細氷舞う清晨の時


寝台に横たわる姿は悲愛の想いと憔悴で、

磨り減るように霞んでいた

 

…王妃様

 

嘆く女官や侍女達の嘆きも、

彼女にはもう届かない

 

彼女の心は、

終わりを告げようとしているこの身体と、

隣で泪を流し自身の手を握る

愛しい方へと向かっていた

 

…逝くな

   私を残して、逝ってしまわぬでくれ

 

その手をぎゅっと握りしめ、

笑みを浮かべたが、

その笑みも周りのものには微かな

表情の動きにしか見えなかった 

 

それがまた痛々しくて皆、

目頭を押さえ目を伏せた 

 

…御心痛が、王妃様の病を早めたのだ

 

誰もが胸の内で心痛のもとを呪っていた

 

窓越しに煌めく細氷に、

彼女の心は溶け込むように煌めいていく

 

もし来世で出会えたら、今度は王様…ではなくて、

ひとりの女人として "旦那様" と御呼び出来たらと

 

王様のお心を独り占めにしたいと願う

妾の浅ましい想いをどうか…

 

 

・・・・・

 

 

白菊が仄かに薫る地

ひとり立ち、空を見上げていた彼女のそばに

男がすっと寄り添うように立った

 

…どうしたのだ?

…王様、 どうして?

…私を待っていたのだろう?

…ですが…

 

本当は待っていた

ずっと未練がましく想いを捨てられず、

だから、来世への想いも素直に受け取れなかった

 

…此れからは、ひとりの男と女だ

   共に来世でも幸せになろう

   なぁ、プイン

 

想いが溢れ、満ち足りた泪が頬を伝う

やっと想いが叶う

 

…はい 、 ソバンニム


 

 


ふぃん



個人的に、史実の話を書くのは胸が痛くなります。
ただ、最近思うことがあり、このお話を書きました。


 


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