クリムゾン・ピーク(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

クリムゾン・ピーク(ネタバレ)

クリムゾン・ピーク※ムービーウォッチメンへのリンク等を追記しました(5/23)

クリムゾン・ピーク

原題:Crimson Peak
2015/アメリカ 上映時間119分
監督・製作・脚本:ギレルモ・デル・トロ
製作:トーマス・タル、ジョン・ジャシュニ、カラム・グリーン
製作総指揮:ジリアン・シェア
脚本:マシュー・ロビンス
撮影:ダン・ローストセン
美術:トム・サンダース
衣装:ケイト・ホーリー
編集:ベルナ・ビラプラーナ
音楽:フェルナンド・ベラスケス
出演:ミア・ワシコウスカ、ジェシカ・チャステイン、トム・ヒドルストン、チャーリー・ハナム、ジム・ビーバー、バーン・ゴーマン
パンフレット:★★☆(720円/滝本誠さんのコラムが超タメになります)
(あらすじ)
10歳の時に死んだはずの母親を目撃して以来、幽霊を見るようになった女性イーディス(ミア・ワシコウスカ)。父親の謎の死をきっかけに恋人トーマス(トム・ヒドルストン)と結婚することになった彼女は、トーマスや彼の姉ルシール(ジェシカ・チャステイン)と一緒に屋敷で暮らしはじめる。その屋敷は、冬になると地表の赤粘土が雪を赤く染めることから「クリムゾン・ピーク」と呼ばれる山頂にあった。ある日、イーディスの前に深紅の亡霊が現われ、「クリムゾン・ピークに気をつけろ」と警告する。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


※今回の記事は、ジャン=クロード・ヴァン・ダム監督&主演作「クエスト」のネタバレに触れているので、知りたくない人は読まないで!

僕の中でギレルモ・デル・トロ監督は“100点の映画を2本撮った男”なので、監督作は無条件で観に行ってあげたい気持ちなのですけれども。本作が「観たい映画の覚え書き」で△マークだったのは、ゴシックな幽霊屋敷モノだと思ったから。いや、当ブログで「ゴス」と検索するとルーク・ゴスがやたらと出てくるように、ゴシックというジャンル自体は嫌いじゃないものの(少し間違っている文章)、なんか幽霊屋敷モノを観る気分になれなくてね…。


ちなみに僕が初めて「ゴシック」というものを意識して観た映画はこれだと思います。そのまんまですが-。




時間もないし、今回はスルーしようかと思っていたんですけど、なんとムービーウォッチメンの課題映画に選ばれたので、「運命なのね (´∀`)」TOHOシネマズ新宿に足を運んで来ました。結構好きでしたヨ (^ε^) ウッフン


14日はTOHOシネマズデイ=1100円で観られる日ということで、3日前には席を押さえていたというね。
14日はTOHOシネマズデイ

観たのは3番スクリーンで、ほぼ満席。その後、続けて「イット・フォローズ」も観たんですが、オススメ!(o^-')b ヨカッタ!
3番スクリーン


もちろん「紅潮する肉体を持つ男(クリムゾン)の上腕二頭筋の隆起(ピーク)」という映画ではないことはわかっていましたが(不要な文章)、ポスターを注視してなかったし、予告編も観てなかったし、「映画秘宝」の特集記事も未読だったので、典型的な幽霊屋敷モノかと思ってたんですよ。「一家が幽霊屋敷に引っ越して、大変な目に遭うのだろう ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」と。だから、映画序盤の「いかにも知的だけど恋愛には疎いイーディスが、いかにも魅力的ながら胡散臭いトーマスに誘惑される」という流れは意表を突かれたというか、「あ、こういう映画なのか! ∑(゚Д゚)」と。ちょっとだけ「17歳の肖像」「夢売るふたり」を思い出したし、川谷絵音は全身の毛穴から血を噴き出しながら3時間かけて死ねばいいと思ったりしました。


繊細で小狡い2枚目役では右に出る者はいないトム・ヒドルストン。ハンサムなポール・ダノ…というのは失礼か(という失礼な文章)。
トーマス(トム・ヒドルストン)

この人が出てきた瞬間、誰もが「蛇めっ…!」と思ったのではないでしょうか(「賭博黙示録 カイジ」より)。
蛇めっ!


パンフやら何やらを読むと、監督を含むみんなが「ゴシック・ホラーではなくゴシック・ロマンス」と書いているのがスゲー腑に落ちる感じ。確かに「幽霊が出るゴシック・ロマンス」といった映画であり、正直、幽霊要素はまったく怖くないというか(グロくはあるけど)、むしろジェシカ・チャステイン演じる姉のルシール=人間が恐ろしいというお話だったのです。なんかね、「永遠のこどもたち」とか「デビルズ・バックボーン」の幽霊を非常に思い出したというか、ギレルモ・デル・トロ監督はこういう幽霊観なんだなぁとあらためて思ったり。


今作の幽霊たちは、ビジュアルはおぞましいものの、いろいろと教えてくれて親切でした。
教えてくれる幽霊


この映画で好きなところは3つ。1つ目は美術で、とにかくスゴいなぁと。あの屋敷、実際に建てたそうですが、画面の情報量の多さにグラグラさせられました(全然気付かなかったけど、壁紙とかもこだわっているそうな)。本に隠された小口絵とか、そういう小道具の使い方も良かったですね~。2つ目は、主演のミア・ワシコウスカがスゲー可愛かったです… (´Д`;) ハァハァ メアリー・シェリーに憧れてる作家志望で奥手の文系女子」というキャラがストライクだし、マックス・ラジアルみたいな衣裳が似合ってて素敵だったし、メガネをかけたり、髪型が変わったり、吐血したり、ナイフ&スコップでバトルしたりと、いろいろな彼女を観られるだけでも楽しくて。お話的にどうかと思うところはあっても、なんとなく許せちゃった次第。


こういうビジュアルも可愛いんですが…。
イーディス(ミア・ワシコウスカ)

髪を上げてメガネをかけた姿も素敵! というか、むしろこっちが好み…って、どうでも良いですね。
メガネをかけたミア


3つ目は、トム・ヒドルストンが良かった! 僕はすっかりジム・ビーバー演じる父親気取りだったので、初見から「よくわからないが気に入らん… (`Δ´;) ヌゥ」気分ではあったんですが、しかし。「ロウソクを消さずにワルツを踊るシーン」の優雅さには「なにこの魅惑紳士!Σ(゚д゚;) ヒィ!」と肝が冷えたし、イーディスにあえて嫌われるために小説を酷評する際の「でも実は傷つけたくない顔」とか、見事のひと言。郵便局でのセックスシーンでは白い尻を見せるサービスショットもあったりしてさ(無駄なケツ毛が生えてたりはしない!)、ある意味、トム・ヒドルストンのアイドル映画でもあるのではないか。なんかね、同じ“男”というカテゴリにいるはずなのに、どうしてこうも違う生き物になってしまったのかと、43歳ながらに思考の海を泳いでみたーー。すみません、何を書いているのか自分でもサッパリです。


ちくしょう、僕がワルツをマスターしても、こうはなるまいよ… (`Δ´;) オノレ...
素敵なワルツシーン


一応、物語を身もフタもなくウソを交えながら書いておくと、トーマスとルシールのシャープ兄弟姉弟は、近親相姦の関係にありまして。幼いころに母を肉切り包丁で惨殺してからは、弟が発明した粘土掘削機を作る金を集めるために、孤独な金持ち独身女性を発見→結婚→殺害を繰り返してきたのです。で、今回はイーディスに白羽の矢が立って、ルシールがガツンガツンと洗面台に頭部をぶつけて父親を殺害。イーディスと結婚することで遺産をゲットしようと思いきや、トーマスったらイーディスを本気で愛してしまったというね… (ノД`) アァン


弟を女として溺愛するルシール。ジェシカ・チャステイン、怖かったですな~。
ルシール(ジェシカ・チャステイン)


で、イーディスの方は、死んだ母親の幽霊に「クリムゾン・ピーク(赤い粘土が雪の上に染み出てくる現象)に気をつけて…」と警告されていたのは「もっとわかりやすく伝えろよ 川 ゚д゚)、ペッ」と思いつつも、姉弟に殺された幽霊たちにいろいろと教えてもらったりして、やっと2人の正体に気付きまして。姉弟がペッティングしている場面を目撃して階段から突き落とされたり、探偵(バーン・ゴーマン/「パシリム」のゴッドリーブ博士!)の助力もあって姉弟の正体を知った幼なじみの医師アラン(チャーリー・ハナム)が助けにきたもののアッサリ刺されたり、暴走する姉を止めようとしたトーマスがグサグサ刺されたりしましてね(顔を刺される場面が痛くてナイス!)。


チャーリー・ハナムは好きだけど、医者っぽさはゼロな気がしました。
アラン(チャーリー・ハナム)

ちなみに予告編を観てなかったので、この赤い指輪が「クリムゾン・ピーク」なのかと思ってましたよ (ノ∀`) カンチガイ
指輪を付けるルシール


ラストは、降り積もる雪の上でナイフを持ったイーディスと“母殺しの肉切り包丁”を持ったルシールのタイマンが勃発! いきなりクリーチャーライクに素早く姿を隠しながら攻撃してくるルシールに苦戦しながらも、死にたてホヤホヤのトーマスが幽霊化して出現→「ルシール、後ろ後ろ!m9`∀´し」隙をついてスコップで撲殺して、イーディスが勝利すると、またもや死にたてホヤホヤのルシールが幽霊化してピアノを弾いたりした挙げ句、「『クリムゾン・ピーク』という本にしてみました 川o^-')b」的な感じで終わってましたよ。


最後はタイマンで勝負…って、正直、もっと違う展開になると思ってたので、少しビックリしました。
最後はタイマンだッ!

念のため指摘しておくと、トーマスが幽霊になって出現する場面は「範馬刃牙」範馬勇一郎オマージュであり…。
範馬勇一郎の霊が出現!

「本にしました」エンディングは、ヴァン・ダム監督&主演作「クエスト」オマージュ…というデマ。
クエストのラスト


まぁ、楽しかったのは確かなんですが、残念に思うところもあって。話の辻褄とかそういう部分は目をつむるとしても、せっかくスゴいセットを作って、ゴシックな雰囲気をムンムン漂わせたのに、どこか軽いというか。そこが面白い部分でもある気はするんですけど、ギレルモ・デル・トロ監督の幽霊モノとしては、余韻が軽くて食い足りないという印象。例えば、クライマックスのタイマン、「どっちかが死ぬまで止めない!」→「さっきも聞いた」みたいなやり取りは笑っちゃったし好きだけど、雰囲気が台無しになった感は否めないじゃないですか。だったら、もっと霊現象がモリモリ状態になってあの屋敷もドーン!みたいな展開にしてほしかった…ってのは好みの問題ではあるんですがー。


ラスト、赤粘土から死体が続々出てきて地獄に引きずり込んだりするのかと思ったけど、そんなことなかったぜ。
赤粘土の中の死体

この犬、いつの間にか消えてましたが(確か捕獲されてましたよね?)、もうちょっと上手く使ってほしかったなぁ。
パピヨン


とは言え、普通に面白かったですヨ (・∀・) ヨカッタ! なんとなくミア・ワシコウスカが主演の「ジェーン・エア」とかも観たくなっちゃいました。ゴシックな雰囲気が苦手な人はキツいと思いますけど(あと、蝶がアリに食われる場面とか虫関係の描写がグロいので要注意!)、ギレルモ・デル・トロ監督には新作をドンドン撮ってほしいのでね、時間とお金に余裕があるならぜひ観て!m9`Д´) ビシッ

宇多丸師匠のわかりやすい時評がアップされているので、聴いてみて!




映画のアートブック。こういうのを出してくれる姿勢は実にありがたいが、買う金はなし。



サントラでございます。



映画のノベライズ。扶桑社ミステリーから出てるのね。



ギレルモ・デル・トロ監督による100点の映画。スゲー好きだけど、可哀相すぎて見直す気になれない… (ノω・、)



2本目の100点の映画。僕の感想はこんな感じ



連想したパク・チャヌク監督×ミア・ワシコウスカ主演作。僕の感想はこんな感じ