2011年05月20日

超・悪人(ネタバレ)

テーマ:新作映画(2011)
超・悪人

三角絞めでつかまえて-超悪人

2011/日本 上映時間88分
監督・脚本:白石晃士
出演:宇野祥平、高橋真由美、清瀬やえこ、しじみ、久保山智夏
(あらすじ)
とある実録犯罪系雑誌の編集部にある日、1本のビデオテープが届く。そこには、過去10年間に107人もの女性を強姦(ごうかん)したと豪語する自称「悪人」の男(宇野祥平)からの告白と、ある強姦殺人事件の一部始終が収められていた。編集者の白石(白石晃士)とルポライターのヤエコ(清瀬やえこ)は、その男を取材するため指定された場所へ向かうが……。(以上、エイガ・ドット・コムより)

予告編はこんな感じ↓




83点


※今回の記事は、性的&暴力的にかなり不快で厳しい文章が書かれているので、女性やそういうのが苦手な人は読まない方が良いと思われます。

昨年、「バチアタリ暴力人間」を観て、「白石晃士監督は要チェックだな (`・ω・´)キリッ」と思ってたので、ポレポレ東中野に行ってきました。感想は、「非道い! でも、面白い…けど、非道い!ヽ(`Д´)ノ」って感じですかね。ちなみにR-18の作品であり、今月の27日にはDVDのレンタルが始まるにもかかわらず、劇場は“ほぼ満員状態”でしたよ(5月14日から20日までの1週間のみのレイトショー上映ということもあるのかもしれませんが)。

映画はしじみさん演じる独身女性がレイプして殺害されるシーンから始まって。確か15分くらい続いたのかな。かなりリアルで吐き気がするほど不快でした。強姦魔が延々とレイプについての“くだらない能書き”を偉そうに垂れるんですけど、マジで監督は狂人じゃないかと思って。この時点では、演じた宇野祥平さんにも心底ムカついていて、2人とも撲殺したいくらい激怒してましたよ(とりあえず席を立とうかとも思った)。


このシーンは本当に非道いので、要注意!
三角絞めでつかまえて-イヤなシーン


ただ、話が進むと、暴力的な恐怖の中に少しユーモラスな要素が入ってきて、ちょっと笑っちゃったりするんですよね。ヤエコが強姦魔に命令されて実況の練習するシーンとか、非道いんだけど、かなり面白い状況でもあって…。108人目のターゲットだったマユミ(高橋真由美)と強姦魔が恋に落ちるくだりなんて、非道いとは思いつつも、笑ってしまいつつ、少しだけ「マユミちゃん、良かったね… (ノД`)」的な気持ちにもなりつつ、「でも、やっぱりダメだろ!ヽ(`Д´)ノ」という気分にもなるという…。

僕的に泣けたのが「マユミちゃんがワキガであり、それに気付いていなかった→彼氏が出来なくてずっと寂しかった… 川´・ω・`) 」という設定なんですよね。野郎だったら「むしろワイルドで良し!」「袈裟固めの威力が倍増だぜ!」とポジティブになれなくもないような気もするんですが(そんなこともないか)、女性はやっぱり大変じゃないですか。劇中で強姦魔が言うように「本当にその人のためを思うなら、指摘してあげた方が良い」んでしょうけど…。ただ、僕の知り合いにワキガだった女性がいるんですけど、思い切って手術したらすっかり治ったそうです。だからね、自分の周囲にワキガの人がいたら、それとなく教えてあげて!(そして「余計なお世話だバカヤロウ!ヽ(`Д´)ノ」と言われたりしてね…)

で、結局、強姦魔とマユミは和姦することになるんですが…。その時、ヤエコが強姦魔の武器のハンマーを使って、無防備な強姦魔を襲うんですね。なんと、彼女は“強姦魔が初めてレイプした被害者”だったんですよ(「当時は小学生だった」という鬼畜すぎる設定)。で、グダグダな揉み合いの末にヤエコは絞め殺されて、白石も殺されて。強姦魔とマユミが絶頂に達した時、轟音とともに画面が白くなって、映画は終わってました。確かに18禁じゃないと作れない内容でしたな。

この映画、僕的には、白石監督の演出力が素晴らしいと思ったんですよね。この「超・悪人」の主人公である強姦魔は“107人強姦してその内の6人は殺害している”という筋金入りの極悪人であり、観客はその凄惨な犯行を映画序盤でちゃんと見せられているワケです。でも、そこに「ずっと孤独だったマユミちゃんがやっと愛する相手に出会って結ばれようとする」程度の要素が入れられただけで、僕の心の中で「マユミちゃんに幸せになってほしい→強姦魔も許してやるか」的な気持ちが少しだけ湧き上がってきて…。これは本当に上手く製作者側に感情をコントロールされたというか、そんな自分に気付いた時はかなり恐ろしかったですよ。

だから、終盤でヤエコが被害者として襲ってきて、“マユミの身勝手さ”が浮き彫りに→被害者のハズだった彼女が“悪”に見えた時はさらに愕然としました。要は、「“純愛”=エゴ=“悪”」ということであり、強姦魔とマユミの“純愛”に感情移入する観客を糾弾してきたように感じたというか…。ある意味、“白石監督からの「悪人」への回答”のような気がしたんですよね(「映画秘宝 2011年 06月号」で映画ライターの那須千里さんも同じようなことを書かれてたしね、エヘヘ)。今まで「暴力人間」というフレーズを使っていたのに「悪人」に「超」を付けたタイトルにしたのは、そういう思惑がある気がしたんですが、全然違うのかしら…。

役者さんたちはみなさん頑張ってて非常に良かったんですが、とにかく主演の宇野祥平さんはスゴかったです。劇中では極悪人にしか見えなかったんですけど、映画が終わった後、続けて「劇場版 神聖かまってちゃん」を観たら、「ショーパブの店長役の人か!Σ(゚д゚;)」とビックリ。役柄によって違うように見えるのは当たり前なんでしょうけど、「さすがだなぁ…」としみじみ感心しましたね。ちなみに、ご本人が観に来ていらしたので、つい握手してもらっちゃいました (ノ∀`)テヘッ

唯一の不満点は、ヤエコが逆襲するくだり。彼女がどこで“自分を強姦した男”だと気付いたのかが分からなかったんですよね…。僕としては「あんな強姦魔に女性が取材するのはおかしいから、実はDVDを観た時点で気付いていて、復讐のために撮影に同行した」というのがしっくりくるんですが、それだと自分でナイフとか“自分なりの武器”を用意すると思うんですよね。「インタビューの時に気付いた」とかだと、ご都合感がさらに強くなっちゃうような気がするし…。あの逆襲シーン自体は面白かったので、もう少し丁寧に考えてほしかったです。いや、もしかすると、もう一度観たら分かるのかもしれないけど、最初のレイプシーンはもう二度と観たくないしなぁ…。


ヤエコ役の清瀬やえこさんは結構タイプなんですけどね。って、どうでも良いですな。
三角絞めでつかまえて-ヤエコと悪人


何はともあれ、間違いなく生理的に受け付けない人が多いだろうし、万人にはまったくオススメできない映画だと思います。特に冒頭のレイプシーンはマジでキツくて、途中、帰ろうかとも思ったくらいだし。ただ、すっかり監督に感情をコントロールされてしまって、不快に感じつつも感心してしまって…。ポレポレ東中野での上映は今日が最後なので、物好きな人は覚悟して劇場に行ってみてくださいな。




白石晃士監督作。かなり驚かされたバイオレンス映画。僕の感想はこんな感じ



白石晃士監督作。いましろ先生が嫉妬したということで、観ておかないとね。









※備考

非常にありがたいことに、映画終了後、白石監督といましろたかし先生のトークショーがありましてね (・∀・)ニヤニヤ これがなんと「あまり映画の話をしない」という異色の内容に。いましろ先生の発言を適当に残しておきますね↓


正直、キツかった
ところどころ可笑しいところはあるけど、強姦殺人犯となるとちょっと…
原発のことばかり考えていて…
「オカルト」は妬ましいと思ったけど、今回は思わなかった
福島第一、大丈夫かなぁ
何回デマに騙されたか
とにかく菅直人! 菅直人ですよ!
原発、原発で何も手につかない…



やたら原発に怯えるいましろ先生自体はかなり面白かったんですけど(自分に誠実な人だと思った)、「2日間で撮影した」とか「ヤクザを実際に取材した人の話が一部のモチーフになってる」とかのエピソードが興味深かっただけに、やっぱりもう少し映画の話を聞きたかったのも事実。白石監督といましろ先生のコンビネーション自体は最高だったんだけどなぁ…。


おしまい。