映画「ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走」 平成29年7月22日公開 ★★★★☆

(字幕翻訳 原田りえ)
 

 

 

整形外科医のトムは夏休みを迎え、家族でバカンスに出掛ける。

最新テクノロジーが搭載されているという真紅の新車に、

妊娠中の妻ジュリア、9歳の娘リゾン、やんちゃな7歳の息子ノエを乗せて出発する。

意気揚々とハイウェイを進むトムだったが、突如として車のブレーキが利かなくなって

時速160キロメートルで暴走。

さらに、役立たずな警官や追走してくる男との遭遇、

後部座席に潜む謎の存在によって一家は大混乱に陥っていく。     (シネマ・トゥデイ)

 

 

 

新車で家族旅行にでかけたら、車の故障でブレーキが利かなくなって暴走する、という、ほんとにそれだけの話。

一見「リトル・ミス・サンシャイン」っぽいですが、そんなにゆるゆるしてないです。

ウエスタンリバー鉄道に乗ったつもりが、走り出したらビッグサンダー・マウンテンだった、という感じ。

制御の利かないノンストップ・フルスロットル・ムービーです。

妻のジュリアは臨月だけど、妊婦さんにはおすすめはしませんね。

 

冒頭、真っ赤なベッドから目覚めた父トムをみて、ほとんどの人が

「あ、トニー・スタークがフランス語しゃべってる!」と思うんじゃないかな?

 

ジョセ・ガルシアは、「フレンチ・ラン」のときもそうですが、ただでさえ似てるのに、

髪形や髭までロバート・ダウニーJRに寄せてきてるので、間違えること必至です。

ママのジュリアもうっすらグウィネス・パルトローに似てるし、息子のノエはハルクのお面かぶってますね。

これは意識しているのかたまたまなのかビミョーなレベルですが・・・・

 

たいてい、こういう家族旅行で問題起こすのは子どもたちなんですが、リゾンとノエはほとんど問題なし。

一番の問題児は、当日の朝、急にやってきたトムの父のベンです。

 

お顔だけみるとマイケル・ケイン似の紳士なのに、これがとんでもない色ボケじじい。

今回も恋人にフラれての傷心旅行というのだけれど、

10年間に30人の女性にフラれて、そのたびにやってきてるから、大迷惑です。

出発直前に自宅のトイレを詰まらせたのにそのまま来てしまっただけでも大問題なのに、

ドライブ中もいろいろやらかしてくれます。

 

 

出発してまもなく、サービスエリアで給油と休憩をするのですが、

その時、ヌーディストビーチに向かうという、若い派手な女性メロディを後部座席にこっそり乗せてしまいます。

年齢差50歳くらいあるのに、ベンは口説く気満々です。

 

その後、トムのご自慢の新車に搭載された最新の人工知能メドゥーサに異変が。

完璧な安全システムで快適なドライブができるはずなのに、

時速130㌔に設定した速度制御システムが故障してスピードが下がりません。

「システム障害です。車を停めて下さい」のアナウンスが出るも、ブレーキが全く聞かないのです。

 

「一度アクセルを踏んだら解除できるかも」という願いもむなしく、

アクセル踏むたびに設定時速が上がり、ついには160㌔になってしまいます。

 

この車を売ったディーラーに電話するも、のらりくらいとかわされ、

160キロのスピードを保ちながら、ハンドル操作だけで車線を変更しながら、危険運転はさらに続きます。

 

途中、トムの車にドアを壊された黄色いBMWの持ち主が、怒り心頭でしつこく追いかけてきたり、

スピード違反取り締まりの白バイ警官に追われたり・・・・

ガソリンは満タンで850㌔走れるのに、料金所とか、60キロ先の渋滞とか、もう危険はすぐそばに迫っているのです!

 

車の一大事以外にも、車内ではいろいろ問題が発生。

後部座席で毛布をかぶっていたメロディーが姿を現して、まずびっくり。

秘密にしていたお腹の子どもの性別や名前がバレたり、

階下への水漏れでジュリアの不倫がバレ、

トムがボトックス注射をした患者の顔が腫れたと、何度も電話がかかってきます。

窓からはスズメバチが入ってくるし・・・・

 

ところで、車のシステム故障以外はだいたいベン爺さんが原因で

①家のトイレを詰まらせてアパートを水浸しにした

②直前に内緒でこの車を運転して、スピード違反してばっちり写真に撮られていた

③ワイパーを壊したのを隠していた

④患者に使うボトックス注射液を7割引きの中国製にかえ、差額をポケットにいれていた

 

この暴走車の情報はニュースでも取り上げられ、最初は情報が錯綜して

「テロリストが家族を人質にした」と報道されるも、次第に車のシステム異常がわかると、

治安部隊まで投入されて、この暴走車の制圧を図ります

さて、家族は無事に車から降りられるか??

 

 

これ、CGなしで、本当に高速走行しながら撮っていたそうです。

                ↑

(これが一番おバカかもしれない)

日本じゃありえないですね。けが人がでなくてよかったです。

 

おバカ映画なので、感想をいうほどでもないですが、

なんでもAI任せになりつつある「便利な世の中」にちょっと警鐘を鳴らしてるかも。

ラスト、人工知能搭載の最新鋭のエレベーターまでが、

「私はアダムです。私は、私は、私は・・・」と壊れてしまって、大笑いです。

 

私はげらげら笑って見られたましたけれど、

衝突被害軽減ブレーキの機能や自動運転システムを開発している人たちには、きっと笑えない映画でしょうね。