能美島の「山岡水産」 に「かき」の勉強に行って来ました。
かきの養殖って、実に大変な仕事だったんです。


かきは、冬の間はオスで、4月の後半ぐらいからメスになる、いわゆる雌雄同体なのです。
メスになっても、すぐは卵を持つわけではなく、広島県では5月20日まではカキ打ちが行われています。
その時分のカキは主に冷凍に回されます(かき傳では、例年5月の連休までは、むき身を扱っています)。
5月末から6月にかけて、カキが卵を持ち始め、身が黄色をおびてきます。
6~7月にかけて自然排卵します。
その時は海に牛乳をまいたような色になるそうです。
それから20日間ぐらい、海中に浮遊しています。


ここで疑問に思われることがありませんか?
排卵する時の海水の温度は? 海中に浮遊しているというけれど肉眼で見えるの?


この疑問には、水産試験場が答えてくれます。
試験場では、広島県の水域で10カ所、定点観測をしています。
そこで得られたデータを、かきの業者にFAX送信しているのです。
排卵は水温23℃前後だそうです。肉眼では見えなくて、顕微鏡で確認します。
その時は、まだ薄いカラの状態です。
2週間後ぐらいから、種見といって、帆立貝を海中につるし、カキがくっついている数をルーペで確認します。
かきの種は、何かにくっつく性質があるのです。
一つの帆立のカラに100ケ位ついていたら、いかだの上に用意していた帆立のカラを全部、投入します。
三日経つと、胡麻粒大になって肉眼で確認出来ます。
次は、種がついた帆立のカラを遠浅のかきひびにつるします。
瀬戸内海の海岸線(特に広島湾ですが)を車で走っていると、あちこちで見られる物干し場の様なもの、あれです。

帆立の殻にカキの種を 瀬戸内海の風景(かきいかだ)

そこで半年から1年間、かきをつるして鍛えます。
海水につかったり、風や日興に当たって、文字通り鍛えるのだそうです。
かきひびにつるされている間に胡麻粒大だったものが親指の第一関節大になります。
それからようやく、皆さんが知っているかきいかだにつるします。
約2年半から3年たっているのです。

かきは、決して勝手に海に育ってくれているのではない、ということがお分かりになったでしょうか。
カキ自身が作るのです。


根っ子の様な所のカラが一番最初の親指の第一関節大のものです。
内分泌によってカラが内側に少しづつ大きくなったものが、年輪のように層になって作られるのです。
カキのカラを手にされることがあったら、よく見てください。


かき打ち体験 きれいな剥き身に

山岡水産さんのブログ「本日のカキ打ち体験」2008年04月28日(月)でも紹介されています

現在は、水産試験場が情報を毎日、知らせてくれるので助かりますが、以前はどうだったのでしょうか?


山岡さんに訊きましたら「勘」の一言でした。
宮島の管弦祭の時期が大潮(干満の差が一番ある時)で、かきの種つきに良いということを先代から言われていたそうです。
現在に生きている者は、もっと「勘」をとぎすます訓練をした方が良いと思いました。地球の環境の変動が激しくなる一方なので。


広島県では「かき小町」というブランドを売り出し中です。
三倍体といわれている小町は、水産試験場で種を作られます。
染色体に手を加えて卵を持たないようにするのです。
卵に栄養をとられない文、身に栄養が充てられ、発育が早く大きくなります。
その結果、卵を持って排卵する期間、6~8月も食べられるのです。
かき傳では5~10月の間、「かき小町」が食べられます。


かき小町

山岡さんの話では、少しゆっくり出来るのは、8月の終わりから9月の半ばまでとのこと。
その間も、色々な道具の点検、補修など、言ってみれば1年中、かきと向き合っていなければ、安定供給は出来ないということです。

感謝です。

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