THE WAVE ウェイヴ(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

THE WAVE ウェイヴ(ネタバレ)

THE WAVE ウェイヴ※映画の説明などを追記しました(12/17)

三角絞めでつかまえて-ウェイヴ

原題:THE WAVE (独:Die Welle)
2008/ドイツ 上映時間108分
監督・脚本:デニス・ガンゼル
出演:ユルゲン・フォーゲル、フレデリック・ラウ、マックス・リーメルト、ジェニファー・ウルリッヒ、ヤーコプ・マチェンツ
(あらすじ)
高校教師のベンガー(ユルゲン・フォーゲル)は特別授業週間で独裁制について学ぶクラスを受け持つことに。若くて生徒からの人気もあるベンガーは授業の一環として、生徒に独裁制を体験させようとある提案をした。それは授業中に自分を指導者とした独裁制を行うというもの。最初は嫌悪感を示す生徒たちだったが、やがてこれまでに味わったことのない一体感に興奮していく。そして生徒たちは自らを「ウェイヴ」と名乗って異物の排除を行うようになり…。(以上、goo 映画より)

予告はこんな感じ↓




45点


「es[エス]」の実験より数年前ー
恐るべき心理実験が、無防備な高校生たちに行われていた。
たった数日の間で彼らを集団狂気に走らせた、その戦慄の内容とはー?


どうです、実に興味を惹く宣伝文句じゃないですか? ドイツで公開されて大ロングランヒットとなり、2008年の興行収入ナンバー1を記録したドイツ映画「ウェイヴ」を観たのは先週なんですが、残念なことにもう公開が終わりそうな勢いなので、とりあえず感想を書いておきますね。

ストーリーは、生徒に人気がある高校教師が「独裁はなぜ起こるのか?」をテーマで授業を始めたら生徒がエスカレートして大変なことになっちゃいましたって感じ。1976年に実際にアメリカであった事件を元にした小説を元にした映画(ややこしい)ってことで、要は宣伝文句で引き合いに出されていた「es[エス]」と似たような作品なんですな。

で、感想も「es[エス]」を観た時と同じというか、ごめんなさい、「こんなこと起きないだろ」って思っちゃいました。その理由を僕なりに拙く考えますと、これまた「es[エス]」と一緒なんですが、題材が昔の話ということです。70年代は今より素朴な人が多かったワケで、今、同じ実験をしても、5日間という短い期間でそんなにエスカレートするかなぁと。授業内で「WAVE」という組織を作り、教師が指導者役になるんですが、とにかく登場人物たちがこの組織にのめり込むのがかなり早くて、現代ならよっぽど従順な人を集めないと無理な気がします。

僕が学生時代に「クラスで一丸となって何かを成し遂げる」という体験をまったくしなかったためかもしれませんが、「そもそも日本の教育ってこんな感じじゃね?」とも思うし。ホームページ開設したりとか、ロゴを作ったりはまだ良いとしても、ステッカーを作るのはさすがに早すぎるし、みんなで一丸となって街中にそれをベタベタ貼ったり、ロゴをスプレーしまくったりはちょっと…。あと、野球拳の前振りを思わせるダサイ敬礼は絶対やらないと思います。


野球拳の動画を貼っておきますね↓




まぁ、講堂で生徒を煽るだけ煽ってから「これが独裁だ!」と教師がハシゴを外すオチ自体は予想できたけど結構好きです。「今まで自分の居場所がなかった少年が暴走した挙げ句、絶望して自殺する」っていう悲劇も、ベタな感じですが嫌いじゃないです。ただ、教師とガールフレンドの仲が険悪になる辺りは心理描写が足りないと思ったり、「WAVE」に対抗する女生徒がコイツはコイツで問題に思えたりとか(観客に「WAVE」側に対して思い入れを持たせるためだとは思うけど)、やっぱりイマイチな点が多いですかね。

ただ、これも「es[エス]」を観た時に感じたんですが、僕は、“この映画の状況ではあり得ない”けど、当然ながら“こういうことは起こり得る”と思っています。だから、この手の映画が作られること自体は非常に良いことじゃないですかね。しかも、それがドイツで大ヒットというんだから、「二度とあの過ちは犯したくない」とどれだけ多くのドイツ人が思っているかが分かって、これまた良かった気がします。グダグダと書きましたが、「es[エス]」が好きな人は合うかもしれませんな。




スタンフォード監獄実験を元に作られた映画。アブグレイブ刑務所での捕虜虐待事件が引き合いに出たりしますが、それとはまたちょっと違うのでは。
es[エス] [DVD]



読みました。ラノベ風イラストと文字の大きさに少しガッカリ。
ザ・ウェーブ/モートン ルー