裁判長異例の説諭 | 心に灯をともす物語

心に灯をともす物語

世に埋もれた出来事や名言を小さな物語として紹介します。読者の皆様の心に灯がともれば幸いです。

こんにちは

心に灯をともすおいどんです。



日は重たい言葉になります。

投稿するかどうか迷いましたが

ご冥福を祈り。




全て実話です。


その痛ましい事件は2001年4月29日、東京の三軒茶屋で起きました。

一人の銀行員の男性が4人の少年から駅のホームで暴行を受け
亡くなったのです。

電車内で足が当たったとの口論がきっかけでした。

裁判で少年4人は、反省の弁を述べた一方で
酔った被害者がからんできたことによる過剰防衛だと主張しました。

重ねられた裁判の中で現れた彼らの発言や淡々とした態度は
本当に反省しているかどうか疑わしいものでした。


法廷に裁判官の声が響きます。

主文

被告人両名をそれぞれ懲役3年以上5年以下に処する。



続けて実刑判決の理由を述べあげた山室惠裁判長は
結審にあたって被告人へ異例の説諭を行います。


「唐突だが
 君たちはさだまさしの『償い』という唄を聴いたことがあるだろうか」

そして、こう続けたのです。


山室恵裁判長
この歌のせめて歌詞だけでも読めば
なぜ君たちの反省の弁が人の心を打たないか分かるだろう。




この「償い」という歌は実話をもとに作られました。



毎月、給料をもらうと封も切らずにまっすぐに郵便局へ行き

ある人へ、もう何年もお金を送り続ける「ゆうちゃん」。

彼にはたった一度だけ哀しい過ちを犯した過去がありました。

配達帰りの雨の夜

横断歩道の人影にブレーキが間に合わなかったのです。



送金宛先のある人とは、被害者の奥さんです。


この被害者の奥さんがさだまさしさんの知人だったことから

この唄は生まれました。




「償う」ということはどういうことなのか・・・。


「許す」ということは・・・・。




法廷の傍聴席から山室裁判長のこの説諭を聞いた被告人の叔母は

判決の翌日、この歌詞を書き写した手紙を書いて

収監されている東京拘置所に届けたそうです。



               さだまさし 償い



               


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