欲望渦巻く政界で必要なのは忠誠心なのか。

【ストーリー】
アメリカ合衆国大統領を目指して民主党予備選に出馬したマイク・モリスは、選挙ツアー最大のオハイオ州での正念場を迎えようとしていた。モリスはハンサムで弁舌に優れ、カリスマ性も十分。そのうえ清廉潔白な人柄と揺るぎない政治信条で多くの有権者を魅了している。そのためライバル候補のプルマン上院議員との票差は優勢である見込みであった。オハイオ州予備選に勝利すれば、その勢いに乗って共和党候補をも打ち破り、ホワイトハウスの主になることはほぼ確実と目されている。一週間後に迫ったスーパー・チューズデーの決戦に全米の注目が集まっていた。モリスを支えるのは、ベテランのキャンペーン・マネージャー、ポール・ザラと広報官スティーヴン・マイヤーズの2人。ある日、スティーヴンのもとにプルマン陣営の選挙参謀トム・ダフィが極秘面会の電話をかけてくる。一度は拒んだスティーヴンだが、何らかの情報提供をちらつかせるダフィの言葉巧みな誘いに負けてしまう。ダフィの目的は、スティーヴンを自陣営に引き抜くことだった。だがモリスに心酔しているスティーヴンは、その申し出を即座に拒絶する。


ジョージ・クルーニー監督作品の登場です。ハリウッドの大スターでありながらいかにもハリウッドの大作に出演せずに骨太な作品に出続けるジョージ・クルーニーは今回の映画でも渋い演技で好演しています。個人的には映画「グッドナイト&グッドラック」「マイレージ、マイライフ」といった作品も観てもらいたい作品です。

今回のこの映画はアメリカ大統領選につながる民主党内での選挙を舞台としている。政治モノのイメージがこの映画に付きまとい倦厭する人もいるだろうが、この映画は人間ドラマを描いている。

話は少し外れるが、日本の選挙に関心がなくても選挙速報には注目してTVの前でずっと座っている人は多いのではないだろうか。何故、関心がなくても見てしまうかはあの選挙には人間ドラマがあるからだと思う。リアルタイムで当選する人と落選する人がいる。その選挙の前後では選挙での勝利を目指した根回しや後日談も報道される。

この映画でも選挙をめぐる人間ドラマがあり、実に引き込まれる面白い作品になっている。アメリカの選挙に疎くても問題がないほど丁寧に作られているため集中して観ているとその選挙の仕組みまで勉強になる出来なのだ。

これまで選挙を扱ったハリウッド映画はいくつもあった。だがこの映画ほど一人の男・スティーヴンを中心に野心や暗躍を描いた面白い作品はないかもしれない。

スティーヴンが試されるのは忠誠心だ。些細なミスが自分の人生を狂わすほどの事態になるが、偶然と情報で野心を達成する話だ。人の裏の顔が垣間見れて裏切りの怖さが漂うこの映画を観て人間不信のような重い気持ちになるかもしれないが、ストーリー展開も秀逸なため是非観てもらいたい。
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