ベイビー・ドライバー(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ベイビー・ドライバー(ネタバレ)

ベイビー・ドライバー

ベイビー・ドライバー

原題:Baby Driver
2016/アメリカ 上映時間113分
監督・製作総指揮・脚本:エドガー・ライト
製作:ナイラ・パーク、ティム・ビーバン、エリック・フェルナー
製作総指揮:アダム・メリムズ、ジェームズ・ビドル、レイチェル・プライアー、ライザ・チェイシン、ミシェル・ライト
撮影:ビル・ポープ
美術:マーカス・ローランド
衣装:コートニー・ホフマン
編集:ポール・マクリス、ジョナサン・エイモス
音楽:スティーブン・プライス
出演:アンセル・エルゴート、リリー・ジェームズ、ケビン・スペイシー、ジェイミー・フォックス、ジョン・ハム、エイザ・ゴンザレス、ジョン・バーンサル、CJ・ジョーンズ、フリー、スカイ・フェレイラ、ラニー・ジューン、ビッグ・ボーイ、キラー・マイク、ポール・ウィリアムズ、ジョン・スペンサー、ウォルター・ヒル
パンフレット:★★★(720円/長谷川町蔵さんと町山智浩さんのコラムが良い感じ)
(あらすじ)
天才的なドラインビングテクニックで犯罪者の逃走を手助けする「逃がし屋」をしているベイビー(アンセル・エルゴート)は、子どもの頃の事故の後遺症で耳鳴りに悩まされているが、音楽によって外界から遮断さえることで耳鳴りが消え、驚くべき運転能力を発揮することができる。そのため、こだわりのプレイリストが揃ったiPodが仕事の必需品だった。ある日、運命の女性デボラ(リリー・ジェームズ)と出会ったベイビーは、逃がし屋から足を洗うことを決めるが、ベイビーの才能を惜しむ犯罪組織のボス(ケビン・スペイシー)に脅され、無謀な強盗に手を貸すことになる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




80点


最初に書いておくと、今回は本当にバカバカしい感想になっています。いや、そんなのはいつものことなんですけど(苦笑)、各方面から「今年のベスト!m9`Д´) ビシッ」なんて声が聞こえるほど評判が高い本作ですよ、「ちゃんとした文章を期待して読まれたら、心底ガッカリされるだろうなぁ (´・ω・`)」って思うと胸が痛いのでね、警告しておこうと。本作については、尊敬する映画評論家の町山智浩さんによる「たまむすび」での紹介「映画ムダ話」(216円)、そして菊地成孔さんによる熱い特集をチェックすれば問題ないので、こんなブログからは即立ち去った方が良いのです…。

そんな無闇に後ろ向きな駄文を垂れ流しつつ、とは言え、自分なりの感想を残すとするならば。エドガー・ライト監督作はなるべく劇場で観る主義だし、前評判も高かったので、それなりに期待していたものの、周囲の映画仲間たちの評価があまりにも高いゆえに「当分やってるだろ (`∀´)」と後回しにしちゃいましてね。公開から1ヵ月以上過ぎた10月1日=映画の日、TOHOシネマズ新宿「僕のワンダフル・ライフ」を観てから、やっと新宿バルト9にて鑑賞いたしました。「お見それしました m(_ _ )m」と思ったり。


シアター8、ほぼ満席でした。
シアター8

鑑賞後の僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね(「刃牙道」より)。
お見それしました


「おっもしろい!おっもしろい!( ゚∀゚)o彡゚」「はじめの一歩」「まっくのうち!」コール風に)なんて前評判を聞いて、「あー、はいはい、さぞ面白いんでしょうねぇ ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」なんてスカした態度で観てみれば、超面白かった!Σ(°д°;) スゲェ! 映画冒頭のカーチェイスからハートを掴まれちゃって、その冒頭6分が終わってから入って来た隣の席のカップルに「YOUたち、もう1回、最初から観た方がいいYO!m9`Д´) ビシッ」と忠告したくて仕方なかったほど。もうね、エドガー・ライト監督作の中で最も完成度が高い上に、変なアクもなくて観やすくて、ちょっと偉そうに書くと、ひと皮剥けた印象というか。サントラも最高だし、ミュージカルのように音楽とアクションを合わせた演出も素晴らしいし、ケヴィン・スペイシーはスタッフにセクハラした上に高圧的な態度だったし…(唐突な告発)。すでに名作認定されているのも納得のクオリティなのです。


冒頭6分の公式動画があったので、貼っておきますね↓ これはスゴいよ、マジで。




一応、エドガー・ライトが昔作ったMint Royale「Blue Song」のPVも貼っておきますね↓




当ブログの恒例として、若干のウソを交えながらあらすじを書くと、主人公のベイビー(アンセル・エルゴート)は犯罪組織のミヤネ屋“逃がし屋”でして。幼いころに遭った交通事故(両親が死亡!)のせいで耳鳴りが止まらない→打ち消すためにいつもipodで音楽を聴いているものの、超スゴ腕のドライビングテクニックを有していましてね。昔、裏社会の大物ドク(ケビン・スペイシー)の車を盗んだことから多額の借金を背負わされてしまい、それを返済するために、犯罪者たちを車で逃がすエブリデイ。耳の不自由な里親ジョー(CJ・ジョーンズ)は超心配しているんですが、とりあえず“あと1回の仕事”で返済が終了すればカタギに戻れるし、行きつけのダイナーのウェイトレス・デボラ(リリー・ジェームズ)とも恋に落ちたりしたし、何の問題もないと思っていたんですけれども。


ベイビーはスゴ腕の逃がし屋として、犯罪幇助に精を出してましてね。
逃がし屋稼業

その原因は、ドクに大きな借りを作ってしまったからなのです。
ドクとベイビー

でも、もうすぐ借金は完済するし、デボラとも知り合えたし、これからの人生は上向きになると思ってた。アタシ、そう信じてた!ヽ(´Д`;)ノ アァン
デボラとベイビー


所詮、ドクは犯罪者ですよ、逃がし屋を続けるように脅迫してきましてね(微笑)。気に食わない奴は即殺す主義のバッツ(ジェイミー・フォックス)と、バディ(ジョン・ハム)&ダーリン(エイザ・ゴンザレス)の犯罪者カップルたちと郵便局を襲撃することになるから、さぁ大変! というか、郵便局を下見してみれば、気の良いおばちゃんがいたりしたし、そう言えばバッツが殺した人を車ごと処分したりとかしてたけど、「アタシ、被害者の気持ち、全然分かってなかったんだ…」「ももへの手紙」ライクに反省&開眼!Σ(°д° ) クワッ いつもかけていたサングラスを外して“己の現実”をしっかり見据えたベイビーは、いろいろあって迎えた郵便局襲撃の当日、バッツが「さっさと車を出せ!」と銃口を向けてきたので、“48の殺人技+1”ベイビードライバーをお見舞いだッ!ヽ(`Д´)ノ ウォォォォォッ


この4人でドクの犯罪計画を実行しようとするも…。
ベイビーとバッツとダーリンとバディ

首・両腕・両脚を同時に折る殺人技、ベイビードライバーにより、バッツは即死するというね(「キン肉マン」より)。
ベイビードライバーっ!!


バッツが死亡して、残ったベイビーとバディ&ダーリンは警察に追われることになって。銃撃戦が勃発すると、ダーリンが射殺されちゃったから、優しかったバディが復讐鬼にトランスフォーム!( ゚д゚) ブッコロス! ベイビーは何とかデボラと合流して、ドクを頼ってみれば、そこに“バッツのせいで怒っている警察”やらバディやらもやってきて、てんやわんやの大騒動になるんですが、しかし。最終的には、ベイビーがバディをリバースフルネルソンの体勢に捕らえて、満を持してのベイビードライバー'91が炸裂!ヘ(゚∀゚*)ノ ヤッタァ! ベイビーは三冠ヘビー級王座を見事防衛したのでしたーー。


'91は、手のクラッチをギリギリまで放さないので、超危険な技なのです「三沢光晴vs川田利明/1994年6月3日武道館」より)
ベイビードライバー'91


すみません、それとなく言い訳を書いておくと、本作のタイトルを耳にしてからずっと、プロレスの技名としか思えなくて。たいして面白くもないことは十分承知しているんですが、このブログは「思いついたことはなるべく残しておきたい」という方針なので、カエルを刺して溺れ死ぬサソリのように、どうしても貼らざるを得なかったのです(僕はサソリ座だし…という非科学的な文章)。もちろんそっ閉じしてもらって構わないのですけれども、コラ画像&gifを作るのに8時間かかったということでね、これを読んでいるあなたが少しでも僕に情けをかけてくれるのなら、許してほしい…許してほしいのです… (ノω・、) ゴメンナサイ


なんとなく偉そうに許しを請う松尾象山を貼っておきますね(「餓狼伝」より)。
許しなさい


閑話休題。本当のオチを書いておくと、最後は駐車場であーだこーだと揉めた挙げ句、バディを倒しまして。デボラと一緒に逃走するのかと思ったら、警察に投降。良い子だったことをいろんな人が証言してくれたおかげで、情状酌量されて刑期がググッと短くなって。最後は、出所したベイビー(本名はマイルズ)をデボラが出迎えてくれて終わったんですが…。なんかね、「罪を犯した主人公がちゃんと罪を償ってハッピーエンド」というのは、実にエドガー・ライトらしいというか。不良少年の真っ当な更正映画という感じがして、非常に好感が持てましたヨ ( ;∀;)イイハナシダナー

あと、本作は「映画の見方」を学ぶのに最適なんじゃないかと思ってて。なんて言うんですかね、エドガー・ライト監督って「画面に映るものすべてに意味を持たせている」そうですが、「ニーチェの馬」を観てもサッパリだった僕でも“ある程度”は理解できる=スゲーわかりやすく作られているんですよね(「ベイビーがサングラスを外す」とか「ドクやバッツやバディが父親的存在」とか)。だから、「あれってこういうことじゃね?Σ(゚д゚)マサカ?」と、多くの人が“意味”に気付きやすい=映画を観るのがより楽しくなるんじゃないか…って、伝わりますかね。しかも、オタク趣味に走るのではなくエンタメ性が高いから本当にスゴくて、新宿バルト9で未だに公開されているのも頷ける話ですわな(11/15現在)。

その他、「音楽に合わせたカーアクションが楽しかった!」とか「ドクの甥っ子が愉快」とか「音楽に合わせた銃撃戦が素敵だった!」とか「ジョン・バーンサルがチンピラ役で出ててうれしかった!」とか「先の展開が読めなくてハラハラした!」とか「今の若い人は、子どものころに手にする音楽再生機器がipodなのか…(`Δ´;) ソウカ...」とかとか、好きなところは多いんですけど、かなりストライクだったのが、ジェイミー・フォックス演じるバッツ。粗暴だけどバカじゃなくて、こちらのウィークポイントを確実に突いてくる口撃がマジで怖かったです。ただ、彼が強盗前に言う「あそこに集められている金はもともとオレたちのものだ! (`Δ´)」の台詞にはね、意外とグッときたりもして。よくよく考えると、毎年毎年毎年毎年、「年末ジャンボ宝くじ」を買っているのに300円程度しか当たらない身としては、みずほ銀行にあるお金は僕のものなんじゃないかーー(アウトな精神状態)。


ジョン・バーンサルが犯罪者役で登場すると、ホッコリしますな (´∀`=) ホッコリ
グリフ(ジョン・バーンサル)

ジェイミー・フォックス、さすがでした…って、やだ、エレクトロを貼っちゃった!(わざとらしい文章)
アメスパ2のエレクトロ


って、べた褒めなのに80点なのは、「デボラが女神すぎ(「男女問わず、不良少年を更生させるにはあのぐらいの愛情が必要」と考えると許せなくもないけど、そういうニュアンスじゃないもんね)」とか「終盤のドクの“良い奴”化はちょっと…」とか「最後は立体駐車場での車相撲じゃなく、抜けの良いカーアクションで終わってほしかった」といった不満があるだけでなく。そもそも車に興味がないから…という身もフタもない理由。本作の完成度はハンパじゃないし、エドガー・ライト監督には「お見それしました m(_ _ )m」と感服しつつも、個人的な好みとしては「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う」の方が好きだったりします(27000円近いお金を使ったという思い入れもあるしね)。まぁ、何はともあれ、スゲー良くできた“万人向けの面白い映画”なのは間違いないので、未見の人は要チェックですぞ。




高確率でほしくなるサントラ。デジタル盤の他、国内盤輸入盤もあります。



来年の1月にはソフトがリリースされるそうな (・∀・) ハヤイネ



27000円近いお金を使うことになったエドガー・ライト監督の前作。僕の感想はこんな感じ



裁判所の通訳役で出演していたウォルター・ヒル監督作。本作に影響を与えております。