始めとする役者さんたちの演技は素晴らしかったし、残酷な描写の数々もいろいろな意味で良かったし、面白かったのも確か…というどっちつかずな着地 (・ω・;) ウーン かなりヘビーな作品ですけど、一見の価値はあるような気がします、たぶん。




オランダで大ヒットしたというマルティン・コールホーベン監督作。少し観たい。



ある意味、少し似ていた映画。僕の感想はこんな感じ



自殺したお母さん役の人が主演だって、パンフを読んで気付きました。大好きです。



一応、貼っておきますよ。ヤバダバドゥー!ヘ(゚∀゚*)ノ ホエホエ!