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ジオターゲティング

思い出のマイルチャンピオンシップ

2008-11-22 19:30:00 Theme: 思い出のレース

芝紅葉に彩られた淀の直線…
その殺那、ウインブルドンのセンターコートと化した…



パッシングショット炸裂!!



淀のゴール板に突き刺さった鹿毛の牝馬…
それは楠孝志騎手会心の一撃でした。




パッシングショット…
同期には桜花賞馬アラホウトクやオークス馬コスモドリームがいます。
パッシングショットのデヒューは1987年11月中京でした。
初戦は落としたものの、折り返しの新馬戦で勝ち上がります。
年が明けた1988年、自身4戦目となる初雛賞では
後の桜花賞馬アラホウトクと対戦し、0.2秒差の2着としています。
しかしながらこのレース後には、脚部不安から休養に入り
春のクラシックとは無縁に終わります。

復帰はその年の9月、叩きつつ上昇したパッシングショットは
休み明け4走目の逢坂山特別(芝1600m)で2勝目を挙げると
エリザベス女王杯へ駒を進めました。


ミヤマポピーとシヨノロマンで決まった第13回エリザベス女王杯…
初めての重賞挑戦がG1となったパッシングショットは
果敢な走りを魅せるも、距離とG1の壁にぶつかり9着に終わります。
しかしこの経験がパッシングショットを一回り大きくします。


自己条件に戻したゴールデンサドルトロフィー(芝1600m)で3勝目。
明け5才(旧表記)緒戦で挑んだG3京都牝馬特別(芝1600m)を2着。
続くG2読売マイラーズカップ(芝1600m)を2着と芝マイル重賞戦で連続2着。
既に重賞級の力を備えた事を周囲に示したのです。
春の大目標を安田記念に定めたパッシングショットは
前哨戦の京王杯スプリングカップ(芝1400m)3着から本番に挑みます。
しかし安田記念では得意の展開になりながらも、バンブーメモリーの6着に敗退…
勝負を分けたのは『決め手の差』でした。

半年の休養を挟んで11月の根岸ステークスで復帰したパッシングショット…
手綱を取る楠孝志騎手はこれまでと同様に先行策でレースを行います。
結果は惨敗…
この時、鞍上で楠孝志騎手は違和感を感じたのかも知れません。
そして楠孝志騎手はある決断を行います…


続く復帰2戦目のトパーズステークス(芝2000m)でその決断が形になって表れます。
これまでの先行策から一転して、後方から末脚に賭ける競馬…
大胆にも5才冬にして脚質転換を行ったのです。
このレースを2着とまとめた楠孝志騎手は
パッシングショットが魅せた末脚に手応えを感じていました。


この後、楠孝志騎手はパッシングショットに後方からのレースを教え込んで行きます。
レース結果を振り返れば、この学習模様が明らかになります。
・トパーズステークス(芝2000m)楠孝志騎手騎乗:後方待機策から2着
・阪神牝馬特別(芝2000m)楠孝志騎手騎乗:後方待機策から12着
・洛陽ステークス(芝1600)南井克己騎手騎乗:先行策から2着
・京都牝馬特別(芝1600m)楠孝志騎手騎乗:後方待機策から4着
・ポートアイランドステークス(芝1600m)南井克己騎手騎乗:先行策から3着
・シルクロードステークス(芝1200m)南井克己騎手騎乗:好位差し込み2着
・阪急杯(芝1400m)須貝尚介騎手騎乗:先行策から5着
・CBC賞(芝1200m)楠孝志騎手騎乗:先行策から1着
・高松宮杯(芝2000m)楠孝志騎手騎乗:後方から捲り10着
・スワンステークス(芝1400m)楠孝志騎手騎乗:中団待機策から2着

楠孝志騎手騎乗時は初重賞制覇となったCBC賞以外は全て後ろからの競馬を採っています。
この教育が実を結んだのが第7回マイルチャンピオンシップでした。


単枠指定されたバンブーメモリーには1年半前の安田記念で完敗した相手…
当時は決め手の差が歴然としていました。
しかしこの1年半でパッシングショットの脚には、楠孝志騎手の教育に因って
『斬れる末脚』と云う武器が備わっていたのです。


レースは大方の予想通りナルシスノアールの逃げで始まります。
ミスティックスターは控えての2番手。
ホリノウイナー、ユートタイム、ヒカルダンサーが続いて先団を形成します。
先団を見る形でエイシンウィザード、ラッキーゲラン、オラトリオが追走。
人気の一角ルイテイトとそれをマークしてバンブーメモリーが中団の核を作ります。
シンエイロータス、トウショウマリオ、カッティングエッジがこのグループに。
後方には出負けしたシンウインドと好スタートから下げたダイタクヘリオスに
パッシングショット、ダンシングサムが位置取ります。
サマンサトウショウが1頭ポツンと置かれる形で進みます。
流れは澱みのないマイルチャンピオンシップ特有の厳しいものです。
バンブーメモリーは道中終始インに控え、直線の決め手勝負に賭けるいつものスタイルです。
パッシングショットはバンブーメモリーから7~8馬身後方のインで息を潜めていました。
勝負の4コーナー~直線入口で馬群をこじ開ける様に中を割るバンブーメモリーに対して
下り坂でも息を潜めたままだったパッシングショットは
4角で滑るように外へ持ち出すとバンクを活かして一気に向きを変えます。
楠孝志騎手のゴーサインに貯めに貯めた末脚を開放するパッシングショット!
外から内方向へと斬り込みながら前を捕えて抜け出した一瞬の脚は
空気の壁を切り裂いたかの様な、鋭く研ぎ澄まされたものでした…

サーブアンドボレー全盛の時勢に

研鑽を積んだパッシングショットを武器にした

大ベテランのテニスプレーヤーを彷彿させる…
そんな楠孝志騎手の手腕が光った一戦でした。




パッシングショットは引退後、繁殖として期待されましたが
事故に因り後継を残すことなくこの世を去ります。
しかし、鮮烈なインパクトを残したこの鋭利な末脚は永遠に記憶に止まる事でしょう…






昨年の記事『思い出のマイルチャンピオンシップ』(1992年 第9回)はこちら








Comments

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1 ■名は体を表す

他の方のBlogでもこの仔の話がでましたが、本当に名は体を表す末脚ですよね。
ワタシはさすがにリアルタイムでは見てませんが、映像で見た時は衝撃的でしたね。

今年は「蜂の一刺し」が炸裂するのか…

スーパーホーネット、来てほしくはないんですけどね(;^_^A

っていうかTKさん、がんばって的中してくださいよ~。
3年越しの歓喜に溢れますように…。

2 ■こんばんわ。

パッシングショット。
自分もリアルタイムでは見てませんが、ゲームなんかで出てきてたので知ってます。
短距離界の名牝っていうイメージだったんですけど、最初から短距離の追い込み馬ってわけじゃなかったんですね。
でも・・・
デュランダルもそうでしたが、スプリント~マイルの追い込み馬は鮮烈な印象を受けますよね。

3 ■ばばみなとさまへ

パッシングショットのマイルチャンピオンシップは
牝馬の切れを象徴するレースやと思います。
ダイイチルビーやニシノフラワーのスプリンターズステークスと並んで
牝馬の怖さを痛感出来ますよねぇ~(^O^)



そして今年も牝馬にやられました(苦笑)
花びらが舞う淀のターフは美しい…(ToT)

4 ■智さまへ

シンコウラブリィやノースフライトの様な安定感こそ望めませんが
スプリントやマイルの追い込みが与えるインパクトは並やないですわね。

デュランダルの追い込み脚も強烈でしたね。

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