2011年07月20日

ムカデ人間(ネタバレ)

テーマ:新作映画(2011)
ムカデ人間

三角絞めでつかまえて-ムカデ人間

原題:THE HUMAN CENTIPEDE (FIRST SEQUENCE)
2009/オランダ、イギリス 上映時間90分
監督・脚本・製作:トム・シックス
製作:イローナ・シックス
出演:ディーター・ラーザー、北村昭博、アシュリー・C・ウィリアムズ、アシュリン・イェニー
(あらすじ)
ヨーロッパを旅行中の2人のアメリカ人女性が突然のパンクに見舞われ、一軒の大邸宅に助けを求める。翌朝彼女たちが目覚めると、地下室のベッドに日本人男性(北村昭博)と共に寝かされており、異常事態を察知するが、家の主であるドイツ人男性(ディーター・ラーザー)によって、人間の口と肛門を結合させる“ムカデ人間”の手術が始まろうとしていた。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




91点


※今回の記事は、映画の題材自体が非常にエグく、そんな感じの文章も書かれているので、そういうのが苦手な人は不快になる怖れがあるので、読まない方が良いです。

別に良識派を気取るつもりはありませんけど、予告編を見た時点では、もうおぞましさしか感じなくて。生理的嫌悪感が先立ちすぎて、製作者たちに対しても怒りが湧いてくるというか。「口と肛門で人を繋ぐ」という“あまりにも人間の尊厳を無視した発想”に腹が立つ上に、登場人物を自分に置き換えた時の“陵辱される恐怖感”も加わって、絶対観たくなかったワケですよ。


イヤな図1。書いてあること絵は最低なのに、パッと見た感じは愉快なのが腹立たしい!
三角絞めでつかまえて-イヤな図1

イヤな図2。こんなトボけた絵柄だけど、その内容は悪魔的。
三角絞めでつかまえて-イヤな図2


ただ、僕の中に「独創的な作品が観たい!ヽ(`Д´)ノ」という欲求があるのも確かでして、そうなるとこんな独創的なビジュアルの映画も他にないじゃないですか…。リアルに想像するだけで吐きそうになるので、本当に迷ってたんですが、退路を断つために「127時間」を観た時にあえて前売り券を購入。試写会で「忍たま乱太郎」を観た後、思い切ってシネクイントに行ってきました。ううむ、実に真っ当なホラー映画でしたよ。


エレベータを出るとすぐに大々的な展示が! Tシャツも大量に売ってました。 
三角絞めでつかまえて-展示1

ここから顔を出して撮影する人はどれだけいるのか。
三角絞めでつかまえて-展示2

ちなみにこんな割引企画もやってるそうです。フン、仲良しめ!
三角絞めでつかまえて-割引も!

缶バッヂのガチャガチャ。3回もやっちゃった…。
三角絞めでつかまえて-缶バッジのガチャガチャ


よく考えれば「気が狂った人に監禁されて酷い目に遭う」なんて映画自体は無数にあるワケで(最近観た映画だと「パーフェクト・ホスト 悪夢の晩餐会」とか)。単に「その狂った人がやりたかったことがムカデ人間でした ヘ(゚∀゚*)ノ」ということなんですよね。で、この映画は、題材こそグロくてショッキングですけど、物語的には起承転結がかなりしっかりしていて、尊厳を奪われた側の逆襲も描いているから、意外と面白く観られちゃったんですよネ (´∀`)

観る前に映画の内容を想像した時、何がキツかったかって、“手術+結合シーン”と“接合部分”と“前の人が排便した時の描写”だったんですが、基本的にはそれらをモロには映さなかったので、思ってたよりグロさ&痛さは感じなくて。リアルに描写されていない分、客観的に観られたというか、ちょっとホッとしちゃいました。

「共通の敵がいて、悲惨な状況だから」ということで、人種や言葉の壁を乗り越えて、3人が手を取りあって互いを励ましたりするのが結構泣けるんですよね(心も繋がる感じ)。あと、クライマックス、日本人ヤクザのカツローを演じた北村昭博さんが「ムカデ競争を意識した」という「イチ、ニ!」の掛け声で動いていくシーンとか、笑いつつも感動的というか。マジでね、スゴい映画でしたよ。

一応、話の展開を書いておくと、あーだこーだあって拉致された3人は繋げられまして。屈辱的な日々を送るものの、博士の家の近くで行方不明者が続出しているということで、刑事が2人やってくるんですね。そのタイミングで、先頭のカツローが手術用のメスを使って逆襲→博士は半死半生に→3人は脱出しようとするものの博士がやってきてしまう→「人間の尊厳云々」的なスピーチの後、カツローが自殺→刑事がやってきて博士と相打ち→一番後ろのジェニー(アシュリン・イェニー)も感染症で衰弱して死亡→真ん中のリンジー(アシュリー・C・ウィリアムズ)だけが生き残るも、繋がれたままで泣き叫んで終了と、恐ろしく悲惨な感じで終わってました。


繋がった3人。オッパイが見られても全然うれしくない…。
三角絞めでつかまえて-繋がった3人


まず、素晴らしかったのが、ヨーゼフ・ハイター博士というキャラクターと、それを演じたディーター・ラーザー。博士は“繋がった姿”にしか興味がない異常者なんですが(繋げた人間たちが1つの生命体として活動すること自体は結構どうでも良さそう)、序盤のムカデ犬の写真を愛でるシーンといい、ムカデ人間の手術中や完成時の感極まった表情といい、一番後ろのジェニーが死にかけている時の無慈悲っぷりといい、とにかく最高でした。その病的なこだわりがあるが故に、逆にその他の部分がズサンになってしまっていて、その結果、犯行が露呈したり逆襲されたりするという終盤の展開も、それまでの演出と演技から非常に説得力を感じましたよ。


シャム双生児の分離手術のエキスパートだったヨーゼフ・ハイター博士。あまりに無慈悲で爆笑しました。
三角絞めでつかまえて-マッドな博士


そして、一番良かったのが、カツローを演じた北村昭博さん! 彼の演技&関西弁はマジで面白かったですね。最初の「火事場のクソ力じゃ~!」と言いながら拘束具を千切ろうとするシーンは腹を抱えて笑いましたよ。最後、博士への反逆として自殺する場面もジーンとさせられましたし、この映画は彼の存在感があったからこそ、陰惨な印象を受けなかったような気がします。恥ずかしながら全然知りませんでしたが、北村昭博さんの活動は今後要チェックですな~。


こんな状態になっても反逆精神を忘れないカツロー。頑張ってましたゾ。
三角絞めでつかまえて-頑張ったヤクザ


ハッキリ言って、「もっとこうすれば良かったのに」的なツッコミを入れ始めたら果てしない映画なので、細かいことは書きません。それよりも「よくこんな映画作ったなぁ」と感心してしまう心境というか(出資者や一部のスタッフには内容を伏せたまま作り始めたそうな)。とにかく関わった人は全員褒めてあげたいというか、凄まじくチャレンジングであり、間違いなくホラー映画史に残る意欲作だと思いますけど、やっぱりグロ耐性のある人以外にはオススメできないカナー。

ちなみに全世界でヒットしているということで、3部作になることが決定したそうで。とりあえず続編では12人繋げて「今回見せなかったハードな部分もすべて見せる」そうですが、そうなると僕もさすがについていけない気がします…(イギリスではすでに公開禁止)。あと、パンフレットでは“信頼できるサタニスト”高橋ヨシキさんのコラムが載ってたり、岩井志摩子先生と残酷評論家のジェイソン澤田さんが2人とも「大便は直接食べると無味無臭」ということを熱弁してたりと、こんなパンフレットも滅多にお目にかかれないと思いました。おしまい!ヽ(`Д´)ノ




ディーター・ラーザーが出ているそうなので、貼っておきますね。
三角絞めでつかまえて-魔王
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北村昭博さんは「ムカデ人間」がヒットしたことでタダシ役に抜擢されたそうな。
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