映画(見る)と小説(読むのと書くの)の感想


セス・ローゲンが好きです。

で、毎週彼の映画を見ていたのですが、これは…。

どちらかと言えば、ハートウォーミングな下ネタ映画を作られていて

そこに魅了されたのですが、本作は…。

余りに異常な展開に笑うことなど忘れて見入りました。


「警察官に憧れるショッピングモールの警備員」という主人公の設定が

同じく人気コメディアンのケヴィン・ジェームスの大ヒット作「モール★コップ」と

全く同じ。同時期の人気コメディアン主演の映画なのに…これも首をひねるばかり。


そして、一番衝撃的だったのはその内容…。


主人公のセス・ローゲンは、やる気のあるが変わり者の警備員かと思いきや、

妄想癖があり、暴力衝動があり、性悪という異常性がたまねぎの皮をむくように明らかになっていきます。

そして、彼をとりまく人々も愛する母はアル中のやりマン、好きになった女もただのビッチ、

相棒のはずの親友は極悪人と余りと言えば余りの非常事態。


全裸にコートの変質者を捕まえろ!という冒頭で掲げられたストーリーテーマは

徐々に、警察官になるんだ!という主人公の目標にずれていき、

しかし、最後はは変質者を捕まえるんだ!が映画の軸になって終わる、そのぶれなさも違和感を覚え…。


そして、その異常性の全てを、笑いで包もうとするその姿勢が怖い。


セス・ローゲンはハンサムでキュートなんですが、

その小さな目がこんなに異常性を放つとは思いもよりませんでした。


いや…「オブザーブ・アンド・リポート」チョイ見の価値ありまくりです。




「運命のボタン」


監督:リチャード・ケリー(「ドニーダーコ」)
出演:キャメロン・ディアス フランク・ランジェラ


星取り ★★

みんな大好き「ドニーダーコ」のリチャード・ケリー監督の新作です。

うにゃ…これは…ううむ。
正直、リチャード・ケリーの限界を思い知らされた気がしました。
魅力的な映画なんです。
でも、軸がない。テーマが全く見えてこない。
ストーリーが破綻しているのであれば、
演出力でサスペンスを盛り上げればいいんです。
それで映画は面白くなる。
(デヴィッド・リンチしかりシャマランしかり。)
しかし、サスペンス演出も…正直下手。

雰囲気作りという点では個性もあったし、素晴らしかった。
唐突な展開も非常に好み。

しかし、で何?と客に思わせたら失敗でしょう。

絶対見ないほうがいいよ、と切捨てるにはもったいない。
でも、オススメは出来ない、そんな映画でした。

私はフランク・ランジェラの役をサミュエルLジャクソンが
演じれば、ずいぶんこの映画の問題点が解決したと思うんだがな…。
見たら気持ちが分かります。とりあえず見てみてください。

「マイブラザー」


監督:ジム・シェリダン(「マイレフトフット」「父の祈りを」)
出演:ジェイク・ギレンホール トビー・マクガイア  ナタリー・ポートマン


星取り ★★★



この豪華3人が売りの人間ドラマ。
マイブラザーというくらいだから、
トビーとギレンホールはもちろん兄弟。
出来のいい兵士の兄トビーと出所したての弟ギレンホールに
兄の美人妻ナタリーが絡むという
話はよくある三角関係人間および恋愛模様です。
しかし、ちゃんとしている。すごくちゃんとしている。
きちんきちんとシナリオを積み重ねていく感じ。

特に食卓を囲んでいるシーンの緊張感が素晴らしく、
食事こそホームドラマの真髄なんだと思い知りました。

ただ、シナリオを映画化することに集中しすぎた印象があり、
なんだか良く出来たテレビドラマみたいな印象も受け…
山田太一ドラマスペシャル、みたいな。

いやさ、それでもいいんですけど、映画ファンとしては
名匠ジム・シェリダンだともうワンランク上をねだったりする。
無難な出来と言われても仕方ないかな。
でも、全然オススメできる1本です。