クズとブスとゲス(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

クズとブスとゲス(ネタバレ)

クズとブスとゲス

クズとブスとゲス

2015/日本 上映時間141分
監督・脚本・プロデューサー:奥田庸介
プロデューサー:小林岳、福田彩乃
共同プロデューサー:黄田脩民、中村安次郎
編集:小野寺拓也
録音:根本飛鳥、井手翔平、伊豆田康明
照明:松永光明、吉永良芽生、山崎賢児
美術:武田明子、須藤彰
小道具:黒田竜太郎
ヘアメイク:横山めぐみ、高田瑛
音響効果:田中俊
整音:山田良平
編集:小野寺拓也
助監督:小林岳、嶺豪一
制作:山崎遥、寺田菜摘
スチール:渡辺茉琳
出演:奥田庸介、板橋駿谷、岩田恵里、大西能彰、カトウシンスケ、芦川誠、泉水美和子、中上サツキ、脇田敏博、竹井直道、片倉わき、小柳美李、亀山スーザン久美子、小橋正佳、山崎皓司、飯田芳、栗山英宜
パンフレット:★★★★☆(700円/ちょっと読みにくいけど、監督インタビューの青さと熱さに泣いた。紙相撲も付いてる!)
(あらすじ)
見知らぬ女性を拉致監禁し、裸の写真をネタにゆすりで生計を立てるスキンヘッドの男(奥田庸介)。男はヤクザの下で働く商売女を毒牙にかけてしまい、逆にヤクザ(芦川誠)から恐喝されるハメになる。麻薬の売人から足を洗いながらも職が見つからず、恋人(岩田恵里)の誕生日プレゼントを買う金ほしさに、また売人の道へ足を踏み入れるリーゼントの男(板橋駿谷)。男からのプレゼントに恋人は喜ぶが、それが売人で得た金と知り大喧嘩となる。1人バーで心の傷を癒す女にスキンヘッドの男が近づき、いつものように女を罠にかけ、女は金のためにデリヘル嬢として客を取るようになる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




80点


ちくしょう、超今さらながら7月公開作の感想を残しておきますよ。7月上旬、「FAKE」を観た時に予告編が流れて、“スキンヘッドの男”のインパクトに胸を掴まれたので、思わず前売り券を購入(特典の「リーゼントの男のステッカー」もキュートだし!)。なかなか足を運べなかったものの、仕事がひと段落した8月下旬、渋谷のユーロスペースで勝手な4本立てとして、「ケンとカズ」「チェブラーシカ 動物園へ行く」「ちえりとチェリー」と続けて鑑賞いたしました(で、その後に1回目の「HiGH&LOW THE MOVIE」を観た)。「スゴいものを観たな… (`Δ´;) ウ-ム」と思ったり。本作は「衝撃のどんでん返しが!Σ(゚д゚;)」という感じではないものの、先の展開を知らない方が面白いのは間違いないのでね、バイオレンス映画に興味がある方は読まない方が良い…って、もう11月だからほとんどの場所で上映してないんだよなぁ…。


つい購入した前売り券。「ソング・オブ・ラホール」は使えなかったというね (´・ω・`) ションボリ
7月上旬に買った前売り券

劇場にはサイン入りポスターが貼ってありまして。
サイン入りポスター

記事の切り抜きも展示されてましたよ。
記事の切り抜き


なんて言うんですかね、登場人物の誰にも共感できないドン底系暴力映画というか。ゲス担当の“スキンヘッドの男”は「女性にクスリを飲ませて拉致監禁→裸の写真を撮って強請る」のを生業とする最低最悪の人間だし、クズ担当の”リーゼントの男”は善良ではあるものの頭が悪すぎてイライラするし、ブス担当(見た目は美人なので「性格がブス」ということなのかな?)の”リーゼントの男の恋人”は”スキンヘッドの男”に強請られてデリヘル嬢になること自体は可哀相だけど、あまりに意志薄弱で腹が立つし…(ちなみに劇中では全員名前を呼ばれない)。特に、気が弱そうな女性に絡む時の“スキンヘッドの男”の不快度は半端じゃなくて、鑑賞中は結構ストレスが溜まりました。


“スキンヘッドの男”は、“卑劣な悪”を体現するような人間でして。
スキンヘッドの男(奥田庸介)

“リーゼントの男”は、大麻の運び屋を引退したものの、バカすぎて就職できず、また裏稼業に手を染めてしまったりして。
リーゼントの男(板橋駿谷)

そして“その恋人”は、超可哀相だけど流されすぎなので、微妙にイラッとするのです (・ω・;) ウーン
リーゼントの男の恋人(岩田恵里)


ただ、先の展開が全然読めなかった上に、不快な場面も異様な迫力があって目が離せなかったりするし、ところどころ笑えるシーンもあったりして、ずっとスクリーンに釘付け状態だったのだから、不思議な話。一応、オチだけ書いておくと、事の顛末を知った“リーゼントの男”は“恋人”を救い出してから“スキンヘッドの男”を襲撃するも、そこに”恋人”が働いていたデリヘルを経営するヤクザ(“スキンヘッドの男”はヤクザに金を返すために”恋人”を風俗に斡旋した)がやってきて、2人を拉致&監禁&拷問。だがしかし、脱糞によって隙を作ると、“スキンヘッドの男”と“リーゼントの男”は手を組んで、下っ端ヤクザを殺害して、監禁場所から脱出しまして。“スキンヘッドの男”が立ち去ると、“リーゼントの男”と”恋人”が焚き火を見つめて、映画は終わってた…ような気がします (´∀`;) ウロオボエ 


“スキンヘッドの男”の家(a.k.a.ゴミ屋敷)でタイマンがスタートするのですが…。
2人の対決!

なんとそこにヤクザがやってきて、2人を拉致して、拷問が始まるのです (´Д`;) イヤーン
ヤクザに拉致されました

でも、最終的には何とか脱出して、“リーゼントの男”と”恋人”は焚き火を見つめるのでした。
焚き火を見つめる2人


終盤の展開は、ちょっと「パルプ・フィクション」のブルース・ウィリスのパートを思い出したというか。“スキンヘッドの男”は他者の感情移入を許さないほどゲスな男だったにもかかわらず、妙に爽やかに去って行くのが何とも言えない感じでして。“スキンヘッドの男”を演じたのは奥田庸介監督自身なんですけど、「よくこんなバランスで作れたなぁ… (`Δ´;) ヌゥ」とドン引きしながらも感心しました。あと、アクションはすべてリアルヒッティングだったそうですが(ビール瓶を頭で割るシーンは実際にやって病院に運ばれたとか!)、確かに迫力があったし、グロい場面はちゃんとグロく見せているところも好みでしたねぇ…(しみじみ)。


まったく無関係な人に飛び蹴りして自転車を奪うシーンは、ちょっと笑っちゃいました (o^-')b ナイスキック!
ナイスな飛び蹴り

もうね、拷問シーンは良い感じにイヤな感じでしたよ(誉め言葉)。
拷問されました


役者さんも良くて、15キロ減量&鼻ピアスした奥田監督はもちろんのこと、その他の登場人物たちも「顔面力」がしっかりある人ばかりでしてね。そういう部分でも飽きずに観られました。中でも、ヤクザのボスを演じた芦川誠さんはマジで恐ろしかったです。その他、観たばかりの「ケンとカズ」のケンが“大麻解放論者”として出てきたり、「また運び屋の仕事を再開した“リーゼントの男”がそれを“恋人”に責められる展開」が「ケンがヤクザな仕事から足を洗っていないことを奧さんに責められる場面」と重なったりして面白かった…という、どうでも良い話。


芦川誠さんが演じたヤクザは怖かった! さすがベテラン俳優、ですな(知った風な口調で)。
ヤクザ(芦川誠)

“大麻LOVEな人”としてカトウシンスケさんが出てきた時は「シャブの次は大麻か!」と笑っちゃいました。
大麻解放論者(カトウシンスケ)

本作で一番マトモだったのが、大西能彰さんが演じたバーのマスター。眼帯を付けてる男に悪人なし!(真偽が怪しい文章
バーのマスター(大西能彰)


って、基本的には褒めてますけれども。正直なところ、精神的にキツいシーンがとにかく多いし、何よりも“スキンヘッドの男”の不快指数が半端ではないので、僕的には二度と観たくない映画でもあったりします…。11月現在、山口県在住の方以外はどうやって観れば良いのかサッパリすぎて申し訳ないんですが(汗)、クズやゲスが出てくる暴力映画が好きな方は一見の価値アリじゃないですかね。




奥田庸介監督の商業映画デビュー作でございます。



本作のタイトルはこの曲のタイトルからインスパイアされたそうな。