統合する世界経済、グローバリゼーションの先に希望をもたらすのは?利益それとも...。 | インターネット非正規雇用労働者組合

統合する世界経済、グローバリゼーションの先に希望をもたらすのは?利益それとも...。

本ブログもこれで10記事目となり、ささやかながらひとつの節目を感じます。

ここまでは政府公表の統計資料などをもとに今日の非正規雇用が置かれている現状を

中心にブログを展開してきました。

今後も非正規雇用者が社会的に置かれた客観的な立場をお伝えするべく

ネット上に公開されている各種政統計データの掘り起こしと分析をしていきたいと考えています。


しかし、それだけでは本来のインターネット上の労働組合として

中身が伴っていないとも本人は思っています。

本労働組合はどこへ行くのか?なにが目的なのか?初回の記事で御挨拶もかねて

記事にした程度でいまいちハッキリさせてはいないので非正規雇用労働者組合と称する

本ブログがこれから何を目指していくのかを今回は少し整理して記事にしたいと思います。


今日、私達の生きている経済社会はグローバリズムと呼ばれる大変革の真っ只中にあります。

情報通信技術や交通機関の飛躍的な発達により世界の国々同士の距離は確実に縮まり

国境を飛び越え相互依存関係を深めいまやひとつの経済として全地球を覆い始めました。

(自然環境破壊や富める者と貧しい者のさらなる格差を生み出すという各種問題をはらみつつですが)

非正規雇用などの労働問題の根本を考えるときにこの世界規模の経済の統合である

グローバリゼーションの進展を意識しないわけにいはいきません。


かつて日本などの先進国で主に行われていた工業製品の生産は

国境を超え多国籍化した企業間の競争により安い労働力を求めて発展途上国へ移転していき

その結果、発展途上国から供給される安価な製品に対抗するため先進国での生産には

これまでのような高待遇や高賃金を保障できなくなり、そのしわ寄せとして

日本では今日の前近代的な間接雇用も含めた非正規雇用のような厳しい雇用の質の劣化が進んでいます。

多国籍企業の海外移転による産業の空洞化を回避するため

主権国家による多国籍企業への課税も行いにくくなり、

社会福祉や公共投資の財源となる税の徴収のあり方にも影響を及ぼし始めています。


グローバリゼーションの進展はかつて南北問題といわれる

日本などを含めた地球の北側の先進国とアフリカやラテンアメリカ、東南アジア等の南側の発展途上国

による経済格差を是正しBRICsといわれる将来の経済大国の候補となる

新興国家を出現させ発展途上国間での格差である南南問題を出現させる事とになりました。

また世界経済の過熱により原油や鉱物資源など資源価格の高騰を招き

天然資源を所有する国家や企業に利益や権力をもたらし、その所有をめぐって争いが世界で起きています。

ですが、世界経済の発展から今も取りこぼされている最貧国とも第4世界ともいわれる世界の4分の1の程の

国家は今も脆弱な経済基盤のまま取り残され、かつては富める国であった先進工業国でも産業の空洞化から

社会福祉の切捨てや低賃金な労働力の確保のため海外移民労働者の受け入れを行い

更なる雇用の質の劣化や貧富の格差を生み出し

世界的で熾烈な大競争社会が持てるものと持たざるものの格差をますます拡大していきます。


世界経済の統合の過程の結果生まれたその貧富の差の拡大は

先進国の中だけでなく、発展途上国の中にまで出現し、貧しい者の富める者へ不満や

アイデンティティの異なる民族間や宗教から差別感情を生み出し

犯罪やテロリズム、紛争を煽り今や世界を揺るがしかねない不安定要因になっています。


混迷し複雑で強引な経済社会の世界的な統合は激烈な競争をしいることになり

そのしわ寄せを受ける、我々の労働者の立場を追い詰めて弱め

劣悪になって行く事を暗黙に無条件に強要していきます。


ですが、私はこのような熾烈な競争社会だからこそ労働者の権利を守る事は

さらにこれから重要になる事だと考えます。

そして、ILO(国際労働機関)のフィラデルフィア宣言 の1文を思い出します。


 一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である。


今日の経済社会は資本主義という制度をその発展のエンジンとしている以上

経済成長を進める事は全てにおいての前提です。ですがその成長発展の恩恵が

自然環境も含めた、この地球で生きる全ての者達の幸福に結びつかず

一握りの人間のみの欲望の追求のみに注がれ続け世界に対して

合理性と営利追求だけの一切の多様性を認めない画一的な絶対的価値観を押し付ければ

貧しい者や発展から取り残された国や地域の激しい反発を招き

多様性を持った人々からこれからも生み出されるはずの創造的な未来を潰し

その先には悲惨極まりない結末しか残されてはいないのではないでしょうか?


非正規雇用者などの劣悪な労働条件を放置する事はこの経済社会が永続発展する事を

阻害する社会正義に反する行為だと私は信じています。

あなたの置かれている不当で劣悪な労働環境を放置すれば

それは、あなた以外の全ての者に不利益や障害をもたらすきっかけを与える事になります。


私は本ブログの目指すべきところは具体的な組織活動をするよりも

守らねばならない社会正義を実現するための労働運動という視点での世論作り

(具体的な組織活動は既存労組などを紹介する事で補完していきたいと思います。)

日本の既存マスコミはこの利潤追求の経済社会に組み込まれ、その様な情報発信能力は期待できないからこそ

まだ自由な発言が許される、インターネット上から訴え、後押しする事にあると思っています。



ILO (国際労働機関)憲章 から抜粋


世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができるから
世界の平和及び協調が危うくされるほど大きな社会不安を起こすような不正、

困苦及び窮乏を多数の人民にもたらす労働条件が存在し(省略)

いずれかの国が人道的な労働条件を採用しないことは、

自国における労働条件の改善を希望する他の国の障害となる。