DM VOX

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僕がDM VOXに初めて参加したのは、もう13年前、平成16年の5月にさかのぼります。

まだ、僕の糖尿病臨床に全然自信がなくて、前向きになれなかった頃です。

あれほど多くの1型患者さんに出会ったのも生まれて初めてでした。

ドクター講演と、患者体験談と、グループディスカッションで構成されるプログラムで

すべてがカルチャーショックだったのを覚えています。

とにかく、20人ほどの医師が参加されており、このVOXで知り合いになりました。

いろんな患者さんとも知り合いになりました。

 

あまりに衝撃的過ぎたので、

そのあと2回ほどVOXには参加する勇気がありませんでした。

でも、やっぱり参加しないといけないなと思い、思い切って参加しました。

そのあとの懇親会で、VOX立ち上げの中心者であるHさんと話しました。

その時にHねえに初めて出会ったんですよね~

Hさん、Hねえは二人とも医療者ではなく、ふつうの患者です。

でも、この二人から僕は大きな影響を受けたのです。

Hさんは、「もう来ないと思ってました(笑)」と言われたし、

Hねえからは「ちゃんとしないとだめよ!」と怒られました。

そしてその後、僕がVOXのドクター講演をしたんですね。

いまでも、僕は医者をはじめとする医療者と患者は同じ人間だから

同等の立場だという考えです。

僕の糖尿病臨床の基礎になっています。

 

そして、VOXの懇親会で、

医師から、糖尿病臨床の話を思う存分聞き、話し合って

患者から、患者はどうあるべきか、患者にとって医師はどうあるべきかを話し合って

どんどん、自分の考えが確立していったのです。

研修医のころからうちの医局でずっと感じていた違和感、孤立感…

そのころは、自分が悪いと思っていたのですが、

自分の考えは決して間違っていないと思うようになったのです。

 

僕の糖尿病臨床の心のふるさとはDM VOXです。

今でも、VOXの懇親会で医師同士で話すとくつろげます。

考え方が共通しているからなんですね。

 

これからも出来る限り、VOX参加していきますよ!

 

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SAPとリブレを体験して

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現在、リアルタイムにグルコース濃度を測定できる機器として

インスリンポンプ620GのSAPとリブレがあります。

SAPは使い始めてもう2年になります。

そして、1か月ほど前からリブレを使い始めました。

この2種類の機器の感想を書いてみようと思います。

 

まず、これらのグルコースモニターの共通点として

血糖ではなく、皮下の間質液のグルコース濃度であること

10分ほど遅れるんですね。それはなんとなく実感できます。

そして、自己血糖測定と比べると、かなりのずれが出てくることがあります。

僕の個人的な印象として、自己血糖測定では50なのにSAPでは74とか。

実際には低血糖なのにSAPでは70以上ということがよくあります。

リブレでは反対で、リブレで50なのに、自覚症状もなく自己血糖測定すると76

なんてことがよくあります。

他の人の意見ではそうでなかったりするので、あくまでも個人的な感想ですね。

 

SAPはとにかくストレスフル!!

仕事しているときでも、寝ているときでも低血糖・高血糖アラートが鳴るので

イライラきます。仕事中、外来をしてる時のアラートはすごくイヤです。

寝ているときもそう。睡眠不足にもなります。補食せんとあかんし。

SAPをつけ始めたときは、気になって追加インスリンを打ちすぎて

そのあと血糖が急降下して低血糖、なんてことが結構ありました。

そのためか、今まで合併症なしやったのに網膜症が出てきてしまった。

でも、だんだんコツがつかめてきて、血糖の急降下することは少なくなりました。

ストレスはたまりますが、コツをつかめば血糖コントロールはよくなります。

 

リブレは、そういうストレスは少ないです。

センサーにかざさないと血糖は分からないし、アラートが鳴ることもない。

夜はぐっすり眠れます。

仕事中も気になるときにレシーバーをかざすとすぐにグルコース濃度が分かります。

自己血糖測定は僕自身1日3-4回程度の測定でしたが、

リブレなら10回でも20回でも測定できます。簡単です。

何よりも、SAPでは自己血糖測定を2‐3回して補正が必要だったのが

リブレならその補正もする必要がない!

本当は間質液グルコース濃度でインスリン量は決定してはいけないとなっていますが

そんなん、めんどくさいし。そのままこの値でインスリン量を決めてしまいます。

だから、指先で測る自己血糖測定をほとんどしなくなりました。

でも、血糖コントロールはSAPよりは悪くなります。

低血糖も高血糖も測らないとわからないし、夜間低血糖も分かりません。

ある日は、ものすごい寝汗をかき、悪夢をみていたのにそのまま低血糖に気づかず、

朝になってソモジー、むちゃくちゃ血糖が上がってしまいました。

 

結局、1型糖尿病の血糖コントロールは

よりよくするには、手間暇かけないとよくならんのですよ。

最近ではいい機器やいいインスリンが出てきて

コントロールはやりやすくはなっているけど

血糖の不安定性はずっとあるんですね。

SAPとリブレを使っていくと、そういう当然なことを改めて自覚したんですね。

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後輩の医師

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先日、地域の勉強会に行ってきました。

僕の後輩のM先生の発表、本当によかったね~

患者さんの行動変容についてしっかり勉強してくれました。

僕の思っていることをそのまま代弁してくれた感じです。

それどころか、僕も勉強になりました。

M先生とは同じ病院で仕事をしたことはないのですが、

以前から僕に質問をしてくれることもあって、僕の考えを詳しく説明していたのです。

糖尿病臨床をしっかり考えてくれているかどうかは、

この時の姿勢を見るだけでもわかります。

M先生の発表を聞くと、糖尿病臨床をしっかりやっているか

しっかり想像できます。

正直なところ、その点に関してはうちのグループでは

20年目以上の医師は全滅です。本当に全滅です。

若い医師であっても、どんなに説明してもダメなものはダメです。

話をすると、簡単に見破れます。

やっぱり、あのN医師の亡霊がとりついているんですよ(笑)

亡霊に取りつかれた医師に教えてもらうだけで、

若い医師もすぐにとりつかれてしまいます。

それでも、とりつかれていない医師も徐々に増えてきています。

 

その中でも、やっぱり後輩のI君は感謝しきれないです。

これだけ僕の援助をしてくれる医師は他にいません。

時々、I君にもきついことを言ってしまいますが、

臨床レベルをもっと上げたい気持ちなんだと思ってくださいね。

以前、一緒に働いていた時に、僕の愚痴をいやな顔一つせず聞いてくれて

今では同じ愚痴を僕に行ってくれるもんね~

また、飲みに行こうな!!

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受験生

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今日、自転車で家に帰る途中、

ある大学の時計台の見えるところを通り過ぎました。

そうすると、大勢の受験生が大学から出てきたのです。

僕の高校3年生のころが懐かしく思い出されました。

あのころは、1型糖尿病のことも友達に言えず、

友達と遊ぶこともできず、うつうつとしていたその感情がフラッシュバックしてきたのです。

悔しくて、ずっと勉強ばかりしていました。

でもそのおかげで、3年生の駿台・代々木などの模擬試験では

ずっと偏差値70以上をキープしていました。

正直なところ、受験勉強が直接今の仕事のためになっていることはありません。

でも、あの頃のひたすら頑張っていた結果としてこの成績を自分の中に収めておきたいです。

勉強がしんどかったのは医師国家試験も同じです。

でも、そのころは同じようにしんどいと言える友達がたくさんいました。

高校生の頃は、1型の僕が医者になれるのか不安で不安で仕方なかったのです。

これに応えてくれる人はほとんど誰もいませんでした。

ただ当時の主治医のS先生が「大丈夫」と一言言ってくれたことだけが救いでした。

高3の秋に肺炎を起こし、一か月寝込みました。

当時食事も制限して相当痩せていたので、

1型という病気ではなく、栄養失調だから肺炎になったんだと言い聞かせて

そのころからインスリンを増やして多く食べるようになっていきました。

というようりも、単に食べたかっただけかも…(笑)

 

大勢の受験生を目の前にして

僕もこの大学に行きたかったなとも少し思いました。

実は、この大学にも合格していたのです。

でも、医者になるために今の大学を選んだのです。

こんな気持ちがめぐってしまいました。

受験前に聞いていた曲です。懐かしいです。

 

 

 

食事療法について

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こんな論文があります。
ウルトラマラソンのアスリートを募って検討したものです。
 
炭水化物を主に取っているアスリートは
筋肉でブドウ糖を積極的に利用してエネルギーに変えていて、
脂質を主に取っているアスリートでは脂質を積極的に利用していた。という報告です。

(Volek JS, et al: Metabolic characteristics of keto-adapted ultra-endurance runners. Metabolism. 2016 65(3):100-10.)

 

僕の糖尿病臨床で食事療法について自分なりの考え方が確立されていますが

この論文が僕の考え方にしっくりくるのです。

 

昨日、1型仲間と飲み会をしたのですが、その時に出た話題です。

糖尿病患者さんは糖質制限をしないと安全に出産ができない。

1型糖尿病患者さんが完全に糖質制限をするとインスリンから離脱できた。

糖質は麻薬と一緒で恐ろしいものだ。完全に糖質をやめることで合併症を免れる。

こんなことを言っている糖尿病医がいるようです。

僕もフェイスブックでこのような記事を見ていました。

 

糖質は麻薬と一緒やなんてそんなことありえへんし。

血糖が上がるのは糖質だけだとそういう医者は思っているようなのですが

そんなこともあり得ません。

肉でも血糖が上がることは1型患者ならだれでも知っています。

僕自身、糖質制限の治療は決して否定しませんが、

糖尿病の食事療法はそれしかないと言われると断固反対します。

 

上の論文は、食事の内容によって、

体の体質が変わり、その食事に順応する可能性を報告したものです。

例えば朝食を毎日とっている人は朝食をとらない日は調子が悪くなる。

逆に朝食をとっていない人は、朝食をとらなくても普通に生活できるように順応するのです。

 

食事だけでなく、運動もそうですよね。

ジョギングをしていると、どんどん長距離が走れるよう体が順応するのです。

筋トレをすると、どんどん筋肉量が増えて体が順応してくるのです。

糖尿病についても食事・運動療法は

その人にとってこれだけしかないというものではなく

もっと幅があるものと思います。

人間の体のしくみは、糖質制限派の人たちが考えているよりも

もっと複雑で奥深いものなのです。