サンフランシスコの思い出

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2004年に糖尿病臨床を始めてからずっと、どうしたらよりよい糖尿病治療ができるのか

ずっと思い悩んでいました。

そうすると、日本ではないところで糖尿病臨床がどんなふうに進められているのか

知りたいと思うようになってきました。

当然、アメリカではどうしているんだろうと疑問が湧いてきたのです。

うちの大学の医局で、留学をしたいと聞いたのですが、

何のつてもなく、協力をしてくれる様子もなかったのです。

糖尿病臨床については興味の薄い医局だったのです。

ですから、自分で進めていくしかありません。

いろんなつてを探して、2007年になんとか1か月だけ

サンフランシスコで糖尿病臨床の見学ができるようになりました。

僕自身、非常にためになり今の僕の考え方にも大きな影響を及ぼしています。

その中で、ひとつ印象に残った出来事がありました。

UCSFでインスリンポンプ外来を見学した時のことです。

13歳で1型糖尿病を発症した26歳の男性が初診で来られました。

これから仕事でスペインに移り住むので

インスリンポンプをその後も続けるにはどうしたらいいかとのことでした。

インスリン2単位で血糖15mg/dlさがると言っており

確かに糖尿病教育は受けていなさそうでした。

僕は彼を見ていてうつむき加減なイメージを持ちました。

医師の間でのカンファレンスでは彼の教育歴の無さに焦点が絞られ、

医師は今後しっかり教育を受けるように患者さんに説明していました。

でも彼はスペインに自分で行けるほどしっかりした人なのに

どうして糖尿病についてはこれほども知らないのでしょう。

彼は糖尿病キャンプや患者会にも参加したことが無く、

知り合いに糖尿病を持っている人もいないようでした。

彼は間違いなく1型糖尿病に対して否定的な考えを持っていたのです。

教育よりもメンタルケアがさらに根本的で大事なことだと思い、

見学していただけの僕でしたが、思い切って医師たちにそのように説明しました。

現地の医師の話では、UCSFには大阪のDM VOXのような患者会は無いとのこと。

メンタルケアの重要性が日本と同様、浸透していないと感じました。

日本が遅れているわけではないというほっとした気持ちと、

世界中にこのような孤独を感じて生活しているヤング1型糖尿病の方が数多くいるのだという

やりきれない気持ちが入り混じって、複雑な気持ちになりました。

今僕が、患者会を進めている理由の一つはこの出来事が少なからず関わっています。

 

このインスリンポンプ外来で教えていただいたM教授から、

当時ペンで治療していた僕にインスリンポンプをすることを進めてくれました。

「日本人がポンプに消極的なのは知っている。とりあえずやってみたら?いやならやめたらいい」

それがきっかけで、僕はインスリンポンプを思い切って始めることになったのです。

 

休みにヨセミテに行った時の写真です!

 

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明けましておめでとうございます。

 

当直明けで31日の17時から1日の9時まで仕事でした。

中規模病院の年末年始はどうしても日当直が入ってしまいます。

31日は、つらい当直のように思う方も多いかもしれませんが、

実はそれほどではありません。

日当直で一番つらいのは12月30日と1月2日です。

救急患者さんが非常に多く来ます。

12月31日や1月1日はそれほど多くないのです。

まあ、新年をゆっくりできないのは残念ですが、

医師になって、この期間に当直がなかった年はほとんどないので

こんなもんだと思っています。

 

話は変わりますが、開業に向け着々と進めています。

2週間ほど前に、気になる物件を見つけました。

都市中心部からそれほど離れていない駅のすぐ近くの物件です。

大手薬局が隣にクリニックを作る事業のようです。

うちの嫁さんも「これにしたら!」と前向きです。

問題点はいろいろとあるものの

1型糖尿病患者さんに来てもらうには交通の便がいいところがいいと思うのです。

 

開業は平成が終わるころと決めています。

今年初めに、話を進めていきたいと思っています。

その薬局には、僕が1型糖尿病で糖尿病専門のクリニックを進めることを

伝えようと思っています。

1年以上も先に、開業することを認めてくれるかどうかですね。

今回は、僕の1型糖尿病をうまく使い、ちょっと強気に行こうと思っています。

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32nd Diaversary!!

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明日は、僕の糖尿病が判明した日です。Diaversaryですね!!

まあ、この日のことは、このブログで何度も書いているので、これぐらいで…

 

先日外来で、とある糖尿病患者さんが紹介されてきました。

紹介先の医師名を見ると、N先生でした。

うちの大学の循環器内科の元教授です。

N先生は、実は一度だけ関わりがあるのです。

 

僕が大学を受験するときに、高校から1型糖尿病の病気があることを伝えていました。

そうすると大学から、受験前に一度診察を受けてもらいたいと依頼が来たのです。

その時に診察を受けたのが、N教授だったのです。

なんで糖尿病の教授ではなく、循環器の教授なんやろうと疑問があったことを覚えています。

いまだにその理由は分からないのですが…

 

診察を受けた多くのことは30年近く前のことなのであまり覚えていないのですが、

一つ強烈に覚えているのが、

「コントロールは悪くないですね。これなら内服薬でもいけるんじゃないですか。」

と言われたことです。

当時の僕も、インスリンがなければ生きていけないことを知っていたので、

びっくりしたのを覚えています。

糖尿病専門でないからそんなことを言ったのか?

1型糖尿病はそんなに知られていないまれな病気なのか?

そんなことを、いろいろ考えていました。

 

その後、受験できるのかは何の連絡もなく、

高校から、問い合わせてもらって、OKだとのことでした。

たぶん適当に考えて、OKと返事したんでしょうね(笑)

昔の大学教授、そんなもんです。

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ホノルルマラソン

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今年もホノルルマラソンが開催されたそうですね。

懐かしく思い出されます。

10年ほど前に、僕は初めてのマラソンをホノルルで走りました。

完走前から、手のしびれ、むかつき、全身倦怠感…

完走後は2時間ほど、吐きそうでしんどくて、立ち上がることもできずにじっとしていました。

 

マラソン中は、低血糖が怖くて、ポンプで基礎インスリンを15%まで減らしていたのです。

走っている間、血糖も測定していましたが、

これだけインスリンを減らしていても200を超えることはありませんでした。

でも、このしんどさはケトーシスだったのです。

いろんな先生方と相談をして、初マラソンから数年たち、

ようやくケトーシスではないかと疑い始めたのです。

 

1型糖尿病を持っていると、長距離走では健常人よりも、

ケトーシスを起こしやすいことが分かっています。

マラソンでは、インスリンは極端に減らしてはいけません。

そして、しっかり炭水化物を取らないといけません。

走っている間、インスリン調整と炭水化物摂取を常に意識する必要があるのです。

そういうことが、マラソンを何度も走って、失敗も重ねて分かってきました。

 

今年のホノルルマラソンは、1型の友人や仲間、そして、僕の大学の同級生が参加されたようです。

フェイスブックやメールで報告がありました。

懐かしく思い出されました。

また、機会があればホノルル行きたいなあ…

開業してからでは難しいかなあ…

1型糖尿病の治療の考え方

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僕の1型糖尿病の食事療法の基本方針として、

「何を食べてもいいよ」とすべての1型患者さんに言っています。

普段、僕は1型治療に造詣の深い医師たちとよく話しているので

この考え方は普通のことと思っていましたが、どうもそうではないみたいなのです。

最近、僕の病院に紹介されてきた1型患者さんと話をしていると、

1型治療に造詣の深い医師から紹介の場合は、違和感を感じないのですが

そうでない医師から紹介された場合、その患者さんは医師から

何を食べてもいいというわけではない、と言われているようなのです。

カーボカウントはかなり広まってきたと思っていたのですが、残念に思ってしまいます。

 

バランスよく食べることは重要だと言いたいんでしょうね。

何を食べてもいいというと、患者さんはどんどん食べすぎてしまうのではないか

という恐れが常にあるようなのです。

食べ過ぎるから、釘を打っておかないといけないという理屈なんでしょうね、

これは、僕が研修医のころの上の医師が常に言っていたことです。

甘えさせると絶対に良くない、という考えです。

この説明方法で患者さんがどれほど苦痛に思ってしまうのかというのを

ほとんど理解していないようなのです。

 

1型患者さんの中には肥満の方もおられます。

その方には、食べ過ぎないように説明する必要があることも確かです。

僕自身はそういう患者さんには

「体重を減らすことは大事ですけど、これは1型糖尿病とは関係なく、健康な方でも同じです。」

と1型糖尿病治療とは切り離して説明しています。

健康な方が食事に気を付けるのと同じように、1型糖尿病でもバランスの取れた食事は大事ですからね~

でも、患者さんはそんなこと、普通に理解していますよ。

医師が患者さんを信頼しているかどうかなんでしょう。

1型糖尿病の治療は、食べ過ぎたときにインスリンを食事に合わせて打つことが重要なんですよ。

そこを分かっていない医師は、それだけで僕の中ではアウトです。第一関門通過せずです。

 

そして、この考え方は1型だけでなく、2型の方にも役に立つんですよね。

多くの2型の方は、食事療法ができず罪悪感を感じています。

2型治療は個人差が極めて大きいですが、ここを理解して食事療法を進めていくことがやっぱり必要です。