3月11日の六ヶ所再処理工場アクティブ試験に反対する県民の集いの報告その3 | 青森県反核実行委員会

3月11日の六ヶ所再処理工場アクティブ試験に反対する県民の集いの報告その3

○澤井正子さん講演要旨 


東海再処理工場のホット試験のとき何が起こったのか?東海は210トン、六ヶ所再処理工場は4倍の800トン。いま原発は世界で約467基が稼動・建設中である。一方再処理工場は閉鎖されたものも含めて世界で22である。再処理工場というのは重大事故がこんなにある。再処理工場は、東海村の再処理工場の重大事故が2つも入ってきているように事故が起こればちっぽけな東海村の再処理工場でも大変な状態になる。

東海再処理工場は最初はプルトニウム単体抽出であったが、米国のカーター大統領により、単体抽出から、混合抽出になった。

東海村は年間目標210トンであったが、しょっちゅう事故で停止していたために、動燃は目標を100トンに落としたがそれでも、29年間で約1111トンしか再処理していない。1年間で約38トンである。これは設計規模210トンの約5年分、六ヶ所再処理工場の1・4年分である。本当にしょっちゅう止まる情けない施設であった。

ホット試験は1977年に開始された。1978年に酸回収蒸発缶に穴空き事故が発生した。日本の技術では酸回収缶を交換できずに、1年間ホット試験を中断した。

 1982年1月に本格運転開始を強行したが、82年4月にR11溶解槽でピン輪ホールが発生、R10溶解槽で片肺運転。しかし今度は83年2月18日に片肺のR10溶解槽でピンホールが発生し、さらに内部洗浄作業で放射能漏れを起こした。そさして翌日19日には酸回収蒸発缶穴あき事故が発生。工場は85年2月までに全面停止になる。

また、運転をしていないときでも大量の被曝事故を出している。事故を起こしたセルのなかに入って工事をしていて被曝している。再処理工場は、原発とは違い運転していなくても事故が起こる。被曝以外の事故も再処理工場はたくさんででくる。運転を止めても使用済み核燃料はプールに入っているし、途中の工程に溶液が入っているところや、廃棄物の処理過程で事故が起こりうる。

93年12月27日には、分離・精製工場真空分配室だの真空フィルターの交換作業で4人が被曝。90ミリシーベルトというレベル2という線量限度を大きく超える被曝事故であった。また97年3月11日にはアスファルト固化処理施設において火災爆発事故が起きた。

また再処理工場は通常運転しても大量の放射能を自然に排出する。こういう危険な再処理工場は絶対止めなければならない。



講演する澤井さん


講演する澤井正子さん2






会場からの質問に対する回答



○澤井

 東海の被曝の総数や90ミリシーベルトの被曝労働者のその後については、後ほど調べて原子力資料情報室のHPに掲載したいと思います。クリプトンとかトリチウムというのは気体でしか存在しない放射能である。だから排気塔からしか出てこない。

 東海再処理工場にはクリプトン・トリチウムを回収とる装置がある。だから技術はあるが、問題は回収したクリプトン・トリチウムをシリンダーに入れておかなければならない。気体系の放射能は未来永劫シリンダーに入れて保持できくなり最後には環シリンダーの腐食等により環境に放出しなければならない。そこで「どうせ放出しなければ最初から放出しろ」となったと思う。だから技術はあるので、私たちは事業者に対して、お金をかけてクリプトン・トリチウムの除去装置をつけるという要求をしていくべきである。

 事故が起これば、核種の崩壊を待たずに、どんどん出していくと思う。廃液を保持していくことの方が危険だと判断すれば、どんどん放出すると思う。そして後で放射能の放出量が基準を超えたと発表するであろう。そして県と日本原燃が締結する放射能の放出量は目標値であって、目標値を守るという紳士協定はないものと思ったほうがよい。事故になればどんどん放射能を垂れ流すことになる。



○会場からの発言

 東京・小林さん

  イギリスのセラフィールドやフランスのラアーグの再処理施設でどういうことが起こっているか見てきた。両施設ともそれぞれの白血病の発病率が国内の平均値より高いということは政府も認めているが、それは再処理工場によるものとは政府は認めていない。イギリスの地図を見るとセラフィールド近辺の地図がデンジェラスエリアと表示されていてビックリした。

フランスでは再処理工場を監視しているアポロという団体がある。そのアポロが専従5人、ポランティア200人で常時放射能を監視している。その彼らの毎月の会報には、ヨウ素129が配水管側の7キロ先で20キロの海上に放出される。その直近海域で平均80ベクレル(3年間平均)が検出されている。また150キロ~180キロ東で15ベクレル。さらに南に100キロで5ベクレルが検出されている。

先ほど出たクリプトンの話ではラアーグ北側の村の湧き水がクリプトンで汚染されている。このように環境は確実に汚染される。これが日常的に行われる。もし六ヶ所再処理工場が動き出せば、このセラフィールドやラアーグ周辺のように確実に環境が汚染されるということである。

もうひとつは日本原燃や県を信用できるのか、放射能の放出を出している側だけに測定させて本当に信用できるのか?フランスのコジェマが事故や放射能の放出を隠し続けてきたが、それをアポロが何回も暴き続けてきた。フランスでもそういうことをやっているわけですから、日本では誰がそういうことを敏感にキャッチして暴露していくのか?それが大事になるのではないでしょうか。もし運転に入ればこういうことが問題になるこういうことを私たちはやっていかなければならないと思う。

  



 山口/原子力資料情報室

  私たちは今、制御しきれない技術が青森で始まろうとしている局面にたっている。核燃の上流・下流があり上流(原発等)に比して科学者は下流に非常に弱い。美浜原発の死亡事故がおきたとき、その安全審査を国は通している。新原子力安全大綱を決めたとき、最初に核燃サイクル路線ありきであった。最初から政策として核燃サイクル推進が決まっていて中身は二の次であった。日本の技術力は非常に低下してきている。放射能の放出は目標値であって、規制値ではない。科学というものを判断するとき下流の後始末になると非常にわからない状況のなかで進められようとしている。 岩手の海も確実に汚染されると思う。そのためには運転に入る前の放射能の数値を計って、運転してからの放射能値がこんなに上がったと突きつけていかなければならない。運転前の放射能値測定も重要なことであると思う。制御不可能な技術を国側が進めようとしている。日の丸を国家と決める前に強制しないと言っていたが今歌わない先生に処分が出されている。政策とは変わりうるのである。環境が取り返しつかない状況に入ろうとしている時代のなか、制御不可能な再処理が進められようとしている。



集会の最後に、集会アピールをむつ市のネットワークみどりの稲葉みどりさんが読み上げ、満場一致で採択しました。


集会アピールを読み上げる稲葉みどりさん


集会アピールを読みあげる稲葉みどりさん





集会アピール



 青森県六ヶ所村の核燃再処理工場で、アクティブ試験(使用済み核燃料試験)が強行されようとしていてます。試験が始まると、この青森の空へ、大地へ、海へ危険な放射能が大量にまき散らされることになります。再処理工場や核施設から排出される放射能は、フランス、イギリスを始めとして世界各地で放射能汚染による様々な被害を生み出しています。私たちは六ヶ所再処理工場経計画やアクティブ試験が中止されることを願って今日ここに集いました。



 私たちは、リンゴ、ニンニク、ゴボウ、ナガイモを生み出す豊穣な大地を放射能で汚染したくありません。ヒラメ、イカ、ホタテ、シジミを育む恵みの海に、放射能を流したくありません。遠くシベリヤから白鳥が飛来し、イヌワシが弧を描く青森の空を、私たちは放射能で被いたくありません。



 森ではヒバやスギが大地にしっかりと根をはっています。世界最大のブナ林、白神山地ではツキのワグマが暮らし、クマゲラがドラミングを響かせます。美しい奥入瀬の渓流を、十和田湖の紅葉を、放射能に汚染されない青い森を私たちは見続けたいのです。



 再処理工場が私たちの青森にもたらすものは、放射能被害の他に何もありません。



 私たちは、青森を愛しています。

この青森で暮らしていきます。そして青森の未来を守りたいのです。私たちは、六ヶ所再処理工場のアクテイブ試験を中止すること、工場計画を放棄することを日本原燃、電気事業連合会、経済産業省に求めます。また青森県に対して、県民の意見を十分に聞き、

アクティブ試験のための安全協定を結ばないことを求めます。



2006年3月11日

「六ヶ所再処理工場アクテイブ試験に反対する県民の集い」参加者一同

止めよう再処理!青森県実行委員会




 集会の最後に平野良一核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会共同代表が、「日本原燃はもはや債務超過の赤字会社であり、その赤字を国が積み立てている再処理特別会計準備金からもらうことによって少しでもまかおうとしている。また県も使用済み核燃料が六ヶ所再処理工場の貯蔵プールに搬入して使用済み核燃料税をとろうとしている。どちらも金のために県民を犠牲にしようとしている。私たちは金のために県民の安全・環境を考えないで再処理を強行しようとしている日本原燃や県の暴挙を止めていかなければならない」と挨拶をして集会は終了していきました。

閉会の挨拶をする平野さん



閉会あいさつ平野良一サン