Gエヴィガン→対Tデイリー…犯人チェンジ「死者のギャンブル」

ＳＮＳに2014/10/22掲載

新・刑事コロンボ制覇計画十六作目はひねりにひねった展開の
死者のギャンブル
A Bird In The Hand...
である。
新シリーズの中期は脚本の確保が困難だったそうだけど、本作は数年前に書かれながらも没になっていたものを復活させたものだそうである。そしてこの時期製作されたのはこの一作のみ…本当に脚本の確保が難しかったのだと思う…
さてさて本作は前半はごく普通のフォーマット…追い詰められた男が財産を手に入れるために叔父の車に爆弾を仕掛ける…そして彼の元に叔父がいつまでたっても来ないから確認して欲しいという連絡にニンマリと屋敷に向う…しかしここで予想外だったのが叔父はひき逃げで死亡。ここから男の予想外の出来事にあたふたする…一番は車に仕掛けた爆弾の回収なのだけど警察がウロウロとしてなかなかできない。そしてコロンボ初登場場面がその問題に車に乗っているというハラハラする場面だったりする。そして男の苦労も無駄に終わりコロンボと警官そして男の目の前で車を移動させようとした庭師が爆死する結果になる…庭師は殺人計画に巻き込まれた無関係な人間で放映ではカットされたそうだけど、脚本の段階ではコロンボが庭師の奥さんと会い、自分が車を移動するように頼んだことを気にしていて「必ず犯人を逮捕する」と約束する場面があったのだとか…さらにはいくつかヒントとなる台詞もあったそうだけど個人的にはその約束の部分をカットしたのは残念だと思う…
そして借金に負われた男はささいな叔父の妻そして愛人である女性の言葉にピンときて彼女を脅迫する…ここで犯人と思われた人物が脅迫者になりそして被害者になるのである！そして中盤で犯人になるのはタイン・デイリーさん演じる叔父の妻でつまり彼女は二つの犯罪を行うのである！
自分はタイン・デイリーさんはダーティハリー3での相棒くらいしか観たことはないのだけど、その頃と較べてちょっと体型が変わったり年齢を重ねたという印象なのだけどところどころ見せる表情に、「あぁ、この人はきれいだな～」と思うカットがいくつかあって、このあたりが女優というものなんだなと思った。ちなみに近年ではブロードウェイでの演劇やミュージカルを中心に活躍をしていてそちらでいくつか賞も受賞しているそうでなかなか日本ではその活躍を知れないのが残念…ちなみにタイン・デイリーさんは後に別の役で再登場するし、さらにいうと日本未放送のテレビ映画ではピーター・フォーク氏と夫婦の役を演じているのだとか…
ちなみに本作のゲストはテレビヒーローが集まっているそうで、一番最初の犯人のグレッグ・エヴィガン氏はトラック野郎BJ、真の犯人のタイン・デイリーさんは女刑事キャグニー＆レイシー、被害者のスティーヴ・フォレスト氏は特別狙撃隊SWAT、さらには弁護士役のドン・S・デヴィス氏もツイン・ピークスやスターゲイトSG-1に重要な役で出演していたそうで海外ドラマが好きな人には色々と楽しめる配役なのだと思う…自分はこれらの作品を観ていないだけにあんまりピンとこないのだけど、色々とこれからそういったものに触れていくとそのあたりでも楽しめてくるんだろうなと思う。
本作では3つの殺人が行われるのだけど、タイン・デイリーさんの逮捕時の台詞が妙に印象的だと思えば原語ではそれが原題題名になっているそうでこのあたりで翻訳の難しさを感じた…
あやふやな2件より確かな1件、殺害容疑であなたを逮捕します、という風な吹替えなのだけど、原題はことわざの前半で最後のコロンボの台詞で意味がわかるという仕組みなのだそうだけど、このあたりおしゃれだと思う。
ひねりにひねまくっていてさらには無関係の人間が命を落とすという展開にわりと賛否両論の本作なのだけど…昨日観たのが掟破りなものだっただけに、ひねりにひねまくっていながらもそのひねりが楽しめたし、きちんと倒叙ミステリーになっていることからわりと自分は楽しんだ。

ちなみに旧シリーズと新シリーズでは微妙にコロンボの性格が変わっているそうだけど本作の場合シナリオと較べたらそのあたりがわかるそうである…
本作では車を調べてその際に注目を浴びて無邪気に彼らに手を振るのだけど、シナリオ段階では彼らに気づいて注目されていると知ると慌てて逃げ出すというものだったそうである…
どちらがコロンボらしいかといわれたら…自分はどちらもコロンボらしいと思ってしまうのである…自分は昔新旧まぜこぜに観てしまっているためイメージがそのあたりごっちゃになっているのである。このあたりはやっぱり観る人によって変わるものだと思う…手を振るのがらしいと思う人と逃げ出すのがらしいと思う人…