2016年03月15日

DOGLEGS(ネタバレ)

テーマ:新作映画(2016)
DOGLEGS

DOGLEGS

原題:Doglegs
2015/アメリカ 上映時間89分
監督・撮影・編集:ヒース・カズンズ
エグゼクティブプロデューサー:スティーブン・ヒギンズ、ジョン・ウッドン
音楽:ショーン・クラウンオーバー
出演:サンボ慎太郎、アンチテーゼ北島、中嶋有木、愛人、ミセスラマン、むしけらゴロー
パンフレット:なし
(あらすじ)
清掃員として働きながら、設立当初から「ドッグレッグス」でのスター選手としてリングに上がるサンボ慎太郎は、年齢的にもプロレスからの引退を考えていた。慎太郎のライバルで、健常者レスラーとして「ドッグレッグス」のリングに上がるアンチテーゼ北島は、「最後にアンチテーゼ北島と対戦し引退したい」という慎太郎からの挑戦を「勝者だけが引退できる」という条件つきで承諾する。慎太郎、北島のほか、女装癖があり、重度のアルコール中毒のレスラー・愛人(ラマン)、その妻・ミセス愛人(ミセスラマン)など、「ドッグレッグス」を取り巻く仲間たちの、笑いあり涙ありの日常を追っていく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




100点


※今回の記事は、映画の内容とは関係のない面倒くさい文章や雑な下ネタが書かれているので、そういうのが苦手な人は読まないで!
※非プロレスファンの感想として、そーす太郎さんのブログが良かったので、読んでみて!
こちらのヒース・カズンズ監督のインタビューが面白かったので、興味がある人はぜひ読んで!
北島行徳さんによる「ドッグレッグス」の裏話のtogetterも貼っておきますね。


昨年12月のこと。「2016年1月公開で観たいと思っている映画の覚え書き」を書く時に検索していたら、この映画の存在を知りまして。「これは観ておかなくては」と思いながらも、いろいろとヘビーな心境になりそうなので躊躇していたんですが、2月中旬にやっとポレポレ東中野へ足を運びましてね。さらに先日、また上映が再開したということで、大盛軒でビッグ鉄板麺を食べてからもう1回観てきました。「人生は続くんだよな… (iДi)」と涙が出ましたよ。


ポレポレ東中野にやってきました。
ポレポレ東中野でDOGLEGS

記事の切り抜きが貼ってあったりしてね。
記事の切り抜き

2回目に来た時は、途中の階段に貼られていました。
記事の切り抜き2

ポスターなどグッズもいろいろ売っているんですが、TシャツはXXLサイズがないので断念。
グッズ販売中

1回目の鑑賞後にはサントラを買いまして。
劇場で売っていたサントラ

2回目は鑑賞前に南沢共働学舎のクッキーを食べてみました。サクサクして美味!
南沢共働学舎のクッキー


まず、この映画の題材となった障害者プロレス団体「ドッグレッグス」に関しては、名著「無敵のハンディキャップ―障害者が『プロレスラー』になった日」を読んでいただければと思うんですが…。雑に書くと「障害者のボランティア活動をしていた北島行徳さんたちが、女性を巡って障害者同士が喧嘩するのを見て、『プロレスとして見せたらどうだろう?』と思いついて、1991年に世田谷ボランティアセンターで旗揚げされた」というのが「FMWの5万円旗揚げ」並みによく知られたエピソード。ちなみに「doglegs」とはスラングで「障害者」を意味するそうな。


初期の「ドッグレッグス」はこんな感じ(「無敵のハンディキャップ 障害者」より)。ファイトスタイルはU系っぽい。
初期のドッグレッグス


学生プロレスのように毒舌の実況が流れる中(三村は小さいころから虐待を受けているので、殴られ慣れてます!」とか超ブラック)、障害者同士だけでなく健常者との試合が組まれたりもして、その時は健常者も容赦なく攻撃するというのだから、ビックリですよ(プロレスと言いながら、格闘技要素が非常に強い)。そして、そんな同団体に興味を持ったヒース・カズンズ監督が2010年から5年間かけて作り上げたドキュメンタリーが本作でして、最初は1993年に天願大介監督が撮った映画「無敵のハンディキャップ 障害者」の続編なのかと思ってたら、全然関係なかったというね (´∀`) ナァンダ


ヒース・カズンズ監督による同団体の紹介動画↓ 現在は総合格闘技に近いファイトスタイルに。




映画のメインとなるのは、脳性マヒの障害者であり同団体のエースレスラーでもあるサンボ慎太郎選手でして。引退を決意するも、ライバル的存在の健常者レスラー・アンチテーゼ北島選手と「勝った方が引退する」という条件で試合をすることになって…という内容。そこに重度の脳性マヒ&アル中&女装癖の愛人選手とその妻であるミセス愛人選手(健常者)の葛藤や、ガンで鬱の中嶋有木選手の闘いなども描かれましてね。アッサリ気味にオチだけ書いておくと、慎太郎選手は、フィールドワークに来ていた嶋守さやか先生に恋をするも「良いお友だちでいましょう (´∀`し ゴメンネ」とフラレたり、試合では北島選手に敗北して現役を続けることになったりしながらも!(代わりに北島選手が引退!) 勤務先ではサブリーダーに選ばれたりして、「人生は続く」って感じで終わってましたよ。


本作の主人公となるのはサンボ慎太郎選手。
サンボ慎太郎

引退試合の相手に「オレが福祉と言い切る男」アンチテーゼ北島選手を指名するも、勝たないと引退できないことに。
アンチテーゼ北島

そんな中、意中の嶋守さやか先生とグループで熱海旅行に→告白したらやんわりといなされたりしてね…(遠い目)。
嶋守さやか先生

引退試合も結局、負けてしまうものの、オレたちの人生はこれからだッ!ヽ(`Д´)ノウォォォォッ!
北島を攻める慎太郎


ちょっと自分語りになりますが、僕が障害者プロレス団体「ドッグレッグス」を知ったのは今から20年前。まだ公務員だったころにレンタルビデオで「無敵のハンディキャップ 障害者」を観て、「スゴいことをする人たちがいるもんだなぁ (・ω・;) ウーム」と。その後は、日々の仕事や己のチンコを弄るのに忙しくて、その存在をすっかり忘れていたんですが、2002年に北島行徳さんの「弾むリング―四角い『舞台』がどうしても必要な人たち」という本を読んだのをキッカケに、「無敵のハンディキャップ―障害者が『プロレスラー』になった日」「ラブ&フリーク―ハンディキャップに心惹かれて」も買ったら、これがまたスゲー面白くて。「こんなにハードな内情だったのか… (・ω・;) ウーム」と考えさせられたんですけど、当時は仕事とチンコ弄りに精を出していたので、またその存在が頭から消えていたところ! 2005年にみちのくプロレスでデビューしたフジタ"Jr"ハヤト選手が「ドッグレッグス」のゴッドファーザー選手の息子だったと知って感慨深くなったり、2008年に知人から「面白い小説を読んだよ」と勧められたのが北島行徳さんの「バケツ」→モロに「ドッグレッグス」マチズモ神山選手がモデルだっただけに、「まだ頑張ってるんだなぁ… (・ω・;) ウーム」と思い出したりしたものの、仕事とチンコ弄りが…って、しつこいですな。


「無敵のハンディキャップ 障害者」のタイトル画面。DVD化されてないんですよね。
無敵のハンディキャップ・タイトル


つーか、他の人には「ドッグレッグス」のことを面白おかしく話せるんだけど、ちゃんと考えると息が詰まる。正直、「キワモノのプロレス」を楽しみながらも、障害者という存在自体には関わらないで、何もせずに生きている自分にとっては、後ろめたくなるプロレス団体というか。いや、例えば北島さんとかは著作で「テメエもボランティアやれよ!( ゚д゚) クソガ!」なんて言ってくることはなくて、「僕らの方も彼らの存在で心を埋めている」というようなことを書かれていて、“何か”を迫ってくるワケではないんだけど、やっぱり気まずい。映像を見て、ノンフィクションを読み、ニュースで観て、小説を読んで、そのたびに「まだやってんだ」なんて思いながら、気まずいから脳の脇に追いやっていく。「ドッグレッグス」に初めて触れてから、そんなことを繰り返してきて。さらにここ数年は、趣味を映画鑑賞とこのブログに絞った→プロレスや格闘技を観なくなったこともあって、そういう意味で2重の後ろめたさがあって、本作を観るのは気が重かったんですけれども。

この映画、本当に観て良かった。あの若かったサンボ慎太郎選手がすっかり中年になって、でも、しっかり生きてリングに上がっていたことに感動した。そりゃあ、頭はそれほど良くないんだろうし、嶋守先生への丸出しなアプローチには座席で身悶えましたが、その後、やんわりといなされた事実を噛み締める顔は渋かった。試合前に輪ゴムの束を神経質に弄ってたりして、大丈夫かと思いきや、試合も頑張ってたしさ。「障害者がリングで自己表現してどうなるのよ」的に思ったこともあったんですけど、試合後、日常に戻ったサンボ慎太郎選手はスゲーカッコ良くて、僕なんかよりよっぽど立派に生きてると思ったり。


旗揚げ時の慎太郎選手と…。
若いころの慎太郎

20年後の慎太郎選手。味わい深い顔になりましたな。
20年後の慎太郎

ただ、この「さりげなく手を近づける」とか、嶋守先生へのアプローチの数々は悶絶した!
手を近づけるも!?


その他、本でしか知らなかった愛人家族や他のレスラーが観られたのは良かったし(ノンフィクションの中で誕生の経緯を読んだ遙くんが母親のミス愛人と試合するほど大きくなってたのが泣けた)、ガンと鬱でいろいろと大変そうな中嶋有木選手の生き様もグッときた。試合前にフジタ "Jr" ハヤト選手がサンボ慎太郎選手にアドバイスをしてるのも良いシーンだったなぁ。つーか、今はスタッフにちゃんと格闘技関連の人が関わっている雰囲気で、そういう部分も感心いたしました。それと、5年掛けただけあって、撮影や編集、音楽も良かったと思います。ごめんなさい、僕ごときがこんなことを偉そうに書くのも申し訳ないんですけど(汗)、素晴らしいドキュメンタリーなんじゃないかしらん。


愛人夫婦が観られたのはうれしかったです。お酒、やっぱり止められないのね…。
愛人夫婦

あと、本でしか知らなかった鶴園誠選手(右の人)も異様な迫力がありましたよ。
鶴園誠選手

ガンのせいで鬱になった中嶋有木選手。クスリを飲んだらアッパーになるも、試合で負けると自傷行為に走ったりと大変だったり。
中嶋有木選手

映画と同じカードの別の試合がアップされていたので、貼っておきますね↓




ううむ、上手く書けないんですけど、鑑賞後、相変わらず後ろめたさを感じながらも、映像と音楽の良さも相まって、「僕も彼らもそれぞれの人生がこれからも続いてくんだな」って、不思議とポジティブな気持ちになれた…って、伝わるでしょうか。まぁ、基本的には障害者版「ロッキー」みたいな映画なので、「ドッグレッグス」を知らない人でも普通に楽しめると思うし、見終わったらぜひ北島さんの著書を読んでほしい強い気持ち、強い愛(つーか、kidle版とか出せばいいのに)。できれば4月23日におこなわれる大会も行きたいところですが、家族サービスデーだからなぁ…。というか、本当はそれ以上に、僕のような大人は社会貢献的なことをもっとやらないとダメなんですけど、仕事と家庭と映画鑑賞とブログで手一杯ーーなんて文章を書いてみたら、「ブログを止めた方がいいんじゃないの?」なんて心の声が聞こえてきたので、とりあえずチンコを弄って気を紛らわしてみる43歳なのでした… ('A`) シニタイ




講談社ノンフィクション賞を受賞した北島さんの著書。プロレスに興味がない人でも面白く読めるハズ。



「無敵のハンディキャップ」の続編。つめ隊の欲獣マグナム浪貝選手がいなくなった事情がわかります。



「ドッグレッグス」本の外伝的一冊。ポレポレ東中野で売ってましたよ。吉田豪さんの書評も要チェック!



マチズモ神山選手と菓子パンマンのエピソードなどを小説にした作品。これもオススメだッm9`Д´) ビシッ



天願大介監督によるドキュメンタリー。当時は天願監督を知りませんでした… (´∀`;) エヘヘ



天願大介監督による撮影ノート。「ドッグレッグス」を知ったキッカケが根本敬先生ってのがガロっぽい。







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