重力の軛 | 波動砲口形状研究

重力の軛

宇宙船の内外に重力があったり、太陽系外縁から地球とリアルタイムで通信できたり、ボッコボコにやられているかと思えば翌週には直っていたり、旧作ヤマトは突っ込みどころには事欠かなかったが、見る側もそれを楽しむという姿勢を獲得してそれなりに平和にやってきた。

2199になると
艦内の重力は「慣性制御」、
光速度を超えた通信は「超空間通信」
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そしてボッコボコ問題は初めからあまり傷つかないように「波動防壁」

と、現代物理の知識では追いつかない用語をぺたりと貼り付けてこれらの問題を隠してしまった。

ヤマトの真に問題となる突っ込みどころは、死んだはずの人が生き返るなどドラマの都合で人の生死を安く利用してしまうご都合主義の方なので、重力とかすぐ直るとかの突っ込みどころは視聴者の楽しみとして残してくれてもいいくらいだと私は思うのだが、時勢柄それも難しいのだろう。

ところで2199の「慣性制御」も旧作の謎の宇宙空間の重力も考えない場合、ヤマト艦内の重力をどうやって確保したらいいだろうか。

恐らく最も手がかからない方法は「上向きに1g(9.8m/s^2)で加速し続ける」という方法だろう。

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ヤマトは地表近くで静止して浮いていられるので、明らかに上方向へ1g以上の加速を得られる推進装置を持っている。

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それを使って航海の間ずっと上方向に加速し続ければ、擬似的に床に向かって1gの重力が得られる。

ちょっと心配になるのが、それを続けているとどんどん進路が上方向にずれてしまうのではないかということだ。

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それなら時々船の上下をひっくり返せばいい、あるいは遠心力を利用する形でバレルロールをしながら進めばいい、という話ではあるのだが、実は進路のズレはさして問題にならない。

相対論をわかりやすく説明しているとてもありがたいページがある

そこではスタートレックのエンタープライズ号を例に、上向きに1gで1年加速し続けるとどうなるかを解説してくださっているが、それによると到達速度は光速の77%になるそうだ。

ヤマトの場合1年の航海の折り返しで一度必ず止まるので、仮に半年=6ヶ月間、何の障害もなく航海し続け、その間上向きに加速し続けたとして同じ計算すると、イスカンダルにつく頃、ヤマトは光速の47%で上に進んでいる。

その間に上向けにどれだけ航路がずれてしまうかといえば、たった0.14光年ほどだ。
14万8千光年の航路の中では完全に誤差の範囲に入ってしまう。


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バラン星あたりで上下をひっくり返すとイスカンダル到達時には上下方向の相対速度がほぼゼロになるので、そのほうがいいかもしれない、などと考えるのは楽しいが、万光年の単位の航海ができる船で小数点以下の誤差はあまり重要ではないだろう。

艦内重力は柳田理科雄氏が空想科学大全で色々な手を考えていた気がするが、計算してみると一番単純な方法で全然問題無いんじゃないか?と思った次第である。