メゾン・ド・ヒミコ

テーマ:
角川エンタテインメント
メゾン・ド・ヒミコ 通常版

邦画人気が洋画を超えたと言われています。実際に興行成績でも、邦画のシェアが50%を超えました。それはとてもいいことだと思うけれど、私的には2点だけネガティブな見方もしています。

一つは、テレビドラマとの境界線が曖昧になったことです。テレビドラマが悪いとは思いません。素晴らしい、あるいはおもしろいテレビドラマもあります。でもそれが映画になると、どうも深みに欠けるものが多いのです。商業的に作っていることがミエミエなのです。儲けなければ立ち行かないわけでそれもかまわないのですが、結局DVDで十分だと思えるものが多いです。

例えば「ゆれる」や「フラガール」のような良い映画は出てきません。


この『メゾン・ド・ヒミコ』 も一応日テレが絡んでいるのですが、日テレは比較的良い映画づくりをするアビリティがあるのか、わりといい映画でした。なんで今までDVDを借りなかったのだろうと、ちょっと不思議に思いました。


犬童一心監督、主演は決して個人的に好きではないのだけど、うまいなぁ~味があるなぁ~としみじみ思えるオダギリジョー。柴咲コウもいい役どころを演じています。何よりも脇がみんなイイ。


ストーリーはあるようなないような感じだけど、ドラマツルギーはしっかりしているように思います。だからやや2時間より長い尺ですが、飽きません。物語としては、母親と自分を捨てた父親がオーナー(実際は出資者が別にいるのですが)のメゾン・ド・ヒミコというゲイだけが入居する老人ホームに、春彦(オダギリジョー)という若い男性の要請でアルバイトに行く沙織(柴咲コウ)。毛嫌いしていた場所でなぜアルバイトするかという理由が母親の医療費のための借金返済っていうのは、ややベタでお粗末な感じがしたけれど、まあそれはともかく、余命いくばくもない父親(田中泯)と再会するわけです。そこから父親や春彦に反発しながら、ゲイを軽蔑しながらも、少しずつ理解を示していく、という流れもありふれています。


でも描写が素晴らしい。そして理解しそうで完全に理解しない、結局父親の死に目にも会わず、春彦と男と女の関係になることもない(なりそうにはなるが)というところがリアルで、安直な感じがしない。ところどころに爆笑ではないレベルのユーモアもあって、基本的には静かだけど眠くならない作品でした。


しかしゲイも確かに歳をとるわけで、現実でもこういうことって、今後あるのかもしれません。というか、こういうケアハウスは必要かもしれませんね。いや、ゲイじゃなくても、非婚の天涯孤独の単身者は増え続けるのです。

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