溺れるナイフ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

溺れるナイフ(ネタバレ)

※今回の記事は、この映画や原作漫画が好きな人は不快になる恐れがあるので、読まない方が良いです。
※今回の記事は、映画とは関係のないどうでも良い文章がダラダラと書かれているので、他のブログに行った方が良いです。
※今回の記事には、グロい画像が貼ってあるので、そういうのが苦手な人は読んじゃダメ!


<この映画を観る前の心境について>

まったく関係ありませんが、本部以蔵の画像を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。
溺れるンだよ

ここ最近、仕事や家庭が忙しくなっていて、趣味の時間を作るために睡眠を削るのがキツくなってきたこともあって、今年は「新作映画は120本しか観ない」という鉄の掟を決めたにもかかわらず! 4月に劇場と一体化する試練「バルト9」を実行したことにより、映画熱が急激に高まってしまって。人から薦められた作品やらちょっと興味が湧いた良さげな映画やらを観まくってしまったため、11月現在、まだ8月公開作の感想をアップできていないという体たらくでしてね (´・ω・`) ションボリ もうね、10月ぐらいからはあまり映画を観に行けていないのですよ(って、現時点で11月は6本観ちゃってますが…)。

さらに、当ブログのタイトル画像にいつもジャン=クロード・ヴァン・ダムを起用していることからわかるように、僕自身は基本的にアクション映画を好んでいるということで(「人は生きているだけで“アクションしている”と言えるんじゃないかな? ( ´_ゝ`)」的な話は置いとくとして)、今、興味がない映画を観に行く余裕は時間的にも精神的にもナッシング。ハッキリ言って、今回の「溺れるナイフ」のような「破裂しそうな恋と衝撃を描いた伝説的少女コミック奇跡の映画化!」なんて作品は、1ミリも観る気がなくて。そんな映画に足を運ぶぐらいなら、「破裂する人体の衝撃を描いた伝説的少年コミック奇跡の映画化」である実写版「北斗の拳」でも観ますよって話。

頑張って秘孔を突くゲイリー・ダニエルズを貼っておきますね。ごめんなさい、そんなに面白い映画じゃないです。
実写版北斗百烈拳

ところが、愛聴しているラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」(略称:タマフル)の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題映画になった上に、なんと山戸結希監督はタマフルリスナーとのこと(「ぼくのエリ」評の時にメールが読まれたそうな。ちなみにサンスケさんも出てきてビックリ!)。こうなると観に行かざるを得ないということで、TOHOシネマズ新宿に足を運んだんですが…。上映前に流れる女子向けの予告編ラッシュが凄まじかったというか。「マイ・ベスト・フレンド」はまだ良かったんですけど、「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」から「イタズラなKiss THE MOVIE ~ハイスクール編~」「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」「きょうのキラ君」と立て続けに浴びせられて、鑑賞前にお腹いっぱいだったのでしたーー ('A`)

4番スクリーン、満席でした。女性客が9割で、単独で来た男性は僕ぐらいっぽかったです。
4番スクリーン












溺れるナイフ

溺れるナイフ

2016/日本 上映時間111分
監督・脚本:山戸結希
原作:ジョージ朝倉
脚本:井土紀州
製作:依田巽、中西一雄
エグゼクティブプロデューサー:小竹里美
企画:瀬戸麻理子
プロデューサー:朴木浩美
Co.プロデューサー:永田博康
音楽プロデューサー:菊地智敦
撮影:柴主高秀
照明:宮西孝明
美術:三ツ松けいこ
録音:飴田秀彦
整音:山本タカアキ
VFXスーパーバイザー:オダイッセイ
衣装:伊賀大介
編集:平井健一
音響効果:齋藤昌利
音楽:坂本秀一
主題歌:ドレスコーズ
助監督:深野剛義
ラインプロデューサー:芳川透
出演:小松菜奈、菅田将暉、重岡大毅、上白石萌音、志磨遼平、斉藤陽一郎、嶺豪一、伊藤歩夢、堀内正美、市川実和子、ミッキー・カーチス
パンフレット:★★★(720円/記事が多くて、ロケ地マップも載ってて、美術さんの話とか良かったけど、監督のことを「やまとん」なんて呼ぶ文章を載せるのは、個人ブログならともかくパンフではやめてほしい。気持ちが悪い)
(あらすじ)
東京で雑誌モデルをしていた少女・夏芽(小松菜奈)は、父親の故郷である田舎町・浮雲町に引っ越すことに。自分が求めていたものと大きくかけ離れた田舎での生活にがっかりする夏芽だったが、地元一帯を取り仕切る神主一族の跡取り息子コウ(菅田将暉)と出会い、彼の持つ不思議な魅力に心を奪われる。そしてコウもまた、この町では異質な夏芽の美しさに次第に惹かれていく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


「なんだい……あれ……?? Σ(゚д゚;)」と驚きましたよ。


鑑賞中の僕の気持ちを代弁するジャック・ハンマーを貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。
なんだい…あれ!?


前置きが長くなったので、感想は手短に(本末転倒な文章)。本作は好きなところと合わなかったところがあって。まず、好きだったのは、主人公2人を映す映像が美しく叙情的で、その心情描写が独特だったこと。鑑賞前に劇場で流れた予告編で散々見せられた「いかにもな少女漫画原作映画」(これはこれで悪いものではないんですが)とはまったく違った語り口に、子どものころに大林宣彦監督の映画を観てワケがわからなかったのを思い出したというか。雑に書くと、主人公が突飛に見える行動を起こす→ピアノがポロロンポロロン(もしくは挿入歌)→「なんだい……あれ……?? Σ(゚д゚;)」といった感じに物語が進んでいって、いちいち圧倒された…って伝わりにくいですな (´∀`;) スミマセン

とにかく主演の2人が美しく瑞々しく撮られていて。「野性味や幼児性も含めた思春期の若者の美しさを切り取った作品」という繋がりで、内容は違うんですが(汗)、今年観た「裸足の季節」を連想いたしました。恥ずかしながら全然存じ上げなかったんですけど、山戸監督は、インディーズ映画では“少女たちの描き方”を絶賛されていたそうで、「なるほどなぁ」と(本人もこだわってる様子)。もうね、小松菜奈さんに関しては、今まで僕が観た出演作の中で最も魅力的に見えましたよ。ハッキリ言って、僕には理解しがたい雰囲気の映画ではあって、観終わった今もよくわかってない部分が多いものの、確かに山戸監督は才能がある人だと思ったり。


小松菜奈さん、素晴らしかったですな。
夏芽(小松菜奈)

今年は出演作を4本観ている菅田将暉さんも色気があってゾクゾクするね(不要なリンク)。
コウ(菅田将暉)

山戸監督が注目されるキッカケとなった「あの娘が海辺で踊ってる」の予告編を貼っておきますね↓




で、僕的には非常にグッときたポイントが3つあって。1点目は「夏芽がコウとのバイク2人乗りを幻視するラスト」。2人が思いついた単語を「連想ゲーム」というか「トランペット吹きながら」ライクに次々と挙げていくんですが…。僕が娘のマナ子(仮名/5歳)を抱っこして歩いている時、娘が上機嫌に「おにぎり!川`∀´)」「テーブル!川`∀´)」などと頭に浮かぶ言葉を次々に言うことがあるので、すっかりそれが重ねってしまって。「そうか、僕の娘にもこんな青春が来るのかもしれないな… (ノДT)」なんて思って涙が止まらなくなった…というのはどうでも良いですかね。


2人の多幸感と取り返せない喪失感が合わさって、非常に良いラストだったと思います。
ラストの2人乗りシーン


2点目は「“若いころに憧れた人”の話」として面白かった。僕が高校時代に憧れていた同い年のバレーボール部部長に関しては、「ヤング≒アダルト」の感想で書いたことがありますけど(汗)、彼の結婚式に出席した時にしんみりしたのが、当時は“我が物顔のように校内を支配していた不良たち”もすっかり普通のオッサンになってたこと。久しぶりにバレー部の先輩に会った時、つまらない韓国スナックに連れて行かれて奢らされた時も思ったんですが、「どんなにスゴく見えても、所詮は高校生だったんだよなぁ」と。僕自身は本作の主人公たちのように「自分に万能感を感じたこと」なんて人生で1度もないので、それほど心情がわかるワケではないものの、思春期特有の“憧れ”やら”世界の狭さ”やら自体には共感するところがあったので、鑑賞後はしみじみ昔を思い出したりした次第。

3点目は「フラレた時、人はどうすべきか?」が描かれていたこと。本作で何よりも胸を掴まれたのは「夏芽と一時付き合うも最終的にはフラレる」という恋愛モノでは非常にありがちな咬ませ犬的役割を果たした大友勝利でしてね(というか、大友といい広能といい、なぜ「仁義なき戦い 広島死闘篇」から名前を引用してるのか?)。演じた重岡大毅さんに関しては、地元の方言が話せる若手俳優でも起用したのかと思うほど自然な雰囲気だったので、エンドクレジットでジャニーズの人だと知ってビックリ…って、この認識は古いんでしょうな。大友は夏芽をポジティブにする存在なんですけど、夏芽にちょっかいを出して笑わせるくだりの演技が実に見事なのです(もちろん山戸監督の手腕&小松菜奈さんの演技力もありますが)。


重岡大毅さん、失礼ながら初めて知りましたよ。
大友(重岡大毅)


で、本作は長回しが多々あるんですが、「カラオケスナックで夏芽にフラレる場面」では超感動させられましてね… (ノω・、) 「夏芽が映画に主演するために東京へ行く」ということで、並みの男だったら、不機嫌ヅラでその場から立ち去ったり、偉そうになじったり、「じゃあ、最後に1度だけセックスしようよ (´Д`;) ドウ?」なんて残念な提案をしたりしそうなところ!(ブログ主の品性が見え隠れする文章) なんと大友ったら、吉幾三さんの「俺ら東京さ行ぐだ」を全力で歌って笑顔を見せるのです!m9`Д´) ビシッ これは人として100点の対応であり、ちょっと若いころの武田鉄矢さんっぽくて笑っちゃいながらも、非常に心に染みたし勉強になりました。


「エクスペンダブルズ2」でスタローンにフラレたユー・ナンが頭に浮かんだ…って、誰も共感しないよね。
三角絞めでつかまえて-すぐに微笑んだ!


その他、「入江を人工的に見せた場面は驚いた」とか「一部のシーンで口の動きと台詞を合わせなかったのはわざと!?」とか「階段を登るカナと下る夏芽の対比」とか「パンフで椿が造花だと知って感心」とか「『火祭り』と聞くと連想するのはこっち」とか思うところはあるんですけど、長くなるので割愛!ヽ(`Д´)ノ 逆に合わなかったところを書くと、根本的な物語設定。「モデルとして活躍する美少女が美形の少年と恋仲になって、さらに誠実な少年が片想いしてくれる」なんて話、正直、43歳のアクション映画好きのオッサンが観るにはいろいろな意味で厳しいところはあるじゃないですか。特にコウに関しては、あくまで「夏芽視点から観た“スゴい少年”」ではあるし、「(犯行は未遂に終わるけど)レイプ野郎から夏芽を守れなかった」という挫折を味わうとしても、どうしても「こんな奴、いるか!( ゚д゚)、 ペッ」って感じがして、ごめんなさい、結構どうでも良かったです。


例えば、崩れた帯をサラッと直すとか憎い! 普通なら「じゃあ『あーれー』をやってみようよ (;`∀´)」ってなるはず(偏見)。
帯を直す神主の息子


それと、本当に個人的な好みでしかないんですが、レイプ野郎(演じた嶺豪一さんが気持ち悪くて最悪すぎ←誉め言葉)が再襲撃してくるという展開に乗れないし、その時の「現実かな? 妄想かな? (`∀´) フフフ」という演出もよくわからなくてイラッとしたし、最後に「レイプ野郎が満足げに自殺する」のも納得できないし、「その死体をコウとカナが処分した」ってくだりも「なんだかなー (゚⊿゚)」って感じ。つーか、厳しいことを書きますけど、レイプ野郎に昏倒させられてから1年経ったコウが、結局、何も成長してなくて超ガッカリですよ。まぁ、「ナイフを持つようになった」までは許すとしても、例えば「不良の先輩に諫められて『男の喧嘩は素手が基本』ということを知ってナイフを捨て、神社に代々伝えられていた古武術「熊野流」を学んで戦闘力を飛躍的に向上させていた→レイプ野郎を素手で殺害する」なんて展開になっていたらなぁ…(遠い目)。


ナイフを持つも地元の先輩に諫められたコウは神社に伝わる古武術を学びまして。
男の喧嘩ァ素手が基本だァ

コウったらすっかり立派な体格になって、夏芽を襲うレイプ野郎の前に登場だッ!
レイプ犯発見!

もう視線だけで殺せそうな勢い。1年でここまで変わるとは、どれほどハードな修行をしたのか!?
怒り心頭の藤巻十三

「殺してェェェッッ」と叫ぶ夏芽。ごもっともですな。
殺してェェェッッ

すると、レイプ野郎は刃物でコウを刺そうとするんですが、しかし!
刃物で攻撃!

グレート巽が解説するように、人は刃物を手にするとそれを使用する以外の行動ができないのです。
刃物を手にするとそれ以外の行動ができない

“刃物の力に溺れた男”(タイトルはこれが由来)の攻撃をなんなく受け止めて、サッと投げの体勢に移るコウ。
刃物を奪って投げ!

古流殺法・大門坂落としが炸裂! 頭骨が粉砕されて脳がこぼれちゃった!(´∀`) ヤダー
頭骨粉砕!

そして素早く逃走。夏芽は今もコウが飛び去っていく後ろ姿を思い出すのでしたーー(以上、「餓狼伝」より)。
去って行く藤巻


って、少女コミックとしては台無しですな ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ ううむ、短くまとめるつもりだったのにダラダラと駄文を書き散らかしてしまいましたが(汗)、強引にまとめると、非常に独創的で魅力的な青春映画でしたよ。山戸監督の作風が飲み込めるかどうかで評価がわかれそうというか、ワケがわからなく感じる人も少なくないと思いますけど(僕もその1人)、人によっては超ストライクになる1本なのは間違いないので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいな。




ジョージ朝倉先生による原作漫画。全17巻だそうです。



山戸結希監督作。かなり評判良いのです。



映画のノベライズでございます。



ドレスコーズによる主題歌。「GANTZ:O」の主題歌も入ってるのね。