12日の「足利事件」の再審第6回公判で行われた弁護側の最終弁論。菅家利和さん(63)の弁護団は、7人の弁護人が事件にかかわったそれぞれの思いを織り交ぜながら、約2時間に及ぶ弁論を繰り広げた。

 「『巌窟王事件』の吉田石松老と菅家さんは同じ栃木県民で運命的」。栃木県の弁護士として先陣を切った渋川孝夫弁護士。昨年7月、血液のがんである「悪性リンパ腫」が判明。抗がん剤治療を続ける中で、再審公判に臨んだ。「冤罪(えんざい)被害者である菅家さんの叫びに十分に耳を傾けるべきだ」と再審請求でDNA型再鑑定を行わなかった宇都宮地裁を強く批判。 

 現在、菅家さんと弁護団のパイプ役を務める泉沢章弁護士は、菅家さんの「自白」をめぐる検察側の対応を「証拠隠し」と批判。「取り調べテープを苦痛に耐えながら法廷で聞き続けたのは、当時の状況を多くの人に理解してほしかったから」と訴えた。『東電OL殺害事件』や『名張毒ぶどう酒事件』の再審請求の弁護団にも参加する神山啓史弁護士も「東京高裁は控訴審で自白の信用性判断を誤った。菅家さんに何の罪もなく、裁判所自身が誤りを繰り返さない考えを示してほしい」と求めた。

 しんがりを務めた主任弁護人の佐藤博史弁護士は身ぶり手ぶりを交え、1時間を超える弁論を展開。「無実の人を犯人に仕立てる司法はどこかに根本的な欠陥がある。判決が、誤判原因をえぐり出し、刑事司法の未来に光をあてることを望む」と述べた。

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