受験生

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今日、自転車で家に帰る途中、

ある大学の時計台の見えるところを通り過ぎました。

そうすると、大勢の受験生が大学から出てきたのです。

僕の高校3年生のころが懐かしく思い出されました。

あのころは、1型糖尿病のことも友達に言えず、

友達と遊ぶこともできず、うつうつとしていたその感情がフラッシュバックしてきたのです。

悔しくて、ずっと勉強ばかりしていました。

でもそのおかげで、3年生の駿台・代々木などの模擬試験では

ずっと偏差値70以上をキープしていました。

正直なところ、受験勉強が直接今の仕事のためになっていることはありません。

でも、あの頃のひたすら頑張っていた結果としてこの成績を自分の中に収めておきたいです。

勉強がしんどかったのは医師国家試験も同じです。

でも、そのころは同じようにしんどいと言える友達がたくさんいました。

高校生の頃は、1型の僕が医者になれるのか不安で不安で仕方なかったのです。

これに応えてくれる人はほとんど誰もいませんでした。

ただ当時の主治医のS先生が「大丈夫」と一言言ってくれたことだけが救いでした。

高3の秋に肺炎を起こし、一か月寝込みました。

当時食事も制限して相当痩せていたので、

1型という病気ではなく、栄養失調だから肺炎になったんだと言い聞かせて

そのころからインスリンを増やして多く食べるようになっていきました。

というようりも、単に食べたかっただけかも…(笑)

 

大勢の受験生を目の前にして

僕もこの大学に行きたかったなとも少し思いました。

実は、この大学にも合格していたのです。

でも、医者になるために今の大学を選んだのです。

こんな気持ちがめぐってしまいました。

受験前に聞いていた曲です。懐かしいです。

 

 

 

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食事療法について

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こんな論文があります。
ウルトラマラソンのアスリートを募って検討したものです。
 
炭水化物を主に取っているアスリートは
筋肉でブドウ糖を積極的に利用してエネルギーに変えていて、
脂質を主に取っているアスリートでは脂質を積極的に利用していた。という報告です。

(Volek JS, et al: Metabolic characteristics of keto-adapted ultra-endurance runners. Metabolism. 2016 65(3):100-10.)

 

僕の糖尿病臨床で食事療法について自分なりの考え方が確立されていますが

この論文が僕の考え方にしっくりくるのです。

 

昨日、1型仲間と飲み会をしたのですが、その時に出た話題です。

糖尿病患者さんは糖質制限をしないと安全に出産ができない。

1型糖尿病患者さんが完全に糖質制限をするとインスリンから離脱できた。

糖質は麻薬と一緒で恐ろしいものだ。完全に糖質をやめることで合併症を免れる。

こんなことを言っている糖尿病医がいるようです。

僕もフェイスブックでこのような記事を見ていました。

 

糖質は麻薬と一緒やなんてそんなことありえへんし。

血糖が上がるのは糖質だけだとそういう医者は思っているようなのですが

そんなこともあり得ません。

肉でも血糖が上がることは1型患者ならだれでも知っています。

僕自身、糖質制限の治療は決して否定しませんが、

糖尿病の食事療法はそれしかないと言われると断固反対します。

 

上の論文は、食事の内容によって、

体の体質が変わり、その食事に順応する可能性を報告したものです。

例えば朝食を毎日とっている人は朝食をとらない日は調子が悪くなる。

逆に朝食をとっていない人は、朝食をとらなくても普通に生活できるように順応するのです。

 

食事だけでなく、運動もそうですよね。

ジョギングをしていると、どんどん長距離が走れるよう体が順応するのです。

筋トレをすると、どんどん筋肉量が増えて体が順応してくるのです。

糖尿病についても食事・運動療法は

その人にとってこれだけしかないというものではなく

もっと幅があるものと思います。

人間の体のしくみは、糖質制限派の人たちが考えているよりも

もっと複雑で奥深いものなのです。

 

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一昨日の講演会

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一昨日ですが、関西の中規模都市の病院に勤務されている
糖尿病専門医のK先生の講演を聞きに行きました。
この先生は持効型インスリンの使い方について、全国的に講演をされている先生です。
大変興味深く聞かせていただきました。
 
正直なところ、技術的なところはすべて僕も臨床でやっていたことでした。
うんうん、とうなずきながら聞いていました。
インスリンはライ〇〇グなんです。
ここまで言うとK先生が誰か、分かるひとには分かると思います。(笑)
 
K先生のすごいところは、その技術を講演で伝えるために
ライ〇〇グをいつ打つか何単位打つかでその変化を
ひとりひとりの患者さんの持続血糖測定で発表されていました。
その技術を一つ一つリストアップさせて、分かりやすい講演として仕立て上げているのです。
多くの患者さんを見ながら、ここまでデータを集めるのは相当な根気と努力が必要です。
 
僕自身はもともと1型糖尿病があるので、
その技術的なことは、あまり意識せず普通にやっているんです。
講演を聞くと、あ~それやってるわ~ という感じです。
 
K先生だけでなく、多くのポンプ患者さんを診ている医師の講演もそうです。
患者さんにポンプを使いこなすコツをひとつずつ聞いているので
リストアップできるんですね。
聞いていて大変興味深く聞けます。
 
糖尿病治療、特にインスリン治療はそういう技術をいくつ持っているかで
糖尿病臨床能力が決まると思います。
一つ一つは小さなことでも、それを100個持っている医師と
うちのグループの昔の医師たちが、15-20年前にやっていたこと
僕は研修医のころすごく違和感を感じたのですが、
1型糖尿病患者のインスリンをR (6-6-6-0) N (0-0-0-6)みたいな、
なんにも考えていないようなインスリン注射の処方をしているのでは
大きく変わってくるんだと思います。
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今の病院はいいね~

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去年のことになりますが、こんなエピソードがありました。

2型糖尿病の患者さん、入院されていたのですが、

インスリン導入をすることになりました。

高齢の患者さんだったので、本人はなかなか自己注射の手技を覚えられませんでした。

そこで、奥さんに覚えてもらうことになったのです。

年明けまでに退院してもらうよう、31日に退院予定でした。

ところが、あるトラブルで奥さんが手技を覚える前に退院となってしまいました。

このトラブルは、29日の休みの間に起こってしまったので、

患者さんが退院してから、その日の夜に僕は連絡を受けたのです。

えらいことになってしまったな~と、翌日、30日朝一番に病院へ行ったのですが

そうすると、若い看護師Iさんが、すでに奥さんを呼んで注射手技を教えていたんですね。

これには、本当にびっくりしました。

 

注射手技を覚えられずに退院してしまったら、

大変なことになるのは普通に当然なのですが、

実は病院のなかでは、全く当然のことではないのです。

インスリン手技を覚えていないまま退院予定となっているのに

医師も看護師もそのことに気づかず、僕が指摘するとなぜか怒り出す医師もいます。

不思議でなりません。

 

そんな今までの経験の中で今回のエピソードは本当にうれしいことでした。

看護師さんが自らの判断で奥さんを病院に呼んで、僕が病院に行った時には

ほとんどするべきことが済んでいたのです。

やっぱり、ここの病院の糖尿病臨床は本当に僕にとって働きやすいところです。

 

合併症を予防するためにするべきこと

糖尿病を持ちながら生活することにおいて問題点を解決していくこと

僕はこれを最も重要視しています。

これを糖尿病臨床の技術であるとするならば

今のうちの病院は本当にレベルが高くなっています。

糖尿病臨床の中でも別の分野を重要視している糖尿病医もいます。

臨床研究を頑張っている医師もいるし、

合併症を起こした患者に急にテンションが上がって臨床に励む医師もいます。

糖尿病患者の中に潜む別の疾患を血眼になって探す医師もいます。

そういうことも重要ですし、別に否定はしないのですが、

合併症を予防するためにするべきこと

糖尿病を持ちながら生活することにおいて問題点を解決していくこと

これについても大変重要なことがらだということを認識してほしいですね。

 

福岡のO先生

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福岡にO先生という、1型糖尿病の専門の先生がいます。

O先生が話しておられたことはいつも頭に残っています。

「小児1型糖尿病を長く見ていると、合併症を多く起こす病院と、

ほとんど起こさない病院があることに気づきました。

だから、今1型糖尿病治療をしっかり医療者に教育しないと、

不幸な患者さんがどんどん増えてしまいます。」

O先生は30年以上、1型糖尿病をしっかり診ておられます。

糖尿病治療の考え方で実は合併症を起こすリスクが大きく変わっているのです。

これは当然と言えば当然のことなのですが

でも医療者の中にはそこに気づいていない人も多くおられます。

血糖コントロールはよくならないのは患者さんにも原因があると思っている医者

そういう医者が何年もたって、合併症を引き起こしているのです。

O先生は、患者さんに原因があるとはこれっぽっちも思っていないのです。

僕も同じです。

というか、O先生のような糖尿病臨床をしっかりされている先生の影響を受けて

僕の考えが確立しているのです。

 

僕が研修医の時、1型糖尿病の罹病歴が10-20年の患者さんは

ほぼ間違いなく合併症が進行していました。

神経障害で立ち上がるだけで、倒れてしまう患者さん。

透析に至ってしまった患者さん。

網膜症でほぼ失明してしまった患者さん。

僕はすごい恐怖を感じたのを覚えています。

でも、僕の糖尿病が判明して31年になった今、

単純性網膜症が少しあるだけで合併症はほとんど起こしていません。

僕の研修医の時にうちの大学での糖尿病治療を無視して

自分のやり方でコントロールをしていたことが今では身をもって良かったと思えます。

おそらく今の大学でも、コントロールは今一つでしょう。

つまりは、糖尿病患者さんの合併症をどんどん引き起こしているのです。

医者になって10年以上たってからでは

何を言っても変わってくれません。

若い医者に説明することで、変わってくれることを願っています。

患者さんが幸せになるためには

待つだけでは何にもならないのです!