2013年10月14日

地獄でなぜ悪い(ネタバレ)

テーマ:新作映画(2013)
地獄でなぜ悪い

三角絞めでつかまえて-地獄でなぜ悪い

2013/日本 上映時間129分
監督・脚本:園子温
撮影:山本英夫
照明:小野晃
録音:小宮元
美術:稲垣尚夫
編集:伊藤潤一
アクション監督:カラサワイサオ
出演:國村隼、堤真一、二階堂ふみ、友近、長谷川博己、星野源、坂口拓、成海璃子、石丸謙二郎、でんでん
パンフレット:★★★(700円/読み応えがあって、良かったです~)
(あらすじ)
ヤクザの組長・武藤(國村隼)は、獄中の妻しずえ(友近)の夢でもある、娘ミツコ(二階堂ふみ)を主演にした映画の製作を決意。「映画の神様」を信じるうだつのあがらない映画青年(長谷川博己)と、通りすがりのごく普通の青年(星野源)を監督に迎え、手下のヤクザたちをキャストに映画作りを始める。しかし、対立する池上組の組長でミツコに恋心を抱く池上(堤真一)も巻き込み、事態は思いもよらない方向へと進んでいく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




80点


※今回の記事は、「地獄でなぜ悪い」が好きな方も嫌いな方も不快になる怖れがあるので、できるだけ読まない方が良いかもしれません。

園子温監督の新作はいつも気になってしまうし、何よりも今回は僕が好きな坂口拓さんが出演されるということでね、映画の日の深夜、新宿バルト9で観てきました。坂口拓が超カッコ良かったです… ( ;∀;) イイタクダナー


劇場ロビーにはいろいろと展示されてましたよ(撮ったのは公開前)。
三角絞めでつかまえて-バルト9の展示


もうね、この映画で最も僕のハートをキャッチ&そのまま握り潰したのは、“平成のブルース・リー”こと佐々木を演じた坂口拓さん! 残念なことに、今年、俳優業を引退されてしまいましたけれども、最後の最後にあれほどカッコイイ姿を見せてくれるなんて… (ノД`) とりあえず「坂口拓さんの良かったところ」を2つほど書いておきますね↓



① キャラクター造形が素晴らしかった!

うだつは上がらないものの“熱意と狂気”だけはある映像制作集団「ファック・ボンバーズ」の一員である佐々木は、アクション俳優を目指して10年頑張ってきたものの、もう30歳になるということで、さすがに心が折れてしまいましてね。映画監督を目指す平田(長谷川博己)と対立して、そのトラックスーツを脱いでしまうんですよ。これは、スゲー切ない。

僕は初めてDVDで「VERSUS ヴァーサス」を観た時、坂口拓さんに対して“21世紀のアクションスター”という期待を抱いたし(北村龍平監督も一気に好きになった)、その気持ちは今も変わらなくて。「デス・トランス」とか「地獄甲子園」とか「魁!!男塾」とか「極道兵器」とか「デッドボール」とか「狂武蔵」とか、万人にはオススメできないけど悪くはない主演作も多かったし、「仮面ライダーカブト」では素手でライダーたちをブチのめす活躍を見せたりもしたのにさ、今年、俳優業を引退しちゃってね。もちろん現実の坂口拓さんは素晴らしい実績をたくさん残していますけど、劇中で佐々木が“道”を諦める姿がメタ的に重なりまくって、悲しくて仕方がなかったのです… (ノω・、)

今年4月に行われた引退興行の動画を貼っておきますね…。



だからこそ、中華料理屋でチンピラどもを鮮やかに倒して復活するシーンは、涙が止まらなくて(でんでんさんが演じる中華料理屋のベタな店長も良かったし、ここだけなら何度でも観たい!)。クライマックスの乱闘シーンではずっと応援してたし、「坂口拓さんも、ワンスアゲイン!ヽ(´Д`;)ノ」と俳優業復活を祈りながら観ておりましたーー。



② 坂口拓さんとブルース・リーの相性が良かった!

昭和30~40年代生まれの男でブルース・リーに憧れたことがない奴なんて、誰もいない。って、いきなり乱暴な文章を書いてしまいましたが(苦笑)、誰もが「ああなりたい」と願いつつも、ある者は父親のゲンコツに、ある者はガキ大将の腕力に屈して、それぞれが諦めて、それぞれの道を歩いてきたのではないでしょうか(どこかで読んだような文章)。僕自身を振り返ると、小さいころから体が大きかったので、「お前はあのデカい黒人な (゚⊿゚)」とジャバール役をやらされてた記憶があります… (´・ω・`) スキダケドネ

一応、「死亡遊戯」のワンシーンを貼っておきますね↓ 今観ても素敵ダナー (T∀T )



だからね、基本的に“いい歳なのにブルース・リーの真似をして怪鳥音を発するような男”には、呆れつつも無条件で好感を持ってしまうのですが…(例えば「ラスト・ドラゴン」とか好きさ!)。今回はさらに、あの坂口拓さんがトラックスーツに袖を通すということでね、どれほどの“龍化現象”を見せるのかと楽しみにしていたら、これがもう奇跡のようなカッコ良さなのです!

これが坂口拓ミーツ、トラックスーツだッ! 髪型もブルース・リーっぽいのが良いね。
三角絞めでつかまえて-坂口拓さん、カッコイイ!1

トラックスーツは着る人をかなり選ぶ服であり、「キル・ビル」のユマ・サーマンはジャージっぽくアレンジしたからこそイイ感じだったワケで、常人は結構カッコ悪く見えるのがデフォルトなんですが、しかし! あれをそのまま着て素敵に見えるなんて、「さすが坂口拓だぜ!(ノ∀T)」と滝のように流れるうれし涙。初めて目の当たりにする坂口拓×ブルース・リーの組み合わせは“パンと牛乳”レベルの相性の良さを見せていて、「牛丼に生卵をかけて食べたら…超旨い! Σ(゚д゚;)」ってことを知った時以上の衝撃でしたよ…(しみじみ)。

ただ、僕的には鞍馬彦一の乱入を見たグレート巽のような心境になったりもして。もっと早く龍化していたのなら…。
三角絞めでつかまえて-口惜しがるグレート巽

さらにヌンチャクの色が黒だったので(「死亡遊戯」は黄色のヌンチャク)、「あら、そこはこだわらないんだな~」と思いきや! 後半は上半身裸になって「怒りの鉄拳」オマージュを炸裂させて来るんだから、たまりませんよ。お腹には「燃えよドラゴン」を思わせる傷も付いてるし、堤真一さん(a.k.a.元JAC)との絡みも良かったし…。最後は、警官隊の銃撃により死亡してしまいますけれども(というか、平田以外は全員死亡する)、坂口拓に関してはマジ100点でしたYO!ヽ(`Д´)ノ 

坂口拓さんと堤真一さんの絡みが観られたのも良かったですな… (ノДT)
三角絞めでつかまえて-坂口拓さん、カッコイイ!2



坂口拓さん以外の要素では、映像制作集団「ファック・ボンバーズ」も良かった。上映中のスクリーンを横切ったりする姿勢は、どう考えても“映画好き”というよりは「映画を通じて自己表現がしたい人たち」って感じで、イラッとするところもなくはないんですけれども、ああいう風に“将来の不安を押し殺しつつも狂ったように夢を追う姿勢”ってのは、やっぱり憧れちゃうなぁと。他の人から見たら“地獄”だとしても、本人たちが納得しているならオールOKなんですよね(“製作者の狂気”繋がりで、少し「風立ちぬ」を連想しました)。「地獄でなぜ悪い」、非常に良いタイトルではないでしょうか。


関係ありませんが、「地獄でなぜ悪い」というタイトルを見て思い出したのは、徳川光成さんの激熱な名スピーチ(「グラップラー刃牙 完全版」第22巻より)。
三角絞めでつかまえて-地上最強を目指してなにが悪!い!!

ただ、その中で例に挙がった1人は、後にこんなことを言ってました…(「バキ特別編saga」より)。台無し!
三角絞めでつかまえて-世界最強なんて夢見たことないぜ


いや、僕も高校生のころはね、テーブルトークRPGのシナリオを書きまくってて(驚くほど大したことありませんが)、将来はファンタジー小説の作家になる気マンマンだったりしましてね (*ノ▽ノ)キャッ 友人たちに「『ロードス島』はゲームっぽすぎるんだよな~」とか、振り返ると絞め殺したくなる発言を連発していたものです。

だが時は経ち、今じゃマナ子のパパ、保育園で幅、利かすパンパパン(不要な「Grateful Days」オマージュ)。気が付けば、作家になる夢から、ちゃっかり離脱済み。仕事の状況は不安定ながらも基本的に今の生活に不満はないというか(1億円ほどもらえるとうれしいケドね! (o^-')b オクレ!)、すっかり「自分の名を残すよりも家庭を選ぶ男」になっており、「何かを創ることに命を懸ける」なんてあり得ないエヴリデイを送る有り様ですよ。だから、そんな安定志向クソ野郎の僕からすれば、「命懸けで夢を実現しようとする奴ら」が眩しく見えたというね…。つーか、たぶん園子温監督もこの映画を作っている間は、“当時の青い自分”を憧憬と苦笑を交えながら振り返ってたんじゃないかなぁと思ったり(“金儲け映画批判”シーンも含めて)。


坂口拓さんとこの3人は大好きでした。
三角絞めでつかまえて-ファック・ボンバーズ


ただ、ごめんなさい、不満もあったというか。國村隼さんのダンディ振り&恐ろしさ、長谷川博己さんのエキセントリックな芝居振り、星野源さんの頼りなさそうな演技&ギロン化、二階堂ふみさんのエロさ、堤真一さんの見事な立ち回りと(さすが元JAC!)、素晴らしいところは大量にあったんですけど、肝心のクライマックスの殴り込みが冗長に感じちゃって。「こういう場面を見せたい!」ってのはビンビン伝わってくるんですが、場面場面の繋がりや展開が雑すぎ→即物的にしか楽しめなくて。

これは他のアクション映画でも思ったりすることなんですけど、せっかくカッコ良い場面があっても、そのシーンを“勢い”でコーティングしすぎた結果、戦闘の流れやダメージがどうでも良くなる→「何でもアリ」すぎて萎えるんですよ。結局、製作者の胸先三寸って感じで、登場人物たちが“コマの1つ”にしか見えなくなってきて、いくら個々のアクションが良くても“燃え”に結びつかないというか。僕的に思い入れの強い坂口拓さんが出てくるシーン以外は、ちょっと冷めちゃった…って、わかりにくいですかね。

それと、ラスト。警官隊の襲撃から唯一生き残った平田がフィルム巻などを回収して、「ファック・ボンバーズ!」と連呼しながら走るシーンはグッときましたけど、「カット!」が掛かるのは微妙に感じました。「この映画を本物のファック・ボンバーズ=園子温が撮っているんですよ」ってことなのかもしれませんが、僕は佐々木と平田たちを心底応援しながら観ていたので、「彼らは架空の人物だった」ってことにしてほしくなかったです。あのまま走って終わってくれた方が良かったなぁと。まぁ、好みの問題ではありますがー。


ううむ、なんとなくエンドクレジットで流れる星野源さんの主題歌を貼っておきますね↓ 良い曲!




その他、「高橋ヨシキさんには笑った」とか「プロデューサー役の石丸謙二郎さんがなかなか迫力があって良かった」「成海璃子ちゃんは大好きだけど、彼女の一連のシーンは不要だったような…」とか「どうせ『怒りの鉄拳』オマージュをやるなら、死ぬ時は飛び蹴りすれば良かったのに」とか「結局、友近さんはどうなったの?」とか「いくら引退宣言をしたからって、公式サイトやパンフレットでの坂口拓さんの扱いが小さすぎ!」とか思ったりしましたが、基本的には坂口拓さんが最高だったのでノー問題。万人にオススメできる作品とは1ミリも思えませんが、坂口拓さんのファンなら要チェックじゃないかしらん。

ブルース・リーの没後40年にあたる今年、ブルース・リー関連作品が何本か公開されてどれも素敵でしたけれども、僕がもっとも胸を掴まれたのは“この映画のドラゴン”であり、見終わった後は「ファック・ボンバ~ズ~、ファック・ボンバ~ズ~」と連呼しながら走って帰宅して、前に購入したトラックスーツ(セパレートタイプ)に袖を通してヌンチャクを振るってみたりするほどでしたよ(バカの所業)。パンフのインタビューで坂口拓さんについて聞かれた園子温監督は「今後も彼でアクション映画を作るのが僕の使命だと思っています」とありがたすぎるにも程がある発言をされていましてね、その言葉、超信じております。


バカの画像を貼っておきますね。マスクを被ると、何が何やらですな…。
三角絞めでつかまえて-トラックスーツ、着用してみました


おしまい!ヽ(`Д´)ノ アチョー




園子温監督作。アクションデザインは坂口拓さんなんだとか(アクション監督はカラサワイサオさん)。



坂口拓さんの監督主演作。場面場面はイカスので、優しさに包まれながら観て!



星野源さんによる主題歌。病気が完治して良かったですな…。



なんとコラボラーメンが! クッキーもあるヨ!



園子温監督の自伝も貼っておきますね。未読なんですが…買わなきゃなぁ。



映画秘宝の別冊。劇中に散りばめられたオマージュの解説が良かったです。



映画の出来自体はアレだけど、世界中の人々に影響を与えた作品。「死亡的遊戯」も観ておきたいですな。






いいね!した人  |  リブログ(0)