湿った火薬庫

基本的に1日1本お勧め映画の保管庫。たまに駄文交じり


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梶原です。

まずはあけましておめでとうございます。だらしなさが祟って2016年に間に合わなかったですね。参ったねぇ。

それはともかく、これから残りの上位20作品と僕的には割と見るのを後悔したレベルのワースト3を、それぞれの予告編付きとコメントでご紹介したいと思います。

ここからのベストに関しては、紹介文と共に僕の中で心に残ったベストシーンを付け足していこうかと。、ワーストに関しては特に許せない部分を抜き出してお伝えします。

それでは最後までお付き合い、宜しくお願いします!!

 

~20位~

太陽

 

SRシリーズやロックンロールは鳴り止まないっ等のイタくて切ない青春映画の名手で知られる入江悠監督が次に手掛けたのは、人気劇団イキウメが原作のまさかのSF映画だった。ウイルスによって人類の大半が死に絶えた末、ノクスとキュリオという二種類に分断された世界を舞台に、キュリオ側に生まれてきた青年、鉄彦が遭遇する局面と決断を描く。土地も人も荒みきった未来世界は、もしかしたら僕達が迎えるかもしれない未来かもしれない。鉄彦含めて、大人になりきれない子供と大人になりたい子供の哀しい世代間闘争にも僕には見えた。この作品全体に漂う一種の「幼稚」さは、僕にとっては心に染み入る物だった

☆マイベストシーン

どうにもならない事態を向かえた時の、鉄彦の獣のような叫び声。

このシーンがある種最も、この映画に於ける幼稚さを示していると思う。人は子供に戻るといやでも大声を上げたくなるから。君の名は。とは全く違うベクトルの人物を演じきった神木さんには尊敬しかない。

 

~19位~

HiGH&LOW THE RED RAIN

 

THE MOVIEから続くHiGH&LOWの映画版第二作。人気キャラクターの雨宮兄弟を主人公に、突如姿を消してしまった長男、尊龍の行方を追う内に自らのルーツに兆す戦いに巻き込まれていく兄弟の死闘をスタイリッシュに描く。雨宮兄弟が披露する、現代アクションにフォーマットされたガン=カタや尊龍が繰広げる香港映画リスペクトが素晴らしいド派手な銃撃戦、何より前作のお祭り映画的だったTHEMOVIEからグッと登場人物を減らした事により、初見の人でも感情移入しやすい分かりやすく熱く泣けるアクション映画になっているのがグー。地獄甲子園とか珍遊記等のギャグ映画が目立つ山口雄大監督だけど、僕が思うにこれが現時点での最高傑作だと思う。

☆マイベストシーン

壮絶な銃撃戦の中で、尊龍が次男と三男に強く生きろと回想込みで語り掛ける所。

拳は大切なものを守る為に使え、俺を壁と思えとかの名言が多い尊龍お兄ちゃんだけど、キャッチコピーでもあるこの台詞が出てくる所は純粋にマジで熱い。何だかんだ三作目楽しみ。

 

~18位~

アイアム・ア・ヒーロー

 

冴えない日々を鬱々と過ごす漫画家アシスタントの英雄。恋人との関係が冷め切るというトラブルを除いて、変わる事のない日常を送り続けている、筈だった。そんな恋人が怪物と化してから、英雄の日常はゾンビで溢れる地獄の非日常と化す。同名の人気漫画を大泉洋さん主演に日本でもしもゾンビ映画を本気で作ったら?に応える、割とガチでこれを超える作品が出てこないんじゃないかという、純国産ゾンビ映画。寄生獣で一躍名を轟かせた特殊造詣のスペシャリスト、藤原カクセイさんのとにかくやりすぎグロすぎな人体損壊描写が本当に最高過ぎる。英雄が英雄となるまでの成長物語も、駄目人間の僕としてはグッと来た。

☆マイベストシーン

終盤、襲い掛かってくるゾンビどもを皆殺しにする為、防御アーマーとして付けていた大量の腕時計を英雄がパージする場面。ここはコマンドーとかアジョシに於いての銃調達シーンに並ぶ、「男が戦闘態勢を整える」劇燃え展開に新しい歴史を刻んだと思う。

 

~17位~

デッドプール

 

アメコミ界のあらゆる意味で暴れん坊、デッドプールがまさかの単独映画化。一体どれだけ滅茶苦茶弾けた話になるかと思われ蓋を開けてみれば、驚くべき事に非常に一本筋が通った正統派アメコミ映画になってたから驚いた。第四の壁も流れる様なギャグ会話もあるけど、壮絶な病に冒された男が、愛する人の為に何が出来るかというシンプル極まる話には、最近(勿論嫌いじゃないけど)の複雑化してきたアメコミ映画に対する心地良いカウンターパンチとなったと思う。個人的にブレイド一作目に並ぶ傑作の一作目でした。

☆マイベストシーン

アクロバティックなバトルシーンとかアメコミ物をおちょくるメタ台詞とか取上げたいのは幾らでもあるんだけど、やはりウェイドとヴァネッサが再び巡りあうあのラスト。照れくさそうなウェイドの語りも素晴らしいんだけど、ここを見て改めてこの映画がヒーロー映画である事にも気づかせてくれる。そして最高のエンディング曲をありがとう,ジョージ・マイケル……R.I.P

 

~16位~

ちはやふる上の句/下の句

 

あまり馴染みのない学園青春物という事で、本音を言えばあまり興味が沸かなかったのだがツイッターで仲良くして頂いている方達の熱量の高い感想に惹かれて鑑賞。結果大号泣してしまった、ある種今年最もダークホースな作品。千早が新しい仲間を揃えていくまでのワクワクするチーム集め映画として、一秒の油断で勝敗が決してしまう、超シビアなスポーツバトル映画として、そして何より机君という自分の世界に篭っていた青年が仲間の手を借りてり新たな世界を開いてゆく、友情映画としてと、多面的な観点で楽しめた世辞抜きで万人向けのエンターテイメント映画でした。

☆マイベストシーン

再び自分の殻に篭った机君をカルタでエアビンタする千早という図。ビンタとは書いたけど、ここからしっかりと各々が持つ持ち味を活かして形勢逆転していく流れも非常に秀逸だった。水沢一勝!っていつかリアルで言ってみたい。

 

~15位~
アズミ・ハルコは行方不明

 

特に未来への進展も夢も無く、ぼんやりと生きているハルコと、貪欲に繋がりを求めるアイナという二人の女性の物語を軸に、この国に於ける女と男の関係性をこれでもかとエグくエグく抉り出す、構成のトリッキーさの陰にドス黒い批評性を秘めている恐ろしい作品。特にハルコのパートの何か悪い事をした訳でもないのに坂道を転げ落ちていく様は、男である僕ですら身震いするほど。しかしそういうクソッタレな現実を超えた先の「だから、幸せに生きるのが最高の復讐」という台詞がとても心に染みた。し、何だかんだ生きてやろうじゃん。という元気を貰えた、気がする。リップヴァンウィンクルと合わせて現代に生きる女性映画として見たい。

☆マイベストシーン

どことは言えないけど、あの「疾走」一択。あのシーンには、女子高生は若くて幼い、という皆持っているであろう固定観念に対して思いっきり中指を立ててたのが最高にグッと来た。加えて、映画というのは走るシーンさえ興奮できれば名作だというのも。

 

~14位~

ドント・ブリーズ

 

人の住処を荒らすこそ泥三人組。次に計画を立てたのは、元軍人である盲目の老人の自宅。どうせ何も見えてねえジジィだし楽勝楽勝と意気揚々に挑んだ最後の仕事は、やがて最悪の一夜を迎える事になる。登場主要人物が述べ四人、最初から最後まで実質舞台は家と周りの敷地だけという限定的にも程があるシチュエーションながら、一切気を抜く事の出来ない最上級のパニックバイオレンススリラーに作り出した監督の手腕に唖然。そしてまさかの倫理的嫌悪感すら催す展開に突っ込む容赦の無さにも驚かされました。

☆マイベストシーン

盲目の老人の銃の使い方はほぼ全てベストシーン。特にスマホの着信音を聞いて正確にスマホを撃ちぬいたり、誰がとは言えないけど百発百中で人の頭を打ち抜く腕前にはなんかもう感動してしまった。後、リボルバー用意する所のね、もう絶対許さねえぞお前ら感ね。

 

~13位~

ディストラクション・ベイビーズ

 

喧嘩が大好きで大好きでどれだけボコボコメタクソにされようが立ち上がって、相手を屈服させるまで殴り続ける、生まれる時代を間違えている男が間違えてるなりに暴力で世の中を混乱させていく。それだけの話なのに、画面を支配する異常に禍々しい雰囲気と何が起きるか予測出来ない緊張感。90年代の暴力を主題にした邦画ってそんな特徴があるんだけどよもや2016年にその空気感を詰め込んだ作品が生まれるとは思いもしなかった。正に何考えてるのか分からなくて怖い柳楽さん、虎の威を借りるクソガキを素晴らしく憎たらしく演じきった菅田さん、常々不満げに唾を吐いてる様なビッチを演じきった小松さんと俳優陣は皆大熱演でした。

☆マイベストシーン

主人公の泰良がクロスカウンターでヤクザを沈めて雄たけびを上げるシーン。終始本能だけで動いている化物の泰良だけど、あぁ、こういう瞬間の為だけに生きてるんだなこいつ。と変に理解というか共感してしまった。絶対現実じゃお近づきになりたくない人だけど、こういう奴が映画を面白くするんだなぁと勉強になった、気がする。

 

~12位~

バットマンvスーパーマン ジャスティスの誕生

 

とうとうあのバットマンとスーパーマンが真正面から激突してしまう!と予告編の時点で世界を沸かしていた本作。ついに公開となると、そこに現れたのはバットマンもスーパーマンも俺イズムで染め上げてやるぜ!というザックから全世界のファンへの挑戦状だった。とにかく過剰、とにかく叙情的、とにかく強引な展開と、ついてこれるならついて来いよ!という強烈なザックイズムにすっげえ乗る乗る!派とつきあってらんねえ派に世界的に割れる位には凄い物を見させて頂きました。でもジャスティスリーグは正直不安だぞザック。

☆マイベストシーン

これはもうとにかく、フルアーマーバットマンとスーパーマンの誇張抜きのガチンコ殴り合いです。スーパーな戦闘力を多少手加減してるとはいえウェインというか人間相手に振るいまくるスーパーマンもさる事ながら、マスク割れしてまで善戦、どころか後一歩までいったバットマンの格好良さに軽く泣いてしまった。ザックごめん、ジャスティスリーグ楽しみにしてる。

 

~11位~

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男

 

ハリウッドに於ける暗部的事件、赤狩りで優れた才がありながらも作家生命を危機に晒された実在の小説家、ダルトン・トランボをブライアン・クランストンさんが憑依一体となって演じきった男気溢れる伝記映画。様々な政治的思惑に翻弄されながらも、親身になってくれる家族や、道はすれ違ったが大切な友人、ダルトンの生き様に心打たれたハリウッドの面々が力となりダルトンに手を差し伸ばす展開には思わず涙。これは銃も刀も出てこないけど、立派なアクション映画です。戦う人の姿は尊い。

☆マイベストシーン

面白いホンを書ける奴に思想も何も関係ないと、ダルトンに脚本を依頼したカーク・ダグラスさんが完成したスパルタカスを見ながら文句を言う輩に「俺がスパルタカスだ」と言い放つシーン。こういう事を言える様な大人になってみたい。

 

ここまでお付き合いして頂き、大変ありがとうございます。

とうとう残り10作品になってしまいました。ここから先は個人的に順位の後に、各映画の印象的だった台詞を大きくピックアップしながらご紹介していこうと思います。もう皆さんそろそろお疲れだとは思いますが、出来れば最後まで寝ながらとかでもいいんでお付き合い、お願いします……!


~10位~

私達はゴースト・バスターズよ!

ゴースト・バスターズ 

 

あの冴えない男達がお手製ガジェットで幽霊退治に挑むゆるふわ名作コメディ、ゴーストバスターズがまさかの主要キャスト全員女性で帰ってきた!な一本。出演者への不当なバッシング等、作品外の所で騒がれてしまったのが不幸なのだが、そんな悪評を吹っ飛ばす位に面白くて楽しい作品だった。現代的に設定を作り直している為、雰囲気自体が緩々なオリジナルに比べると色々と世知辛い話になってはいるがそれはそれで、世間体や既存のイメージより、自分の好きな事を優先していく事を選ぶ人の前向きと強さを教えてくれる良い改変だと思う。熱く泣ける友情には男も女も関係ないのだ。

☆マイベストシーン

ホルツマン先生大暴れとか、ワクワクする四人での特訓シーンとか多々あるけど、やっぱ昔からの親友であるあの二人が、次元の狭間で手を取り合い脱する場面。ここは3Dで見るとあっ、画面からはみ出す仕掛けはこの為に……!と感動する事必死。3D映画で初めて泣いた気がする。

 

~9位~

俺達は悪(ワル)だがお前は邪悪だ!

スーサイド・スクワッド

 

今年最も予告編で期待して、いざ本編を見てみたらあまりの出来の悪さに高低差で耳がキーンとした映画と言われる、映画界のインテリマッスル番長デヴィッド・エアー監督によるアメコミ映画。それぞれで事情も性格も能力も異なる悪人達が、なし崩し的に協力し合うと聞くといかにもエアー監督案件に思えてくるが実際はちょっと生き方曲がっちゃった人達がバーで俺らマジしょっぺえし辛いけど頑張って生きてくしかねえんだよな……という、エアーのちょっといい話みたいな生温い内容に。はい、僕はとても好きです。駄目なら駄目なまんまで良いんだよね。自分を肯定できるのなら。

☆マイベストシーン

ウィルさんが演じる事になったからか、冷酷な暗殺者な筈だけど割と話も分かるし常識人というまともな人なデッドショットさんが幻想を見せられて唯一感情を露わにする場面。そこからのLOVE。世界はLOVE。僕はこの作品にLOVE。世界は愛で回ってる。

 

~8位~

フォースは我らにあり

スターウォーズ ローグ・ワン

 

スターウォーズep4、新たなる希望に於いてデス・スターの設計図が反乱軍に渡るまで一体何があったのか?を鮮明に描く、ギャレス・エドワーズ監督による意欲的にも程がある外伝作。目付きの悪いはぐれ者連中が、ある者は父の無念を晴らす為、ある者は自分自身を変える為、ある者はフォースの存在を信じる為と己の事情を秘めつつ成功不可能なミッションに挑む姿にただただ泣けてしまう。キャッチコピーで使われている希望という単語だけど、その言葉の背景にとてつもない絶望とそれに負けない様に奮闘する人々の姿が見えるのが、ローグ・ワンという作品の特徴だと僕は思う。

☆マイベストシーン

一秒でチアルート、と答えたい所だけど単独記事にすらぶち上げてるから、やっぱ主人公のジンとパートナーのキャシアンの、最初はギスギスしてたけど次第にお互いを信頼しあうのが分かる会話があぁ、良いなぁ……と響く。「私は一人ぼっちだった」「今は仲間だ」、「誰かに届いてるかな」「届いてるわよ、きっと」とか、五臓六腑に染みる。

 

~7位~

諦めず最後まで、この国を見捨てずにいこう

シン・ゴジラ

 

とにかく情報量、テンポの良さにおいて邦画と洋画をひっくるめてもこの作品に迫れる作品は無かったと思う。それ位圧倒的にディティールに拘っている庵野監督の尋常じゃない執着心が、却って物語の構造をシンプルにしていてこれ以上無く立派な怪獣映画にしている本当に稀有な映画。日本対虚構という洒落たキャッチコピーが本編を非常に端的に示していて、殊更ゴジラが放ったあの一撃はあまりにも凄すぎて虚構に思えなかった。僕自身ゴジラに造詣が深い訳ではないけど、複数回見てしまう位には嵌ってしまった。誰もがここまで売れる作品になると予想していなかったという点で、正に今年の怪物、もとい怪獣枠でした。

☆マイベストシーン

もうネタバレ……ネタバレしていいかな、すみません。終盤のヤシオリ作戦での巨災対とゴジラの瀬戸際での凍らせられるか全滅するかの超瀬戸際の死闘。この死闘は完全に邪神に挑む人間という構図だった。無人在来線爆弾やビルドミノアタックとかの特撮ギミックに、庵野監督の楽しそうな顔が浮かんでくるのが本当に良かった。

 

~6位~

忘れちゃいけない人、忘れちゃ駄目な人……君の名は―――――――

君の名は。

 

秒速5センチメートル等の徹底した美意識によって作られたリリカルなアニメでコアなファン層を獲得している新海誠監督が東宝から招かれて一般層にも届く娯楽大作を作ってみたら本当に一般層に馬鹿ウケしてしまった、脅威の怪物枠その2。どこにでもいる少年少女の魂が入れ替わり、互いの生活を堪能するというジュブナイルSFから一転、大好きになった女の子を救う為なら発電所もぶっ飛ばすし時間も遡るぜ!という少年ヒーロー物(僕フィルター)に鮮やかに切り替わる瞬間が物凄く快感でした。後、彗星見ると綺麗とかより怖いってこれ見た後だと印象変わっちゃうんだけど、皆どう?

☆マイベストシーン

三葉(と瀧くん)が誰も欠かさずに救う為にとにかく疾走、疾走、疾走し続ける所。こんなにエモく走るシーンを見たのは初めてかも。その末の劇中曲のスパークルがサビになった途端の流星群。そして隕石落下。ここだけでもあっ、なんか凄い物見た……ってなりました。はい。

 

~5位~

これがお前の落とし穴だ

クリーピー 偽りの隣人

 

どこにでもありそうな住宅街に、悪魔のいけにえを一人地でいく殺人鬼が潜んでいた……という、黒沢清監督が現代的な殺人犯を描くとこんなとんでもない映画になってしまうんだなってのが最高に弾けた形で理解出来る、あえてこう表現したい今年一番の怪作。主人公らしい行動をしている筈なのに他人事みたいな表情の高倉と、あからさまに変すぎるおじさんなのに謎のカリスマ性を放つ殺人鬼西野の、あくまで低体温な一種即発の殴り合いがどうしようもなく黒沢清的で本当に堪らなかったです。拳銃の使い方が近年の黒沢映画の中でも格好いい部類なのも好みでした。

☆マイベストシーン

やっぱりいきなり世界が変容する、高倉の部下の野上が西野宅に侵入して地下室への廊下を覗いてしまう場面ですね。あのえっ?っていう瞬間から一気に映画としてのボルテージが暴走していくのが本当に楽しかったです。地下室!注射器!拳銃ってね。最高。

 

~4位~

ありがとう、この世界の片隅にウチを見つけてくれて

この世界の片隅に

 

戦争の影が忍び寄っている広島の呉を舞台に、生活能力が高くて逞しいけど、どこにでもいる普通の女性であるすずさんが食べて、泣いて、恋をして、日常を懸命に生きていく様を驚異的なアニメーション手法で描く人間ドラマ。どうしようもない悲劇が突然襲ってきても、前を向いてしっかりご飯を食べて生きていくこと。そういう平凡さの大切さをすずさんは僕達観客に痛い位、それでいて優しく教えてくれる。この作品に関してはもう宇多丸さんのこの一言で締めたい。クラウドファンディングに参加しとけば良かった~~~~~!と。この映画に携る片隅になりたかった……。

☆マイベストシーン

思い出の詰まっている右手を、すずさんが布団のなかでじっと眺めているシーン。爆弾は一瞬で人の影すら消してしまうけど、その影の中では数え切れない思い出や念が込められていると思うと、之ほど戦争の怖さを示している演出も中々ないと思う。故に、日常の平和さが際立つ。あ、後ね、泣いてばかりじゃ勿体ない、塩分がね!

 

さて、とうとう後残すはトップ3になってしまいました。

その前に閑話休題。ここでワースト3を先にご紹介しましょう。今年の許すまじ映画はこいつらだ!

 

61位 ハイ・ライズ

近未来。巨大な高層マンションで住民間での世代間抗争が始まる……というそそる概要を期待してみれば、全裸でベランダに佇んだりペンキ塗れになったり犬食ったりするトムヒと剥き出しにされる頭蓋骨とプールで溺死させられる犬と万華鏡のなかでリンチされるルクエヴァと、露悪的なだけで面白くない演出と肝心の抗争をすっ飛ばすアホか?アホなのか?な構成が合わさってひたすらただ眠くなるだけの一本。ぶっちゃけ抜けないAVみたいな。だって濡れ場ないんだもん

駄目駄目ポイント:演出。小手先で何かやる前に話をまず面白くて……。

 

62位 ガラスの花と壊す世界

人類が滅んだ後の世界。そこではプログラムが世界の保持を行っていた。そに突如として認識不能のバグが現れ……という壮大な世界観を60分弱で描く、そりゃあ尺足りないだろと思ったら本当にたりてない。尺足りてない、キャラの書き込み足りてない、演出の繊細さも足りてないのダメダメナイナイ1時間。見た事ない1クールアニメの駄目な総集編を見てるみたいな感覚だった。特に人間の業を垣間見る主要キャラ三人の表情が口をポカーンと開けてるだけのクソ演出にはひっくり返りそうになった。1クールあってもこんな演出しちゃうスタッフじゃ駄目だったかもね……。後、パンフ2000円って何?貴族なの?

駄目駄目ポイント:総合的に。にしても60分って無茶振りだよなぁ……。擁護はしないけど

 

それでは栄えあるワースト1位を発表します!それは

 

63位 仮面ライダー1号

俺が見たかったのは例え年齢を重ねて体が衰えても、平和の為にショッカーと戦いを繰広げ、子供達に夢と希望を与える初代ライダーこと本郷猛の姿だった。しかしスクリーンで目の当たりにしたのは、他人にはやけに厳しいけど孫娘にだけは異常に優しい海原雄山みたいな変なオッサンが、最初から最後まで名言っぽいけど別にそうでもない言葉を宗教の押し売りの様にぶつけてきた挙句、無理やり聖書みたいなのを押し付けて笑顔で帰っていく、そんな斬新なプロパガンダ映画だった。もう藤岡さんはジャングルに篭っててほしい。好きな人には大変申し訳ないです。

駄目駄目ポイント:もう全部。井上先生は藤岡さんに飯でも奢ってもらったんですかね?

 

はい、厄落としはこれくらいにして、遂にトップ3を発表します!!

 

~第3位~

ありがとう、楽しい旅だった

ダゲレオタイプの女

 

ドレミファ娘の血は騒ぐから何十年、念願叶い、遂にフランスで映画を撮る事となった黒沢清監督による黒沢清の為の黒沢清映画。外国映画の筈なのに、観客に提示されるのはカーテンを揺らす不吉な風、殺風景を歩く男の横移動、不自然な姿をする幽霊、突然出てくる拳銃という、どこを切っても純粋な黒沢映画のアイコニック。例え撮る国が変わろうと、黒沢清は変わらず黒沢清その物である事を知れた事がとっても嬉しい。嬉しいし、もっと黒沢監督のほかの国の映画も見たい。アメリカとかドイツとか。その前に散歩する侵略者をもう早く見たい。

☆マイベストシーン

主人公のジャンがヒロインであるマリーの亡骸らしき物を車に連れ込む、というかジャンとマリーの車描写全般。特に、マリーらしき物を布で引きずりながら車をドリフトさせるジャンの何が何だか良く分からないが凄い事が起きてる感は正に黒沢映画。生と死の境界線は黒沢映画には存在しない。

 

~第2位~

君に生きるのを、手伝ってほしい

聲の形

無自覚の悪意を持つ、誰もが通り過ぎる小学生の頃に犯した罪から自分で自分を殺してしまった少年、将也。本当は伝えたい事で溢れてるのに自分で自分を罰し続けて声を失ってしまった少女、硝子。そんな二人が不思議な因果で再会し、互いの姿を通して自分自身を許してあげられる様になるまでの物語。どこまでも不器用で繊細な子供達が自分達なりに出来る事を精一杯やりきる姿にまず号泣するし、その末に将也がやっと自分の居場所を見出せた瞬間にはスクリーンが見えなくなった。誰もが誰かを必要としてる。そうして世界は回る。

☆マイベストシーン

数え切れないほどあるけど、やっぱりあの橋の上で将也と硝子が再び出会えるシーン。硝子が将也に伝える、きっと最初で最後の長台詞には硝子が今まで抱えてきた人生の重みがあった。そんな難しいにも程があるシーンを演じきった早見沙織さん。もう大女優だけどこれからも大女優です。応援しています。

 

 

~第一位~

中華街で、会おう

さらば、あぶない刑事

僕はあぶない刑事の熱心なファンでもないし、館さん・柴田さんのファンでもない。これを見にいったのは、かつて松田優作さんと手を組み凄まじい名作を作り出してきた村川透監督と、邦画界で知らぬ人はいない歴史的カメラマン、仙元誠三さんが、あの黒沢満プロデューサーの元に集ったからだ。邦画の活劇アクションを土台から支えてきた大ベテラン達が集ってつくりあげたこの作品には、映画ってのは楽しくて幸福な気分のまま、劇場を出てくれよという温かな懐かしさがあった。近年のリアリティだとかPCだとかで何かと制約の付いて回る映画に於いて、ここまでリアリティなんて知るか!俺達はやりたい様にやる!を突き通した映画が出来たのは、キャスト・スタッフ,、関わってきた全ての人が映画の楽しみを知っているからだと思う。そういう意味で、僕にとってこの映画は心から映画らしい映画として多幸感に満ちていた。

さらばは寂しいけど、これ以上なく美しい有終の美を飾った製作者全てに、さらば。

☆マイベストシーン

全部。以上。

 

 

という訳で、梶原の2016年映画ランキングは

1位 さらば、あぶない刑事
2位 聲の形
3位 ダゲレオタイプの女
4位 この世界の片隅に
5位 クリーピー 偽りの隣人
6位 君の名は。
7位 シン・ゴジラ
8位 スターウォーズ ローグワン
9位 スーサイド・スクワッド
10位 ゴーストバスターズ
 

でした。今年は映画の神様が常にハードワークしてるかのような、洋画も邦画も最高の作品ばかりの年で、なんか生きてるのも悪くないかな、って真面目に思うくらいに最高の年でした。

来年も映画の神様が頑張ってくれる事を祈りつつ……。こんな長々とした記事を最後まで読んでくれた(本当にありがとうございます!)読者の皆さん、いつもツイッターで仲良くしてくれている映画好きの皆さん、映画を楽しむことを教えてくれた、父さん、母さん、いや、もう全人類

 

 

皆元気で良い年になりますように!

梶原でした!

 

 

 

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